カテゴリー: 経営環境

中国電力は電気料の値下げをすべきです!!~山口県はモノ言う株主になるべきでしょう~

6月後半は上場会社(3月決算法人)の株主総会のラッシュです。2024年6月26日に中国電力の第100回の株主総会回定時株主総会が開催されました。この株主総会は、広島市中区の同社本店で246名の出席者が決議を行いました。決議は会社の提案とおりでした。

営業収益は、電気料金の値上げを行ったものの総販売電力量の減少などの要因で、1兆6,287億円と前年度に比べ658億円の減収となりました。しかし営業利益は、2,067億円と前年度に比べ2,756億円の増益となりました。また、支払利息などの営業外損益を加えた経常利益は1,940億円と前年度に比べ3,008億円の増益となりました。経常利益、純利益ともに過去最高となり4年ぶりの増益となっています。売上高対経常利益率は11.9%、総資産は2.31%増の4兆1,332億円、株主資本は31.51%増の5,508億円、利益剰余金は56.89%増の3,642億円と絶好調です。

2024年はじめの電気料金は変動が少なく安定していましたが、5月に再生可能エネルギー発電促進賦課金の増額によって値上がり。加えて政府の電気・ガス料金に対する補助の適用が6月請求分で終了となったため、7月請求分の電気料金はさらに高くなることが見込まれます。世帯平均で中国電力は783円増の15,444円となる見込みです。

ただし、政府は8月使用分から3か月間補助金の再開を行うことを決定しました。この措置は岸田内閣の支持率を上昇させるための方策だと識者は指摘しています。

したがって、9月請求分(8月使用分)の電気代は値下がりする予定です。政府からの補助金が終わり、燃料価格の上昇などの要因で今後年末にかけて、さらに値上がりするのではという見方も出ています。

政府の補助金がいくらなのかは定かではありませんが、そもそも過去最高益を計上している会社に、補助金を出す必要があるのでしょうか。少なくても補助金なしでも値下げは可能だと思います。政府は電力各社とまともに交渉をしたのか甚だ疑わしい限りです。中小企業の多くは、コスト分上昇を価格転嫁することが極めて困難な状況にあります。

山口県の対応も問題です。実は、県は中国電力の大株主です。なんと約3,400万株8.78%を保有して第2位の大株主です。株価は2024年7月8日現在1,014円なので、保有時価総額は約344億円です。ところが、県は2013年以降株主総会を欠席し、議決権行使書は白紙提出する対応を続け、事実上経営方針に賛成をし続けています。株は県民の共有財産です。県民の暮らしを少しでもよくするために電気料金の引き下げ要求するモノ言う株主になるべきです。

景品表示法違反にあたるとして、消費者庁は課徴金としては過去最高額の16億5,600万円を求めた不祥事について、また同様に、事業者向けの電力販売をめぐり関西電力との間でカルテルを結んでいたとして、公正取引委員会から707億円の課徴金納付命令を受けた不祥事について、その経営体質についての言及が必要でした。

何より、上関への原発と中間貯蔵施設の建設について、この地震大国に本当に原発が必要かどうか広く県民の声をよく聞いて、意見表明をすべきです。問題を先送りすればするほど住民の分断は広がります。

豊かさとは何か~今必要なのは、自己肯定感、人権そして相互承認!!~

 

2024年6月21日付けの朝日新聞、オピニオン&フォーラムに暉峻 淑子(てるおか いつこ)先生へのインタビューが載っていました。11面5段の紙面を使っての特集でした。

先生が一躍脚光を浴びたのは岩波新書から出版された「豊かさとは何か」でした。ちょうどバブルの最盛期1989年に出版されました。

その内容は、『 モノとカネがあふれる世界一の金持ち国・日本。一方では、環境破壊、過労死、受験競争、老後の不安など深刻な現象にこと欠かず、国民にはゆとりも豊かさの実感もない。当時の西ドイツでの在住体験と対比させながら、日本人の生活のあり方を点検し、真に豊かな社会への道をさぐる。』と言うものです。

