月別: 2018年11月

山口のソウルフーズがANAの機内誌へ掲載~「瓦そば」と「ばりそば」がフィーバーするの?~

ANAグループの機内誌「翼の大国」を何となく眺めていたら、「山口・ヌードル紀行」で川棚温泉(下関市)発祥の「瓦そば」と山口市発祥の「ばりそば」が特集されていた。

この機内誌は持ち帰り自由なのですが、一応CA(キャビンア・テンダント)の方に持ち帰る旨を伝えたところ「真っさら」のものをいただきました。

その特集は、「瓦そば」については6ページ建て、「ばりそば」については4ページ建てで特集されていました。文章も写真も流石にプロだと言われるほどのできでした。

「瓦そば」については、「元祖瓦そばたかせ」で取材をしていました。そのサブタイトルからしてスゴイ!『瓦の上に「驚き」が重なる』これだけで注目をひきます。さすがプロのライター?そしていよいよ本文に入ります。

『「瓦そば」は、山口県下関市西部の山間に位置するひなびた温泉地・川棚温泉に咲いた大輪の花のような麺料理だ。黒々した原寸大の(要するに本物の)瓦の上には緑の茶そば。その上に錦糸卵、さらに牛肉、小ねぎ、海苔が載っていて、そのまた上にはレモンの輪切りともみじおろしが鎮座している。どこかの国の国旗かと思うくらい、鮮やかで決定的にバランスよいカラーコーディネートだ。~中略~さて、いただきます。むむっ、瓦の上で油で焼かれた茶そばが香ばしい。それを具材と一緒にとって、かつおと昆布のつゆにつけて食べると……~』近すぎて遠い「元祖瓦そばたかせ」には、2度行ったきりです。近々3度目の挑戦ということにしましょうか。

文才のない小生にとってこのライターの文章はあこがれです。いつかは、こんな文章を書きたいと思いますが、文章表現の上手さは「読書量」に比例すると言われていますが、最近は仕事だけでなく他の趣味などでやることが多すぎて、読書からかなり遠ざかっています。過日、皇后・美智子さまが「読みたい」とおっしゃった探偵小説が話題になっていますが、近い将来私も以前のように推理小説などを存分に読みたいと思っています。余談になりますが、私の夜の楽しみであるテレビ朝日系の「報道ステーション」に最近登場することになった竹内由恵アナウンサー(元ミス慶応でアナウンサーデビューしてからの大ファンです)が、昔、むさぼるように読んでいた経済小説家清水一行先生のお孫さんだと最近知り驚きました。

ところで山口県、特に下関市はさまざまな観光資源に恵まれ、しかも安倍首相のお膝元にも関わらず、人口の減少に歯止めがかかりません。「地方創生」が大きな課題の一つと首相も主張されています。海外に出張されて日本製品の売り込みにはご熱心ですが、足元の下関を「地方創生」のモデルケースとなるように腐心されてはどうかと念じております。もしかして、「観光資源」がありすぎてハングリー精神が希薄になっているのではないかと危惧しています。

山口市の『春来軒』の「ばりそば」の方はA4二枚を使って実物大の写真が「ドカッ」と掲載されています。私も趣味の一つの山登りで写真は撮りますが、重たいので一眼レフではなくミラーレスのカメラです。構図のセンスはさておき、シャッタースピード、露出、逆光処理などもすべて「オート」にしています。

中学生のころ勉強はそっちのけで、九州や山陰などにSLの追っかけをしていた頃は、一眼レフのかなり相当高級なカメラ(もちろんアナログで、もっぱらモノクロで撮影をしていました。)を今は亡き父にせがんで買ってもらいました。中学校の暗室を使って自分で現像もしていましたので、それなりの写真に対する知識もありました。しかし、最近はあまりのカメラ本体の性能の良さにすがって「撮りたいモード」だけ選択しておけば、風景だけでなく朝焼け、野草や花などそれなりの写真が撮れます。この半世紀でカメラの進化はアナログからデジタルになったことも含めてスゴイものがあります。

さて、商業写真といいながら、プロの写真家の腕と発想力はスゴイ!です。「もち屋は、もち屋」という言い方をしますが、実物大(1.5人前)の「ばりそば」をど迫力でよくぞそんな大胆な写真を撮ったものだとつくづく関心をしました。

