月別: 2019年7月

迫り来る消費税増税!~私たちの暮らしはどう変わるのか?~【2】

【2】消費税増税が実施されると どんな影響が起こるのか

(1) 2回延期した消費税増税を平成30年6月の「骨太の方針」に入った。令和元年10月1日から10%の引き上げと複数税率(軽減税率)の実施。

引上げの理由は・・・

「景気回復は、緩やかではあるが長期間にわたって継続しており、今回の回復の長さは戦後2番目となっている可能性が高い。賃金は、春季労使交渉では、中小企業を含め、定期昇給を含む月例ベースで2%程度の高い上昇が続いている。多くの企業で5年連続のベースアップが行われ、2018年についてはその額も大半で前年を上回っているほか、賞与・一時金も前年を大きく上回る水準となっており、年収ベースで3%以上の積極的な賃上げが行われている。」(骨太の方針2018)→急成長には「からくり」がある。政府は平成28年12月、GDP(国内総生産)の計算方法を変更した。それまで算入していなかった「研究開発投資」の項目を追加(いわば粉飾)するなどをした結果、平成27年度の名目GDPは32兆円近く増えて532兆2億円に跳ね上がり、一気に600兆円に近づいた。→賃金についても、「毎月勤労統計」の不正調査の影響で「昨年の実質賃金の伸び率が下がる可能性が予想される」との厚労省の参事官発言、偽装統計は底なしの泥沼化

(2) 平成30年10月15日の臨時閣議決定で正式に意思表示されたという不正確な情報

平成30年10月15日の臨時閣議で、安倍首相は平成31年10月に消費税率10%に引き上げることを表明→このことは新聞やテレビで広く報じられ、大きなニュースとして受けとめられたが、この「表明」が意味することについての認識はさまざまであり、必ずしも共通の理解が得られているとはいえない状況にある。(日経新聞報道)

(3) 特にひどいNHKの報道

平成30年10月の「日曜討論」では、出演者6人中5人が増税論者で、1人が条件付き増税を言ったのみ→「公共放送」なら国論を2分している問題を論議するなら反対論者も半数にすべきが民主主義の原則である。

(4) 菅官房長の発言

リーマンショック級の経済情勢がきたらと言うが既に、GPIFは平成30年10月から12月で約15兆円の損失を被っている→トランプ大統領の発言で世界中が大混乱し、「米中貿易戦争」で消費税増税どころではない→かの竹中平蔵でさえも雑誌「プレジデント新年招福版」で「最初に明らかにしておきたいのは、私は消費税の増税に反対だと言うことです」と発言をしている→その後、安倍首相と二人で夜の会食

…平成31年4月13日の朝日新聞のインタビューで10月に予定されている消費税に反対と明言している。

(5) 首相は「食料品などを軽減税率にするから低所得者の負担はそんなに増えない」と言うが・・・

軽減税率の対象は「食料品の内容物」と定期新聞の購読料だけである。→これらの価格があがらない保証はまるでない→価格決定権者は企業にあり、据え置く義務はない。

(6) 既に政府主導の業界ぐるみが始まっている

10月からの消費税増税にもかかわらず、政府はガイドラインを作って、業界ぐるみで値上げをしている→日本乳業協会は4月1日から1.6%~8.7%、日本アイスクリーム協会は3月1日より4%~20%、10円から20円、日本即席食品工業協会は6月1日より3%~8%、全国清涼飲料連合会は5月1日より20円、日本冷凍食品協会は3月1日から5%~13%まで→日付を業界ごとにずらしている→この値上げは軽減税率のものばかりである。

(7) バス代、電話代、水道代、電気代、ガス代などの公共料金のような庶民の生活必需品は値上げされる

軽減税率は低所得者に配慮したものとは言えない→水道水をペットボトルに詰め替えると軽減税率になるのは明らかにおかしい→ペットボトルで水を買う人は生活にゆとりがある人である。

(8) 軽減税率の対象物品である新聞も・・・

既に日経新聞は2017年11月に4,509円から4,900円に値上げしている→他紙も値上げしたいが購読部数はどんどん減っているので今はできない→特に首相お気に入りの読売新聞の「取り紙」はすさまじく、販売代理店の収益はどんどん減少し廃業も続出している。

(9) 平成31年10月1日に一斉値上げが起きた時の学習効果は・・・?

「一気に景気が冷えこむ」という前回の引き上げ時の「学習効果」で、さまざまな施策(ポイントカードやプレミアム商品券など)で景気の後退をかわそうとしているが、それが終われば元の木阿弥になる→小手先だけの対策(オリンピック開始までの9ヶ月の期間限定)で本質は変わらない。

(10) 結局、先取り値上げによって物価は上昇しても、庶民の収入や賃金は上がらず、年金は下がる

消費者の買い控えがおこり、事業者の売上は伸びない→消費税の滞納は増えるが、大企業の法人税率の引き下げだけは続ける→ますます貧富の差が激しくなり、倒産が増え失業者も増大し経済は大混乱→オリンピック景気も思うようにはならなく、景気は確実に後退し、先進国から落ちこぼれるようなリセッション(景気後退局面)が起きる。