実は先生とは、曰くがあります。総合会計を開業して程なく、新入職員向けの独習文献にこの本を指定しました。中学生時代につらい目に遭い、自らの進路に思いあぐねていた二女に、この本を手渡すとものすごく興味を持ち、未来へ一筋の光明が見いだされました。

私は先生の自宅の住所を調べ、早速、彼女は先生に長い手紙を出し、先生からの返事が来ました。先生のアドバイスは「大学でドイツ語専攻したら」という内容で、それを機にがむしゃらに勉強を始め、とうとう大阪外大ドイツ語学科に進学することができました。先生が大阪で講演されたときには、わざわざ出向き、控え室で先生と直接話す機会を得て、勉強のモチベーションを高めました。今でも先生とはメールで繋がっているそうです。

先生は96歳ですが、バリバリの経済学者です。朝日新聞のインタビューには、いつも怒っておられますね、という質問に「私は日常生活の中では、決して怒りっぽい人間ではありませんよ。しかし、人権や民主主義を踏みにじり、ないがしろにする政治を承認できますか。貧困化してフードバンクの列に並ぶ人々がいるのに、一方で政治家たちは何億のカネを裏金にして私物化する。子どもの義務教育の場がブラック企業のような労働現場になっているのに、ほぼ放置したまま。どうして起こらずにいられますか。笑ってみていなさい、という方が不自然ではないですか」と答えておられます。

「バブルが自信過剰の絶頂期だったとすれば、いまは逆に、自信喪失の時代です。でも変わっていないものもあります」と続けられ、具体的には「例えば、労働時間は相変わらず長く、社会保障も削減される一方です。新自由主義によって非正規労働が広がり、フリーランスや、ギグワークなど生活の計画を立てられない働き方が多くなりました。偏差値重視の教育もそう。私たちの意識の画一化、つまり権力持つものになびきやすいという特徴も変わっていません」と指摘されています。

「10年近く『安倍一強』が続く中で起きた民主主義の毀損は、今も回復されていません」その流れを変えるには「多くの人が、社会参加し、そこに連帯が生まれれば、恣意的な権力を止めることができると信じています」と締めくくられています。

この記事のタイトルになっている「誰もが自己肯定感,他者の人権を考える、相互承認を起点に」は実に素晴らしく、多くの人々がこの感覚を持てば社会は変わるでしょう。

年金の改定について思うこと ~公的年金の引き上げで経済の好循環は生まれます!!~

今年の6月1日付けで厚生労働大臣から年金改定通知書が送付されてきました。

公的年金の支給額は、物価と賃金の変動に応じて毎年度改定され、厚生労働省は、今年4月からの新年度は、去年の物価上昇率が3.2%、過去3年間の名目賃金の上昇率が3.1%となったことを受け、2.7%引き上げると発表しました。

引き上げは2年連続で、伸び率はバブル経済の影響があった1993年度以来で最も高くなりました。しかし、将来の給付水準を確保するため、物価や賃金の伸びよりは低く抑えられていて、実質的には目減りとなります。

物価上昇は3.2%ではすまないと思います。どのような手法で物価の上昇率がはじかれたのかわかりませんが、円安の影響などもあり予想以上に物価が上昇し、しかも長期化していることは否めません。特に食料品で非常に値上がり幅が大きく感じられます。

車の使用が必須の地方ではガソリンの値上げは深刻です。また、電気料も7月請求分から中国電力が一世帯平均453円上がって8,514円になります。今年の夏も猛暑が予想され日中症対策としてエアコンの使用が呼びかけられている昨今です。頭が痛いです。

さて、公的年金額は、毎年度、賃金や物価の変動に応じて自動改定する仕組みとなっています。この仕組みがあるため、仮に物価や賃金が上昇すれば、年金も自動的に金額が増えることになります。しかし、盲点になっているのがマクロ経済スライドです。

