カテゴリー: 経営環境

税理士的行動心理学へのアプローチ(後編)~人手不足問題のありかた、自社の社員からのクレーム、後継者対策を考える~

(1) 人出不足対策とその対応策

人手不足は全国であらゆる分野で本当に顕著です。それは少子化によるものが主な原因でしょう。そのように誘導してきたのは政府の責任でもあります。特に中小企業ではそれが際立っています。建設関連業、介護施設、保育園・幼稚園などの分野では死活問題です。
それを打開するために強行採決で「入管法」を変えて安い外国人の労働者が日本で働きやすくしたのです。

二女がドイツで働いていますが、彼女からの情報では外国人の労働者を雇用したら、その企業の責任でドイツ語を教える義務を課しているとのことです。

特に日本語は、文法が他国と違うので就労する外国人労働者も大変な苦労をされていると思います。例えば、「結構です」という言葉は「Yes」にも使い「No」にも使いますが、英語を使う人は信じられないとのことです。さらに日本語を難しくしているのは、漢字、カタカナ、ひらがな、おまけにローマ字まであります。また日本語では主語を使わなくても文章を作れますが、英語では主語がなくては文章になりません。そこで架空の主語で例えば「it」などを使います。一方、英語には尊敬語も謙譲語もありませんし、一度慣れれば英語圏の人が日本語を学ぶより、英語の習得のほうが私の経験上簡単です。

日本は島国ですが、グローバル社会の一員です。せめて、中学生レベルの英語力は身に着けたいものです。私も、今NHKで放送しているラジオ番組の「基礎英語」の勉強を還暦になって始めました。現在、中学3年生の5月号をやっています。どんなに忙しくても、5分だけは勉強をしています。

外国人労働者には、日本語教育を企業の責任でやることが大事です。財政負担が大変な中小零細企業にはその全額を国庫で補助すべきでしょう。また、せめてインバウンドの人と接する事業者や外国人労働者を管理・監督する管理者にはせめて中学3年生レベルの英語力を身につけせることが大事だと思います。同じく財政負担が大変な中小零細企業にはその全額を国庫で補助すべきだと思います。中小零細企業でも、どんどん外国で活躍しています。

今後ますますその勢いが増すと思います。例えば、2013年12月4日に「和食;日本人の伝統的な食文化」がユネスコ無形文化遺産に登録されました。それを外国に広めるためには世界共通語でもある英語力の有無で、展開が大きく変わります。専門用語などは通訳がいるにしてもコミュニケーション能力としての英語力があれば、ビジネスも円滑にいくと思います。

また、外語人労働者が日本で働くことで、日本人労働者の賃金が相対的に下がらないようにすることは、政府の責任です。もう一つ、日本の優れた技術やサービスを母国に帰ってからも活用できるような職種に就けることが大事だと思います。例えば、建物の建て方がまるで違う国に優れた日本の建築技術を身に着けても、母国ではまるで役に立ちません。結局、優れた技術を生かせずまったく違う職業に就かざるを得ません。それでは、外国人労働者が日本の高い賃金だけを目的に出稼ぎに来るだけになります。これでは、「win‐win(互いに得をする)」の関係にはなりませんし、国際貢献にもなりません。それをうまくマッチングできるようにするのも政府の責任だと思います。

(2) 社員からのクレームに対する対応

人間にも様々な個性があるように、会社にも個性(社風)があります。もちろん人材確保難の中で、1人でも辞めてもらうことは会社にとって痛手です。もちろん、お互いにどんなに努力しても社風になじめなく辞めることのほうが双方にとって良い場合が例外的にあります。

社員の努力不足で辞める場合には、何らかのシグナルがあります。会社の理念や社風について不満を持っていたり、自分の考え方と違うとクレームを言ってくれる社員には、グッドマンの法則通り対処すればいいのですが、理念や社風になじむ努力をあまりせずに「家庭の事情で」「体調が悪くなったので」などの理由で退職届が出れば、労働基準法上1か月で退職ということになります。しかし退職届が出る前に、何らかのシグナルがあるはずです。経営者だけでなく管理者もそのシグナルに気づけば対応策が打てます。そのシグナルは、「出勤時間が遅くなる」「月曜日に体調不良で有給休暇を取る」「昼休みに誰とも話さないようになった」「愚痴が多くなってきた」「ため息の数が増えてきた」「独り言を言うようになってきた」など様々な変化です。それに気が付く感性を磨く必要性があります。

反対に、会社がとことん努力しても「ちっとも成長しない」「うっかりミスを連発してしまう」「時間を守れないようになってきた」「不必要なムダ話しがやたらと増えた」「失敗の言い訳がすごくうまくなってきた」「失敗を報告しなくなった」「自分の頑張りを他の社員にやたらとアピールするようになってきた」「自分の派閥を作ろうとし始めた」「同僚の忠告を聞かなくなった」などの現象が複数出てきたら、本人だけではなく会社の組織を破壊するようになるので辞めてもらうことの意思決定をしないと、双方が「loss‐loss(お互いが損をする)」になってしまいます。

こんな事にならないためには、社員に年始に目標(社員としても個人としても)を立ててもらって、定期的にヒアリングすることが必要です。少人数の会社であれば社長自らが、できれば4半期、少なくとも半期(できたら賞与の支払い時)、それも無理であれば年1回(決算書ができた時点)にすることが有効だと思います。「話し上手は、聞き上手」という諺がありますが、社員の愚痴や気持ちを本音で引き出すことが会社の成長にも経営者の人間力の向上にもつながります。

(3) 後継者の育成と絡めて

組織が大きくなると、その社員の上司にその役割を委ねましょう。最初は上手くいかないのは当然です。いらだちもあるかもしれませんが、アレコレと指示をしないでグッとガマンするのが、管理者としての資質を高めることにつながります。

経営者は、その管理者のヒアリングをすることに徹します。今の管理者の能力の高さを図ると同時に、どの管理者の「伸びしろ」が高いかどうかで「後継者の選考」につなげていきます。

難しいのはむしろ「同族経営」をしている会社です。経済産業者の調査では、アラフォー世代でのバトンタッチがその後の会社の成長を加速するという統計があります。しかし、山口県は「後継者がいない」というアンケートのワースト2位です。早くから「後継者育成」を考えていかないといけません。バトンタッチする候補者がひとりであれば、なるべくアラフォー時に権限を委譲して、自らは例えば顧問のような役割に徹して、後継者からの相談があるまでに「口」を出してしまっては後継者の「ひとり立ち」につながりません。ガマンが何より大事です。

バトンタッチのタイミングも大事です。例えば、現経営者が「古希を迎えた日」「会社の○○周年、例えば30周年」「後継者の40歳の誕生日」などが考えられます。「バトンタッチの時を日付に落とす」ことで、今、何をなすべきかという「後継者の成長戦略」が立てられます。そして、父としてもその背中を見せることが重要です。

さらに難しいのは、後継者候補が複数人いる場合です。できれば年長者に「後継者」になってもらうことが理想ですが、年長者にその資質があるとは限りません。経営者の能力が高い方を「後継者」にすべきです。年少者を後継者にする場合には、相当な覚悟が必要です。年長者の「役割」をどうするかです。個人的には、別会社(分社するか、子会社にするか)の経営者にするのが最善策と考えますが、「ケースバイケース」でいろいろな選択肢の中から選びましょう。

(4) 最後に…解決策の私案も含め

「モンスタークレーマー」や「パワーハラスメント」や「セクシャルハラスメント」など様々なハラスメントが発生の背後には「社会の荒廃」にあると思います。「ストレス社会」とよく言いますが、そのストレスの元凶は「格差型社会」にあると考えます。猟奇的な殺人事件やストーカー行為なども同質の元凶だと思います。

経済的に言えば、「アベノミクス」の唯一の成功と誇られている「株価至上主義」にあると思います。株価を上げようと思えば、「四半期ごと」の業績を良くしないといけません。そのためには、固定費の中で一番高い人件費を最小限にすることが一番効果的です。それを実現するために財界が時の政権に迫って、労働者派遣法の要件を緩和してきました。また、その一環として「入管法」の改定で外国人労働者を入国しやすくし賃金を安く使う、さらに今般の「働き方改革」も賃金の抑制が狙いです。働く人の権利は次々となくなっていきます。そうした反映が多くの国民のストレスを増幅させていきます。

また、われわれが選んだ政治家が、平気で噓をつく、文書を改ざんする、資料を出さない、「2018ユーキャン新語・流行語大賞」の年間大賞とトップ10にも選ばれた「ご飯論法」もまかり通るようになりました。因みに「ご飯論法」とは、裁量労働制や高度プロフェッショナル制度の危険性を国会で野党議員が追及した際に、加藤勝信厚生労働大臣が行った悪質極まりない論点ずらしの話法など異常な事態のことを言います。しかも、重要な法案が数に力を任せて強行採決することなどの民主主義が崩壊しています。その責任は、「立法府の長」と言ってはばからない「行政府の長」にあると思います。つまり、「力の強いもの」がその権力を笠に着て「力の弱いもの」をいたぶるという「本末転倒」なことをしていることをまねしていることもあると思います。

こうした状況を打開するために、私たちも主権者として、国民を幸せにしてくれる議員を選ばないといけません。ところが危険をする人が実に多きことを危惧しています。黙っていたら、白紙委任状を出すことと同一です。

一方、自分たちも自らの人間力を高めるために、様々な人と触れ合い、本音を出し合うことが大事だと思います。良書を読むのも効果的だと思います。そして、何より自分の仕事や日常生活の中でも、誰かの役に立っていると思って行動することが肝要だと考えます。

