カテゴリー: 経営環境

突然の方針の大転換!!岸田首相が言い出した驚きの「原発の新増設」~「聞く耳」は財界だけなのでしょうか?~

中学校の公民では、資源・エネルギー変遷と未来のことを次のように教えています。(蔭山克秀著、「中学校の公民が1冊でしっかりわかる本」かんき出版を参考にしました)

『明治以降、日本のエネルギーの主役は「石炭」でした。1950年代、中東などで大規模な油田が相次いで発見されました。「石油」は液体で輸送しやすく、公害被害も少なく、燃料効率も良く、さらに石炭より安かったのです。程なく石炭に変わり石油が主役と変わりました。

ところが73年「オイルショック」が起き、それを機に、日本では「未来のエネルギー」と注目されていた原子力発電の商業化が本格化します。そして2010年頃には日本の発電比率はおよそ、火力65%、原子力25%、水力10%に達しました。

しかし、11年東日本大震災が発生します。この地震で福島第一原子力発電所が深刻な被害を起こしたため、政府は原子力発電の安全基準をとても厳しい再稼働基準に設定しました。そのため、新基準をクリアできない原子力発電所が相次いでいます。

今もっとも注目されているのが再生可能エネルギーです。再生可能エネルギーは、風力・地熱・太陽光など自然界から無尽蔵にとれるエネルギーで、これなら価格高騰も温暖化も事故も心配ありません。』

この中学校公民の内容どおり、原発の事故後、歴代政権は、原発依存度の将来的な低減を国民に約束し、新増設や立て替えは想定していないと説明してきました。昨年10月に閣議決定されたエネルギー基本計画でも、原発の新増設には言及はありませんでした。

ところが、一転8月24日に重大な方針転換に舵を切りました。原発の「新増設」と既設原発の「運転期間も延長する」と言うのです。ロシアのウクライナ侵攻や急速に進む円安で、原油などの輸入コストが跳ね上がっています。新増設などは、その不安に乗じた「手のひらが返し」です。ずいぶん以前から、自民党、電力業界、原子炉メーカー、経産省の役人はその必要性を考えていました。再稼働もまた、原発の危険をさらに高めることは自明の理です。

この大きな方針の真相は、経団連の十倉会長が7月27日のGX(グリーントランスメーション)実行会議の初会合で「新設方針を明示」するように要求し、それに首相が応じたのです。財界には「聞く耳」を持っても、国民の世論は聞こえないのでしょうか。発言直後の朝日新聞の世論調査では、原発の新造設に「賛成」が34%、「反対」が58%でした。

この重大な方針を転換するには、まずは原発事故の検証とその始末が不可欠です。これには、長い年月と莫大なコストがかかります。それが不十分なままの方針転換に多くの国民は不信感を抱いています。最新の世論調査では岸田内閣支持率は33.1%まで下落しています。

原子力産業の延命に政府が取り組めば取り組むほど、再生エルギーの本格的な普及などがおざなりになります。太陽光や風力は純国産です。エネルギーの安全保障にとっても気候変動対策にもとても有効です。事故後10年余り政府は何をしてきたのでしょうか。

原発事故の教訓を真摯に受け止めるのであれば、中学校公民の中身を多忙な公務の間でも、岸田首相には是非一読してもらい、本来の「聞く耳」を待っていただきたいと願います。

「上がる・下がる」、「上げないといけない・下げないといけない」の一考察~日本経済を良くする「最適解」はあります!~

上がると言えば、間近に迫った国葬に反対する世論です。FNNの世論調査では、賛成33.5%、反対は62.3%にもなりました。岸田首相が説明すればするほど反対の声が大きくなるのは、その決め方や内容に道理がないことが国民の共通認識になっているからでしょう。

さらに上がるのは消費者物価です。8月は2.8%の上昇です。この数字は消費税増税の影響があった期間を除けば、バブル景気直後の1991年9月以来、約31年ぶりの水準です。今後もしばらく続くと考えられる円安やロシアのウクライナ侵攻などでさらに物価は上昇すると思われます。10月からは、後期高齢者の窓口負担や労働保険料も上がります。