マクロ経済スライドとは、年金額は賃金や物価の変動を考慮するほか、年金を支える現役人口の減少や平均余命の伸びを年金額に反映する仕組みです。つまり、賃金や物価が上昇すれば年金額は上がる反面、現役人口の減少や平均余命の伸びは年金額を下げることにつながるため、マクロ経済スライドが発動されれば、実際には年金額は賃金や物価が上がるほどは伸びないことになります。2024年度の調整率は-0.4%が適用され、その結果年金改定率は+2.7%になりました。

年金の低さにも驚かされます。国民年金から支給される老齢基礎年金は、20歳から60歳までの40年間、国民年金保険料を支払った人で、1人1カ月6万8000円、厚生年金額は、標準的なモデル夫婦2人で23万483円です。自営業者などで老齢基礎年金だけの受給者は生活できません。諸事情により無年金の人も散見されます。これで、暮らせますか?

日本国憲法第二十五条は、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」としています。

所得税の最高税率の引き上げと金融所得課税の強化、法人税の累進課税化、相続税のうち金融資産に対する課税の強化、住民税の累進課税化、社会保険料と介護保険料の頭打ちの廃止などで歳入を賄い、防衛費の段階的な縮減、不必要な公共事業の見直しなので歳出をカットして、公的年金に回すべきです。年金の増加がそのまま消費に回ります。つまり経済の好循環が生まれるはずです。定額減税と比べ貯蓄になる蓋然性は低いでしょう。

工事の大幅な遅れ、万博は本当にできるの?~開幕から1年を切ったのにまるで高揚感がありません!!~

先日、所用で大阪に行く機会がありました。私が青春時代の15年間を過ごした街でもあり、妻の実家もあります。そこで会った人、会った人が異口同音に、あと一年を切った万博について大きな懸念を持っていました。

その万博(2025年日本国際博覧会)は、大阪市此花区夢洲(ゆめしま)で2025年4月13日から10月13日の184日間開催されます。公式略称は、「大阪・関西万博」です。

問題は山のようにあります。まずは建築費の高騰です。会場の建設費は、1850億円と見込まれていましたが、資材価格や人件費の高騰などを背景に、これまでよりおよそ500億円多い2350億円程度になるという見通しです。吉村大阪府知事は「国家プロジェクトだが、大阪府と大阪市は、開催地である責任者だ。確認はきちんと行うが、国と大阪府・市、経済界で3分の1ずつ責任を持って、万博を成功させるという立場が筋だと思う」と述べています。全国民、とりわけ大阪府・市にとっては大きな税金の負担となります。

そんな中、物議を醸しているのが、会場内に設置する「公衆トイレ」です。40カ所あるトイレのうち、若手建築家が設計するデザイナーズトイレを8か所設置するといい、うちの2か所の設備費用がそれぞれ約2億円とのことです。常識外れの金額です。

メタンガスが原因で発生した爆発事故も起きました。24年3月28日午前10時55分頃その事故は発生しました。現場では4人が作業していましたが、幸いけが人はいませんでした。SDGsを掲げる万博会場から、最強の温室効果ガスのメタンガスが湧き出すというのでは洒落にもなりません。元々、夢洲はゴミの埋め立てのための人口島です。今後も、同様の事故が起きる可能性はあります。

会場までのアクセスの問題も深刻です。会場近くには地下鉄中央線の夢洲駅が2025年1月末に開業予定で、開催期間中は列車の本数を増やすものの、ピーク時の1日あたり28.5万人(大阪府による見込み)の来場者数をカバーすることはできません。そこで重要な役割を担うのが主要駅と会場とを結ぶシャトルバスです。しかし、バスの運転手は慢性的な人手不足と高齢化という深刻な問題があります。地下鉄などに掲示されている、時給2,000円の広告に大きな効果はないようです。

