カテゴリー: 経営環境

核兵器廃絶は待ったなしの課題です!!~ノーベル平和賞を機に大きなうねりを作る必要があります~

2024年を振り返ると、自民党による企業・団体献金の「抜け穴」である政治資金パーティーを利用しての多額の裏金作りと、その後に発覚した総選挙における政党助成金2,000万円の「裏公認料」の支出が明らかになりました。

その結果10月27日に投・開票された総選挙では、自公連立政権が過半数割れをしました。この問題は、さらに追求して真相を明らかにしなければなりません。しかし政治は着実に民意で大きく変わろうとしています。

明るいニュースは、2024年のノーベル平和賞に、被爆者の立場から核兵器廃絶を訴えてきた日本被団協=日本原水爆被害者団体協議会が受賞されたことです。核兵器のない世界を実現するための努力と核兵器が二度と使用されてはならないことを証言によって示してきたことが受賞理由となっています。日本のノーベル平和賞受賞は、1974年の佐藤栄作元総理大臣以来、50年ぶりです。

ノーベル平和賞の授賞式が12月10日ノルウェーの首都オスロで行われ、メダルと賞状が授与されました。演説を行った代表委員の田中熙巳さんは「直ちに発射できる核弾頭が4,000発もある」「核のタブーが壊されようとしている」「人類が自滅することがないように、核兵器も戦争もない社会を求めてともに頑張りましょう」などと訴えました。さらに田中氏は原稿にはなかった「原爆で亡くなった死者に対する償いを、日本政府は全くしていないと言う事実をお知りいただきたい」との言葉を繰り返しました。

田中氏ら3人は、授賞式の翌日ノルウェーのストーレ首相と面会し、「日本政府が私たちの声に十分に耳を傾けているかと言えばそうではなく、日米同盟の中で核兵器禁止条約にすら署名も批准もしないという態度を持ち続けている。核戦争被害国と言っている日本が先頭に立たないといけないので、帰国後、政府に対してまず核兵器禁止条約を固めて、最終的には速やかに核兵器をなくすまで指導性を発揮するよう要請したい」と述べました。

いま、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が続き、プーチン大統領は核兵器の使用の可能性をちらつかせて威嚇しています。国連のグテーレス事務総長は「かつては考えられなかった核兵器を使った紛争がいまや起こりうる状況だ」と強い危機感を示しました。

こうした流れを食い止めることこそ、唯一の被爆国である日本の役割であり責任でもあります。たとえアメリカの核の傘の下にあってもそれは変わりません。政府は核兵器禁止条約の締結国会議へのオブザーバー参加を含め、より積極的で実効的な一歩を踏み出すべきでしょう。核兵器廃絶は待ったなしの課題です。

ところが、現在のところ石破茂首相に、唯一の被爆国の首相として、核廃絶への責任を担う意思がうかがえないことは甚だ残念です。

一方で世論調査会では、核兵器禁止条約に日本が「参加するべきだ」とした人が6割を超えています。今、政治の力関係が大きく変わりつつあります。ノーベル平和賞の受賞を力に、さらに世論を喚起して、核なき世界、戦争なき世界の実現のために、思想や信条を乗り越えて、日本が果たすべき役割を実行に移す年に2025年がなればと切に願っています。

経営理念とともに歩み続ける総合会計~事務所の発展はその質と量のバランスにあります~

年に二度開催している事務所の総会は経営理念の唱和から始まりました。総会には4カ所ある事務所のすべてのスタッフが参加します。改めてその経営理念を紹介します。

 

一、納税者の権利を守り、中小企業と国民を大切にする税制の実現をめざします

一、地域とそれを支える中小企業の繁栄のため、税務・会計・経営のエキスパートになることをめざします

一、みんなで創造し、みんなで成長しあえる、働きがいのある事務所をめざします

 

まず、本日のグループ討論のテーマが、「就業規則」の改定であったことは、経営理念の3番目の「みんなで」というキーワードに該当します。各グループで発表した意見について、直ぐに予算・人事委員会などが対応し、来月までに成案を作成することになりました。