また、良い会社を作ろうと思えば、「トップダウン」でなく「ボトムアップ」を中心にした「社内民主主義」を確立することが重要だと思います。換言すると、会社で働く人を大事にすることです。そのことが良い製品づくりやサービスにもつながるのではないかと思慮します。そんな組織にするには大変困難な取り組みです。しかし、そうした取り組みが社会全体やられ、「ステップ・バイ・ステップ」で改善していくことが「クレーム」などがなくみんなが幸せと感じる社会に接近していくのだろうと思います。考えていても物事は前進しません。とにかく半歩だけでもいいので歩を前に進めましょう。

税理士的行動心理学へのアプローチ(中編)~悪質な業者へのクレーマー、悪質企業経営者や企業、問題点が多い働き方改革を斬る~

(1) 最近のクレーマーの特性と対応策

日経新聞の2019年2月24日号に「悪質クレーム企業が対策」という大見出しでカスタマーレーマー(以下、カスハラと言います)の実態とその対応策が掲載されていました。

リードには『ささいなミスに暴言を浴びせかけ、上司を読んで土下座を求める。こんな顧客から従業員を守る対策を企業が求められている。執拗なクレームを受けると働く人の意欲が下がり、最後はサービスの低下につながるためだ。かつては顧客の泣き寝入りが問題だったが、今は顧客重視の姿勢が従業員を追いつめる。厚生労働省は働く人を守るための指針作りに動き出す』とありました。

本文を要約すると『ある鉄道会社、駅員がつけているネクタイは引っ張るとすぐに外れる。2017年度には、乗客から駅員の暴力が午後10時から終電までに77件あった。外れるネクタイは、酔って暴力を振るう乗客から身を守る手段の一つだ。カスハラはある日突然、見知らぬ人から受けて精神的に追いつめられる。

消費者の声は本来、企業にサービスの改善を促すものだ。顧客の苦情から商品の不具合がわかり、リコールにつながることも少なくない。一方、客業で働く人の半数以上が暴言や脅迫的な態度などの迷惑行為を受けていた。ごく一部の顧客とのトラブルでも従業員との重いもめ事は他の顧客を不快にする。各企業は、ガイドラインを作成し、警察などに相談したり、カウンセラーにも相談できる体制づくりをしている。

厚生労働省も今の通常国会には、パワーハラスメントを防ぐ措置を企業に義務づける法案を提出する。ハラスメント問題に詳しい弁護士は「厚労省が指針を作っても、クレームが悪質かどうかを判断することは難しい」と指摘。それは、もし正当なクレームだった場合には、企業の機会損失にもなりかねないという。』

AI(人工知能)を活用して、電話やメールなどの内容を分析し、担当者が見逃している顧客の顕在的な不満を解消するシステムを開発したベンチャー企業もあります。また、悪質クレームに対応するための弁護士費用をカバーする新しい損害保険も発売されています。企業がその他多くの対策を練ることが求められています。

(2) 企業とそこで働く人の問題点

反対に、飲食業のスタッフが不適正な動画をネット上にアップして炎上したことも多々発生しています。そのために、大手飲食チェーンが全店休業してスタッフ教育したということにもあるように企業内部からの悪質ないたずらや個人情報の流失、使い込みなど頭の痛いことも数多あります。そういう例は、スタッフに限った話ではありません。

カルロス・ゴーン氏にみられるように企業のトップが企業を食い物にしているモラルハザードもあります。鶏卵大手創業者が外国子会社からの配当のほとんどが非課税になるという方法を悪用したことで、創業者が所得税を約7億円申告漏れされたことが新聞報道されました。その記事を見ると、その端緒が富裕層や多国籍企業が利用しているタックスヘイブン(租税回避地)との関わりを記した「パナマ文書」であったということでした。もっと多くの個人や企業名が記された「パラダイス文書」を追いかけていけば、もっと不正をしている企業経営者や企業もあると推認できます。

(3) 働き方改革の背景と問題点

厚生労働省のホームページから引用すると「時間外労働の上限規制が導入されます」という見出しを出しています。
残業時間の上限は、原則として月45時間・年360時間とし、臨時的な特別の事情がなければこれを超えることはできません。施行は大企業が2019年4月から中小企業が2020年4月から実施されます。

臨時的な特別の事情があって労使が合意する場合でも、以下を超えることはできません。年720時間以内、複数月平均80時間以内(休日労働を含む)の労働時間になります。「2か月平均」「3か月平均」「4か月平均」「5か月平均」「6か月平均」が全て1月当たり80時間以内になります。月100時間 未満(休日労働を含む)月80時間は、1日当たり4時間程度の残業に相当します。

また、原則である月45時間を超えることができるのは、年間6か月までです。
※上記に違反した場合には、罰則(6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金)が科されるおそれがあります。

改正前法律上は、残業時間の上限がありませんでした(行政指導のみ)、としています。

1947年に制定された労働基準法の約70年ぶりの大改正となる働き方改革関連法は、これまで“青天井”だった時間外労働(残業)の上限を決め、違反に罰則を設けたことが特徴でした。

働き方改革を後押ししたのは、2015年に過労自殺した日本最大手広告会社「電通」の新入社員、高橋まつりさん=当時(24)=の違法残業でした。彼女の月の残業は100時間を超え、1日2時間の睡眠を強いられ鬱病を発症しました。夢を持って入社し、将来のある高橋さんのケースは社会問題へと発展し、電通を罰する刑事事件に発展しました。

因みに、日本の長時間労働は国内外から批判の的で「過労死(karoshi)」が初めて英語の辞書に掲載されたのは2002年です。今や「寿司(sushi)」と同じく国際用語になっています。

しかし、この法案は様々な問題点と「偽装」を抱えながら、最近の与党の常とう手段である数の力での強行採決でした。どうして、そんなに拙速にしなければならないのでしょうか。

最大の問題点は、雇用対策法の役割を大きく変質させることです。法律の名称を「雇用対策」から「労働施策」に変え、他の先進国から大きく遅れているといわれている「労働生産性の向上」を目的にしています。また「多様な就業形態の普及」が国の施策と位置付けられています。換言すると「同一労働、同一賃金」という当たり前のことをかなぐり捨て、労働者同士を分断して格差を助長することにつながります。また、労働者保護法制が適用されない働き方も含む「多様な就業形態の普及」を国の施策に加えることは、無権利・低所得の労働者を増大させることにつながります。

さらに、あまりにも低い最低賃金のかさ上げ不足と「都道府県別」に格差があることです。つまり首都圏との賃金格差です。例えば神奈川県の最低賃金(2018年10月1日)は1時間983円です。因みに東京都は985円です。県境である千歳川を挟んでいる静岡県は858円でその差は125円、山口県は802円でその差は181円です。仮に2000時間働くと年間362,000円の差が出ます。それが若年労働力を中心とした首都圏への社会減の要因の一つとなっています。首都圏には公共交通機関が充実していますが、山口県のそれは余りにも不十分で、車がないと実質的に移動ができません。したがって、医療機関の診療報酬のように全国一律とすべきです。

仮にこの法律が施行されても、形式上は時間外労働に押さえられても実質の労働時間は変わらないでしょう。例えば私の義理の息子は、上場企業のエンジニアである素材の試験や研究をやっています。帰宅はほぼ毎日、日付が変わる時間です。休日でも2人の子どもが寝静まって会社に行きます。それは、いったん動き出した実験装置を止めると正確なデータが取れないからだそうです。休日でも、自宅にPCを持ち帰りデータの異変がないか時々見ています。当然、そんな働き方でどこまでが所定内労働時間か残業なのかの線引きをするのは極めて困難です。

また、知人の娘さんは市役所に勤務し毎日相当な残業をされているそうです。予算で賃金が決まっているので残業時間と残業手当がスライドしていません。大阪維新の創設者の橋下氏は、公務員の給料が高すぎるのでそれを民間並みにして「公務員貴族」に大ナタを振るったといいますが、公務員は公僕です。かつては、民間企業よりもはるかに低い賃金で長期間働いていました。いざ災害や火事事件等が発生した場合は命を賭して住民を守る義務があります。現に、東日本大震災の時や消防士や警察官等は自らの命を賭した人がたくさんおられます。民間で働く労働者の賃金を上げることのほうが正論です。財政難であるならば、ムダな公共投資をやめるべきでしょう。

税理士的行動心理学へのアプローチ(前編)~クレームの本質と私の実践~

(1) はじめに

最近時の人となった藤井聡京都大学大学院教授は2018年まで7年間内閣官房参与の要職(防災・減災ニューディール担当)に就かれていました。

一方、経済学も研究分野で2018年11月10日に「10%消費税」が日本経済を破壊する~今こそ真の「税と社会保障の一体改革」を~という書籍を出されました。その主な主張は①速やかに消費税の増税の「凍結」を決定する、②凍結された増税で増えることが見込まれていた税収の代替財源のために、当面は、躊躇なく国債を発行する、③経済成長を目指し、それを通じて、「税収を拡大」して、それを、「消費税の代替財源」としていく(そうすることで早晩、増税するよりもさらに大きく成長し、むしろ「おつり」がかえっている)。④同時に、様々な「税と国民負担」のあり方を見直し、「消費税」に代わる様々な税項目について論議を深め、経済活性化、適正な投資の促進、株式市場の安定化、適正な土地利用の促進等の「公益の増進」を促していく、というものです。その要因はデフレ状況下で消費税を増税すれば「デフレスパイラル」に陥り、日本が「衰退先進国」になるという警鐘を鳴らされています。

その藤井聡教授は、「行動心理学」という学問もその研究テーマだそうです。「行動心理学」とは、例えば「Tax Sallience(税の顕著性)」では、消費税が10%になれば19,800円の商品には1,980円の消費税がかかることが誰にも分かり、特にいつも買い物をされる女性が買い控えをするという実証研究をするものがその学問領域だそうです。

