カテゴリー: 経営環境

ボン税務署訪問記~アポなしの日本人に会ってくれた税務署員~

前回に引き続きドイツでの訪問記を書きたいと思います。ちょうどクリスマスシーズンということもあってか、ベルリンの壁崩壊の前の西ドイツの首都であったボンの街もご多分に漏れずドイツらしいクリスマスマーケットで賑わっていました。歴史を感じるボンの市街をぐるりと一周回ることにしました。近くの教会、生誕地が彼の地であるベートーベンの像、そして、かの資本論(2013年に「共産党宣言」とともにユネスコの世界記憶遺産に登録された。)の執筆者であるカール・マルクスが学んでいたというボン大学(娘の出身大学の提携校でもありました。)の散策をすることになりました。大学へは立ち入り自由で、学生がくつろいでいる喫茶室、図書館などものぞきました。荘厳という形容詞が似合うキャンパスで、大学そのものが博物館のようになっています。

少し歩いたところにボン税務署があります。いよいよ今日のメーンイベントです。受付は全面ガラス張りで、受付の職員とはガラス越しで話すようになっています。もちろん写真撮影は禁止です。1階の受付を通り過ごして上の階へ行きました。1人の職員に対し1部屋のオフィスとなっているのは娘が勤めるドイツ国際平和村の事務所と同じです。3階へ上がろうとしたとき、50歳前後と思える男性職員が廊下を歩いていて娘に声をかけてきてくれました。

「何か用ですか。」娘は「私の父は日本の税理士で見学させてもらっています。」と説明したら、いきなり持っていたチョコレートとドーナツを私たちにくれて「私の部屋で話しをしましょう。」と誘われ、さらに上の階の彼の部屋に案内されました。

彼の仕事は、大きな法人の税務調査を6人1組でやっていると説明してくれました。驚くことに、ジーンズにカジュアルなシャツ姿です。また、ラジオを聞きながら仕事をしています。日本の税務署員の職場環境や仕事ぶりとはかなり異質です。娘の通訳で分かったことは、彼の仕事(法人税の税務調査)で最高の申告漏れの発見は5,000万ユーロ(1ユーロ130円で換算すると日本円にして65億円)、びっくりするような金額です。また、ボン税務署での最高額は、7億ユーロ(同じく910億円)の申告漏れだったようです。そんなに大きくない税務署でも、追徴税額の多さには驚きました。

ドイツでの法人税の基本税率は15%ですが、お隣の国のルクセンブルクに本店を移転させれば1%の課税で済む仕組みになっているそうです。ドイツでも日本や米国、英国などの先進国と同じくタックス・ヘイブンによる課税逃れに随分と頭を抱えている彼は饒舌?に話しています。娘曰く、「日常会話ならそれなりの通訳ができるけど、税金などの専門用語はよく分からないから、彼がそこらあたりを配慮してわかりやすい言葉に置き換えてくれて、メモ帳に単語を書いてくれたので助かった」と話してくれました。

彼は普段ラフなスタイルで仕事をしているそうなのですが、上司と週に1回の打合せと税務調査の1日目だけはネクタイをすると言ってロッカーからショッキング・ピンクのネクタイを見せて貰ったときはあまりの「ド派手さ」にびっくりしました。

また、個人課税のことは自分にはよく解らないので良い人を紹介しようとすぐに電話をしてくれました。紹介された方は個人課税のトップの人だったのですが、12月中旬ですごく忙しくて手が放せないので対応できないとの事でした。

クリスマスにみんなが好んで食べる焼き菓子のシュトレンをもらい記念写真も気楽に撮ってもらえました。娘が言うには、とかく税務署は愛想が悪いと事前に聞いていたので、彼と話せたのは幸運だったみたいです。