中村代表の全体総括ならびに方針案の(1)の「ワンストップで経営相談ができる総合型会計事務所を目指します」は、総合会計のネーミングと同時に経営理念の2番目です。

方針案(2)の「総合会計の成長を後押しする『強い組織』を目指します」は、経営理念の3番目と合致しています。「経営委員会」に代わり、新たに「管理・運営委員会」「予算・人事委員会」「採用・研修委員会」の三委員会を立ち上げて事務所を運営していくと同時に、労働検討委員会でスタッフの声を聞く組織は、経営理念の3番目に合致します。

方針案(3)の「未来志向の『提案サービス』ができる事務所を目指します」は、経営理念の2番目です。関与先の成長は、スタッフの成長と事務所の成長につながります。

方針案(4)の「専門チームの設置を目指します」は、経営理念の2番目に沿うものです。税務調査を主に担当している熊野所長の「税務調査に強い事務所」と言う発言は経営理念の1番目です。社労士法人の三藤代表の「相談しやすい雰囲気を創る」は経営理念の3番目です。総括や方針、それぞれの発言などが経営理念に密接につながっています。

閉会挨拶で私は、まず「業務の質」について話しました。仕分け入力をしているスタッフに尋ねました。A さんは「上司に言われてしているんですよ」Bさんは「決算書を作るためにしているんですよ」Cさんは「入力を早く正確にすることで事務所の生産性を上げると同時に、その結果を顧問先の社長と共有し、その会社の未来を語るんです」と答えました。携わる仕事の目的や意味を理解するのとしないのでは、自ずと業務の質は変ります。

次に、事務所の発展について話しました。スタッフに尋ねました。総合会計をどんな事務所にしたいの?Dさんは、「県内で一番の事務所にしたいんです」と答えました。これは量の課題です。Eさんは「世界一の事務所にしたいんです」と答えました。これは質の課題です。私たちにとって大事なことは、量を追求しながら質の向上を図ることで、しかもそれをバランス良く追求することが何より大事です。

最後に、苦戦をしている税理士試験のことを問題提起しました。事務所の安定的な成長と発展をするには、資格の取得は不可欠です。事務所の方針に位置づけることが大事です。

回を重ねるごとに、総会が充実しています。経営理念とともに事務所は発展しています。

選択的夫婦同姓を考える~早期実現は多くの国民の願いです~

選択的夫婦別姓は、婚姻関係にある夫婦が別姓を望む場合に、同姓・別姓のいずれかを強制するのではなく、改姓するかどうか(結婚後も夫婦がそれぞれ結婚前の姓を称するかどうか)を自ら決定する選択の自由を認めるものです。

最近の各種世論調査において選択的夫婦別姓制度の導入に賛成する割合は、反対の割合を大きく上回っています。朝日新聞の世論調査(7月22日付)では制度導入に「賛成」とこたえたのは73%、自民党の支持層でも64%にのぼっています。地方議会においても、国に対して選択的夫婦別姓制度の導入を求める意見書を採択する動きが加速(今年10月現在426件)しています。

経団連も10月1日、「選択的夫婦別姓の早期実現を求めるシンポジウム」を開催しました。選択的夫婦別姓をめぐっては、経団連は6月18日に提言「選択肢のある社会の実現を目指して~女性活躍に対する制度の壁を乗り越える」を公表しています。

女性への差別撤廃を目指す国連の委員会は、ジェンダー平等に向けた日本政府の取り組みに対する見解を発表し、夫婦が同じ名字にすることを定めた日本の民法について、改正を求める勧告を出しました。国連の委員会が夫婦同姓を定めた民法について勧告を出したのは、今回で4回目です。

かつてない世論の高まりを前に、自民党総裁選で制度導入に「選択的ということなんだから、それを拒否する必要はない」と積極的な姿勢を示していた石破茂氏も、首相就任後は、国民の間にさまざまな意見があるということを理由に「さらなる検討を」と慎重姿勢に転じてしまいました。