「ばりそば」も何軒もありますが、それぞれの店で微妙に味が違います。とりあえず、高速道路のサービスエリアにある店を除いて全部食べてみましたが、個人的には山口市大内と言うところにある店の味がお気に入りです。ただ、自宅から「あまりにも近くて遠い」小郡店には2回しか行っていません。歩いて10分以内、車なら3分程度で行ける店にもっと顔を出さないと行けないとこの記事を読んで思いました。

世の中、「ソウルフーズ」だとか「B級グルメ」とかという言葉が流行っていますが、「うどん県」と県名を代えようか物議を醸した「讃岐うどん」と行ったら香川県と言うふうに、日本国中、誰でも知っているようなメジャーなものとして「瓦そば」や「ばりそば」を育てていかないと行けないと思っています。

山口県人は「おしとやか」な風土があるのかもしれませんが、「明治維新の立役者」で日本を現在のように先進国した心意気を再び持つことが問われていると思います。

憲法を中小企業経営の視点で捉えると~マネジメントの常識を覆す次世代組織論の出現~

経営コンサルタントの奥長弘三先生は、山口県中小企業家同友会の主催している「経営指針塾」の初期の頃、東京から薄謝で何度も足を運んでいただきました。

その奥長先生が毎月、私にメールで「朋友だより」と言うニュースレターを送付してもらっています。おそらく「朋友」という意味は「For You」と言う英語をもじったものだと思います。

その「朋友だより」の中で、「次世代組織と日本国憲法」を重ね合わせた特集を組まれていましたので、それを要約してご紹介します。

このテーマになっている書籍は『ティール組織―マネジメントの常識を覆す次世代組織の出現―』F、ラルー著(鈴木立哉訳、英治出版 2018年1月)です。奥長先生によると、まさに従来の常識を覆す次世代型組織の実例が12件、世界から集められているそうで、収録の条件としては①最低5年以上継続していることと、②少なくとも100名以上の従業員を抱えているところで、事業分野としては、小売り、メーカー、エネルギー、食品、教育、医療に及ぶそうです。

 

ティール組織の特徴

事例の紹介は割愛しますが、ティール組織の特徴を5つにまとめてあります。

1.規模の大小に関わらず、内部の運営は10~30人程度の少人数のチーム制になっています。このチームが売上、顧客との関係、採用、教育などについて権限を持っていることです。

2.自主経営、全体性そして存在目的の追求がディール組織が重視する3つのポイントです。

自主経営…社長や管理職からの指示命令からでなく、メンバーや組織が自律的に機能する。

全体性…一人ひとりのメンバーが自分らしさを取り戻す。メンバー全員の能力が存分に発揮されている状態。

存在目的…組織が何のために存在し、今後その方向に向かうのかを常に探求し続ける組織であること。

3.意思決定の際の助言システムが有機的に機能しています。誰がどんな意思決定をしても構わないことになっています。ただし、その意思決定の専門家に助言を求めることが義務づけられ、その助言に基づき討論をし、その助言を採用するかどうかは、本人に任される。

4.CEO(最高経営責任者)が交代すると、従来型の組織に戻ることがあります。

5.ティール組織は、ゼロ成長、循環型経済を想定しています。

 

日本にも存在している次世代型組織

実は、日本にも次世代組織を模索している組織があります。奥長先生も私も長らく学ばせていただいている中小企業家同友会では、以前から経営者と社員が、双方の信頼関係をもとに、経営指針(同友会の用語で、経営理念、経営戦略、経営計画の三点セットをそのように呼んでいます)にもとづく全員参加型経営と社内で自由闊達な意思素疎通のできる社風をめざして努力しています。そこでは社員一人ひとりが生き生きと目標を持ち、自主的に働くこと、そして働く中で成長することが追求されます。その結果、厳しい経営環境の中で、順調な業績を上げている企業が多数生まれています。

 