反対に下がっているのは、内閣支持率です。時事通信が9月9日から12日にした世論調査では、前月比12.0%減の32.3%と急落し、昨年10月の政権発足以来最低となりました。この原因は、国葬だけでなく、統一教会問題の対応の不十分さ、新型コロナウイルスへの対応のまずさなどがあります。

さて、結論から先に言えば日本経済を良くするには大企業の法人税負担を上げること、併せて国民の手取り収入を上げること、消費税率を下げることが「最適解」と考えます。

財務省が9月1日に発表した法人統計によると、国民の暮らしや中小企業の営業が大打撃を受ける中、大企業の内部留保は2021年度末で484.3兆円となり、前年度に比べ17.5兆円増加しました。大企業は第2次安倍晋三政権が発足した2012年から、売上高が1.02%と横ばいにとどまる一方で、配当金は2.02倍に急増しています。一方で、賃金はわずか1.05%の上昇しかありません。また、同調査での4~6月期の法人の経常利益は前年同月比17.6%増の28.3兆円になりました。4半期ベースでの過去最高益を4年ぶりに更新しました。

ところが、法人税の実質負担率は低いままです。「不公平な税制をただす会」の菅隆徳税理士は、その理由として「大企業優遇税制による莫大な減税があるため」と訴えています。氏は、有価証券報告書から個別企業の減税額を推定しています。その減税額は多い順に①トヨタ自動車=受取配当金の益金不算入額(以下受配という)2,376億円、試験研究費の税額控除608億円②本田技研工業=受配1,768億円③伊藤忠商事=受配3,430億円④三菱商事=受配1,399億円というように膨大な減税額になっています。

また日本経済新聞(8月20日号)が一面トップに「繰り返す法人税ゼロ」の大見出し、「15年で課税4回」という小見出しをつけてソフトバンクG(通信会社のソフトバンクの親会社)が、2021年3月期の決算で1兆4,538億円の利益を上げながら法人税がゼロだったことを報じています。大企業優遇税制を廃止して、法人税に累進課税を導入すれば約20兆円の財源が生まれてきます。併せて企業責任として労働者の賃金を引き上げることです。

一方で、引き下げるべきは消費税です。世界はコロナ禍や物価高に対応するため、96カ国で付加価値税(消費税)の減税に踏み切っています。もはや従来の物価対策では限界があります。消費税減税は世界の流れであり、所得の低い人が高い負担率になる最も不公平な税制である消費税の減税こそが国民の生活や商工業者の最大の応援になります。

デジタル化社会の盲点と雑損控除について考える!~ショートメールに国税庁からのお知らせ~

8月21日、私のスマホのショートメールに、国税庁「未払い税金お支払いのお願い。詳細はこちら。https://… …」という送付がありました。

最近、ニセの国税庁のホームページにアクセスをさせてクレジットカード情報を抜き取る事案や金銭の払い込みを要求してくる事案が後を絶たないようです。国税庁はホームページで注意喚起をしました。

「国税局・税務署をかたった不審なメールにご注意ください」「最近、国税局・税務署をかたった不審なメールが送信されております。国税局・税務署では、電子メールで納税に関する催告を行っておりません。指定されたURLをクリックしないようお願いします。」と言った内容です。

こうして仕組まれた詐欺を「フィッシング詐欺」といい、『送信者を詐称した電子メールを送りつけたり、偽の電子メールから偽のホームページに接続させたりするなどの方法で、クレジットカード番号、アカウント情報(ユーザID、パスワードなど)といった重要な個人情報を盗み出す行為のことを言います。

なお、フィッシングはphishingという綴りで、魚釣り(fishing)と洗練(sophisticated)から作られた造語である』と定義されています。

また、警察庁のまとめによると、公共機関の職員を名乗ってキャッシュカードや現金をだまし取る「預貯金詐欺」や親族のふりをして送金させる「オレオレ詐欺」と言った「特殊詐欺」の認知件数は1万件を超えて増加傾向にあります。