そもそも、自民党はなぜ反対を続けてきたのでしょうか。それは保守派の強い反発があるからです。その背景には「日本会議」があります。日本会議は、美しい日本の再建と誇りある国づくりを掲げ、政策提言などを行う民間団体です。その主張は、「家族の一体感を損なう」などです。そこには古い家族観・価値観に固執する姿勢があります。

世界で夫婦同姓を義務づけているのは日本だけです。民法は婚姻時に「夫又は妻の氏を称する」と定めていますが、改姓をするのは現在も95%が女性です。姓を選択する権利が事実上否定され、改姓や旧姓の通称使用による不便や不利益の多くが女性に押しつけられています。

氏名は個人の人格の象徴です。姓を変えることはアイデンティティーが奪われると感じるなど個人の尊厳を脅かしています。そのため、夫婦同姓でなければ結婚できない現行制度は「法の下の平等」「婚姻の自由」をうたう憲法に反するとして、多くの訴訟も起こされてきました。

世の中の流れは明らかです。石破氏は所信表明演説で冒頭、「民主主義のあるべき姿とは、多様な国民の声を反映した各党派が真摯に政策を協議し、より良い成案を得ること」と述べました。選択的夫婦別姓が建設的な論議を通じ早期の実現ができることを切に願います。

いつやるか?今でしょう!~物価高に最も有効な政策は何かを徹底的に論議すべきです~

解散総選挙が終わって1ヶ月が経ちました。少数与党となった自民党や連立を組む公明党にとっては非常に厳しい政局にならざるを得ません。自民と立民の国対委員長が会談し、17の常任委員長のポストのうち、8つを野党側に割りあてることで合意し、さらに政府の予算案を審議する予算委員会の委員長ポストを、野党第一党の立民に割りあてることでも合意したからです。野党議員が予算委員長を務めるのは1994年以来、30年ぶりです。

緊迫した情勢の中だからこそ、各党が選挙戦で公約したことをしっかりと議論し、物価高で疲弊した国民生活が良くなるようにしのぎを削って欲しいと国民は願っています。

先の総選挙の経済・税制の政策の主な概要は以下の通りです。

自民…電気・ガス料金・燃料費高騰対策とあわせて、物価高騰の影響を受ける事業者や低所得者、地方などに寄り添った物価高への総合的な対策に取り組む。

立民…「分厚い中間層」の復活に向けて、最低賃金を1500円以上に引き上げ、適正な価格転嫁などによって労働者の賃上げを実現する。

維新…成長のための税制を目指し、消費税や所得税、法人税の減税を行う。消費税は8%とし、軽減税率制度を廃止する。

公明…物価高の影響が大きい低所得世帯や年金生活者に対し、生活支援として給付金を支給する。電気・ガス料金、ガソリンなど燃料費への支援を続ける。

共産…最低賃金を時給1500円以上に速やかに引き上げ、地方格差をなくして全国一律の最低賃金制を確立する。消費税廃止を目指し、当面、緊急に税率を5%に引き下げる。

国民…「令和の所得倍増計画」を実現するために、増えた税収を還元し、国民の手取りを増やす。実質賃金がプラスになるまでの間、時限的に消費税を5%に引き下げる。

れいわ…消費税は廃止し、消費税の「インボイス制度」も撤回する。最低賃金を全国一律で時給1500円とし、介護・保育現場で働く人の給料を月額10万円引き上げる。

社民…大企業の内部留保に課税し、消費税の税率を3年間、ゼロ%にする。労働者の賃上げを大幅に行う。最低賃金を全国一律で時給1500円に引き上げる。

参政…骨太の方針を改め、プライマリーバランス=基礎的財政収支の黒字化目標を撤回し、積極財政による経済成長を実現する。消費税減税や社会保障の最適化を行う。

各党の公約の1丁目1番は物価高対策です。低所得世帯に対する給付金の支給、賃金の引き上げや最低賃金の1500円への引き上げ、消費税減税などが上げられます。

選挙の結果、大幅に議席を伸ばした国民民主党が経済政策のキャスティングボートを握っています。最大の争点は基礎控除等を103万円から178万円に拡大できるかどうかです。