私は藤井先生のような学者でもありませし、経済の専門家でもありません。しかし、実社会の現場の中で皮膚感覚として「行動心理」を見てきた税理士です。そうした経験則などを3回に分けて紹介をします。

(2) クレームは誤訳です

日本では、商品やサービスへの不満をその提供者側に伝えることを一般的には「クレーム」といいます。しかしクレーム「claim」を英語の辞書を引くと、動詞として「主張する」「要求する」、名詞として「主張」「要求」となっています。この誤訳された「カタカナ英語」を正確な英語で表現すると動詞としてはコンプレイン「complain(不平を言う)」同じく名詞で表現するとコンプレイント「complaint(不平)(不満)(苦情)」になりますが、なぜそうなったかわかりません。

間違った「カタカナ英語」は他にもたくさんあります。広島カープファンである私は、マツダスタジアムで「ナイター」観戦をしたいのですがなかなかチケットが取れません。この「ナイター」も間違った「カタカナ英語」です。正しくは「night game」ですが、おそらく運動選手が「play(運動をする)」に「er」をつけて「player(運動選手)」になることに合わせて、「night(夜)」に「er」をつけて「nighter(ナイター)」という誤訳につながったのだと思います。

他にも身近な「カタカナ英語」があります。それは「ホッチキス」です。英語では「stapler(ステイプラ)」といいます。「ホッチキス」は考案者「Hotchkiss」の名による商標です。

(3) クレームの本質は何かを学ぶ

クレームの本質を学ぶには「グッドマンの法則」というものがあります。その法則は大手経営コンサルト会社に所属するジョン・グッドマン氏の調査や理論を顧客ロイヤリティ協会の設立者の佐藤知恭氏が命名し普及させているものです。

その法則から私たちは学ぶことが必要だと考えています。それは3つの法則で構成されています。

第1の法則…クレームをいだいた顧客のうち、実際にクレームを申し立て、そのクレームに対しての解決に満足した顧客のリピーター率は圧倒的に高い。また、不満を持っていてもクレームを申し立てる顧客は10%にも満たない。換言すれば、圧倒的な顧客が何も言わずに去ってしまう。

第2の法則…クレームを抱いてもそれを申し立ていない顧客や実際にクレームを申し立ててもその対応のまずさで不満を持った顧客の悪い噂は、クレームを申し立て満足した顧客の良い噂は前者に比較して、2倍も強く影響を与える。

第3の法則…企業の行う消費者に対してのアピールによって、その企業に対する消費者の好感度が高まり、良い噂が期待されるばかりか、その商品を購入する確率が高まることだけでなく、ひいては自社だけでなくその商品の市場拡大に貢献できる。

この法則は、すべての企業にあまねく当てはまるのではないでしょうか。もちろん、私たち税理士事務所にも当てはまります。この法則を学び、実践することがすごく大事です。

(4) 私のクレーム申し立て術

私は「グッドマンの法則」を少しかじったことで、商品に不満があるときはクレームの申し立てをすることにしています。ただし、苦情を申し立てるときには、まず自分の残念な気持ちを率直に伝え、「いつ」「どこで」「どんなことがあったのか」の客観的な事実を淡々と文書にして、現物とともにメーカーに送付するのを原則としています。その必要のないときに限り、お客様相談室の連絡先が書いている企業には電話連絡をしています。

その中で、とても良い対応をして頂き大ファンになった例と、反対にもう2度とそこでは買わないという例をそれぞれひとつずつ紹介します。

まず、よい例からご紹介します。私の趣味のひとつである登山中に起きたアクシデントです。昨年夏、あこがれの北アルプスの雲ノ平へのアタックした時のことです。天気予報通り、かなりひどい風雨に見舞われました。そんな場合はザック(登山用のリュクサックです)が濡れないようにカバーをかけます。そのカバー(ザックカバーといいます)が破損してザックの中身が大事な財布のお札までずぶ濡れになりました。因みに、登山仲間には、ザックの内部にもビニール袋で防水処理をしている人もいます。私は、「めんどくささ」と「通風が悪くなるのではないか」と思いそんな処理をしていませんでした。

帰宅後すぐにそのメーカーに現物と手紙をつけて送付しました。メーカーに現物が到着するとすぐに「カスタマー・サービス」という部署から早急に原因究明をする旨のメールが届きました。これまたすぐに、その原因が経年劣化によるものとわかりました。そのメーカーでは商品の品番を毎年変え、いつ製造したかをわかるようにしているそうです。なんと15年近く前に製造された商品でした。アウトドア用品は使用しないときに収納袋にずっと入れていたとしたら経年劣化が早く進むので、使用しないときは中身を出して風通しの良いところに保管するのが良いとのアドバイスと、不具合があったところは無償で修理する旨が書かれてありました。

私はそのメーカーの新品を購入することを決め、修理を断るとともに、収納袋に入れていて床下収納庫で保管をしていたものをすべて出してクローゼットに移動させました。

その後現物がメーカーから送付されてきましたが、丁重なお詫びとより良い製品づくりに向けて弊社一同尽力して参る旨が書かれている手紙が添付されていました。

そのメーカーは1975年に社長と2人の山仲間と共に大阪で設立した会社で、機能・軽量・迅速をコンセプトに商品開発をして、現在では約千人の社員を擁するまでに成長しています。アウトドア用品を購入する人々の中で一目置かれています。私もさっそくこのメーカーの製品を購入するとともに、その対応の良さを山仲間に宣伝しています。

悪い例は、私の連れ合いは彼女の個性なのかクレームの申立てはしません。実は、彼女がある「道の駅」で購入したジャムの蓋が空かないのです。ネットでそうした場合の対処方法を調べてやってみても空きませんでした。そこで、私にそのお鉢が回ってきました。私もこれまで経験したやり方で、開けようと試みましたが、どうしても空きませんでした。

そこで、現品を駅長あてに宅急便の着払いで送付しました。私が購入したものではないので、彼女に聞き取りをしましたが、いつ買った物なのか、はっきりしないので手紙の添付ができず、「蓋が空かない」旨と私の連絡先をメモとして入れました。

ところが、待てども暮らせども何の連絡がありませんでした。そこで、私のほうから連絡をすると現品は製造した農家に渡してあるが、まだ連絡がない旨の話でした。それと駅長は名ばかりで、そうしたクレームの責任は売り場にあるとのことでした。私は、例え名ばかりであっても最終責任者はあなたにあると伝え電話を切りました。

しばらくして現品が着払い(807円)で送られてきました。その中には現品だけでした。その後、駅長から「私がやったら問題なく蓋は空きましたよ」との連絡がありました。こちらのクレームに何の答えもありませんでした。今後もこんな対応をしていたらと思うと、この「道の駅」の将来性が心配になりました。

彼女にその顛末を話すと、2度とあの「道の駅」で買い物をしない、とかなりの憤慨ぶりでした。今までの「ファン」から一転しました。

この2つの事例からすべての企業(大も小にかかわらず)が「グッドマンの法則」をもっと学び、実践しなければならないといけないと思います。

迫り来る消費税増税!~私たちの暮らしはどう変わるのか?~【4】

【4】消費税の増税は阻止できる

(1) 財界は消費税の税率をヨーロッパ並みの20%を要求

EU委員会や学者から批判が続出→軽減税率は国家間、企業間に不公平をもたらす→軽減税率の利益を受けているのは大企業だけ→その恩恵を受けるためにロビー活動が盛んになる→低所得者対策にならない→国の税収不足を生じさせている。日本の消費税(地方消費税を含む)は歳入の約28%。標準税率が19%のドイツは約31%→もし10%への引き上げがされたら逆転する→軽減税率をなくせば標準税率を下げられる→中小事業者の事務負担の負担軽減のことも考慮し見直すべきだとEU委員会は考えている。

(2) ドイツのマクドナルドの例

ドイツの軽減税率は7%、標準税率は19%→店内で食べれば19%、お持ち帰りは7%のはず→しかしいずれも同じ価格(内税)→低所得者対策になっていない証拠→ドイツの学者はマクドナルドが悪いのではなく、付加価値税そのものに欠陥があると論評→日本の大手外食業者もその方向性で動いている。→国税庁は最終的には消費者が負担している間接税だと宣伝しているが、その宣伝に惑わされてはならない→消費税は「預かり金」という批判から「預かり金的」と言い直しているが、それも違う。

→あくまで、消費税は価格の中に含まれている。

(3) カナダの付加価値税

カナダの付加価値税は1991年に7%で導入されたが、2006年7月に6%に引き下げ、さらに2008年1月に5%に引き下げられている。

(4) EU委員会では、輸出還付制度の見直しを検討中

不正還付制度の悪用が余りにも多い→日本でも金塊の不正輸入とこの制度の利用で不正還付が横行→輸出企業には還付金を渡さない仕組みを検討している→2022年からの実施の予定と発表→もともと輸出促進税としてフランスで導入された0%課税→これがアメリカとの貿易で軋轢を生んでいる→EUの財界の抵抗は必至→日本でも輸出免税制度がなくなれば、財界も消費税の考え方を変えるはず。

(5) 財界人でも消費税を批判

鈴木敏文・セブン&アイ・ホールディング名誉顧問「今のタイミングで消費税を上げたら、間違いなく消費は冷え込んでしまう」「国内景気がさらに悪化して、消費の減少、企業倒産の増加、失業率上昇といった負の連鎖に直面する可能性もある」(『文藝春秋』1月号)→元伊藤忠商事会長、元中国大使の丹羽宇一郎氏「消費増税より資産課税を」「富の再分配で若者の情熱を引き出せる」との新聞インタビュー

