月別: 2021年11月

農業破壊を食い止めなければ~米価暴落で農家は塗炭の苦しみに~

「昔は北海道のお米は厄介道米(やっかいどうまい)という程、売れない米だった。今はその北海道がやたら美味い米をつくるようになった。農家のおかげですか?農協の力ですか?違います。温度が上がったからです」こんなとんでもない発言を、一国の副首相が総選挙の遊説で脳天気にしました。しかし、米農家は今まさに非常事態なのです。

コロナ禍によって外食を中心に米需要が大きく減少して、今年収穫された米の生産者価格が昨年対比で軒並み2割から3割も下がっています。産地や銘柄によって金額のばらつきはありますが、人気の北海道の「ななつぼし」が一俵(60㌔)で11,000円、昨年比-2,200円、千葉県の「ふさおとめ」にいたっては、6,400円、昨年比₋5,200円です。

米の生産コストは、農水省の調査では一俵あたり15,155円です。農家が現金支出する機械代・肥料代・農薬代など(物財費)は、9,180円です。この物財費と生産者価格がほぼ同額になっています。つまり、生産コストの中に含まれる労働費が確保できない、換言すると農家は賃金ゼロ、あるいはマイナス(持ち出し)の状態になっています。

史上最大の減反を達成したにもかかわらず、米価の大暴落に苦しむ農民がいます。そして、来年も同様の減反が強制されようとされています。政府は、生産量の5%に当たる36万トンの転作・減反を求めています。他方、その2倍にあたる77万トンの外国産米を「ミニマムアクセス(最低輸入機会)米」として輸入をしています。

米価を市場原理だけで考えて良いのでしょうか。それでは、日本の農業や食の未来は見えてきません。わが国の一人当たりの米の消費量は過去50年で半減しています。その減少分が小麦や大豆などの輸入産品に置き換えられました。その結果、カロリーベースの食糧自給率は37.17%という低水準になってしまいました。飢饉など、世界中が食糧危機になった場合にどのように対処するのでしょうか。

この水準は、G7の中でも異常なまでの低さです。カロリーベースの食糧自給率は高い順からカナダ264%、アメリカ130%、フランス127%、ドイツ95%、イギリス63%、イタリア60%です。日本の農業は、「過保護」との指摘がありますが、それは間違っています。日本の農業所得に占める補助金の割合は30%ですが、ドイツでは77%、フランスで64%、イギリスで53%など国家としてその自給率向上に努めています。

また、アメリカでは昨年余剰になった農産物を買い上げ、生活困窮者の食糧支援に提供しました。今年も、低所得世帯やシングル家庭、貧困高齢者への食料配布補助などの支援政策を強化しています。農業予算の60%を消費者の食料購入支援に充てています。

わが国では、コロナ禍で職を失ったなどの理由で米が食べたくても食べられない人が急速に広範囲に拡がっています。アメリカなどのように過剰米を政府が買い取り、生活困窮者などに食料支援をすることが求められています。

このままでは、来年も米価の大暴落が想定され、農業をやめてしまう人がさらに増えるでしょう。日本の農政を抜本的に変えなければならないときにきています。

岸田首相、それを日和見と言うのではないでしょうか?!~金融所得課税について考える~

首相は、総裁選後の記者会見で「岸田文雄の特技は『人の話をよく聞く』ということだ」と自身のメモ帳を併せて国民に向けて発信しました。その「聞く力」が本物かどうか試されます。しかし、自身の公約でもあった金融所得課税については多くの国民の声でなく、少数の富裕層とそれを擁護する為政者の声を敏感に聞いたのではないでしょうか。

日経新聞(11月8日号)の「マネーのまなび」欄に金融所得課税が特集されていました。タイトルは「税率一定、高所得者は負担軽く」というもので、Q&A方式での解説でした。その解説の一つが『(Q)お金持ちは投資の税で得をしていると聞きました。(A)一般に所得の高い人が株式など金融商品を多く持ち、年収に占める投資の利益の割合が大きくなりがちです。所得税は累進課税で高所得者の負担が大きくなります。しかし、投資による利益を他の所得と分けて計算する税率は一律です。国税庁の資料によると、投資利益と他の収入の合計額に対して実際に払った所得税の割合を所得別にみると、ピークは1億円です。それを超えると割合が下がるため「1億円の壁」と呼ばれています。』としていました。