私は、所得税の基礎控除を大幅に増加させることには賛成ですが、累進税率の引き上げをして高額所得者への課税強化をすべきだと思います。すると税収不足も解消されます。

しかし、何より物価高に有効なのは消費税の減税です。逆進性の問題を緩和でき、あまねく消費者がその便益を享受できます。景気も上向きます。いつやるか?今でしょう!

デジタルディバイドを拡大させる収受印押なつの廃止方針に異議あり~納税者サービスを後退させる国税庁に反対の声上がる~

国税庁のHPによると、『国税庁は令和7年1月から、申告書等の控えに収受日付印の押なつを行わない方針です。』としています。

その趣旨は要約すると、『国税庁においては、政府の「デジタル社会の実現に向けた重点計画」を踏まえ、納税者の利便性の向上等の観点から、「あらゆる税務手続が税務署に行かずにできる社会」を目指し、申告手続等のオンライン化、事務処理の電子化、押印の見直し等、国税に関する手続や業務の在り方の抜本的な見直しを進めているところです。

令和4年度のe-Tax利用率は、所得税申告で65.7%、法人税申告で91.1%に達しており、今後もe-Taxの利用拡大が更に見込まれるので、国税に関する手続等の見直しの一環としての措置です。』としています。

では、紙で提出している、個人で約3分の1、法人で約1割の納税者はどうしたらいいのでしょうか。国税庁は、『書面申告等における申告書等の提出(送付)の際は、申告書等の正本(提出用)のみを提出(送付)していただきますよう、お願いいたします。申告書等の控えへの収受日付印の押なつは行いませんが、必要に応じて、ご自身で控えの作成及び保有、提出年月日の記録・管理をお願いいたします。』としています。

つまり納税者の自己責任での管理を求めています。確定申告の内容を証する公的な書類が必要な場合はどうしたらいいのでしょうか。次の方法がありますが、いずれも納税者の時間と費用が発生します。①申告書等情報取得サービス(オンライン請求のみ)…マイナンバーカードが必要。②保有個人情報の開示請求・・・有料で300円(オンラインは200円)、取得に1ヶ月程度かかり、法人は使えません。③税務署での申告書等の閲覧サービス・・・閲覧先は税務署窓口のみ、写真撮影は可、申告当日は対応しない。④納税証明書の交付請求・・・有料で税目ごとに1年度一枚につき400円(オンライン申請は370円)となっています。

税理士会もこの国税庁の方針に異を唱えました。その反対に対して国税庁は、当初令和6年4月と予定をしていた実施期限を、令和7年1月と9ヶ月延長をしました。

多くの反対の中で、国税庁の方針に柔軟化がみられます。令和7年1月以降、当分の対応として、窓口で交付するリーフレットに申告書等の提出を収受した日付や税務署名を希望者に渡すというものです。そんなめんどうなことをするなら、従前通り収受日付印の押なつの対応をすればすむことです。ほかの省庁では、収受日付印押なつは継続するのに国税庁だけが異例の方針を決めています。

インターネットやパソコン等の情報技術を利用できる人とできない人との間に生じる格差をデジタルディバイドと言います。利用の格差は、高齢者、低所得者、ひとり親層、単身者に多いと言われています。省庁の中でも総務省は、インターネットにアクセスできないことで生活に必要なサービスにアクセスできず、負の連鎖を生むことを懸念しています。

そうした中で、国税庁が今般の収受日付印押なつの廃止措置により、e-TAXに半ば強制的に誘導することは総務省の考え方に反すると言わざるを得ません。大いに異議ありです。