コロナ禍で在宅時間が増えたことが増加の要因になっているようです。件の「税金の未払い」を理由にしたものだけでなく「医療費や保険料の払い戻し」があるということをえさに主に高齢者からお金をだまし取る「還付金詐欺」も横行しています。

私もこの被害に遭遇した人を知人の紹介で知りましたが、こうした詐欺の被害者の多くは残念ながら返金を受けることができないのが実情です。

また、税務上も「雑損控除」の適用を受けることはかないません。所得税法上の「雑損控除」は、医療費控除や寄付金控除などと同じく一定の要件に該当した場合には損害額のうちの一部をその被害を受けた年分の所得から控除できる仕組みを言います。

その対象となる災害などは、5つです。具体的には(1)震災、風水害、冷害、雪害、落雷など自然現象の異変による災害(2)火災、火薬類の爆発など人為による異常な災害(3)害虫などの生物による異常な災害(4)盗難(5)横領です。

「特殊詐欺」損失は、そのいずれにも該当しないという2011年の国税不服審判所の裁決があります。犯罪被害者であることに変わりはないのですが、「騙され」たり「脅され」たりしたにせよ、「自らお金を渡した」という点が「横領」などとは違う、と解釈されたのです。

残念ながら、依然としてなくならない「振り込め詐欺」や「還付金詐欺」のような「特殊詐欺」の被害は、現行上は税の面からは救済されません。

法改正して、「特殊詐欺」も災害とすべきです。「多額の所得税を納めていない高齢者は、税制では救済できない」という仕組みにも、一工夫の余地はあるのではないでしょうか。

資産所得倍増計画に異議あり~投資より賃金や年金の引き上げが必要です~

岸田文雄首相は、9月上旬と言われていた内閣改造を8月10日に実施しました。この背景には、安倍元首相の国葬の賛否、安倍元首相の狙撃の要因にもなったカルト教団である「旧統一教会」に多数の閣僚が関与していたこと、新型コロナ対応のまずさなどで内閣支持率が急落したことを一気に挽回することにその狙いがあったのだろうと思います。

ところが、組閣をした新閣僚の多くが「旧統一教会」との関連を指摘されるありさまで、国民からの疑念はまったく払拭されていません。

さてわが国の「最高舵取り役」である岸田首相は歴史の教科書に載っている「遣唐使」をもじり、「検討使」と揶揄されることがあります。

「聞く耳を持つ」首相は、とりあえず「検討します」を繰り返すことが日常化していますが、首相が打ったこのたびの内閣改造の前倒しは、大きな危機感の表れだといえます。

長らく「検討」している代表的なものが秋の総裁選挙ときに息巻いていた「金融所得課税」です。この経緯は、就任後すぐの株価急降下にありました。それを受けて就任後わずか1週間足らず「当面触らない」でお得意の「検討使」と相成りました。

逆に打ち出しているのが「資産所得倍増計画」です。首相は5月にロンドンで講演をして、「貯蓄から投資へ」による「資産所得倍増」をいわば「国際公約」としました。首相の派閥である宏池会の創始者、池田勇人元首相の「所得倍増計画」になぞられたものでしょうが、名前こそ似ていますが、中身は「似て非なるもの」です。

「新しい資本主義実行計画」は、日本の個人金融資産の2000兆円の半分以上が預貯金で保有されていることを指摘しています。この20年間で資産に占める株式などの比率が高い米国では家計金融資産が3倍に対してわが国では1.4倍にしかなっていないと記載しています。その原因が、日本の国民が株式投資に熱心ではないかと言わんばかりです。

そもそも、金融資産は実体経済が成長してこそ増加するものです。日本の国内総生産(GDP)は、この20年間ほぼ横ばいです。それに比べて米国は2倍強増えています。つまりわが国は先進国の中で唯一「成長しない国」「先進衰退国」となっています。