(6) 軍事費の無駄遣いを見直すべき

安部首相の「お買い物リスト」は「攻撃型兵器」のオンパレード→自衛隊を「専守防衛」から「海外で戦争する軍隊」に変容させる→イージス・アショアの命中率は50%、その命中率を高めるためミサイル一機が10億円から、いつの間にか40億円に→下表参照→その他不公平税制を改めれば17兆円の財源あり。特に法人税の累進税率化は有効であり、アメリカではこの方法を取っている。何でもマネをする政府はアメリカのすぐれた点のマネしないのか
→消費税(付加価値税)もアメリカには連邦税(州税としてはある)としては存在しない。

(7) 富裕層、大企業から応分の負担を

富裕層対策→上場株式の譲渡・配当を総合課税に、所得税の超過累進課税の最高税率を45%からせめて55%に、住民税を一律10%から、5%~15%の超過累進課税に。

法人の税率を比例税率から超過累進税率に→資本金により5%から45%の5段階にすれば約19兆円の増収になる。

(8) 社会保険料の上限をなくす

税と社会保障というならば、今話題のカルロス・ゴーン氏も年収1億円以上の高額所得者も頭打ちをなくせば→健康保険は月額133.5万円で、厚生年金は月額63.5万円が上限になっている。

(9) 国保料の引き下げと均等割と上限額廃止

全国市町村会が提言している1兆円あれば引き下げは可能→上記(8)を財源にすれば可能になる。

(10) 今後どのように行動したいいのか

思想・信条などの違いを超え消費税の署名運動を→YouTubeを見れば立場の違いを超えて様々な分野の著名人が対談等をしている→自ら話すことも大事だがYouTubeの有効活用も。

迫り来る消費税増税!~私たちの暮らしはどう変わるのか?~【3】

【3】軽減税率は大混乱をもたらす

(1) 軽減税率の対象は、飲食料品と定期購読新聞

高級食材、例えば世界の3大珍味と言われる「トリュフ・フォアグラ・キャビア」と、夜8時になったら半額のシールが貼ってある売れ残りセール食品も同じ税率→新聞は週2回以上発行のものに限る。

(2) 判別しにくい飲食料品

基本は人の食用と飲料に供されるものが軽減税率の対象だが、人が食べるクッキーをペットの犬のおやつにしても軽減税率の対象→人が飲む牛乳をペットのねこが飲んでも軽減税率の対象→ノンアルコールビール(アルコール度数が1%未満)は、軽減税率の対象→甘酒は、「酒」とネーミングされていてもアルコール度数が1%未満であれば、軽減税率の対象→医薬品は標準税率だが、サプリメントや健康食品は軽減税率の対象→オロナミンCは清涼飲料なので軽減税率の対象だが、リポビタンDは医薬部外品なので標準税率となる。

(3) 自販機のジュース類は全て軽減税率の対象だが、飲食店で出すと標準税率

ホテルや旅館の部屋にある冷蔵庫の烏龍茶は軽減税率の対象→宴会場で冷蔵庫にあるものと同じ烏龍茶は標準税率となる。

(4) 牛丼屋で食べると外食になり標準税率だが持ち帰ると軽減税率の対象

店の側にあるベンチで食べても軽減税率の対象→法事のため高級料亭で会食すると標準税率だが、同じ高級料亭から仕出し弁当を取ると軽減税率の対象となる。

(5) かしわ餅の葉は餅と一体になっているので「一体資産」とみなし軽減税率

販売価格が1万円以下で、かつ食品部分の価格が3分の2以上のものに限る。例えば、1万円のうち、8,000円がコーヒーで2,000円がマグカップであれば、一体資産とみなされる。

(6) 外食とは飲食店でテーブルやカウンターのあるところで食事を提供すること

飲食店で容器に入れて持ち帰るものは軽減税率の対象→残した料理を容器に入れて持ち帰るものは標準税率→高級料理店で仕出しを取れば軽減税率の対象だが、ケータリングにすると標準税率となる。

(7) 食堂車で食べると外食になり標準税率、ワゴン車の座席で弁当を食べると軽減税率

食堂車(今は少なくなったが)で食べると会食になり標準税率→食堂車から弁当を持ってきてもらうと軽減税率の対象となる。→コンビニで買って車内で食べれば軽減税率の対象となる。

(8) ミネラルウオーターは軽減税率のだが、水道の水は風呂にも使うので標準税率

氷の販売は食用のものは軽減税率の対象だが、保冷用のものは標準税率→ケーキ屋さんでサービスでくれる保冷剤は軽減税率の対象だが販売するものは標準税率となる。

(9) 重曹は食品に限定されるものは軽減税率の対象

→ただし、ホームセンターで売られている「掃除用」など食品以外の用途にも使用できる旨の記載があれば、標準税率となる。

(10) PayPay、LINE Pay

スマホを持っていない高齢者や未就学児童などは使えない→事業者にとってのメリットはあるのか?

(11) 「ポイント還元」と「軽減税率」

「ポイント還元」と「軽減税率」がセットになることによって、①買う商品②買う店③買い方の三つの要素で税率が3%、5%、6%、8%、10%の5段階になる。

(12) 「ポイント還元」は、カード決済しかできない

多くの高齢者はカードを持っていないし、未成年者もカードを持っていない→販売店もカード対応をするのに設備投資が必要になる→わずか9ヶ月の限定なのにそれで設備投資をするのは採算が合わない→カード会社への手数料も高いし、現金化するまで時間がかかる→マイナンバーカードでも使えるようにして普及率が10%にとどまっているのを飛躍的に増やしたい企図がみえみえである。

(13) プレミアムつき商品券

次の買い物の呼び水になると公明党幹部の発言あり→その商品券を使うと自らが低所得者であることが分かるためかえって使いにくくなるのでは?→それ自体が売買の対象となるので悪徳商法が出てくる可能性あり。

(14) 本来「軽減税率」という言葉を使うのであれば8%ではなく、5%にするのが筋である。

常識的に「軽減税率」という言葉を素直に理解すれば、以前の5%に下げることが当たり前である。

迫り来る消費税増税!~私たちの暮らしはどう変わるのか?~【2】

【2】消費税増税が実施されると どんな影響が起こるのか

(1) 2回延期した消費税増税を平成30年6月の「骨太の方針」に入った。令和元年10月1日から10%の引き上げと複数税率(軽減税率)の実施。

引上げの理由は・・・

「景気回復は、緩やかではあるが長期間にわたって継続しており、今回の回復の長さは戦後2番目となっている可能性が高い。賃金は、春季労使交渉では、中小企業を含め、定期昇給を含む月例ベースで2%程度の高い上昇が続いている。多くの企業で5年連続のベースアップが行われ、2018年についてはその額も大半で前年を上回っているほか、賞与・一時金も前年を大きく上回る水準となっており、年収ベースで3%以上の積極的な賃上げが行われている。」(骨太の方針2018)→急成長には「からくり」がある。政府は平成28年12月、GDP(国内総生産)の計算方法を変更した。それまで算入していなかった「研究開発投資」の項目を追加(いわば粉飾)するなどをした結果、平成27年度の名目GDPは32兆円近く増えて532兆2億円に跳ね上がり、一気に600兆円に近づいた。→賃金についても、「毎月勤労統計」の不正調査の影響で「昨年の実質賃金の伸び率が下がる可能性が予想される」との厚労省の参事官発言、偽装統計は底なしの泥沼化

(2) 平成30年10月15日の臨時閣議決定で正式に意思表示されたという不正確な情報

平成30年10月15日の臨時閣議で、安倍首相は平成31年10月に消費税率10%に引き上げることを表明→このことは新聞やテレビで広く報じられ、大きなニュースとして受けとめられたが、この「表明」が意味することについての認識はさまざまであり、必ずしも共通の理解が得られているとはいえない状況にある。(日経新聞報道)

(3) 特にひどいNHKの報道

平成30年10月の「日曜討論」では、出演者6人中5人が増税論者で、1人が条件付き増税を言ったのみ→「公共放送」なら国論を2分している問題を論議するなら反対論者も半数にすべきが民主主義の原則である。

(4) 菅官房長の発言

リーマンショック級の経済情勢がきたらと言うが既に、GPIFは平成30年10月から12月で約15兆円の損失を被っている→トランプ大統領の発言で世界中が大混乱し、「米中貿易戦争」で消費税増税どころではない→かの竹中平蔵でさえも雑誌「プレジデント新年招福版」で「最初に明らかにしておきたいのは、私は消費税の増税に反対だと言うことです」と発言をしている→その後、安倍首相と二人で夜の会食

…平成31年4月13日の朝日新聞のインタビューで10月に予定されている消費税に反対と明言している。

(5) 首相は「食料品などを軽減税率にするから低所得者の負担はそんなに増えない」と言うが・・・

軽減税率の対象は「食料品の内容物」と定期新聞の購読料だけである。→これらの価格があがらない保証はまるでない→価格決定権者は企業にあり、据え置く義務はない。

(6) 既に政府主導の業界ぐるみが始まっている

10月からの消費税増税にもかかわらず、政府はガイドラインを作って、業界ぐるみで値上げをしている→日本乳業協会は4月1日から1.6%~8.7%、日本アイスクリーム協会は3月1日より4%~20%、10円から20円、日本即席食品工業協会は6月1日より3%~8%、全国清涼飲料連合会は5月1日より20円、日本冷凍食品協会は3月1日から5%~13%まで→日付を業界ごとにずらしている→この値上げは軽減税率のものばかりである。

(7) バス代、電話代、水道代、電気代、ガス代などの公共料金のような庶民の生活必需品は値上げされる

軽減税率は低所得者に配慮したものとは言えない→水道水をペットボトルに詰め替えると軽減税率になるのは明らかにおかしい→ペットボトルで水を買う人は生活にゆとりがある人である。

(8) 軽減税率の対象物品である新聞も・・・

既に日経新聞は2017年11月に4,509円から4,900円に値上げしている→他紙も値上げしたいが購読部数はどんどん減っているので今はできない→特に首相お気に入りの読売新聞の「取り紙」はすさまじく、販売代理店の収益はどんどん減少し廃業も続出している。

(9) 平成31年10月1日に一斉値上げが起きた時の学習効果は・・・?