SNS社会、同じ過ちを繰り返してはいけません!!~関東大震災と福田村事件の歴史を振り返って~

「防災の日」は、台風、豪雨、豪雪、洪水、高潮、地震、津波などの認識を深めて備える日で、毎年9月1日に設けられています。1960年に、災害を未然に防止し、被害を軽減する目的で制定されました。「防災の日」が9月1日に制定されたのは、1923年9月1日に未曾有の大被害をもたらした『関東大震災』に由来しています。

その巨大地震により、東京府(当時)を含む関東地方は最大震度7の地震に見舞われ、死者10万5千人、家屋全半壊21万棟、地震関連の家屋焼失21万棟を記録しました。

その混乱の中、「朝鮮人が井戸に毒を入れた」「朝鮮人や社会主義者が暴動を起こした、放火した」などのデマを妄信した官憲や自警団などが、関東各地で多数の朝鮮人、社会主義者、無政府主義者を殺傷した事件が発生しました。日本人や中国人も誤認により殺傷されました。現在放送中のNHK朝の連続テレビ小説「虎に翼」でも、関東大震災での朝鮮人虐殺にふれた場面がありました。その被害者は1,000人とも6,000人とも言われていますが、その数は判然としません。過去から学ぶために、しっかりと調査すべきです。

家電メーカー・シャープの創業者である早川徳次氏は「朝鮮人従業員の一人が亀戸の自宅を訪ねてきた。そこに町内の連中がやってきて『朝鮮人はいるか?いたら殺すぞ!』と。私は何も悪いことをしていない人を突き出すわけにはいかない。動揺した家族に口止めして彼をかくまった。街で朝鮮人が殺されるのを目撃したこともあった。歩きながら殺される人もいた。しかし、それを止めようとしたらこちらが殺されると。」と証言されています。

ところで101年前の9月6日、千葉県福田村(現野田市)で「福田村事件」は起きました。朝鮮人に対する流言蜚語がこの村でも飛び交い、香川県からやってきた薬売りの行商団に、緊急勅令で急遽結成された自警団は日本人かどうか疑念を抱きました。村の巡査が本署に行って確認してくると行って出かけた間に事件は起こりました。地元自警団をはじめとした群衆は行商団を取り囲み興奮のるつぼと化しました。エスカレートした彼らには、行商団の話す讃岐弁がよく理解できず、朝鮮人だと思い込み、15人のうち幼児や妊婦を含む9人を竹やりや鳶口(とびぐち)日本刀などで殺害し、利根川に捨てました。

この歴史に埋もれていた事実を映画化したのが映画「福田村事件」です。放映は昨年9月1日、100年前の関東大震災の日に放映されました。この映画を是非見たいと思っていたところ、マイナーな映画だったので都会の限られた映画館でしか上映はされませんでした。ところが、最近ふとネットでこの映画の検索をしていたらU-NEXTで見られることがわかりました。直ぐに登録して見ました。被害者目線でなく、ごく普通の人も加害者となりえるという視点でこの映画は作られています。

「流言蜚語=確証のないうわさ話、根拠のない扇動的な宣伝、デマ」は100年後のSNS社会でさらに大きくなっています。SNSの匿名性は誹謗中傷、差別的発言の温床になりかねないことから、実効性のある対策が講じられるべきではないでしょうか。私たちは、同じ過ちを繰り返さないよう、歴史に学ぶべきです。

防衛費の増加分は災害対策へ回すべきでは!!~戦争は最悪の人災です~

台風10号は、非常にゆっくりと日本列島を縦断して、多くの被害を発生させました。今度の台風10号は、台風の進路とその周辺だけでなく、東海地方や首都圏などでも大雨をもたらし、新幹線などの交通機関にも大きな影響を与えました。