1階に降りて受付の女性職員に「税金に関するパンフレットを貰えませんか」と言うと、受付の責任者の人が地下室まで行って二種類のパンフレットを渡してくれました。この分厚く、豪華なパンフレットを娘に「後日訳してもらいたい」とお願いすると、ざっと見ただけで、専門用語とドイツの税制が書いてあって、まるで分からないらしく、「時間があればね」と上手くかわされました。

現職のドイツの税務職員と生で話ができたという満足感、高揚感を癒しに、駅前のパン屋さんでココアを呑み、マクドナルドでハンバーガーとコーヒーを注文しました。ココアとコーヒーは19%の税率、ハンバーガーは食料品なので軽減税率適用なのか7%の税率、また、同じ食べ物でも、カフェではテイクアウトでなく店内で食べると30セント(約40円)高くなるという仕組みになっていました。

日本の消費税が2019年から8%から10%にあがる際に、食料品が8%の軽減税率の適用になれば、それは、今後の消費税のさらなる増税の狼煙(のろし)になるのではないか危惧しています。それは、ドイツでは標準税率19%と軽減税率7%の差が12%あるのに対して、日本の場合は僅か2%しかないことです。また、インボイスの仕組みも定着させなければなりません。納税義務者や税理士事務所に過大な負担がかかりますし、免税業者も課税業者の選択をしなければ、経済の仕組みから抹殺される危惧があります。

私見ですが、消費税は増税をやめるべきです。反対に、5%から8%に消費税が増税して以来、消費者の購買意欲は削がれています。この際、消費税を元の5%に戻すべきです。さらに、先祖返りをして、消費税は廃止し、「個別物品税」に戻し、「基幹税」から「補完税」にすべきだと思います。消費税の逆進性をなくすには、その道しかありません。

あくまで、租税の基本は「累進課税」です。ICTやAI技術が進化すればするほど、「個別物品」の把握と税率の改定は容易にできるはずですし、末端の業者が価格を転嫁できないことはなくなります。サービスへの課税も財務省の主税局が知恵を絞ればできるのではないかと思います。

そして、課税庁にあっては、「滞納」ということが極めて少なくなるメリットが出てきます。高級車に乗りたい人は、25%の税率でも購入するでしょうし、農業で使う軽トラックが0%ならば、農業の自給率も上がるかもしれません。

ドイツの税理士との懇談~こんなにも違う税理士の仕組み~

私の二女は、ドイツ国際平和村の事務局で働いています。女優の東ちづるさんは、戦場で傷ついた子どもたちのリハビリなどをしているこの会を支援してくれており、また「ウルルン滞在記」などで取りあげてくれてご存じの方もいらっしゃるかもしれません。

二女の強い要望で私たち夫婦がドイツとお隣のオランダを旅することになりました。何と、滞在費用一切は娘が出してくれました。何とありがたいことか。

ついでにドイツの税理士と直接話してみたいとの所望を実現してくれました。娘が住んでいる近くで開業している少しお年を召された方でしたが、貴重な体験でした。税理士制度は、ドイツ、韓国、日本で古くから制度化され、文献ではなく実際に実務をされている税理士と話がしたかったからです。

懇談する日は、勝負服として日本から持参した大島紬で訪問しました。午後3時の約束ですが、3時ちょうどに娘のアパートを出て、徒歩約2分のところにある税理士事務所兼自宅にしている税理士のお宅へいきました。日本では約束の時間5分前に到着して待っているのがビジネスの常識だとされていますが、ドイツでは約束の時間より2~3分程度遅れて会うのがエチケットとされているそうで、同じ「まじめ気質」の日本人とドイツ人の待ち合わせ慣習も違うことにまた異文化を感じました。

玄関で40代の女性が日本語で「こんにちは」と挨拶してくるのでビックリしました。オフィスは女性とその女性のお母さんともう一人の男性の三人体制で運営していることがわかりました。事務所の様子を少しですが見せてもらったあとにリビングに通されました。