税理士法人総合会計の次世代型組織の挑戦

わが税理士法人総合会計も、極めてユニークな経営を試行錯誤でやっています。新山口駅至近にある本部事務所が18名、新南陽駅至近にある周南事務所が7名、中国道の下関インター至近にある下関事務所が7名の合計31名(税理士4人を含む)のスタッフが働いていますが、本部事務所から周南事務所と下関事務所の距離はそれぞれ約60㌔離れています。しかし、同じ経営理念に基づき、日頃は顔が見えないけれど、それぞれの事務所から複数名の経営に携わるメンバー(経営委員)と言いますが、その経営委員が、基本的に毎月第2火曜日の午前の2時間会議を開催し、それぞれの事務所の顧問先様の事業及び業務内容の特徴の報告や、運営に関わることを決めます。それを「サイボウズ」というグライドベースのグループウェアで共有化しています。

また、それぞれの事務所は毎月のはじめに「月初会議」という意思統一の会議をします。そこに、一昨年私と代表を交代した中村代表が参加し、それぞれの事務所の雰囲気や事務所全体としての方針などを伝えます。

併せて、3つの事務所が年2回(6月と12月)、スタッフからヒアリングをして、その意見を反映させた事務所総会をスタッフ全員参加で実施します。内容はその期の決算報告と前年の総括、今年度の方針を発表し、それを各事務所のスタッフをばらばらにしてのグループ討論で深めます。もちろん、グループごとに討議の内容を報告します。いろいろな意見が出ますが、その意見を反映させた方針書を経営委員会の責任で作成します。中間決算の報告を兼ねて、その方針の軌道修正をします。決算総会と同じくグループ討論で深めていきます。私たちの税理士業界も凄く動きが速いので、ときには大きく方針を変えることもあります。

その繰り返しを重ねそれぞれの事務所の地理的な距離は離れていても、それぞれの事務所が税理士法人総合会計として融合できるように工夫をしています。もちろん平日の一日を使うわけですから、その中に様々な研修を織り交ぜます。そして、6月には暑気払い、12月には忘年会を実施しています。そんな取り組みを試行錯誤しながら、「全職員一体型経営」をめざしています。

完成形になるのは「何時」になるかは分かりませんし、どこまでも完成しないかもしれません。私たちと同じような組織運営をやっている会計事務所が、年に一度持ち回りで二桁の事務所が参加する「会計事務所交流会」というものをやっています。今年は、10月12日に浅草でやりました。来年は、大阪でやることが決まったそうです。山口でも今まで2回ほど主催して全国の先進例や悩みを共有しています。

 

会社は誰のものか

話をもとに戻します。奥長先生のニュースレターには、『日本でいちばん大切にしたい会社』と言う本を既に6冊書かれて、全国で講演も積極的にされている法政大学、坂本光司教授が、会社が大切にすべき5人を掲げられています。そして、その順番が大事だと主張されています。

1.社員とその家族

2.外注先・下請企業の社員

3.顧客

4.地域社会

5.株主、出資者

会社は、誰のものかという論議が一時、流行ったことがありましたが、坂本先生流に解釈すれば、社員のものであると思いますし、わが税理士法人総合会計も「全スタッフのもの」となりますし、それが理想だと考えています。

 

次世代型組織と日本国憲法が想定している社会

さて結論ですが、奥長先生は、次世代型組織は社員一人ひとりの個性が全面的に発揮される組織であり、それはまさに日本国憲法が想定している社会だと論じられています。

以下、その憲法の重要な項目を掲げられています。

第13条 すべての国民は個人として尊重される。

第18条 何人も、いかなる奴隷的拘束を受けない。又、犯罪に因る処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服されない。

第19条 思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。

第27条 すべての国民は、勤労の権利を有し、義務を負う。

第97条 この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得努力の成果であって、この権利は、過去幾多の試練に堪え、現在及び将来の国民に対して、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。

上記のうち、第97条は特別な意味を持っています。憲法は章ごとに区分されており第10章が「最高法規」で第97条から第99条までとなっています。すなわち「最高法規」の章の冒頭に第97条をおいて、人権の重要性をうたい、憲法はそれを保障する法であるから、最高法規なのだということを実質的に示していると考えられています。(伊藤真著『日本国憲法の論点』

最後に奥長先生は、憲法が13条の「個人の尊重」をはじめ、個人の基本的人権を最も大切にしているのは重要で、これからの時代の組織を先進的に示している次世代型組織(ティール組織)が、私たちの憲法が想定している社会と整合性があることは嬉しい限りです、と書かれています。私も、まったく同感です。