さらに深刻なのは関心度の低さです。大阪・関西万博に関する関心度は低迷を続けており、全国平均で約30%、エリア別に見ると、大阪圏が最も高く約50%、名古屋圏約30%、首都圏は約24%です。高度経済成長時に行われた前回(1970年3月15日から半年間)のような高揚感はありません。チケットも全然売れていないそうです。小学校の修学旅行での動員をもくろんでいるようですが、それもうまくいっていないようです。

おそらくこの大阪・関西万博は、大きな赤字を出して幕を下ろす蓋然性が高いでしょう。この誘致を積極的に推し進めた松井一郎元大阪府知事・元大阪市長が61歳の若さで2023年4月任期満了の大阪市長を退任し、政治の世界から身を引いたのは、そのような結果になると言うことがわかり、その責任を免れるためだと思うのは私だけではないでしょう。

二階氏の三男が、立候補~世襲議員のあり方を考える~

自民党の二階俊博衆議院議員の三男で秘書の伸康氏(46歳)が5月17日、地元の和歌山県田辺市で会見し、次期衆院選和歌山新2区からの立候補を表明しました。自民党の政治資金問題に秘書としての連帯責任を感じる半面、40件を超える出馬要請に応える責任があると出馬を決断、「地方の消滅はこの国の消滅につながりかねない。故郷を愛する仲間の皆さんと一緒に一歩を踏み出し、最終的に私自身は選挙において、有権者の皆様の審判を仰ぎたいと決意を固めた。世襲ということも含めて、最後は有権者の皆様に選挙という機会でご判断いただく」とコメントをしました。

新2区を巡っては、自民党を離党した世耕弘成参院議員(61歳)(和歌山選挙区)がくら替えに意欲を示していて、早期の表明で同氏をけん制する狙いもあるとみられています。

同時にこの会見で父である俊博氏(85歳)が病院に入院していることを明らかにしました。伸康氏は「(大型)連休前に風邪をこじらせた」と説明、「リハビリに努めており、間もなく復帰できる見込みだ」と語りました。政治資金問題で、次の総選挙に立候補者しないと言うことで、その責任を免れた二階氏だが、その年齢や最近の言動を見るにつけ、もはや自分の息子に世襲すると言うことは既定路線ではなかったと言わざるを得ません。

さて「世襲議員」とは、親が議員でありその政治地盤を受け継いだ議員のことです。本来、議員は世襲するものではなく、選挙により選ばれるものです。しかし親の政治基盤などの圧倒的なアドバンテージがあることを揶揄して「世襲議員」という呼称を使うのです。

選挙における3つの「ばん」があります。地盤(後援会組織など強固な後ろ盾)、鞄(政治資金)、看板(知名度)です。世襲議員は他の候補と比べて圧等的な優位性があります。

その優位性は、総理大臣にも見られます。小選挙区制が導入されて以降(1996年~)の内閣総理大臣12名のうち、世襲でないのは3名(野菅直人氏、野田佳彦氏、菅義偉氏)で、自民党に限れば菅義偉前総理以外は全員世襲ということになります。

時事通信の調査(2021年10月)では、「父母、義父母、祖父母のいずれかが国会議員、または三親等内の親族に国会議員がいて同一選挙区から出馬した候補」を「世襲」とすると、2021年衆院選は131人が世襲議員です。地元の山口県の小選挙区の議員を見ても、4区の故・安倍晋三元首相の後継者の吉田真次氏以外は名だたる世襲議員です。

世界の政治家の世襲状況を調べた米国の研究者ダニエル・スミス氏の調査では、国会議員で世襲が多いのは1位のタイ、2位のフィリピンが40%程度、日本が4位の約30%です。一方、 アメリカでは、ケネディ兄弟や、ブッシュ一族などの世襲議員で知られていますが、米連邦議会に占める世襲議員の割合は5%程度です。