財務省によると、2019年時点で所得が5千万~1億円の層の所得税負担率は27.9%ですが、20億円~50億円の層だと18.9%に下がっています。この現象は、明らかに多くの金融資産を保有する富裕層に対して恩恵だといえるでしょう。

日経新聞は、『岸田首相は就任当初の記者会見で金融所得課税について検討の意向を示していましたが、わずか1週間で「当面は触ることはない」と前言を覆した。今回の首相の方針変更は、金融所得課税を警戒する株式市場の声に対して「聞く力」を発揮したともいえる。しかし、「こんなに早く主張を取り下げるのは今後の政権運営にとって不安のタネになりそうだ。」と報道していました。

岸田総理と同い年の私は、「聞く力」だけでなく、「涙する目」と「傾ける耳」と「差し伸べる手」が必要だと思います。

富裕層の金融所得が分離課税(国税15%、地方税5%)でなく、総合課税であれば他の所得と合わせて税率55%(国税45%、地方税10%)になるところが、一般勤労者の所得400万円の階層と同じ税率の20%というのはあまりにも不公平です。

配当所得だけでも税率20%の分離課税を廃止し、総合課税にすれば約1兆の税収が生まれると財務省は試算しています。また、自民党の高市早苗政調会長は「50万円以上の金融所得の税率を30%に引き上げれば約3,000億円の増収になる」とかつて発言していました。

米国の著名な投資家のウォーレン・バフェット氏は「過去20年間、階級闘争が続いたが、勝利したのはわれわれの階級だ。われわれの階級が税率を劇的に引き上げたのだ」(2011年9月30日付、ワシントン・ポスト紙)としていましたが、その流れとは逆にバイデン米大統領は4月の議会演説で「1%の富裕層に課税する。ここから税金を取らなくてどうするんだ。」と発言しました。岸田総理、「日和見」せずに、金融所得課税を実行してください。

スイミングを再開しました!~週2回、1500㍍泳いでいます~

10月初めから約20年ぶりにスイミングを再開しました。一番の動機は妻の腰痛対策です。妻には片頭痛と併せて腰痛の持病があります。9月の上旬にも「ぎっくり腰」になり、かかりつけの整体治療院に行きました。その院長に「よく来るね。」と言われたそうです。そのことを、遠くに住んでいる娘に愚痴ったところ、長女のかかりつけの整体治療院の院長に「治療では一時的には良くなるけど、抜本的な対策にはならない。水泳で体幹を鍛えるのが一番だ」とアドバイスを受けたそうです。

ネット上で調べて見ても「関節や筋肉が休まり、マッサージ効果とリラックス効果が得られて、質の高いストレッチと筋トレ、さらに有酸素運動で全身の血行がよくなる。プール通いは肩こり腰痛の予防・解消にうってつけ。」とあります。

妻は、私の言うことはあまり耳を傾けませんが、娘の言うことは素直に受け入れます。幸いにも、自宅から2㌔のところに市営の温水プールがあります。料金は、6回使用できる回数券が2,200円です。1回に換算すると367円なのでリーズナブルです。

さっそく、妻と週2回、水曜日と土曜日に行くことを約束しました。続けることが元来苦手な妻をプールまで連れて行くことが一仕事です。「なだめたり」「すかしたり」車に乗せるにはかなりエネルギーを消耗します。しかし、いったんプールに着くとそれなりに泳いでいるようです。プールで知り合った女性にクロールの手ほどきも受けています。妻は、その効果が出ているようで、スイミングを始めてからは、腰痛の兆候はありません。

私は私で、最近、加齢とともに努力している割にはその効果むなしく体重が減りません。雨が降っている日以外の日には約40分のウオーキングと週1回、約50分のボクシング・エクササイズを続けていますが一向に効果は出現しません。

そこで妻孝行に付随して、約20年前に夢中になっていた1,500㍍を連続して泳ぐことに再びチャレンジすることにしました。決して泳ぎ(クロール)が上手いわけではありません。いや、むしろ元来の運動音痴なのでその泳いでいる姿は想像ができます。しかし、登山もそうでしたが長く続けることは苦手ではありません。ただ残念ながら、そのダイエット効果は顕著に出ていませんが、少なくとも体重の増加にはなっていません。