お母さんは1975年に税理士試験に合格したというからもう38年の経験を持つ大ベテランです。おそらく80歳位の年齢と思われます。娘さんはこの事務所でお母さんと一緒に働いているそうです。お母さんは、「私は、娘が税理士試験に通るまで仕事やめたくてもやめられない。」と言っていたので、恐らくここで娘さんは働きながら試験勉強をしているのであろうと容易に想像できます。娘さんはコーヒーメーカーでコーヒーを入れてくれ、私たちに勧めてくれました。

娘さんも席に着いていくつかのランプシートのローソクに火を灯し部屋の照明が消されました。昼間だけどリビングのテーブルは、ローソクの照らすテーブルの上だけがぼんやり灯りがあるだけで薄暗いのです。改めてドイツはローソクの文化なのだと実感しました。テーブルには何種類かのクッキーが皿に盛られていました。どれが自家製でどれが市販のクッキーかの説明を受けました。ドイツではどこの家でもクリスマス前は自家製クッキーを毎朝焼くのが習慣だと説明され、「どうぞ」という言葉に甘えてすっかりご馳走になりました。

私の質問には、娘さんが中心に質問に答えてくれてお母さんがそれを補足し、娘が通訳をする形式をとりました。

日常業務・・・・毎月、四半期、年一とお客さんとの契約があるそうで、日本とまるで同じです。

法人・・・・・クライアントが法人を設立する場合は、ドイツは書類文化なので大量の書類作成のお手伝をすることになるが、これが大変だということです。

個人・・・大工、医者などの個人営業のところは給与所得とは違うので計算が複雑で大変になるのは日本と変わりません。

相続・・・・子どもだと税金が安くなるが、内縁の妻(意外に内縁関係の夫婦は多いらしい)だと相続権はあるが税率は高くなるそうです。相続の申告には6つの法律を駆使しないといけないので苦労するそうです。

娘さんは以前、デュッセルドルフで日本のある商社の支店で働いていた経験があるとのことがわかり、挨拶程度の日本語がしゃべれるのに納得しました。

税理士事務所・・・・規模の大小さまざまで、一企業に専属している税理士もいるそうです。お母さんの友人は、5人の税理士が事務所を経営していてスタッフが80人の事務所だそうです。オーバーハウゼン市(日本企業が集積しているデュッセルドルフから北へ30キロの人口21万人の小都市)でも約80人の税理士が登録しているそうです。

税理士試験のシステム・・・・受験資格は3年間専門の勉強をするか、税理士事務所で10年間働いていることが条件。まず、200ユーロ(約2万6千円)で受験のための書類を書き、認定を受けるがその認定がなかなか受けられないとのことらしいのです。日本では、受験資格は法改正で比較的簡単になっています。

認定されれば、1,000ユーロ(約13万円)の受験料を払い本試験を受けるのですが、事前にリサーチしていたとおり、人生の内わずか3回しか受験のチャンスがないことはやはり事実でした。ただし、認定料、受験料の高さにはいささか驚きました。勉強して認定を受けて合格するまで平均10年はかかるとされているそうで、日本の税理士試験より難関そうです。

試験は11月第2週目に3日間連続して午前9時から午後4時まで6科目の認定試験を受けます。合格発表は州によって違うそうですが、ほとんどは年内にあるそうです。ここノートラインゼストワーレン州(デュッセルドルフやボンがある州)では、一ヶ月遅れの1月に合格発表があるようです。日本は毎年1回、8月上旬に試験があり、合格発表が12月中旬とはいささか長すぎると思います。受験生の常識となっていますが、合格者の調整(毎年受験者の2%前後しか合格させない。)のための期間です。このシステムも変えないと行けませんよね。

さて、ドイツでは合格の認定がされて本試験までは各人の認定の評価によって違うのでしょうが4週間から12週間程度、予備校へ行かなければならないそうです。大きな税理士事務所はホリデイを与えてくれたり、有休で研修を受けさせてくれたりするそうですが、その代わり2年間その事務所で働くことが条件として付されることもあるということです。合格するのにお金と時間がかかることはドイツ国内でもでもあまり知られていないそうです。