世襲議員のすべて不適格者だとは思いませんが、その弊害の方が大きいと言わざるを得ません。国民にとって適切な議員を選ぶには、小選挙区制度などの選挙制度の見直しと有権者の意識を高めるしかありません。政治とカネの問題がこの国にうごめいています。次の総選挙では、この国の将来を委ねられる的確な議員を国民の手で選びましょう。

税務相談停止命令制度の創設は、納税者の重大な権利侵害の可能性あり?!~この法律を即座に廃止し、納税者権利憲章を制定する必要があります!!~

税務相談停止命令制度が2024年4月1日より創設されました。この制度は、税理士でない者が反復して税務相談を行い「納税義務の適正な実現に重大な影響を及ぼすことを防止するために緊急に措置をとる必要があると認めるときは、その税務相談の停止を財務大臣が命ずることができる」という内容です。

税務相談を行った者に対して、命令すべきか否かを照査する必要があるときに、質問検査権を国税庁長官・税務署に与え、帳簿書類(電磁的記録を含む)を検査させることができるとされています。命令違反には、1年以下の懲役または100万円以下の罰金を、国税庁長官・税務署の質問検査の拒否や虚偽答弁は30万円以下の罰金を科すなど厳しい罰則で取り締まろうとしています。

この法律は、政府税資調査会で議論されて国会に提案されたものではなく、国税庁の要望で盛り込まれたものです。財務省は命令制度を創設する背景として「SNSやインターネットで『節税コンサルタント』を名乗り、不特定多数に脱税や不正還付の方法を指南して手数料を取るなどの事例が散見される」ことから、「相談活動を防止するための措置が必要」と説明しています。

しかし、懸念されるのは、「違反」とする対象や範囲が際限なく、あるいは恣意的に拡大され善良な個人や組織にも及ぶ恐れがあることです。

昨年3月の参院財政金融委員会での政府答弁は、「納税者同士で一般的な知識を学び合うといった、現在の税理士業務である税務相談に該当しないような取り組みを対象にするものではない。一般的な税法の解説になどにとどまる場合には、通常対象となる税務相談には該当しない」としたものの、「個別具体的な事実に基づき判断をする」という含みのある答弁をしました。つまり税務相談を行っている個人や団体について税務署員の判断によって恣意的な調査がなされることも否定できないのです。

ただ「違反」される者は、国会論戦の中で、脱税や不正還付の指南に該当し、納税義務の適正な実現に重要な影響を及ぼす者と言う二重の制約があり、処分前に弁明の機会が与えられることが明らかになりました。

なぜ、このような解釈によっては「弾圧法規」になりかねない法律が制定されるのでしょうか。それはわが国に「納税者権利憲章」がないからです。OECD加盟38ヶ国で「憲章」がないのは唯一わが国だけです。

国民は、納税者としての権利を憲法と法律で定めるところにより尊重、保障されなけれなければなりません。「納税者権利憲章」とは、税務行政における適正手続等、国が納税者の権利を保障することを宣言した権利の憲章です。税務行政の中で、人権を無視するような「抜き打ち調査」や「推計課税」が横行し、納税者は不安定な存在に置かれています。

「納税者の権利」をないがしろにしたままでの、この法律は今すぐ廃止すべきです。そして、自民党の裏金議員の税務調査と裏金作りの指南者に対する厳罰を強く求めます。

企業の税情報は積極的に開示すべきです!~大企業の特権的優遇税制は廃止を~

朝日新聞は、4月19日の一面トップに「法人税優遇 減収2.3兆円」との大見出しで『「租税特別措置法(租特法)」適用企業は非公開』の報道をしました。

リード部分で、『特定の企業や個人の税負担を優遇する「租特法」による法人税の減収額が、2022年度は2兆3015億円にのぼり、現行制度になった11年以降最高額になったことが財務省の試算でわかった』と記載しています。

朝日新聞によると、租特法とは『企業の設備投資を促すなど、特定の政策を達成するために、特別に税を軽減したり免除したりする政策減税の一つ。税制の原則とされる「公平・中立・簡素」の例外という位置づけで、法律で定められている。一定の期限を設けるのが原則だが、延長が繰り返され、何十年も続くケースもある』と解説しています。