米国でGDP以上に金融資産が増えているのは、富裕層の伸びが著しいからです。上位1%の金融資産は4.8倍になっていて全体を押し上げています。つまり、格差が拡大しているのです。日本でもこうした政策をとれば、米国と同じように格差はますます広がります。

ところで、日本の家計部門の「財産所得」は、直近の2020年では26.3兆円です。しかし、1991年には62.6兆円ありました。その当時も株式投資の割合は低く、家計資産のほとんどは預貯金でした。

この低下の原因は、その利子にあります。90年代には定期預金の利子は5%を超えるものもありましたが、現在では定期預金の利子は0.002%しかありません。

「異次元の金融緩和」で異常な低金利政策が続けられています。この政策を継続しながら、国民の預貯金をさらなる株価のつり上げに活用しようとする「資産所倍増計画」には異議ありです。

今必要なのは、投資より賃金や年金の引き上げで庶民の懐を温かくすることです。

安倍元首相の国葬の是非を考える~二度にわたる消費税増税で国民・中小零細企業が窮地に~

参議院選挙後半戦の7月8日、遊説中の奈良市で凶弾に倒れた安倍晋三元首相には、謹んで哀悼の意を表します。このような暴挙は断じて許されるものではありません。

ところで政府は7月22日の閣議で、安倍首相の国葬を9月27日に日本武道館で実施すると決めました。その名称は「故安倍晋三国葬儀」で岸田文雄首相が葬儀委員長を務め、費用は全額国が負担と言う内容です。

そもそも国葬というのは、民主主義社会においては国家が主体となり、国民も政府も納得した上でその人を顕彰するために行うべき儀礼のはずです。安倍元首相の政治的な立場・姿勢に対する評価は人によって大きく分かれます。国葬をするということは、国家としてそれを全面的に公認し、賛美・礼賛することに繋がるのではないでしょうか。

国葬の閣議決定について、中日新聞と南日本新聞は「LINE」を使ってアンケートを実施していますが、両新聞とも反対が7割を超えました。保守層や自民党支持層についても国葬に懸念や違和感、疑問を呈する声も広がっています。

岸田首相は国葬をする理由について、「日本経済の再生」「日米関係を基軸とした外交の展開」「東日本大震災からの復興」をあげていますが、消費税の観点から考えてみます。

NHKの「日曜討論」(6月19日放送)で、野党が「消費税減税をしないのはおかしい」と追及すると自民党の高市早苗政調会長は、「消費税が法人税の引き下げに流用されているかのような発言がこの間から何度かあったが、全くの事実無根でございます。消費税の使途は社会保障に限定されている。でたらめを公共の電波で言うのはやめていただきたい」と反論しましたが、その発言は消費税法1条2項を根拠にしています。

たしかに同条項は「年金、医療及び介護の社会保障給付並びに少子化に対処するための施策に要する経費に充てるものとする」と定めています。2014年4月にこの条項は追加されましたが、これは不況に喘ぐ国民からの非難を抑えるための苦肉の策でした。

しかし、いくら法律で使途を規定しても、消費税は特定の経費に充てる目的で課す目的税(都市計画税・入湯税など)ではありません。使途を特定せず一般経費に充てる目的で課す普通税です。高市氏の全く根拠のない発言は、ネット上でも大炎上を余儀なくされました。

そもそも日本経済を決定的に悪化させた要因は、安倍政権下における2014年4月と2019年10月における2度にわたる消費税の増税であることは明らかです。大企業や大資産に対する減税の穴埋めにこの消費税増税は使われ、もともと不況が長期化していて脆弱であった個人消費はさらに落ち込み、中小零細企業はさらに痛めつけられました。

1989年の消費税導入から34年で消費税の総額は476兆円です。他方、法人税(法人地方税も含む)は324兆円の減収、所得税・住民税は289兆円も減収になっています。