プロ野球も屋根付きの名古屋のバンテリンドームでの試合が中止になりました。9月1日にKDDI維新ホールで開催が予定されていた「NHKのど自慢」も中止になりました。

ところで、災害には自然災害と人為災害があります。日本は自然災害が大変多い国です。古くからの格言に「地震・雷・火事・親父」というものがありますが、親父の由来といわれる説の一つに、台風説があります。昔の台風は『大山嵐(おおやまじ)』『大風(おおやじ)』と呼ばれていました。いつしかこれが親父に変化した、というのが台風説です。

自然災害のうち、地震は最新科学でも予知は不可能ですが、南海トラフ地震は今後30年のうちに70~80%の確率で、また、首都直下地震も今後30年のうちに70%の確率で起こると言われています。台風の、進路予想などの分析はできるようになりましたが、この台風に関してはままならなかったというのが実情です。いずれにしても、防災や減災は必須です。政府や地方自治体にできることは十分に予算を確保してさらに積極的に実行すべきです。まだ成すべき対策はあります。個人でも防災グッズの準備を含めて、対策が必要です。

一方で、人為災害には、戦争(紛争を含む)、公害、労災事故、交通事故などがあります。これらのうち公害は未然に防ぐ余地があります。労災事故、交通事故などもその発生を極限まで縮小できます。しかし、戦争を未然に防ぐには自ずと限界があります。

戦争は国際法上、一方の宣戦布告によって戦争状態となり、どちらかが負けを認めるまで続きます。しかし戦争にもルールがあります。世界的な戦争ルールの整備の先駆けとなったのが「ジュネーブ条約」です。1864年に赤十字国際委員会が提唱したものです。幾多の改訂と追加を経て、第二次世界大戦後の1949年に全面的に見直されました。2019年現在、世界196ヶ国と地域が批准しています。ロシアやイスラエルも批准しています。

その内容は、非戦闘員・施設の保護、捕虜の殺害の禁止、捕虜等への拷問又は非人道的行為の禁止、病院や救命隊員の保護、非戦闘員への避難径路の確保・提供、非戦闘員・負傷者等の人道支援物資入手の権利、使用兵器による過度な損失・苦痛の禁止です。

ところが、ウクライナでは捕虜や市民への拷問や虐待が確認されて、民間施設(病院、学校、原子力発電所にまで)への攻撃が頻発しています。中東でも子どもら大量の民間人が犠牲になっています。いったん戦争が起こると、もはや収拾がつかないのが現実です。

政府の概算要求が8月末に出そろいましたが、防衛費は今年度当初予算を約6千億円上回る約8.5兆円になりました。朝日新聞の9月1日の社説でも「膨張への一途 持続可能か」という見出しで、批判的な内容を掲載しています。防衛費は、「国を守る」ためのものです。同じ国を守る観点で言えば、「国防」より「防災・減災対策」です。「国防」は外交努力によって成すべきです。いつまでも米国の言いなりになることは人為災害を招きかねません。

金融所得や金融資産に課税強化を!!~次期首相は格差の是正を責務とすべきです~

 

岸田文雄首相は終戦記念日の前日の14日、唐突に記者会見をし、9月の自民党総裁選に出馬しない意向を明らかにしました。マスコミは自民党の派閥裏金事件を受けての退陣と報じています。早くも二桁の議員が次期総裁に「我こそは」と立候補を表明しています。

しかし、岸田首相はその任期内にせめて国民の多くがその真相を知りたがっている、統一教会問題や自民党の裏金事件を彼のお得意の言葉である「丁寧な説明」をしてからその身を引いてほしいものですが、その意思も気迫も今の彼にあるとは思えません。

さて、厚生労働省が7月に発表した2023年度の国民基礎調査によると、22年の1世帯あたりの平均所得金額は524万円と前年比3.9%減少し、21年の3.3%減に続くマイナスでした。相対度数分布(ある階級の度数における全体に対する割合を表すもの)では、平均所得金額以下の世帯数が62.2%で、300万円未満の層が36%を占めます。つまり、富が「富裕層」に偏在していることを示しています。また、23年7月時点での生活意識への問いでは「苦しい」の回答が59.6%と22年の51.3%を大幅に上昇しています。