記事の内容を要約すると『財務省は毎年、租特法によりどのくらい減収したかを国会に報告している。問題は、国が守秘義務の観点から、どの企業がどのくらい減税されているかなどを公開しておらず、どのくらいの政策効果があったのかを検証しにくいことだ。

「世界の税支出の透明性指数」によると、日本の順位は104カ国・地域中94位に沈む。1位は韓国で、主要7カ国(G7)では、カナダ(2位)、ドイツ(4位)、フランス(5位)、米国(6位)、イタリア(7位)、英国(27位)と比べて際立って低い水準だ。

投資額などに応じて減税規模が大きくになるため、結果として大企業に恩恵が偏る傾向にある。企業全体の0.2%しかない「資本金100億円超」の企業が研究開発減税の約65%、賃上げ減税の約24%を占めている』としています。

上場企業は従来、財務内容(貸借対照表、損益計算書など)を広くステークホルダー(利害関係者)に情報公開をすることが義務づけられてきました。さらに近年、企業評価においてESG(環境、社会、ガバナンス)などの非財務情報の重要性が高まっています。非財務情報とは、経営戦略や経営課題、企業が行うサステナビリティ(持続可能性)の取り組みなど、数値や数量で表せる財務以外の情報のことです。日本では2023年度から上場企業に対して、非財務情報を開示することが義務付けられました。

このように情報公開の適正化、迅速化が求められる昨今ですが、税情報だけが「守秘義務」を口実に公開されないことについて疑問が生じます。一部の大企業を優遇しているということが国民の目にさらされることを配慮、懸念してのことしか考えられません。

大企業の税負担は、実際には大きくないとの指摘があります。資本金100億円超の大企業の実際の税負担率は中小企業の軽減税率15%を下回っているとの試算結果もあります。このような指摘の背後にあるのが税制上の特別な措置です。

中でも、大企業の多くで活用され、影響の大きいものは、「租税特別措置」、「受取配当金の益金不算入」、「欠損金の繰越控除」の3つであると言われています。これらの特権的優遇税制を、資本金100億円超の大企業には適用しない措置を講じるべきです。「企業献金の見返りに、法人税を軽減する」というのは租税の原則から言っても許さざるべき行為ではないでしょうか。

消費税減税、税理士業界の反応は?~6割が減税に賛成をしています~

2024年4月1日、消費税が導入されてから35年の歳月がたちました。その間、時代は大きく変容しましたが、確実にいえるのは富の偏在が強まったことです。

さて岸田政権では、景気対策として所得税と住民税で合計4万円の減税を6月に実施します。具体的には、納税者及び配偶者を含めた扶養親族1⼈につき、2024年分の所得税3万円、2024年度分の住民税1万円の合計4万円(月額換算約3333円相当)を減額します。しかし、1回限りの減税でしかも1人当たり1日100円程度の恩恵しかなく、現在の物価上昇には追いつかないという批判も多く聞こえます。

他方で、多くの国民の間に高まりつつあるのが、消費税率の引き下げを求める声です。減税の効果として国民全体として、購買意欲が高まり経済の好循環につながるメリットも強調されています。

業界の専門新聞である「税理士新聞」が実施したアンケート「今こそ消費税率を引き下げるべきだ」について、税の専門家である税理士の60%が賛成し、40%が反対しています。主な意見は次のようなものになっています。

賛成者の意見として、「公平かつ適正な減税を目指すなら、消費税率の引き下げが一番でしょう」「諸外国ではコロナによって経済が打撃を受けた時に消費税率を引き下げて対応した国もあるのに、日本は全く柔軟に対応しようとしない」「政治家が『これまで増税するのにどれだけ苦労してきたか』を理由に減税論議を拒む姿勢が言語道断。国民の方を向いていない」「『減税にかかる事務コストや減税前の買い控えが』とおっしゃいますが、増税するときに一度でもそれを理由に中止したことがありましたっけ?」「どうせ実現しないとは思っていても、声を上げ続けないと声自体なかったことにされてしまうのがこの国なので」「生活困窮者が増えていて、消費税が逆進性の高い税である以上、景気対策として消費減税が一番よい」など。