日本を成長しない国にした元凶は、消費税の導入、とりわけ不況時における2度にわたる増税は安倍政権下の失策だといえるでしょう。そうした意味で、安倍元首相が「日本経済を再生した」とはとうてい評価できるものではないといえます。

インボイス制度導入は消費税減税で不必要に~参議院選挙で野党が減税を公約に掲げています~

参議院選挙の投票日(7月10日)が迫ってきました。大きな争点として国民生活を直撃している急激な物価高から国民生活をいかにして守るかの課題があります。

生活必需品の多くのものがものすごく値上がりをしています。私が健康のために愛飲している豆乳も4月から6%上昇しました。朝食で食卓に登場する食パンも9.4%、休日の昼食でよく食べるスパゲッティは11.3%、野菜炒めの材料になるキャベツは40.6%、タマネギに至っては何と125.4%の値上げです。エネルギー関連の値上げも深刻です。猛暑が心配な今年の夏ですが、電気代は約20%、ガス代、ガソリン価格も大幅に上昇しています。

これらの原因は、異常な円安、ロシアのウクライナに対する軍事侵攻、世界(日本を除く)の景気回復などと分析されています。物価高の最も効果的な対策は消費税の減税です。その効果は消費に占める生活必需品の割合が大きい低所得者ほど現れます。そこで、政権与党(自民党と公明党)以外の政党が、多少のニュアンスの違いこそあれ消費税の5%への減税を公約にしています。

他方、与党の言い分は「消費税は社会保障の財源である」と言ってはばかりません。確かに消費税法の第1条には消費税収について「年金、医療及び介護の社会保障給付並びに少子化に対処するための施策に要する経費に充てる」と明記されていますが、この規定は消費税を段階的に引き上げる2012年に増税の言い訳として書かれたに過ぎません。

もともと、消費税導入は1986年に経団連が政府に提言した、法人税と所得税の引き下げの財源として「国民が広く薄く負担する税体系の構築」を端緒にしています。この提言を受け、自民党は1988年6月に税制改正大綱に「直間比率の是正」を掲げ、同年7月に当時の竹下首相が消費税法案を国会に提出して、翌年1989年4月1日から導入されました。

消費税が導入されて以後、消費税は国と地方を併せて476兆円の税収をもたらしましたが、法人税(法人地方税を含む)は324兆円、所得税・住民税は289兆円の減収になっています。つまり、消費税は、社会保障のためではなく、大企業や大金持ちの減税に使われたことになります。

自民党の茂木幹事長は、「消費税の減税を実施すると、現在の社会保障財源は3割以上カットしないといけなくなる」との問題発言をしています。そればかりか、岸田首相は、防衛費を現在のGDP(国内総生産)比1%から2%にすると国際的に「公約」しました。財源はどうするのでしょうか。「消費税を増税する、医療費負担を大幅に増やす、年金をさらに削る」いずれにしても負担は、この20年間賃金が下がり続けている唯一の先進国に暮らしている人々にしわ寄せがくることになるでしょう。

消費税を減税し、庶民の懐を温かくして経済の好循環を進めていくことが急務になっています。消費税を減税すれば複数税率は解消され「インボイス制度」の論拠が崩れてしまいます。既に、世界では90を超える国や地域が消費税(付加価値税)の減税を実施・予定しています。日本でできない理由はありません。審判の時が刻々と近づいています。

メデイアはなぜインボイス廃止法案を取り上げないのか~メデイアはインボイス制度の本質について取り上げるできです

NHK政治マガジンは、立憲民主党が提出したインボイス廃止法案について次のような報道をしています。

『事業者の納税すべき額を正確に把握するため、消費税の税率や税額を記載する「インボイス」と呼ばれる請求書の作成が、来年から事業者に求められる制度について、立憲民主党は、3月30日、中小・零細事業者などの大きな負担になるとして、廃止するための法案を国会に提出しました。