一方、野村総合研究所が23年に発表した21年を対象にした推計によると、純金融資産(保有している預貯金や株式、債券などの金融資産の総額から負債を差し引いた金額)が1億円以上の「富裕層」、5億円以上の「超富裕層」は合計148.5万世帯で、全世帯の2%台を占めています。日本証券業協会が23年に発表した調査によると、日本の総人口に占める個人株主の割合は22年度で11.9%に過ぎず、年齢階層別では、60歳以上の合計が4割強となっています。生活資金にゆとりのある一部の人が投資で恩恵を受けています。

政府は新ニーサを24年から始めました。比較的若い中間層に老後資金を意識させる仕組みです。この制度は、非課税期間が無期限なことから、長期運用に適しています。一般的に運用期間は長期になるほどリターンが安定するとされています。

岸田首相は、前回の総裁選挙で新しい資本主義と言う概念を打ち出し、金融所得課税を表明していましたが、株価の低迷で腰砕けになっていました。

もとより非課税枠の増大と金融所得課税はワンセットと言われていました。新ニーサが創設されたことで、金融所得や金融資産(相続税における金融資産に対する課税)に対する課税強化の土俵ができあがりました。

アベノミクスで様々な部面で格差が広がりました。労働市場における正規雇用と非正規雇用、都市と地方、基地がどんどん拡大している沖縄、教育の質、高齢者とひとり親世帯の相対的貧困率などです。

3分の1の世帯が年収300万円未満で生活し、6割の国民が生活実感を「苦しい」と答えています。憲法第25条は、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」としています。次期総理は、経済格差を真正面から受け止め、すべての国民が平和で豊かな暮らしを享受できるようにする責務があると思います。

いかなる暴力も許されない!!~平和こそ人類が求める最大の英知ではないでしょうか~

トランプ氏がペンシルベニア州で7月13日に開かれた集会で、演説開始直後に右耳に銃撃を受け、その場で容疑者は射殺されました。米連邦捜査局(FBI)は、暗殺未遂事件として捜査していますが、いまだ容疑者の犯行動機や思想を特定できずにいるようです。

大統領選への立候補予定者を暴力で抹殺しようとする事件が起きたことに、米国社会で激しい衝撃が広がっています。安倍元総理の銃殺事件を彷彿させるものでした。いかなる理由があったとしても、このような卑劣な暴力行為は断じて許されるものではありません。

その2日後の15日、ミルウォーキーで開催された共和党大会が開催されました。全米から集まった参加者は口々にトランプ前大統領の名を叫び、自分たちの大統領候補決定に熱狂しました。この大会でトランプ氏は共和党の候補者として正式に決定をされます。

さて、このトランプ氏の言動にも問題はあります。7月15日の日経新聞では「3月の集会で、自身が敗北したら『この国が血の海になるだろう』と話していた。」「4月公開の米誌タイムのインタビューで、大統領選で自身が勝利した場合、議会襲撃事件で訴追された支持者への恩赦を『必ず検討する』と明言した。」と報じていました。

米国には現在、約4億兆丁の銃があると推定されているそうです。 米国は世界でも有数の裕福な国にも関わらず最も銃による殺人の死亡率が高い国です。前述の日経新聞は「米誌ニューヨーク・タイムズによると、米シカゴ大学の6月の世論調査で回答者の10%がトランプ氏の大統領就任を阻止するために『暴力は正当化される』と答えた。このうち3分の1が銃を所有していたという。」「トランプ氏が大統領に返り咲くために『暴力を支持する』と答えた人も7%いた。このうち半数が銃の所有者だった。」とも報じていました。

ことを世界に向けるとさまざまな国や地域で、いまなお戦争や紛争が起きています。それにより、多くの人が亡くなり傷ついています。また多くの難民の発生や食糧不足、貧困などの様々な重大な問題を引き起こし、人々の生活はどん底に陥っています。