反対者の意見として、「インボイス導入で実質的な消費増税に踏み込んだこの時期に、引き下げは無理である」「単一税率とし、インボイスを廃止すればいい」「消費税をとりまく環境は、もはや生活のインフラである。上げたり下げたりすると、それに伴うコストは膨大である。減税をするなら所得税。だが小手先の年4万円ではなく、定率減税がいい」「問題は税率が高いことではなく、税の無駄遣いが多いこと。減税より先に使い道のチェックを徹底しないと、税を上げようが下げようが穴の空いたバケツのまま」など。

租税は公平であることが求められます。消費税を導入する前の論議として「水平的公平」か「垂直的公平」かいずれの方向を目指すのかがしきりに議論されました。結局、消費税の導入により、日本の租税は「水平的公平」へと大きく舵を切りました。その結果、貧困層が増加、中間層が減少、富裕層が肥大化、つまり格差が拡大をしました。この流れを是正するには消費税を減税し、そしていずれは廃止することが必要です。代替財源としては、所得税・相続税の累進課税の強化、法人税の累進課税化などを実施すべきでしょう。

最低賃金の引き上げで経済の好循環を!~最低賃金全国一律を求める声が次々と上がっています~

春闘が真っ盛りです。株価が史上最高値を記録し、好決算が予想される中で、今年の賃上げへの期待が膨らんでいます。大企業は大幅な賃上げと下請けへの価格転嫁を保証する社会的責任があるのではないでしょうか。

さて、岸田首相の政権発足以来の最重要課題が「賃上げ」です。ところが、世論調査では「今年の夏頃に」と掲げる「物価高を上回る賃上げ」の実現への期待を聞いたところ、「期待する」が約4割「期待しない」が約6割と、なかなか厳しい国民の目があります。

賃上げと同時に重要なのは、最低賃金の引き上げです。新聞は、各県単位で定められている最低賃金について、「全国一律」を求める意見書の採択が地方議会で広がっていることを報じています。この背景として都市との賃金格差で人口が流失して、地方の人手不足が進む危機感が強まっているとしています。換言すれば、地方はさらに衰退し、東京への一極集中に歯止めがかからないということです。最低賃金に地域差を設けている国はごく少数で、日本以外はカナダ、中国、インドネシアの4カ国しかありません。

先進国の最低賃金はどうなっているのでしょうか。2023年のデータによると、オーストアリア2,170円、イギリス1,728円、フランス1,670円、ドイツ1,662円、アメリカ1,380円(ただしニューヨークの実態は2,400円)、日本は加重平均で1,004円となっています。このデータを見る限り、失われた30年が如実に数字に表れています。

全国労動組合総連合(全労連)や日本共産党は、全国一律、1,500円という政策を掲げています。1度に引き上げるのは難しくても、政府が毎年100円ずつ引き上ると決めれば、2028年には1,500円になります。1日8時間、22日働けば、月264,000円になります。

現在、賃上げすれば法人税の税額が一定額安くなる制度があります。この制度の使い勝手がよくありません。それは、中小企業は赤字企業が7割程度と言われこの制度の恩恵にあずかれないことがあるからです。日本での中小企業の割合は99%を超え、そこで働く労働者は7割です。ここにメスを入れないといけません。中小企業の賃上げに対する支援は税制ではなく、賃上げに対する一定割合を直接支給するシステムにしたら効果が出ると思います。さらに、賃上げをするために融資を受ける場合の信用保証制度の拡充も必要です。