~中略~立憲民主党はインボイスの作成は、中小・零細事業者などの大きな負担になり、コロナ禍や物価の高騰で直面している厳しい状況に追い打ちをかけることになりかねないなどとして、制度を廃止するための法案を衆議院に提出しました。

立憲民主党の末松義規衆議院議員は記者団に対し「現在の制度でも、事業者の納税額は適正に把握できるので、インボイス制度は不要だ。立憲民主党としては、短期的な経済対策として、消費税率の5%への一時的な引き下げも主張していく」と述べました。』という事実関係だけを述べた記事です。

実際、インボイス制度で大きな影響を受ける人は、消費税の免税事業者(推定1000万人超)だけでなく、そうした事業者と取引をしている課税事業者も含め社会的な大問題です。

この制度により影響を受ける業種は、一人親方などの建設関連の下請け業者、外注化された社員、赤帽など軽トラックの配達請負業者、ウーバーイーツなどの宅配業者、個人タクシー、英会話学校や塾の講師、映画・演劇の俳優や声優、編集者、音楽家、漫画家やイラストレーター、農家、生命保険・損害保険の代理店、貸家や駐車場経営者、電気やガスのなどの検針員、内職者、ヤクルトレディー、シルバー人材センターの会員など多岐にわたります。

メデイアは前回の総選挙後から特に「野党は批判ばかりだから選挙に負けた」との主張を繰り返しています。野党の役割は権力の監視で、政府・与党の追及です。それこそが民主主義を機能させることに繋がります。野党が批判を加えてからこそ、行政の歪みなどが国民へ知らせることになります。議会制民主主義の母国であるイギリスでは、野党のことを「オポジションパーティ・反対党」と表現するそうです。

他方、メデイアの「批判ばかり」は事実なのでしょうか。2017年11月に開会された第195国会から2021年6月に閉会した第204国会までの政府提出案のうち賛成した主な野党の賛成率は、立憲民主党82.6%、日本維新の会88.7%、日本共産党53.9%です。また、165本の対案となる法律も提出しています。このことからメデイアの野党批判は相当とはいえません。

さて、参議院選挙が間近に迫ってきました。この選挙で大きな争点の一つが小規模事業者に新たな税負担と事務負担を強いるインボイス制度です。メデイアには大きな社会問題として既に野党が提案している法案を形式的な論評だけでなく、その本質をえぐるような報道をすることを期待しています。この制度が導入されたら、やがて消費税の税率はヨーロッパ並の20%になるのではないかと危惧しているのは私だけではないと思います。

官房機密費は今年度末も使い切るのでしょうか?!~そのどす黒い闇に迫ってみます~

わが国の会計年度は4月から翌年3月となっています。大企業を中心に多くの企業や団体などがこの会計年度をとっているのは、国や地方自治体の会計年度と合わせているからだといわれています。

ところで日本の予算制度は、単年度主義をとっています。使い切れなかった予算は、次年度に繰り越されます。つまり、実質的に新たな予算が少なくなってしまうのです。これでは削減できる良いアイデアがあっても削減しようという発想にはなりません。

その予算制度の弊害の最たるものが「内閣官房機密費」です。「内閣官房機密費」の正式名称は「内閣官房報償費」といいます。この予算は、国政の運営上必要な場合において、内閣官房長官の判断で支出される経費に当てられとされています。国政を円滑に運営する支出される趣旨から「権力の潤滑油」などとも揶揄されています。会計処理は内閣総務官が所掌しています。

問題は、その支出には領収書が不要で、会計検査院による監査も免除されており、使途が公開されることがないことです。この不透明な使途に国民からその支出の開示を求める声が多く上がっています。

近時、国民の知る権利について政府や企業は不十分ながらもその開示に対応をしつつあります。定量情報(数字で表せるこことが可能なもの)だけでなく定性情報(数字では表せないもの)もどのように開示すべきかについて腐心をしています。

