月別: 2024年12月

核兵器廃絶は待ったなしの課題です!!~ノーベル平和賞を機に大きなうねりを作る必要があります~

2024年を振り返ると、自民党による企業・団体献金の「抜け穴」である政治資金パーティーを利用しての多額の裏金作りと、その後に発覚した総選挙における政党助成金2,000万円の「裏公認料」の支出が明らかになりました。

その結果10月27日に投・開票された総選挙では、自公連立政権が過半数割れをしました。この問題は、さらに追求して真相を明らかにしなければなりません。しかし政治は着実に民意で大きく変わろうとしています。

明るいニュースは、2024年のノーベル平和賞に、被爆者の立場から核兵器廃絶を訴えてきた日本被団協=日本原水爆被害者団体協議会が受賞されたことです。核兵器のない世界を実現するための努力と核兵器が二度と使用されてはならないことを証言によって示してきたことが受賞理由となっています。日本のノーベル平和賞受賞は、1974年の佐藤栄作元総理大臣以来、50年ぶりです。

ノーベル平和賞の授賞式が12月10日ノルウェーの首都オスロで行われ、メダルと賞状が授与されました。演説を行った代表委員の田中熙巳さんは「直ちに発射できる核弾頭が4,000発もある」「核のタブーが壊されようとしている」「人類が自滅することがないように、核兵器も戦争もない社会を求めてともに頑張りましょう」などと訴えました。さらに田中氏は原稿にはなかった「原爆で亡くなった死者に対する償いを、日本政府は全くしていないと言う事実をお知りいただきたい」との言葉を繰り返しました。

田中氏ら3人は、授賞式の翌日ノルウェーのストーレ首相と面会し、「日本政府が私たちの声に十分に耳を傾けているかと言えばそうではなく、日米同盟の中で核兵器禁止条約にすら署名も批准もしないという態度を持ち続けている。核戦争被害国と言っている日本が先頭に立たないといけないので、帰国後、政府に対してまず核兵器禁止条約を固めて、最終的には速やかに核兵器をなくすまで指導性を発揮するよう要請したい」と述べました。

いま、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が続き、プーチン大統領は核兵器の使用の可能性をちらつかせて威嚇しています。国連のグテーレス事務総長は「かつては考えられなかった核兵器を使った紛争がいまや起こりうる状況だ」と強い危機感を示しました。

こうした流れを食い止めることこそ、唯一の被爆国である日本の役割であり責任でもあります。たとえアメリカの核の傘の下にあってもそれは変わりません。政府は核兵器禁止条約の締結国会議へのオブザーバー参加を含め、より積極的で実効的な一歩を踏み出すべきでしょう。核兵器廃絶は待ったなしの課題です。

ところが、現在のところ石破茂首相に、唯一の被爆国の首相として、核廃絶への責任を担う意思がうかがえないことは甚だ残念です。

一方で世論調査会では、核兵器禁止条約に日本が「参加するべきだ」とした人が6割を超えています。今、政治の力関係が大きく変わりつつあります。ノーベル平和賞の受賞を力に、さらに世論を喚起して、核なき世界、戦争なき世界の実現のために、思想や信条を乗り越えて、日本が果たすべき役割を実行に移す年に2025年がなればと切に願っています。

経営理念とともに歩み続ける総合会計~事務所の発展はその質と量のバランスにあります~

年に二度開催している事務所の総会は経営理念の唱和から始まりました。総会には4カ所ある事務所のすべてのスタッフが参加します。改めてその経営理念を紹介します。

 

一、納税者の権利を守り、中小企業と国民を大切にする税制の実現をめざします

一、地域とそれを支える中小企業の繁栄のため、税務・会計・経営のエキスパートになることをめざします

一、みんなで創造し、みんなで成長しあえる、働きがいのある事務所をめざします

 

まず、本日のグループ討論のテーマが、「就業規則」の改定であったことは、経営理念の3番目の「みんなで」というキーワードに該当します。各グループで発表した意見について、直ぐに予算・人事委員会などが対応し、来月までに成案を作成することになりました。

中村代表の全体総括ならびに方針案の(1)の「ワンストップで経営相談ができる総合型会計事務所を目指します」は、総合会計のネーミングと同時に経営理念の2番目です。

方針案(2)の「総合会計の成長を後押しする『強い組織』を目指します」は、経営理念の3番目と合致しています。「経営委員会」に代わり、新たに「管理・運営委員会」「予算・人事委員会」「採用・研修委員会」の三委員会を立ち上げて事務所を運営していくと同時に、労働検討委員会でスタッフの声を聞く組織は、経営理念の3番目に合致します。