1,500㍍をどうやって数えているのかの疑問があるかもしれません。通っているプールは短水路(25㍍)なので、30往復することになりますが、結構大変です。かつては、25㍍、50㍍と、1,500㍍になるまでどんどん数を加えていました。この方法だとふと集中力が切れた瞬間に、その数がわからなることがあります。

そこで、最近考案したのが、メートルではなく回数を数えています。25㍍を1回にして、20回を前半、次の20回を中盤、最後の20回を後半という風に区切っています。この方法にすれば、集中力を切らしても何とかリカバリーできます。

目標体重(BMI値22)まであと7㌔減量が必要です。「努力は決して嘘をつかない」という言葉を信じて、頑張りすぎずに、頑張ります。

魔法のフライパンはわが家の家宝に~待つこと2年8ヶ月、忘れていた頃に届きました~

2019年1月末に注文した「魔法のフライパン」が2021年10月上旬にわが家に届きました。注文の時に「現在、お届けまで約3年ほどお時間をいただいております。ご注文を確認させていただき、納期がわかり次第改めて連絡致します。ご注文が集中した場合に、すぐにお知らせできないことがございます。ご迷惑をおかけしますが、どうぞご理解いただけますと幸いです。」とのメールが入っていました。

しかし、3年待ちの商品とは一体どんなものなのでしょうか。

私がこの魔法のフライパンを妻のために購入したのは、2019年1月10日に放映された「カンブリア宮殿」という番組(テレビ東京系列)を見て感動したからです。以下、そのホームページなどを参考にして、この商品や会社の概要を紹介します。

魔法のフライパンはそれまでにも「あさチャン」「行列のできる法律相談所」「嵐にしやがれ」などで取り上げられていました。個性的な社長、商品、サービスなどを紹介している人気の長寿番組である「カンブリア宮殿」の番組スタッフが、その大ブレーク商品を見逃すはずはありませんでした。

『鉄鋳物で作られた「フライパン」が主婦を熱狂させている。その名も”魔法のフライパン”。最大の特徴は、他のフライパンに比べ、熱伝導率が驚くほど高いことだ。その効果により、食材の表面を短時間で焼くことができ、食材のうまみも逃がさないという触れ込み。例えば、素人が作ると、ご飯がベチャっとなりやすい、チャーハンも専門店のようなパラパラに!チキンソテーは、プロ顔負けのパリパリ食感に仕上がるのだ!しかも、驚くほどジューシーに焼きあがるという。

実は、普通の主婦を”料理上手”に変える、魔法のフライパンを生み出したのは…三重の小さな町工場。しかも、倒産の危機に晒された自動車部品の下請け町工場だという。なぜ、地方の弱小・町工場が、大手も思いつかないヒット商品を生み出すことができたのか?下請け脱却を目指し、挑戦し続けてきた町工場・2代目の逆転劇に迫る!』という放送内容でした。

社長は錦見泰郎さん、1960年古屋市生まれ、1978年地元の高校卒業後、大学受験に3回失敗、1981年錦見鋳造入社、1992年親会社から値下げ通告、薄い鋳物のフライパン開発に着手、2000年代表取締役社長に就任、2001年魔法のフライパン誕生。創業:1960年、売上高:2億4千万円(2018年8月決算)、従業員数:11人という中小企業です。

妻は、私がプレゼントしたブランドの腕時計、自らわざわざ幕張の家具見本市まで出向いて購入したキッチンテーブル、そしてこの魔法のフライパンをわが家の三大家宝にすると豪語しています。妻にとってもこのフライパンは「魔法」なのでしょう。

社員数11名の会社がナショナルブランドになり、他に類を見ない差別化商品を開発し、現在も手作りで魔法のフライパンを作り続ける姿勢を、他の中小企業も見習わなくてはならないと思いました。さらに、このフライパンが大量に製造できるよう研究をしているとのことです。送料込みで11,370円、直径26㎝の黒い物体のインパクトは凄いです。