「一気に景気が冷えこむ」という前回の引き上げ時の「学習効果」で、さまざまな施策(ポイントカードやプレミアム商品券など)で景気の後退をかわそうとしているが、それが終われば元の木阿弥になる→小手先だけの対策(オリンピック開始までの9ヶ月の期間限定)で本質は変わらない。

(10) 結局、先取り値上げによって物価は上昇しても、庶民の収入や賃金は上がらず、年金は下がる

消費者の買い控えがおこり、事業者の売上は伸びない→消費税の滞納は増えるが、大企業の法人税率の引き下げだけは続ける→ますます貧富の差が激しくなり、倒産が増え失業者も増大し経済は大混乱→オリンピック景気も思うようにはならなく、景気は確実に後退し、先進国から落ちこぼれるようなリセッション(景気後退局面)が起きる。

迫り来る消費税増税!~私たちの暮らしはどう変わるのか?~

【1】消費税は平成に始まり令和で大きく変わるのか、消費税の歴史を振り返る

導入前夜…昭和の話

『政界で消費税(付加価値税)が話題に上ったのは昭和45年でした。欧州の税制視察から帰国した自民党の水田三喜男政調会長は「国民生活向上のための財源として間接税導入は必要だ」と語りました。高度成長が終われば、直接税の所得税収に頼る歳入構造は限界を迎えるという問題意識を持っていました。

具体的な議論が始まったのはそれから約10年後でした。当時の大平正芳首相が昭和54年1月、一般消費税の昭和55年度からの導入準備を閣議決定すると、野党はこぞって反対しました。小売業者や消費者団体の反発を受け、自民党内でも慎重論が台頭、同党から200人以上が参加した財政再建議員懇談会は増税の前提として「歳出の無駄の見直し」を掲げ、導入は時期尚早と訴えました。

昭和54年10月の衆院選の直前、日本鉄道建設公団のカラ出張問題など政府機関の大規模な不正経理問題も明らかになり、各方面から集中砲火を浴びた大平首相は選挙戦のさなか、増税を断念しました。

政府はその後「増税によらない財政再建」を掲げました。マイナス・シーリングによる厳しい歳出抑制や、国鉄、電電公社、専売公社などの民営化を掲げた中曽根康弘首相が売上税法案を手掛けることができたのは、その政権の終盤に入ってからでした。

慎重に準備を進めた中曽根首相は「公約違反」という批判に足をすくわれました。昭和61年7月の衆参同日選の前、記者会見で「多段階、普遍的、網羅的で投網をかけるような大型間接税はとらない」「国民や自民党員が反対する大型間接税はやらない。この顔が嘘をつく顔に見えますか?」と強気な発言し、同日選で圧勝した後に売上税導入を打ち出し、猛反発を浴びました。

当然、嘘をついたことによる国民の反発は強く、同年2~3月にかけて都内各地で「売上税反対集会」が開催され、昭和62年3月の参院岩手補選で自民党候補が売上税反対を掲げた社会党候補に敗北し、4月の統一地方選でも自民党退潮が鮮明になり、売上税法案は廃案となりました。』
※2019年5月8日 日本経済新聞電子版より引用

『その後、中曽根内閣は4月23日に原健三郎議長の調停案を受けて、売上税の通過を断念したが、この調停案には「税制改革問題は、今後の高齢化社会に対応する等、将来の我が国の財政需要を展望するとき、現在における最重要課題の一つであることはいうまでもない」と再び大型間接税導入の火種になる文章が残されていました。』
※2016年2月9日 消費税増税に反対するブログより引用

導入時…平成元年4月1日

消費税導入が決定されたのは、昭和63年12月24日、竹下政権のときです。そして、わずか4ヵ月後の平成元年4月1日に実施されました。導入までの議論の長さを考えると、異例の速さともいえる展開です。

『消費税導入の理由は、国家による税の再分配機能の視点から考えたとき、所得課税(法人税を含む)には所得の再分配機能、消費課税(酒税等を含む)には消費力の再分配機能、資産課税(固定資産税や相続税)には資産の再分配機能があるとされています。年金や生活保護等の社会保障制度は、消費力を再分配しているため、再分配機能の視点からは消費税が合致していると考えられ、実際に社会保障制度が充実している欧州国家では消費税率が高いところが多いことから、現実問題としても日本は将来予想される少子高齢化にともない社会保障支出が高まることが分かっていたことにあります。

また、シャウプ勧告以後から続いた所得税などの直接税中心の制度から、消費税のような年金生活高齢者や貯蓄生活者層などを含む幅広い各層からも広く薄く徴収することのできる間接税とのバランスが取れた税体系に変えるべきだという議論がありました。概ねこれらの理由を中心とした議論から消費税が導入されたのです。』
※フリー百科事典「ウィキペディア」 日本の消費税議論より引用

ちなみに、「消費税」というネーミングは、いかにも「消費者が税を負担する」イメージを強くするためのもので、EU諸国の「VAT(付加価値税)」のように「インボイス」を発行して「事業者が税の負担をする」ということがないとしたため大反対運動をした多くの中小企業者を煙に巻いたのです。実際に消費税法には、「消費者」とか「転嫁」を強制する条文はありません。

『消費税は元々「直間比率の是正」という文脈で説明されてきましたが、その後は社会保障→財政再建→被災地復興→世代間の公平な負担とその時の為政者のご都合で変化しています。

一般消費税導入以前には、奢侈品・贅沢品とみなされるものについて、個別消費税の一種である「物品税」が課されていましたが、対象となる物品の範囲、税率、指定のタイミングなどをめぐって企業側から不公平感が指摘されることもありました。』
※フリー百科事典「ウィキペディア」 日本の消費税議論より引用

具体的には、自動車、電化製品、ゴルフ用品、毛皮製品、宝石類等に課税されており、奢侈度で税率が異なっていました。毛皮製品やゴルフ用品、水上スキー、普通の家具、日本酒の特級酒・一級酒、コーヒー等に対して課税されていたのですが、高級織物、テニス用具、スキー、桐の家具、漆塗りの家具、日本酒の2級酒、紅茶・緑茶等には課税されていませんでした。類似製品でありながら課税について大きく異なることから、不公平感が指摘されるようになりました。もちろん生活必需品は非課税になっていました。

また、所得水準が上昇し、国民の価値観や消費態様の多様化もあって、消費支出全体の中から課税すべき物品やサービスを客観的基準によって、選択し、特定するのが困難となってきました。このように直面している真に新しいカテゴリの商品のうちは対象にならず、法令の改正などを経るためにある程度普及してから課税対象になることが可処分所得の相対的に少ない世帯にとって新商品の入手をいっそう困難にする結果となるなどの問題は、広く財を対象にする消費税では生じにくいという論議がされるようになりました。当時は公平の論議として「垂直的公平」と「水平的公平」のいずれが「公平」なのか論議が伯仲しました。

「物品税」は贅沢品を中心に課税され、食品などの生活必需品は課税されなかったことから富の再分配にかなう利点も存在しましたが、多くの反対論議を押し切る形で昭和63年の税制改革による消費税の導入に伴い、平成元年4月1日に廃止されました。

『消費税は創設当時から「逆進性が強いこと」が懸念されていました。つまり、直接税は、所得の少ない人ほど負担が軽く、所得の多い人は負担が重い累進性があります。所得の多い人ほど高い税金を払う所得税と異なり、消費税は消費のみによって決まる税制であるため、所得が多い人も少ない人も消費額に対しては同じ税率となります。

そのため、消費税は所得が少ないほど不利な税制(逆累進的税制)だという指摘がありました。所得の少ない人は貯蓄する余裕がなく、所得の多くの割合を消費に回してしまう傾向があるので、所得に対してはより高い割合で消費税を払わねばならなくなるからです。また、消費税は収入が無い人でも消費する際に課税されるため、所得が低い人ほど負担感が大きくなります。実際、利子や配当などの資本所得を得られる金融投資には消費税はかからないため、こうしたものに投資する余裕がある人(≒所得の多い人)ほど有利な(所得に対する税負担が少ない)税制となります。一方、貯蓄を切り崩して消費に回せばそこに消費税がかかるが、一生使われなかった貯蓄には(相続税は控除しきれない分に課されますが)消費税はかからないことも、消費税が、貯蓄から消費に回す額が相対的に多い人(≒所得の少ない人)に不利な税制と言われる原因です。

日本の事例では平成14年の総務省「家計調査」にもとづく勤労者世帯の所得階級別消費税負担率と所得税負担率の計測によれば、所得がもっとも低い分類階層においては所得の2.8%にあたる消費税を負担しており、これは最高所得分類階層が2.1%であったことから逆進性の存在が確認できます。所得税については負担率が4%に対し最高所得階層では12%であり累進的です。またこの消費税率が10%に上昇した場合、年収1300万円世帯の消費税負担は4%程度、年収125万円では9%程度と逆進性が高まるとの試算もあります。』
※フリー百科事典「ウィキペディア」 日本の消費税議論より引用

『平成9年4月1日、橋本内閣のもとで、消費税率は3%から5%に増税されました。導入から8年経ち初めての増税です。またこの増税では地方消費税が導入され、5%のうち1%は地方税となりました。

