月別: 2025年7月

みんなで参院選に行きましょう!!~政治を変えるのは主権者である私たちです~

7月20日投開票を迎える参議院選挙も残りわずかになりました。そこで気がかりになるのは、投票率です。総務省によると、国政選挙の年代別投票率は、令和6年10月に行われた第50回衆議院議員総選挙では、10歳代が39.43%、20歳代が34.62%、30歳代が45.66%となっています。(全年代を通じた投票率は53.85%)。また、令和4年7月に行われた第26回参議院議員通常選挙では、10歳代が35.42%、20歳代が33.99%、30歳代が44.80%(全年代を通じた投票率は52.05%)という内容になっています。全世代を通じた投票率は50%をわずかに超えていますが、特に若い世代の投票率は30%台~40%台と低迷しています。若い世代の政治参加が稀薄になっていることは大きな問題です。

投票率の歴史をたどると、戦後の復興が進み、民主主義が根づきはじめた1958年の衆議院選挙では、投票率76.99%という戦後最高の数字を記録します。1980年の選挙でも74.56%と高水準が続き、選挙への関心の高さがうかがえました。ところが、1996年には「小選挙区比例代表並立制」が導入され、選挙制度が大きく変わり、この制度改革により、政治への距離感が生まれます。その結果、1996年には投票率59.65%と、戦後で初めて60%を下回る事態に。さらに2014年の総選挙では52.66%を記録しました。その後も特に若い世代を中心として、選挙離れが続いています。世界200カ国・地域のなかで158番目の低さで、主要7カ国でも最低の数字です。

今度の参議院選挙は、衆議院で少数与党となる中、参議院で与党側が非改選の議席とあわせて過半数を維持できるか、野党側がそれを阻止できるかが焦点で、与党が過半数を維持するためには50議席の確保が必要となります。つまり今回の選挙結果で、政権が変わる可能性が現実味を帯びているのです。

個別の争点としては①物価高対策として、現金の給付なのか消費税減税、あるいは廃止かです。②米と食料自給率も重要です。消費者、農家双方にとって利点がある政策はどうあるべきか。食糧自給率を上げる手立てをどうとるのか。③今年度末で成案できなかった自民党議員の裏金に対する問題をどうするか。企業・団体献金を無くすかどうか。④トランプ関税に対する対応が問われています。特に中小企業に対する資金繰り支援などをどうするか。⑤税制では、基礎控除の引上げと大企業や富裕層に対する課税をどうするか。⑥社会保障については、高すぎる国民健康保険や社会保険料をどのようにするか。また保障をどうしたら手厚くできるのか。⑦選択的夫婦別姓制度の改正や国際的に遅れているジェンダーギャップ指数をどう引き上げるのか。⑧戦後80年の節目にどのような防衛政策をとるか。⑨今、急浮上しているのは外国人に対する対応です。差別、排外主義の政策が妥当かどうか、など考えなければならない課題はたくさんあります。

失われた30年と言われ、一人当たりのGDPが韓国にも抜かされたわが国が再生するには、どうしても政治の力が必要です。主権者として、一人ひとりがその権利を行使すれば、政治を大きく動かせる可能性があります。みんなで、参議院選挙の投票に行きましょう。

参議院選挙で問われるのは何でしょうか?~税のあり方として消費税の減税が求められています~

参議院選挙は、7月3日公示、20日投開票の日程で行われます。重要な争点のひとつが物価高への対策です。その中身について「現金給付」か、それとも「消費税減税」かが問われています。今度の参議院選挙では、私たちの家計に直接影響する「消費税」のあり方が、大きな議論の的になります。現在、消費税率は10%(食料品などは8%)ですが、この税率を今後どうしていくのか、各政党の考え方には違いが見られます。

与党である自民党の立場は現在の消費税率10%を維持し、その税収を年金・医療・介護といった社会保障制度を支えるための重要な財源と位置付けています。一方、野党からは、現在の物価高騰による家計負担の軽減や経済全体の活性化を目的として消費税の減税を求める声が上がっています。税率を5%へ引き下げる案や、一時的に消費税を凍結するといった案などが主張されています。ただし、減税を実施した場合に、その分の財源をどう確保するのかなどで、各政党間で具体的な政策内容やその実現方法に違いが見られます。

税構造の変化をみてみると、消費税がスタートした1990年度と2024年年度の主要税項目(消費税、所得税、法人税)の税収の比較をすると、消費税(税率3%)は4.6兆円だったのが現在(税率10%)には24.3兆円、+19.7兆円、所得税は(最高税率70%)26兆円だったものが現在(最高税率45%)には20.1兆円、△5.9兆円、法人税は(税率40%)で18.4兆円だったものが現在(税率23.2%)には18.1%、△0.3兆円になっています。

このことから、消費税率を引き上げ、反対に所得税率や法人税率を引き下げることによって、税収構造が大きく変化し、消費税は導入当初言われていた「補完税」から「基幹税」となり、今や税収の中で最大になっています。税制の根幹は「公平性」です。つまり、垂直的公平( 経済力のある人により大きな負担を求めること)と、応能原則(経済的な能力に応じて税金を負担すること)が求められています。そういう観点からすると、消費税は不公平な税制です。「逆進税」とも言われ、所得が高ければ高いほど税負担が低くなり、所得の少ない人やない人にも買い物の度に容赦なく税負担を強いられます。

この参議院選挙で問われるのは、単に「物価対策」だけでなく、税の根幹として消費税をどう捉えるかです。もちろん、消費税減税はすべきだと思いますが、その税収減をどのように埋め合わせるかも同時に考えなければなりません。税収増は可能です。所得税の最高税率(45%)を引き上げることや金融所得の優遇税制(現行は所得税・住民税を併せて20%)の抜本的な見直しをすればできます。また、法人税では、比例税率(23.2%)の見直しと累進課税化そして、さまざまな特権的な減税制度、例えば試験研究費減税は総額9479億円で、上位10社だけで全体の3割を占める減税の廃止も見直しなければなりません。

私たち有権者は、この参議院選挙のなかで、物価高のなかで賃金が上がらない昨今の状況を踏まえ、消費税のあり方を短期的だけではなく、長期的にどのようにすべきかを考える機会と捉えることが大事だと思います。個人的には、消費税を将来的に廃止して、贅沢品などについて課税をする旧「物品税」の復活があるべき公平な税制だと考えています。