そうした動きに逆行するのが「官房機密費」です。その歴史は古く最初に計上されたのは1947年です。戦後の混乱期においては「表に現せない支出」も一定程度必要だったかもしれませんが、その支出は年々増加をし、2016年には年14億円を突破して、財政が逼迫をしている中でも、減額にはなっていません。そもそも、国民の税金であるにもかかわらず開示できないことについて、大きな疑問が生じます。

さらなる問題が、年度末に使い切ると言うことです。もともとこの支出は、必要な都度に内閣官房長官の判断で機動的に使用することが趣旨の経費です。つまり、使うときもあれば使わないときもあるということです。ところが、度末の3月になると毎月の倍近いお金を支出しています。その結果、余ったら本来国庫に返納された金額はここ数年間、少ない年で僅か1万円、多い年でも13万円しかありません。

政治資金の問題に詳しい浦野広明税理士は「『機動的に』使うといいながら、毎年3月に支出が増えるのは明らかにおかしい。この支出が必要な場面が3月に集中するとでもいうのだろうか。しかも、予算ぎりぎりに使うというのは、狙ってやらないとできない。目的外の支出、私的流用の疑いがある」と指摘されています。

河井克行元法相夫婦の広島買収事件でもこのお金が使われたいという疑惑が濃くなっています。税金の私物化の疑いがきわめて強く、自民党の選挙対策、はたまたマスコミ対策等に使われているといわれているこの支出です。「クリーン」を売り物にしたい岸田首相、「聞く耳を」をもって、このどす黒い闇支出をいい加減やめせんか。

新しい資本主義を考える!~分配重視の好循環を~

岸田首相の看板政策は「新しい資本主義」です。この言葉は、衰退しつつあるわが国の経済を再び好転させてくれるのではないかという前向きで明るいイメージが感じられ、万人が好印象をもつ、とても響きの良いキャッチフレーズです。

経済学の通説では、市場での自由な競争に委ねれば、経済格差が拡大し、人類の存亡にかかわる環境破壊にもつながるとされています。

こうした「新自由主義のシステム」から脱却して、持続可能な社会を実現するという高い志からの発言であればまっとうなものであり、ぶれずに実行して欲しいと願うばかりです。

ところがこの首相肝いりの「新しい資本主義」に対してマスコミは酷評しています。例えば3月9日付けの朝日新聞では次のように言及しています。

『~そもそも、新自由主義からの脱却を掲げ、中間層の所得向上をめざすと宣言した「ビジョン」づくりは漂流しかかっている。昨秋の自民党総裁選挙で公約した看板が先行し、「ビジョン」が後回しになっていることが原因だ。~

「新しい資本主義」をめぐる国会論議も低調だ。首相は「成長と分配の好循環」という基本的な答弁を繰り返すばかりで、活発なやりとりには発展しない。

その一方で、政治決断が必要な問題は先送りし続けている。分配の目玉として訴えていた富裕層増税のための金融所得課税強化は、首相就任直後の株価下落を受けて早々と棚上げ。二酸化炭素(CO2)の排出量に応じて課税をする炭素税は、産業界の反発を考慮して見送った。~』

「成長と分配の好循環」を税制でどう解決をすれば良いのでしょうか。日経新聞2月23日号の「好循環生まぬ企業の分配」に次のようなくだりがあります。

「~賃金や配当、投資に回らない資金は積み上がっている。財務省の法人企業統計によると、日本企業(金融などを除く)の利益剰余金(内部留保)は20年末に484兆円と過去最高を更新した。手元にある現預金も259兆円に膨らんだ。~」

つまり、大企業を中心に税制上の優遇措置の追い風も受けて莫大なお金が蓄積されているという現実が横たわっていると言うことです。企業が儲かれば個人所得も増加し、経済全体が良くなるという「トリクルダウン」は起こりませんでした。敷衍すると、富が一部の大企業や大資本家に偏在し、世の中にお金が回らなくなり、内需が停滞して、日本経済は長きにわたり停滞をして、先進国の中では類をみない「成長できない国」と化したのです。