ただ、この時期はバブル崩壊後の不良債権処理の最中だったため、増税後に金融機関が次々と倒れました。「消費税増税がバブル崩壊後の長引く不況の原因」とまで言われました。その後も増税の必要性は再々主張されましたが、5%の時代は結局17年も続きました。

平成24年8月に「社会保障と税の一体改革」の名のもとに、消費税の税率引き上げ法案が民主党の野田政権で成立しました。この増税も反発が大きく、その後衆院選で民主党は大敗しました。

そして平成26年4月1日、消費税は5%から8%に増税されました。このときは増税による事業者側への影響を考慮して、平成16年に始まった税込価格での表示も、特例として税別価格での表示が認められるようになっていました。』
※2018年12月27日 消費税・軽減税率がよくわかる情報ポータルサイト 消費税・軽減税率情報Café 平成と共に歩んだ消費税の歴史、そして令和へ より引用

しかし、その増税の反動で、平成が終了としている今日でも「デフレ状態」は続き、経済格差は大きくなり、GDP(国内総生産)の約7割を占める消費は一向に増加の兆しが見られません。

変貌時…令和元年10月1日

そしていよいよ令和元年10月1日に、法律上は消費税率が10%になります。しかし、景気の判断、国民世論、政治上の思惑できわめて流動的です。

本来は平成27年10月から10%への増税予定でしたが、政治的な思惑などで2回延期をされ、4年も延期されてようやくの増税法案です。

消費税が10%にもなると、逆進性の影響で低所得者の負担はかなり大きくなります。そのため今回の増税は、前回と同じ轍を踏まないように様々な対策が取られていますが、どの対策も多くの国民の賛同が得られていません。また、政権内部にも動揺が見られます。4月18日には安倍首相の側近中の側近の萩生田田幹事長代行(前内閣官房副長官)が、6月の日銀の短期経済観測調査を見てからの判断と解散総選挙をちらつかせるような発言をし、麻生財務大臣等がそれを打ち消すような動きをしています。

7月にある参議院選挙は、自民党にとって大変苦しい選挙になっています。夏の参議院選挙の前哨戦と言われた4月21日の大阪と沖縄の衆議院補欠選挙で自民党は2敗を喫しました。平成24年末の第二次安倍内閣発足以降、自民党が国営補選で敗れたのは平成28年の衆院京都3区補選(候補者を立てませんでした)を除いて初めてです。
仮に、今まで2回のような政治的思惑で3度目の延期がなされると、参議院選挙と解散総選挙のダブル選挙をすれば自民党の大勝となるのではないでしょうか。

しかし一方で、政府は日本経団連からは20%、IMF(国際通貨基金)からは23%から30%の消費税率にするように迫られています。また、軽減税率(現状税率)と標準税率の差が2%しかないということは、EU諸国のほとんどの国と大きく乖離しています。その是正も視野にいれていることだと思慮されます。

政治的な思惑でなく、デフレ状態で消費税を増税することで税収は下がるという経済的な側面と国民の大きな世論の高揚の両面で消費税増税を止めないとすでに「衰退先進国」といわれている日本がますます急激に衰退すると考えられます。

和暦 西暦 首相 出来事 詳細
昭和54年 1979年 大平正芳 一般消費税導入が打ち出される 閣議決定までされたが、その年10月の選挙で自民党が大敗した。この法案は頓挫した。その導入の目的は、「財政再建」で税率は5%であった。翌年ハプニング解散で衆参同日選挙に打って出たが、その第一声中に、体調を崩し現職首相が急逝し、その弔い合戦で自民党が大勝した。
昭和62年 1987年 中曽根康弘 売上税法案が国会提出される 2月、消費税と同様の大型間接税である売上税の導入を柱とした関連法案を国会提出した。しかし、前年に行われた衆参同日選で中曽根首相は「国民が反対する大型間接税と称するものはやらない」「皆さん、この顔がうそをつく顔に見えますか?」などと遊説で発言していた。このため国民が強く反発し、売上税法案は5月に廃案になった。小売業界からの反発が大きく、更に直後の選挙で自民党が敗れたことで廃案となる。税率は5%であった。
昭和63年 1988年 竹下 登 消費税法成立 昭和63年11月に発足した竹下内閣は、税制の抜本改革を掲げ、物品税を廃止すると共に、消費税の導入法案を翌年7月の臨時国会で提出。大平一般消費税、中曽根売上税が5%であったが、「消費税」は税率3%で提案された。
竹下は消費税導入と同時に、法人税、所得税、相続税など総額2兆円を上回る程度の減税を実施する考えを示した。こうした消費税を上げる代わりに、大企業や富裕層向けの減税を進め、国民の不満を解消するやり方は現在の安倍内閣まで続くことになる。
日本初の付加価値税である消費税が、12月24日可決、成立された。
平成元年 1989年 消費税法施行 4月1日より税率3%の消費税がスタートした。しかし1988年当時、政界では総理自身や安倍晋太郎などの主の幹部も関われる「リクルート事件」が大きな問題となっていた。その責任をとる形で同年6月退陣に追い込まれる。
平成6年 1994年 細川護煕 国民福祉税導入構想 消費税廃止と国民福祉税(税率7%)の導入を記者会見で発表したが、国民に総スカンされ、即日白紙撤回した。
村山富市 増税法案が成立 社会党委員長が首相になるという変則的な内閣の元で平成9年に消費税を5%に増税することが決定される。
平成9年 1997年 橋本龍太郎 消費税率5%へ増税 山一證券破綻が破綻に象徴されるようなデフレ状況下の中で4月1日より税率5%の消費税がスタートする。
平成21年 2009年 鳩山由紀夫 政権交代 年金記録問題や道路特定財源制度などの政治課題を始め、1年で首相が投げ出し辞任をする自民党への批判を争点に掲げるなか日本の選挙史上で過去最高を記録し圧勝して、日本政治史初の本格的な政権交代を実現した。
平成23年 2011年 野田佳彦 消費税増税案の提出 「税と社会保障の一体化」を大義に税率を平成26年8%、平成27年10%とする案が税制調査会に提出される。
平成24年 2012年 上記案が可決 参院本会議で可決成立し、軽減税率導入も民自公の3党合意。このことが、民主党分裂のきっかけとなった。
平成26年 2014年 安倍晋三 消費税率8%へ増税 緩やか景気回復の兆しはあったが、デフレが続く中、4月1日より3党合意の税率8%の消費税がスタートする。
10%への増税を延期 平成27年10月に予定していた消費税率10%への引き上げを平成29年4月まで1年半延期し、衆院解散・総選挙に踏み切る。延期の理由を「今年4月の消費税率引き上げに続き、2%上げることは個人消費を再び押し下げ、デフレ脱却も危うくなる」と説明。「税制こそ議会制民主主義と言ってもいい。税制において大きな変更を行う以上、国民に信を問うべきであると考えた」と訴え大勝した。
平成28年 2016年 10%への増税を再延期 5月の伊勢志摩サミットで、あらゆる指標が「平成20年のリーマンショックと同様に悪化している」とするデータを示し、各国首脳に再延期の理由を説明。同時に参院選で国民の真意を党と言い、6議席増の大勝をした。
平成30年 2018年 増税と軽減税率の導入表明 平成31年10月に消費税率を10%に増税すること、軽減税率を導入することが表明。景気条項を外す一方、再びリーマンショック級の景気悪化があればとの含みも持たせた。

2018年12月27日 消費税・軽減税率がよくわかる情報ポータルサイト 消費税・軽減税率情報Café 平成と共に歩んだ消費税の歴史、そして令和へ 消費税のあゆみ一部加筆

「改元」に際して「元号」の取り扱いを変えたら?~仕事でもプライベートでも扱いにくい「元号」~

平成という元号が終わり、4月1日に新しい元号が発表されます。安部首相は当初、4月10日に財界などが天皇ご在位30年の「お祝いと感謝の集い」を開くことから、翌11日に新元号を公表する方向で検討を進めてきました。ところが、米マイクロソフト社の基本ソフト(OS)「ウィンドウズ」の更新が間に合わず、企業の決算作業が混乱しかねないことが判明したことに加え年金や失業手当の給付に支障をきたす恐れもあるため、4月1日に前倒しして公表することにしました。

平成天皇の正式名は明仁(あきひと、1933年〈昭和8年〉12月23日生まれ)で、日本の第125代天皇(在位: 1989年〈昭和64年〉1月7日から)です。

明仁天皇は、平成最後の誕生日のメッセージを、途中涙ながらに「平和」と「反戦」に対する強いお気持ち、皇族以外の女性を伴侶とした美智子様に対する労いの言葉、また、火炎瓶を投げられるという事件もありながらも11回も沖縄訪問された思いを熱く語られました。

それはまるで「県民と寄り添いながら」と言いながら「辺野古基地」の埋め立て工事を平然とやってのける安倍首相を皮肉るように私には聞こえました。そして、県知事選挙で公明党(創価学会)を含む徹底的な組織選挙と小泉進次郎議員など人気高い議員を大量動員しながら大惨敗を喫したことや埋め立て工事区域に軟弱地盤の存在がわかり当初の予算が10倍の約1兆円かかること、台風の影響で予定していた桟橋が使えず遠方から民間の桟橋を借りてまで既成事実を作るために埋め立て工事をすることを考えたとき私の頭は思考停止になります。

明仁天皇は、このお歳でありながらも憲法で定める「象徴天皇」とは何かと自問自答しながら、国内の被災地を初め海外にも旺盛に渡航されるなど、多くの公務を遂行されたことには敬意を表します。

私は明仁天皇に対するリスペクトとは別の観点、つまり職業会計人としてその実務面での煩雑さから「元号(和暦とも言いますが)」の使用を替えた方がいいと考えます。政府は何かにつけて「グローバル化」の必要性を論じますが、「元号」の使用を当たり前のように使います。もし新しい「元号」になれば、所得税の確定申告書の生年月日欄が「明治」「大正」「昭和」「平成」そして新しい「元号」の5つが存在することになります。