ペーパー試験は成績が良い方から1~6段階の評価があり、5以上は不合格になるそうです。1や2段階の成績で通った受験生がいるとは聞いたことがないそうで、受験者のほとんどが3と4段階の評価で合格するようです。ペーパー試験で合格した後、3月に口頭試問があそうです。出題されてから30分考える時間を与えられるが参考書などは見ることはできないそうです。ペーパー試験と同じ科目から出題され、1科目につき10分で適切な回答をしないといけないとのことです。口頭試問は、日本も司法試験や弁理士試験では課されていますが、税理士試験では課されていません。おそらく、口頭試問を日本の税理士試験に取り入れたら受験者は激減するかもしれません。そうでなくても、私が受験していた頃(四半世紀前)の受験者数は約6万人から4万人を割っているのが実態です。

娘さんは日本で受験して資格を取る方が簡単で早く受かると思うが、日本で取った資格はドイツでは使えないので残念だとしきりに言っていました。

税理士の社会的評価は弁護士の評価と全く一緒であるとのことでした。税務署でも経験と知識を増やすのにかなりの研修があるそうで、その研修を受ければ税務署勤務経験者の税理士試験も通りやすくなるかもしれないが、その研修のレベルはけっして低くないらしいということでした。また、日本のように試験免除制度はあるそうですが、大学教授や裁判官などに限られるそうです。いずにしても日本もかなり難関です。

税務調査は長いものでは2週間あるらしく、税法だけでなくユーロのさまざま法律に適合しているか、労働時間は適正なのかのチェックもあるそうです。短いものでは2時間で終了する時もまれにあるようです。税理士は必ず立ち会いをするのが原則で、税務調査をして税務署の方で納得できない場合は、しばらくして無予告調査がありパソコンも含め一式没収されるそうです。日本でいう査察?に近いのでしょうか。通常の場合では事前通告が税理士のところにされるそうでが、無予告調査では税理士は何もできず、できることといえば弁護士を呼ぶことくらいらしいのです。

話し始めてからすでに2時間が経過、そろそろ娘さんも通訳をする娘も疲れてきているようなので最後の質問としてドイツにおけるタックスヘイブンの事を聞きました。

ドイツでも日本と同じで税金を安くしたいならベルギーに本社を置き、人件費を安くしたいならポーランドに工場を移すことが横行しているとのことでした。税理士(お母さん)の話では「ドイツの付加価値(稼得した所得)はドイツで課税すべきであるが、そうした規制がないことは問題だ」と話しておられました。

ローソクの灯の中2時間半の対話が終わりました。最後にお母さん娘さんと3人でオフィスにて記念撮影をして、またの再会を約束しました。玄関を出るとき娘さんが「さよなら」と日本語で言ってくれたのはとても印象的でした。午後5時、もっと聞きたかったとの思いもありましたが、妻と娘の「もうこれ以上の時間をとってもらうのはご迷惑よ。」との声に寂しくアパートへ帰りました。

何故このような出会いができたのかはひとえに娘のお陰です。ドイツへ渡航前からドイツ人の税理士にぜひ会って対談したい旨のことを私が懇願していました。娘のアパートのすぐ近くに税理士事務所の看板を掲げているのを見つけて思い切って訪問してくれ、私との懇談を実現させてくれたのです。たまたま税理士の娘さんは娘の職場であるドイツ国際平和村との関わりがあることも幸いしたようです。

娘さんの同級生で仲の良いベトナム人がいたのですが、その当時ベトナム戦争があり平和村は南ベトナムの子どもたちを受け入れていたそうです。戦争は北ベトナムが勝利し社会主義政権へ大きく舵を切るのですが、当時の西ドイツは「資本主義社会」でそこで教育を受けた平和村の子どもたちを「北ベトナム」としては受け入れすることを拒否、そのため帰るところを失った平和村の子どもたちは帰国できずに、ドイツで生きていくしかなかったという悲しい歴史があるそうです。そんなベトナム人の友人を持つ娘さんとの出会いは私たちにとって偶然の産物です。そんな機会を与えてくれた娘に感謝します。