この悪循環をただすためには、お金を循環させる政策への転換が必要です。人件費削減を目的にした労働法制の規制緩和による非正規化の抜本的な転換が必要です。

さらに、労使折半となっている社会保険料の割合をEU並に改め、労働者の手取り賃金を増やすことが有効です。もちろん、財務体質が不十分な中小企業には国からの直接的な支援が必要です。

財源は、大企業の内部留保に対する応分の課税と金融所得課税の適正化でまかなえます。税の公平性を担保し、結果として労働者の賃金に回る好循環をつくり出す政策は有効です。

小選挙区制度は廃止すべきです!~人物本位で選ぶ中選挙区制度と政党本位で選ぶ比例代表制度の組み合わせがベスト~

「1票の格差」が最大2.08倍だった2021年10月の衆院選は「投票の価値の平等に反し違憲だ」として、弁護士グループが岡山県内の選挙区選挙の無効を求めた訴訟の判決が、2月10日広島高裁岡山支部であり、裁判所は「合憲」と判断しこの請求を棄却しました。

昨年の衆院戦での一票の格差をめぐる訴訟の判決はこれで6件目になりますが、「合憲」と「違憲」がそれぞれ各3件となりその判断が大きく分かれています。訴訟は全国14の高裁・支部で提起されており3月までに判決が出そろいます。その後、最高裁が年内にも統一判断を示す見通しになっています。

一票の格差については、最高裁大法廷が2009年以降の衆院選について、3回連続で「違憲状態」としました。それを受けて国会は16年、都道府県の人口比をより反映しやすい「アダムス方式」の導入を決め、経過措置として小選挙区の定数を「0増6減」としました。ただ昨年の衆院選ではこの方式の導入が間に合わず、2倍を超える格差が生まれました。

今後、衆院選挙区画定審議会(区割り審)は6月25日までに、新たな区割り案を首相に勧告する予定です。この案では「10増10減」を軸に調整が進められていますが、自民党の内部では異論が噴出しています。例えば山口県では、定数が4から1減少して3になり、安倍元首相(4区)と林外務大臣(3区)の公認争いになるとの見方も出ています。

朝日新聞は、2月11日の1面トップに、2040年「16増16減」という大見出しで「アダムス方式」を当てはめた試算がされていました。試算を都道府県別でみると、40年には東京が8増、神奈川が3増などで、山形、栃木、新潟、岐阜、長崎などが各1減となるとしています。この記事で減少となる16都県では、戦々恐々となっているのではないでしょうか。

いま小選挙区制度の矛盾が露呈しています。この制度にしがみつく限り、こうした問題は未来永劫続きます。小選挙区制度では、有効投票の多数で当選者が決定まり、当選者以外の候補者に入れた票は無かったこと、つまり「死票」となります。民意を歪め、その結果投票率をも下がり、さらに政権与党に圧倒的に有利な小選挙区制度は廃止し、多様な民意が正しく国政に反映される選挙制度に改革する必要性があるでしょう。

朝日新聞のオピニオンの投稿(21年11月6日付)でなるほどと頷かされた投稿があったので紹介します。「~前略~『田中角栄 戦後日本の悲しき自画像』」(中経出版)の一節を思い出した。中選挙区制の時代、旧新潟3区には、角栄氏のほか、社会党の三宅正一氏がいた。選挙戦の街頭演説で、角栄氏は『この選挙でわれわれは勝たねばならないが、農民の恩人である三宅先生だけは落選させてはいけない。もし落選させたら新潟県人の恥になる』と話したという。~中略~人物を選びやすくするためにも中選挙区制の復活を望む。その方が民意がより国会に反映されるはずだと思う」この意見に賛同します。

さらに、定数の半分を人物本位で選ぶ「中選挙制度」と半分を政党本位で選ぶ「全国区比例代表制度」の組み合わすのが理想の選挙制度だと思います。

こうした選挙制度の改革と併せて、有権者の権利でもあり義務でもある投票を必ず行い政治に自ら進んで参画する意識を持つことが大事です。