もちろん「明治」の終わりは1912年生まれなので齢107歳になるので極々少数です。因みに、国内最高齢は鹿児島県喜界町の田島ナビさんで117歳、男性の最高齢は北海道足寄町の野中正造さんで112歳、奇しくも南の孤島の女性と北の最果ての街の男性とは興味深いですね。

「大正」の終わりは1926年生まれなので93歳となります。「人生100年社会」と言われる時代になったので少数ながら元気でおられると思います。私の父は大正9年(1920年)生まれでした。昨年4月29日「七回忌」の法要を営みましたが、最後は認知症が酷くなり私のことも認識できなくなっていました。できれば「健康寿命」での100歳を迎えたいものです。例えば、山口市湯田温泉出身で聖路加病院の名誉院長だった日野原重明先生は満105歳まで健康で天寿を全うされました。また私が敬愛する教育学者で、何回も講演も聴き、本も愛読した大田 堯(たかし)先生も昨年12月23日、100歳で昇天されるまでお元気だったそうです。おそらく、お二人とも規則正しい生活と何にでも興味を持ち、いろいろなことに挑戦されたからだと推測されます。

「昭和」の終わりは1989年生まれなので30歳(三十路)を迎えます。この年は、「天下の悪税」だと個人的に強く思う「消費税」が4月1日から実施された年です。この年に3%で誕生した消費税は、政府の思惑とは違い現在8%の水準で留まっています。これは、消費税には「逆進性」という大きな問題点があり、その「引き上げ」を口にした首相はその後の選挙で大惨敗をしています。しかし、安倍首相はそれを2014年(平成26年)4月1日より実施しましたがその後の個人消費は冷え込んだままで、8%から10%への引き上げをめぐって当初は、平成27年10月の予定でしたが、2度にわたって延期しました。それを2019年(○○元年)10月1日から実施しようとしています。

さて私の提案ですが、政府や民間等が作る文書や提出する文書(例えば所得税の確定申告書や不動産の売買契約書など)はすべて西暦にすることで、今後「元号」が変わってもコンピュータのシステム改修などの「不要な経費」が不要になります。

また、元号で覚えていた誕生年を西暦に変換する必要性がなくなります。自分の誕生年は、昭和32年が1957年だとすぐに変換できますが、母や娘の誕生年を西暦に変換することは至難の業です。「昭和」ならまだしも「平成」や4月1日に発表される「元号」を西暦に変換することはさらに困難です。今でも「数字に弱い(税理士なのに数字に弱いと誰かに言えば多くの人が驚かれますが、情けないのですが本当です)」私は、スマホの変換機能を使う始末です。

ただし、「元号」や「和暦」にこだわる人もいるだろうし、それは日本という国の独特的な文化でもあります。したがって現在、新聞紙の最上段に使っている日付の欄のように西暦の後に「かっこ」で、元号を入れるようにしたら誰もが納得するのではないでしょか。

不安がいっぱいの税の集め方・使われ方~税制改正の問題、くらしと地域経済をどう守る~

『1』税金の集め方の問題点

(1)広がる格差

①「世界で新たに生み出した富の82%を世界の最も豊かな1%を手にした一方で、世界の貧しい37億人が手にした富の割合は1%未満であった。」と国際協力団体オックスファムは分析しています。もはや課税問題はグローバル化しています。世界を震撼させたカルロス・ゴーン容疑者の逮捕もしかりです。

パラダイス文書などに見られるようなタックスヘイブン(租税回避地)で課税漏れになっている税収は個人資産で21兆ドル~32兆ドル、多国籍企業で約1000億ドル~2400億ドルもあります。もはや、グローバル経済にはグローバル税制が必要ですが、これに真っ向から反対しているのがアメリカで、日本もそれに金魚の糞のごとく追随しています。

②国内の主な税制問題点

所得税(出所:財務省「2015年説明資料」より作成)

申告納税者の所得税負担率

この表からも分かるように合計所得金額が1億円を境に累進制課税が逆転しています。これは、株式の譲渡や配当などが分離課税になっていることが原因です。その税率は20%(国税・地方税を含み、復興特別税を除きます)です。土地などの売却益も同様です。それを総合課税にすればと個人的には考えるのですが、そうすると証券市場や土地取引に支障があるという理由で分離課税の低税率のままになっています。

財務省でも、平均的な国際水準である30%にしてはどうかという論議もあったようですが、株価の低迷につながると言うことになり改訂はなさそうです。どう考えても、株取引などで利益を上げている人は高額所得者(いわゆる富裕層)です。こうした税制が格差をますます助長していると思います。

ここにメスを入れるだけでも大きな財源が生まれてきます。あるべき税制の姿は「累進課税」です。

法人税 (出所:国税庁「会社標本調査」などにより作成)

資本金規模別の法人税の実際の負担率(2014年度)

法人税は所得税と違い中小企業者等の特例(課税所得が800万円までは税率が15%)を除き「比例税率」になっています。したがって、このグラフでは理屈上はフラット化されないとおかしいのですが、資本金が5億円を超えるとその比率が下がっています。

つまり、資本金が大きい大企業が実際の負担率が少ないことが分かります。これは、大企業しか使えないような租税措置法(研究開発税制など数多くあります)の存在があります。さらに、海外からの子会社からの配当については実質非課税となっている優遇策を採っています。

日本が、いろいろな点でマネ(正確には追随していると言った方が正しいのかもしれませんが)をしているアメリカの法人税は「累進課税」です。日本は99.7%が中小企業です。そこで働く人は7割います。税の公平と格差の是正の観点から言えば、日本もアメリカのように緩やかな「累進課税」を問うべきだと考えています。

消費税滞納率 (出所:「国税庁統計年報書」により作成)

消費税滞納率の表(2009年〜2015年)

(2)税制改正の行方…気になる方向性

消費税の最大の問題はその滞納率の高さにあります。2015年と少し古い資料になりますが、その滞納率は64%に及びます。期限内に納められない比率がこんなに高いというのは、いかに消費税が欠陥税制と言えると思います。

それを是正しないまま、2019年10月から10%に増税すればさらに滞納率は高まることが予想されます。当初、消費税は「補完税」と言われていましたが、今では「基幹税」と化しています。また、軽減税率と日本型インボイス制度の導入で中小事業者(それをサポートする税理士事務所も同様)の実務の負担は確実に増えます。また、各種のポイント制度や商品券のばらまきなどの施策は余りにも現実離れをしているかが為政者には分からないでしょうか。

日本は、コンビニ大国です。その功罪もいろいろ言われていますが、本部の直営店の多くは中小業者です。今のポイント制度などを実施することになれば、多くの消費者は、カード決済ができない中小業者からコンビニへと流れてしまいます。そうした環境ができない中小業者は倒産のリスクが高くなることは容易に推測されます。

私は今般の消費税増税は、「3度目の正直」ではなく「2度あることは3度ある」べきだと考えます。既に、大企業などはさまざまな理由を付けて商品価格の値上げを実施しています。そうしないと、日本経済の底が抜けてしまい、「先進国」から脱落する危機が待っていると思います。その先に待っているのは「大企業栄え、民滅ぶ」ではないでしょうか。

『2』税金の使われ方の問題点

①本来の予算の決め方が逆転しています。本来の予算のあり方は企業や家計と違って「こんな国を作りたいからこんな予算がいる」から出発するのが原則です。それを誰がどのように分担するのを決めるのが議会であり、それを執行するのが行政です。そして、それを監視するのが司法の役割です。その役割分担(三権分立)がまるで機能していないのが悲しいかな日本の現実です。

また、そんな風にさせているのも少なくない国民がこの国の根幹である「憲法」や政治参加に無関心だからだろうと思います。各種世論調査では国民の多くが異論と思っているものが、数を力に易々と立法化し、それを「運用」という言葉で「ご都合主義」の執行をする行政、下級審では良い判決が出ても「最高裁事務局」を意識して、国側を最終的に勝たせる上級審、どこか狂っていると思いませんか。

②よく富裕層に対する課税の強化をすれば彼らはこの国から逃げてしますと言ったことが言われていますが、既に富裕層はさまざまな手を使って実質日本から脱出しています。いわゆる「タックス・ヘイブン(税金天国の方が的を射ていると思いますが、正確には租税回避)です。大企業の名だたる経営者や富裕層と言われる人は、都合のいい時は「愛国心」を強調し、都合が悪くなったら「この国から脱出する」なんともはや言いようがないお粗末さと私は思います。

③この国の首相は、現行の憲法を変えたい、特に9条に3項を追加したいと前のめりです。仮にそうなれば、武器輸出大国であるアメリカからさらに防衛型ではなく戦闘型の武器を恐ろしく高値で買わされるのではないでしょうか。そんなお金があるのだったら、イージス・アショアを配備するよりは、生活に困窮している人へ温かな支援をすることや災害復旧やR賃貸住宅の修繕などに回すことが筋ではないでしょうか。それは、消費税の増税の理由が「社会保障」という理由だからです。

④マレーシアは選挙の結果、消費税を廃止しました。一方でIMFは日本の消費税は15%(財界は20%とも言っています)まで必要としていると勧告しています。消費税の「逆進性」のことは、当初から政府も周知のことであったのですが、消費税の誕生秘話を知らない国民が増えてきています。再度、消費税ほど不公平で「強きを助け、弱きを挫く」ものだと言うことを国民が真剣に論議すべきだろうと思います。

⑤平成の大合併で、一瞬30万人の人口になり中核市になった下関市(安倍首相選挙区)の人口は、約26万人と約4万人減少しています。また、山口県は後継者が決まっていないランキングでワースト2位(因みに1位沖縄県)です。安倍首相は、外遊での大企業の製品等の売り込みはお上手なようですが、まずは足下のこの下関市や山口県を「ふるさと創生」のモデルケースにして欲しいものです。しかし、首相が適材適所で選んだふるさと創生大臣のいきなりの「スキャンダラス」と「上から目線」の言い訳、首相はこの国と地方を平気で切り捨てるおつもりなのでしょうか?