 

酒税のあり方について考える

前回「たばこ税」について言及いたしましたが、今回は「酒税」について少し考えてみたいと思います。

「麦芽比率などで異なるビール類の酒税は平成32年10月、35年10月、38年10月の3段階で350ミリリットル缶あたり54.25円に一本化するといった方向です。ビールは現在の77円から減税に、発泡酒は46.99円、第3のビールは28円から大幅な増税になります。」

※産経ニュース 2016.12.8 より引用

ビールの酒税は、高級酒並です。それは、明治初頭に冷蔵技術がないときにそれを冷やすために多くのコストがかかったので、その当時は確かに「高級酒」であったかもしれません。しかし、現在は冷蔵庫のない家を探す方が難しい時代ですが、財務省は一向に税率を下げませんでした。しかし、今度は、ビール各社が競い合って酒税を逃れるために技術開発してきた発泡酒や第3のビールといったものを一本化するという大転換をします。税の原則の累進性とは、反対の方向性です。個人的(あることを機に3年半の長きにわたって現在も禁酒中ですが。)には、その節操のなさと酒税の高さに問題があると思います。海外と比べてもドイツの20倍、アメリカの12倍の高さになっています。庶民のささやかな楽しみであるビールは、ドイツ並みとはいいませんが、せめて半分程度に下げたらどうでしょうか。

「日本酒とワインの税額もそろえる方向です。日本酒は現在、350ミリリットルあたり42円、ワインは28円ですが、32年10月と35年10月の2段階で35円に一本化する方針です。製造方法が同じ醸造酒に区分されるのに税額差があると、日本酒の生産者から反発が出てきたことがその背景にあります。また、手軽な価格で人気のチューハイは350ミリリットルあたりの税額が28円ですが、38年10月に35円に増税することになっています。」

※産経ニュース 2016.12.8 より引用

私の酒税に関する考え方は、ビールなども含め、すべて累進課税にしたら良いのではないかと思います。国税庁の利き酒の専門官、ソムリエなどのプロの利き酒の専門家、醸造所の杜氏など、自薦・他薦を問わず任意で選んだ「われこそは利き酒名人」でチームを組んで、どの種類のお酒にもその味の良さで等級をつけ、高い等級のものには高い酒税を、低い等級のものには低い酒税を酒蔵から出るときに課税をし、どの販売所でも売価も仕入れ価格も同額で、愛飲家がそれをインターネットも含めどの小売店、大型スーパーコンビニで購入しても同じ値段にすれば、①酒税の確保ができる、②醸造技術の向上に資する、③零細小売店の救済にもなるのではないかと思います。

「自由競争を阻害する。」「規制は緩和・撤廃と矛盾する。」という批判が聞こえてきそうですが、「等級選定の公平性」「透明性」を担保すれば可能ではないかと考えます。このことにより、新しい酒文化に繋がっていくのではないでしょうか。

たばこ税のあり方について考える

ご存じの方もいらっしゃるかと思いますが、たばこ税は国税と地方税の両方に課税されかなり多くの税収になっています。さらに、たばこ特別税は、旧日本国有鉄道が、JRとして民間化されたときに処理されなかった国鉄清算事業団の債務の返済にも充てられています。

ここ最近、紙巻きたばこの規制が急速に進んでいます。「徹子の部屋」という長寿番組がありますが、時々追悼番組をしています。以前はそのトーク番組で堂々とゲストがたばこを吸っていましたし、新幹線などの列車でも自由にたばこが吸えていました。

