NHKオンラインは『山口宇部空港で自衛隊の訓練などが円滑に行えるように、国が「特定利用空港」への指定を検討していることをめぐり、村岡知事は8月7日の定例会見で「特定利用空港の指定を受け入れる」と国に回答したことを明らかにしました。
「特定利用空港」は、自衛隊や海上保安庁の航空機の訓練などが円滑に行えるように国が指定するもので、これまでに全国11の空港が指定されています。
村岡知事は、受け入れを決めた理由として、自衛隊や海上保安庁が訓練を行うことを通じ、大規模災害時の住民の避難や物資の輸送の迅速化につながることなどを挙げました。
山口宇部空港が「特定利用空港」に指定された場合、中国地方の空港では初めてとなります。国によりますと、自衛隊が訓練で年に数回程度利用することなどが想定されているということです。
一方で、県内では、「地域の軍事的緊張を高める」などとして、県に「特定利用空港」の指定を拒否するよう求める声も上がっています。
村岡知事は「国には、民間の利用が主であることをしっかり守ってもらいたい。訓練を行う際は、事前に丁寧な説明や情報提供を行い、安全確保に万全を期してほしい」と述べました。』と報道していました。
県民が知らない間に、県民や空港利用者の生命・安心を脅かす可能性があることをいとも簡単に村岡県知事は容認しました。
そもそもこの制度は「総合的な防衛体制の強化に資する」ためとして岸田文雄前政権が2022年12月に閣議決定したものです。自衛隊などが有事(戦時)に使用することを前提に国が改修や整備をする空港・港湾を指定します。戦時に加え平時から自衛隊が訓練や人員・物資の輸送などで軍事利用しやすくするのが目的とされています。
「特定利用空港」となれば平素から自衛隊などの訓練に使われ、大きな事故が起きる可能性も払拭されません。自衛隊の訓練が必要ならば既存の自衛隊基地で行うべきでしょう。
村岡知事は、自衛隊などが訓練を行うことを通じ、大規模災害時の住民の避難や物資の輸送の迅速化につながることなどを挙げました。しかし仮に大規模災害、例えば南海トラフが起きた場合に、優先的に自衛隊などが住民避難や災害派遣をしてくれる保証があるのか甚だ疑問です。さらに、有事の際に山口宇部空港が軍事作戦に利用されれば、国際法上も攻撃対象とされかねません。
今回の受け入れの決定は、受けるメリットより、あまりに大きなリスクが存在します。「大規模災害への対応」と説明していますが、「戦争をする国家づくり」に加担することは決して許されません。山口宇部空港は、県民と利用者の貴重な財産です。軍事目的でなく、平和利用に資すべきです。防衛費の増加がこんなところに使われているのだと思います。私たちが知らない間に「新しい戦前」が、身近に着々と忍びよっています。