『3』私たちにできることってどんなこと?

①マスコミに、「不公平な税制」や「いびつな予算の使い方」をどんどん書いてもらうことが大事だし、ジャーナリズムの本質は「国家権力」に対する批判精神だと学生時代に「マスコミ論」という講義で学んだ記憶があります。骨太の方針で書かれている来年10月からの消費税の税率アップと軽減税率の問題点について一大キャンペーンを張ってもらい世論を喚起してもらうことが大事です。特に、軽減税率は「逆進性」が強くなるので富裕層を圧倒的に利することを書いて欲しいのですが、新聞は食料品と同様に8%の軽減税率になったためいわば「骨抜き」状態となっています。マスコミをその気にさせるのは、やはり世論の力だろうと思います。そのためには、多くの国民が、「知り・学び・行動」に移すことが肝要です。

②軽減税率の対象となるのは食料品の「本体」部分だけなので、それにかかった運送費や包装資材費は含まれていません。つまり今の価格が8%に維持されないことをほとんどの消費者に知らされていません。

卑近なことかもしれませんが、「井戸端会議」や「ママ友」などの日常会話の中で、そのことから出発するのが大事だろうと思います。そうすると、「なぜ?」という疑問符が必ず生まれて来ると思います。私たちにできることは、一番生活に密着したことから始まり、それが「燎原の火」のごとく大きくなることだろうと考えます。

③安倍一強体制にしたのは、私たち有権者にもその責任の一端があるのかもしれませんが、小選挙制度の問題(3割の得票率で7割の議席が獲得できる)と合わせて、特に若い人の政治的関心と投票率を上げるような工夫が必要です。その点では、アメリカの中間選挙の民主党の躍進には学ぶことが多いと思います。そして、個人的な見解ですが、政治を弄んでいる感がする今の与党には投票しない世論を形成すべきではないと考えます。

憲法を中小企業経営の視点で捉えると~マネジメントの常識を覆す次世代組織論の出現~

経営コンサルタントの奥長弘三先生は、山口県中小企業家同友会の主催している「経営指針塾」の初期の頃、東京から薄謝で何度も足を運んでいただきました。

その奥長先生が毎月、私にメールで「朋友だより」と言うニュースレターを送付してもらっています。おそらく「朋友」という意味は「For You」と言う英語をもじったものだと思います。

その「朋友だより」の中で、「次世代組織と日本国憲法」を重ね合わせた特集を組まれていましたので、それを要約してご紹介します。

このテーマになっている書籍は『ティール組織―マネジメントの常識を覆す次世代組織の出現―』F、ラルー著(鈴木立哉訳、英治出版 2018年1月)です。奥長先生によると、まさに従来の常識を覆す次世代型組織の実例が12件、世界から集められているそうで、収録の条件としては①最低5年以上継続していることと、②少なくとも100名以上の従業員を抱えているところで、事業分野としては、小売り、メーカー、エネルギー、食品、教育、医療に及ぶそうです。

 

ティール組織の特徴

事例の紹介は割愛しますが、ティール組織の特徴を5つにまとめてあります。

1.規模の大小に関わらず、内部の運営は10~30人程度の少人数のチーム制になっています。このチームが売上、顧客との関係、採用、教育などについて権限を持っていることです。

2.自主経営、全体性そして存在目的の追求がディール組織が重視する3つのポイントです。

自主経営…社長や管理職からの指示命令からでなく、メンバーや組織が自律的に機能する。

全体性…一人ひとりのメンバーが自分らしさを取り戻す。メンバー全員の能力が存分に発揮されている状態。

存在目的…組織が何のために存在し、今後その方向に向かうのかを常に探求し続ける組織であること。

3.意思決定の際の助言システムが有機的に機能しています。誰がどんな意思決定をしても構わないことになっています。ただし、その意思決定の専門家に助言を求めることが義務づけられ、その助言に基づき討論をし、その助言を採用するかどうかは、本人に任される。

4.CEO(最高経営責任者)が交代すると、従来型の組織に戻ることがあります。

5.ティール組織は、ゼロ成長、循環型経済を想定しています。

 

日本にも存在している次世代型組織

実は、日本にも次世代組織を模索している組織があります。奥長先生も私も長らく学ばせていただいている中小企業家同友会では、以前から経営者と社員が、双方の信頼関係をもとに、経営指針(同友会の用語で、経営理念、経営戦略、経営計画の三点セットをそのように呼んでいます)にもとづく全員参加型経営と社内で自由闊達な意思素疎通のできる社風をめざして努力しています。そこでは社員一人ひとりが生き生きと目標を持ち、自主的に働くこと、そして働く中で成長することが追求されます。その結果、厳しい経営環境の中で、順調な業績を上げている企業が多数生まれています。

 

税理士法人総合会計の次世代型組織の挑戦

わが税理士法人総合会計も、極めてユニークな経営を試行錯誤でやっています。新山口駅至近にある本部事務所が18名、新南陽駅至近にある周南事務所が7名、中国道の下関インター至近にある下関事務所が7名の合計31名(税理士4人を含む)のスタッフが働いていますが、本部事務所から周南事務所と下関事務所の距離はそれぞれ約60㌔離れています。しかし、同じ経営理念に基づき、日頃は顔が見えないけれど、それぞれの事務所から複数名の経営に携わるメンバー(経営委員)と言いますが、その経営委員が、基本的に毎月第2火曜日の午前の2時間会議を開催し、それぞれの事務所の顧問先様の事業及び業務内容の特徴の報告や、運営に関わることを決めます。それを「サイボウズ」というグライドベースのグループウェアで共有化しています。

また、それぞれの事務所は毎月のはじめに「月初会議」という意思統一の会議をします。そこに、一昨年私と代表を交代した中村代表が参加し、それぞれの事務所の雰囲気や事務所全体としての方針などを伝えます。

併せて、3つの事務所が年2回(6月と12月)、スタッフからヒアリングをして、その意見を反映させた事務所総会をスタッフ全員参加で実施します。内容はその期の決算報告と前年の総括、今年度の方針を発表し、それを各事務所のスタッフをばらばらにしてのグループ討論で深めます。もちろん、グループごとに討議の内容を報告します。いろいろな意見が出ますが、その意見を反映させた方針書を経営委員会の責任で作成します。中間決算の報告を兼ねて、その方針の軌道修正をします。決算総会と同じくグループ討論で深めていきます。私たちの税理士業界も凄く動きが速いので、ときには大きく方針を変えることもあります。

その繰り返しを重ねそれぞれの事務所の地理的な距離は離れていても、それぞれの事務所が税理士法人総合会計として融合できるように工夫をしています。もちろん平日の一日を使うわけですから、その中に様々な研修を織り交ぜます。そして、6月には暑気払い、12月には忘年会を実施しています。そんな取り組みを試行錯誤しながら、「全職員一体型経営」をめざしています。

完成形になるのは「何時」になるかは分かりませんし、どこまでも完成しないかもしれません。私たちと同じような組織運営をやっている会計事務所が、年に一度持ち回りで二桁の事務所が参加する「会計事務所交流会」というものをやっています。今年は、10月12日に浅草でやりました。来年は、大阪でやることが決まったそうです。山口でも今まで2回ほど主催して全国の先進例や悩みを共有しています。

 

会社は誰のものか

話をもとに戻します。奥長先生のニュースレターには、『日本でいちばん大切にしたい会社』と言う本を既に6冊書かれて、全国で講演も積極的にされている法政大学、坂本光司教授が、会社が大切にすべき5人を掲げられています。そして、その順番が大事だと主張されています。

1.社員とその家族

2.外注先・下請企業の社員

3.顧客

4.地域社会

5.株主、出資者

会社は、誰のものかという論議が一時、流行ったことがありましたが、坂本先生流に解釈すれば、社員のものであると思いますし、わが税理士法人総合会計も「全スタッフのもの」となりますし、それが理想だと考えています。

 

次世代型組織と日本国憲法が想定している社会

さて結論ですが、奥長先生は、次世代型組織は社員一人ひとりの個性が全面的に発揮される組織であり、それはまさに日本国憲法が想定している社会だと論じられています。

以下、その憲法の重要な項目を掲げられています。

第13条 すべての国民は個人として尊重される。

第18条 何人も、いかなる奴隷的拘束を受けない。又、犯罪に因る処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服されない。

第19条 思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。

第27条 すべての国民は、勤労の権利を有し、義務を負う。

第97条 この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得努力の成果であって、この権利は、過去幾多の試練に堪え、現在及び将来の国民に対して、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。

上記のうち、第97条は特別な意味を持っています。憲法は章ごとに区分されており第10章が「最高法規」で第97条から第99条までとなっています。すなわち「最高法規」の章の冒頭に第97条をおいて、人権の重要性をうたい、憲法はそれを保障する法であるから、最高法規なのだということを実質的に示していると考えられています。(伊藤真著『日本国憲法の論点』

最後に奥長先生は、憲法が13条の「個人の尊重」をはじめ、個人の基本的人権を最も大切にしているのは重要で、これからの時代の組織を先進的に示している次世代型組織(ティール組織)が、私たちの憲法が想定している社会と整合性があることは嬉しい限りです、と書かれています。私も、まったく同感です。