規制の理由としては、紙巻きたばこを吸う人だけでなく、そのそばでその煙(副流煙)を吸う人が、肺がんだけでなくその他の健康被害を及ぼし、結果的に医療費を押し上げるからだといわれています。

そこで「健康被害が少ない」と言うことで、加熱式たばこが爆発的に売れています。加熱式たばこは、タバコの葉を加工したスティックやカプセルを専用機器に差し込んで加熱し、蒸気を吸う方式のものです。現在、国内たばこ市場の1割超を占めるとされています。 紙巻きの税金は1本あたり約12.24円で、一般的な1箱20本入り(440円)の場合、価格の56%にあたる約245円がたばこ税ですが、これに対し、加熱式1箱の価格は420~460円と紙巻きと同水準ですが、税金はフィリップ・モリスの「アイコス(英語でIQOS、『私は普通のたばこをやめます』の頭文字です)」が200円前後、日本たばこ産業(JT)の「プルーム・テック」が約34円と安い税金になっています。

※朝日新聞デジタルHPより引用

また、日本肺がん学会で産業医科大学教授の大和先生は「加熱式たばこは空気を汚さないといいますが、虚偽です。安全性についても有害物質を吸引し、呼出します。本人だけでなく他人にも害をもたらします。加熱式たばこを禁煙の対象外にする自治体や飲食店もありますが、禁煙の場で使用は禁止すべきです。ニコチン依存症も解消されない」とコメントされています。

この加熱式たばこについて、政府は増税する方向で検討に入りました。従来の紙巻きたばこより税金が割安なため、同水準にそろえて税収の落ち込みを防ぐためです。今後、与党や関係業界との協議を本格化させ、年末にまとめる来年度の税制改正大綱に盛り込む方針だそうです。増税の程度によっては、商品の価格にも影響を与える可能性があります。

増税には一定の理屈が要ります。愛煙家への増税と国鉄清算事業団の借金返済にどんな因果関係があるのでしょうか。その点では、愛煙家は国に対してもの申すべきですが、「百害あって一利なし」といわれるたばこを将来なくす方向で考えなくてはなりません。そのためには、禁煙外来をもっと充実させたり、有害物質としての啓蒙も大事です。しかし、大病院のように周辺施設も含めて全面的に禁煙措置をとると小さなスナックなどで来店客数が少なくなるといった声も出てきます。

私見ですが、紙巻きたばこの1箱当たりの標準的な小売価格440円を、フランス並みの一律1,000円にしてみたらどうでしょうか。どうしても欲しい人はそれでも買うでしょうから、そんなに税収も落ちないのではないかと思います。それよりも、私や、私の義理の息子のように30歳で「たばこと縁を切る人」の数が増える方が良いのではないかと思慮します。

 

保険料と保険税の違いについて ~あなたの市町村はどちらでしょうか?~

国民健康保険の保険料は、「保険料」と呼ばれる場合と「保険税」と呼ばれる場合の2通りあります。その違いはどこにあるのでしょうか?

[1] 保険料と保険税、基本的には同じ

国保の運営者である保険者(市区町村)は、保険料と保険税のどちらかを選ぶことができます。国民健康保険法には「国民健康保険に要する費用を世帯主から徴収しなければならない」と規定されていますが、国民健康保険料と国民健康保険税のどちらの方式にするかは、保険者の裁量とされています。つまり、同じ国保という名称であっても、地域によって保険料のところと保険税のところが存在します。保険料も保険税も、基本的には同じです。どちらも市区町村に保険料(税)として納めるものです。また、受けられる医療も同じであり、通常通りに保険料を納めて医療を受ける場合は、保険料でも保険税でも違いはありません。では、違いはどこにあるのでしょうか。

[2] 関連する法令が異なる

保険料と保険税とでは、関係する法令が異なります。保険料の場合は国税徴収法、保険税の場合は地方税法により徴収されます。とは言え、これは私たち国民の側からするとあまり違いが分からないというか、これによって金額が「高い」か「安い」かの差があるわけでもないので、どちらでも大して変わりはありません。しかし、実際には保険料よりも保険税を採用している方が多いです。それには以下の3つの理由があります。