その財源は、大企業に対する優遇税制の廃止、法人税率の引き上げ(現在の23.2%ですが消費税導入前は43.3%でした)、法人税の累進課税化、企業に貯まっている内部留保(484兆円にも及ぶ)に対する課税、頭打ちがある社会保険料の負担も青天井にするなどが考えられます。歳出では、防衛費43兆円の増加をやめることが何より肝要です。それにより賃上げ支援だけでなく、少子化対策や大学授業料無償化、医療費の無償化、学校給食の無償化、消費税の減税、年金受給者の年金の引き上げをすることも可能になります。

全国一律での最低賃金のアップと併せて消費税の減税をすれば、景気の好循環が生まれます。また、拡がりすぎている格差の是正効果にも寄与します。そうすれば、巡りめぐって所得税などの税収増にもつながります。この国の「かたち」を変えるのは国民です。

課税の基本は総合課税と累進課税!! ~富裕層のフローやストックに課税強化すべきです~

所得税の確定申告も半ばに入りました。税務署の窓口には、政治家の裏金問題でクレームを言う納税者が押しかけていると報道されています。裏金がばれても申告しなくてもいい、税務調査もされない、一方で税務署は民間には詳細な領収書などを求め、岸田総理がこの時期に適切な納税を訴える、国民感情としては到底理解しがたい状態です。しかし、納税者の大多数は真面目に確定申告をします。これも国民性なのでしょうか。

ところで、国際NGOのオックスファムの調べによれば、コロナ禍の約2年間で世界の99%の人が収入を減らした一方で、世界で最も裕福な10人の資産は倍増しているそうです。世界一のお金持ちといわれるテスラCEOのイーロン・マスク氏はその保有資産が36.3兆円という天文学的な資産を保有しています。そうした中で、マイクロソフト社の共同創業者のビル・ゲイツ氏が、世界経済フォーラムで富裕層への増税を訴えました。その書簡によると「富裕層に課税したとしても、彼らの子どもたちから財産を奪うことにはならないし、彼らの生活水準を根本的に変えることもない」と記されているそうです。

翻って、日本の一番のお金持ちはファーストリテイリングの会長兼社長である柳井氏です。その保有資産は5兆円とも言われています。2011年に同氏が保有する同社の株式531万株をオランダの資産管理会社に譲渡しました。オランダでは一定の要件を満たせば配当金が非課税になります。直近の株主名簿では、同社の株式は1,593万株に増加しています。配当(1株年290円)で計算すると、その配当金は年46億円以上、日本で株を保有する場合と比べ年18億円「税逃れ」している計算となります。そのスキームについてその後国税庁が課税をしたとの情報はありません。これも国民感情としては理解できません。

さて、超富裕層の定義は預貯金・株式などの金融資産が5億円以上ある人で国民の1.6%、富裕層はその金額が1億円ある人で国民の2.3%になるそうです。それらの人に対する課税を強化すべきではないでしょうか。金融所得は富裕層がかなりの部分を占めていると推察されます。優遇されている金融所得(株式の配当や譲渡益)、現在は分離課税で約20%しか課税されていません。それを総合所得にしたらどうでしょうか。日経平均が史上最高値をつけて随分と利益を得た人も少なからずいるはずです。そして、消費税が導入されて所得税率の最高税率が75%から現在40%に引き下がられました。これを元に戻すべきです。課税の原則は総合課税と累進課税です。

さらに、相続税・贈与税の累進課税の強化、住民税の累進課税化も必要です。法人税も累進課税を検討すべきでしょう。そして、政治家の課税や罰則の強化を検討すべきです。歳出では、防衛費を削減して少子化対策にお金を回すべきです。累進課税とは真逆の逆進性の強い消費税は減税し、そしていずれ廃止をすべきです。そうすれば、弱いものいじめと言われているインボイス制度も不要になります。

税と向き合うことが多いこの時期、税の問題を国民的関心にすべきです。そのためには、給与所得者の源泉徴収と年末調整をやめるべきでしょう。