方針案(3)の「未来志向の『提案サービス』ができる事務所を目指します」は、経営理念の2番目です。関与先の成長は、スタッフの成長と事務所の成長につながります。

方針案(4)の「専門チームの設置を目指します」は、経営理念の2番目に沿うものです。税務調査を主に担当している熊野所長の「税務調査に強い事務所」と言う発言は経営理念の1番目です。社労士法人の三藤代表の「相談しやすい雰囲気を創る」は経営理念の3番目です。総括や方針、それぞれの発言などが経営理念に密接につながっています。

閉会挨拶で私は、まず「業務の質」について話しました。仕分け入力をしているスタッフに尋ねました。A さんは「上司に言われてしているんですよ」Bさんは「決算書を作るためにしているんですよ」Cさんは「入力を早く正確にすることで事務所の生産性を上げると同時に、その結果を顧問先の社長と共有し、その会社の未来を語るんです」と答えました。携わる仕事の目的や意味を理解するのとしないのでは、自ずと業務の質は変ります。

次に、事務所の発展について話しました。スタッフに尋ねました。総合会計をどんな事務所にしたいの?Dさんは、「県内で一番の事務所にしたいんです」と答えました。これは量の課題です。Eさんは「世界一の事務所にしたいんです」と答えました。これは質の課題です。私たちにとって大事なことは、量を追求しながら質の向上を図ることで、しかもそれをバランス良く追求することが何より大事です。

最後に、苦戦をしている税理士試験のことを問題提起しました。事務所の安定的な成長と発展をするには、資格の取得は不可欠です。事務所の方針に位置づけることが大事です。

回を重ねるごとに、総会が充実しています。経営理念とともに事務所は発展しています。

選択的夫婦同姓を考える~早期実現は多くの国民の願いです~

選択的夫婦別姓は、婚姻関係にある夫婦が別姓を望む場合に、同姓・別姓のいずれかを強制するのではなく、改姓するかどうか(結婚後も夫婦がそれぞれ結婚前の姓を称するかどうか)を自ら決定する選択の自由を認めるものです。

最近の各種世論調査において選択的夫婦別姓制度の導入に賛成する割合は、反対の割合を大きく上回っています。朝日新聞の世論調査(7月22日付)では制度導入に「賛成」とこたえたのは73%、自民党の支持層でも64%にのぼっています。地方議会においても、国に対して選択的夫婦別姓制度の導入を求める意見書を採択する動きが加速(今年10月現在426件)しています。

経団連も10月1日、「選択的夫婦別姓の早期実現を求めるシンポジウム」を開催しました。選択的夫婦別姓をめぐっては、経団連は6月18日に提言「選択肢のある社会の実現を目指して~女性活躍に対する制度の壁を乗り越える」を公表しています。

女性への差別撤廃を目指す国連の委員会は、ジェンダー平等に向けた日本政府の取り組みに対する見解を発表し、夫婦が同じ名字にすることを定めた日本の民法について、改正を求める勧告を出しました。国連の委員会が夫婦同姓を定めた民法について勧告を出したのは、今回で4回目です。

かつてない世論の高まりを前に、自民党総裁選で制度導入に「選択的ということなんだから、それを拒否する必要はない」と積極的な姿勢を示していた石破茂氏も、首相就任後は、国民の間にさまざまな意見があるということを理由に「さらなる検討を」と慎重姿勢に転じてしまいました。

そもそも、自民党はなぜ反対を続けてきたのでしょうか。それは保守派の強い反発があるからです。その背景には「日本会議」があります。日本会議は、美しい日本の再建と誇りある国づくりを掲げ、政策提言などを行う民間団体です。その主張は、「家族の一体感を損なう」などです。そこには古い家族観・価値観に固執する姿勢があります。

世界で夫婦同姓を義務づけているのは日本だけです。民法は婚姻時に「夫又は妻の氏を称する」と定めていますが、改姓をするのは現在も95%が女性です。姓を選択する権利が事実上否定され、改姓や旧姓の通称使用による不便や不利益の多くが女性に押しつけられています。

氏名は個人の人格の象徴です。姓を変えることはアイデンティティーが奪われると感じるなど個人の尊厳を脅かしています。そのため、夫婦同姓でなければ結婚できない現行制度は「法の下の平等」「婚姻の自由」をうたう憲法に反するとして、多くの訴訟も起こされてきました。

世の中の流れは明らかです。石破氏は所信表明演説で冒頭、「民主主義のあるべき姿とは、多様な国民の声を反映した各党派が真摯に政策を協議し、より良い成案を得ること」と述べました。選択的夫婦別姓が建設的な論議を通じ早期の実現ができることを切に願います。