さて、日本国憲法第九条は、次のように規定しています。『日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。』と「平和主義」を高らかに宣言しています。その中身は「戦争をしない」「武力を持たない」「交戦権を否定」です。平和こそ人類が求める最大の英知ではないでしょうか。

自衛隊が、陸海空軍その他の戦力に当たるかどうか議論が分かれるとことですが、私は違憲だと思います。国を守ることは必要ですが、それは武力ではなく、外交努力により解決すべきです。日本は唯一の核被爆国として、1971年に核兵器を「持たず、作らず、持ちこませず」という「非核三原則」を国会で決議しました。

これを援用して、世界中であらゆる武器を「持たず、作らず、持ちこませず」を高らかに宣言したらどうでしょう。間違いなく憲法9条は「ノーベル平和賞」を受賞できます。

中国電力は電気料の値下げをすべきです!!~山口県はモノ言う株主になるべきでしょう~

6月後半は上場会社(3月決算法人)の株主総会のラッシュです。2024年6月26日に中国電力の第100回の株主総会定時株主総会が開催されました。この株主総会は、広島市中区の同社本店で246名の出席者が決議を行いました。決議は会社の提案とおりでした。

営業収益は、電気料金の値上げを行ったものの総販売電力量の減少などの要因で、1兆6,287億円と前年度に比べ658億円の減収となりました。しかし営業利益は、2,067億円と前年度に比べ2,756億円の増益となりました。また、支払利息などの営業外損益を加えた経常利益は1,940億円と前年度に比べ3,008億円の増益となりました。経常利益、純利益ともに過去最高となり4年ぶりの増益となっています。売上高対経常利益率は11.9%、総資産は2.31%増の4兆1,332億円、株主資本は31.51%増の5,508億円、利益剰余金は56.89%増の3,642億円と絶好調です。

2024年はじめの電気料金は変動が少なく安定していましたが、5月に再生可能エネルギー発電促進賦課金の増額によって値上がり。加えて政府の電気・ガス料金に対する補助の適用が6月請求分で終了となったため、7月請求分の電気料金はさらに高くなることが見込まれます。世帯平均で中国電力は783円増の15,444円となる見込みです。

ただし、政府は8月使用分から3か月間補助金の再開を行うことを決定しました。この措置は岸田内閣の支持率を上昇させるための方策だと識者は指摘しています。

したがって、9月請求分(8月使用分)の電気代は値下がりする予定です。政府からの補助金が終わり、燃料価格の上昇などの要因で今後年末にかけて、さらに値上がりするのではという見方も出ています。

政府の補助金がいくらなのかは定かではありませんが、そもそも過去最高益を計上している会社に、補助金を出す必要があるのでしょうか。少なくても補助金なしでも値下げは可能だと思います。政府は電力各社とまともに交渉をしたのか甚だ疑わしい限りです。中小企業の多くは、コスト分上昇を価格転嫁することが極めて困難な状況にあります。

山口県の対応も問題です。実は、県は中国電力の大株主です。なんと約3,400万株8.78%を保有して第2位の大株主です。株価は2024年7月8日現在1,014円なので、保有時価総額は約344億円です。ところが、県は2013年以降株主総会を欠席し、議決権行使書は白紙提出する対応を続け、事実上経営方針に賛成をし続けています。株は県民の共有財産です。県民の暮らしを少しでもよくするために電気料金の引き下げ要求するモノ言う株主になるべきです。

景品表示法違反にあたるとして、消費者庁は課徴金としては過去最高額の16億5,600万円を求めた不祥事について、また同様に、事業者向けの電力販売をめぐり関西電力との間でカルテルを結んでいたとして、公正取引委員会から707億円の課徴金納付命令を受けた不祥事について、その経営体質についての言及が必要でした。

何より、上関への原発と中間貯蔵施設の建設について、この地震大国に本当に原発が必要かどうか広く県民の声をよく聞いて、意見表明をすべきです。問題を先送りすればするほど住民の分断は広がります。