(ⅰ) 保険税は時効が長い

保険料と保険税で異なるのは、時効(消滅時効)の長さです。関連する法令が異なるため、時効に差があるのです。

国民健康保険料・・・徴収権の消滅時効 2年

国民健康保険税・・・徴収権の消滅時効 5年

[2]で関連する法令が異なると述べたように、保険料と保険税では定められている時効が異なっています。

(ⅱ) 保険税は差し押さえの優先順位が高い

これも関連法令に基づくものですが、保険料(税)を滞納して差し押さえになった場合は、優先順位の高いものから弁済を受けることができます。

国民健康保険料の優先順位・・・住民税の次

国民健康保険税の優先順位・・・住民税と同じ

このように、保険税の方が優先して弁済を受けることができます。あくまで滞納して差し押さえになった場合の話なので実際にこの順位が生きるのは稀なケースではありますが、法令上はこのようになっています。

(ⅲ) 保険税は遡って請求できる期間が長い

国保の保険料(税)は、加入の届出をした日からではなく資格を取得した日から課税されます。この届出が遅れると遡って課税されることになります。このとき、過去の滞納分に対して請求できる上限年数が、保険料と保険税で異なります。

国民健康保険料の遡及賦課・・・最大2年

国民健康保険税の遡及賦課・・・最大3年

 

以上のことから、保険税方式の方が国保の運営者(市区町村)にとって有利なので、保険税方式を採る方ところが多いわけです。

加入者側としては、ちゃんと保険料を納めている分には差はありません。滞納したときに違いが出てくる可能性がある、ということになります。

※「国民健康保険ガイド 国保の手続き・保険料・節約術などをわかりやすく解説」より引用

これで良いの?法人税制のあり方~内部留保課税のあり方を中心に考える~

今度の総選挙の中でも安倍首相はしきりに「アベノミクス」による経済効果を掲げていました。確かに、今続いている「好景気」がいざなぎ景気(1965年11月~70年7月の57ヶ月間続いた景気拡張局面)を超えたとの報道がされています。現在の好景気は2012年12月から始まりましたので、2017年9月で58ヶ月になり「いざなぎ景気超え」となるのでしょうが、問題はその中身にあります。いざなぎ景気の間に国民総生産(GDP)は1.63倍に増加しましたが、今回の景気拡張局面では1.06倍にしかなっていないのです。

国民にその実感がないのは、最初に①巨大企業や超富裕層だけが税などの恩恵などを受けていてますます格差の広がりを見せているからです。いわゆる富の偏在です。次に②安倍政権が始まってから実質賃金が年間10万円低下し、1所帯当たりの家計消費も年間22万円も落ちているからです。また、2005年には正規雇用が67.4%あったものが、62.5%と減っている反面、不安定雇用である非正規雇用が32.6%から、37.5%に激増していることも挙げられます。特に若者の不安定雇用が顕著です。これが「少子化」の影響の1つの要因になっていることは明らかです。最後に③今までは中小零細業者は法人であれば法的には強制適応であっても滞納者が増えるとの理由で、社会保険に加入できないことが問題でしたが、この2年前から手のひらを返したように未加入事業者への強制的な加入勧奨で、会社の負担が増え、そこで働く労働者は実質的な手取りがかなり減ることになったからです。

これらのことを実証するように、総務省が10月31日に発表した9月の家計調査によると、1世帯(2人以上)当たりの消費支出は268,802円となり、物価の変動の影響を除いた実質で前年同月比0.3%減少しました。マイナスは2ヶ月ぶり。消費税率を引き上げた2014年4月以後の42ヶ月中38ヶ月が前年割れです。

ところで、この総選挙の争点は「消費税増税の使途」でした。国の借金返済を先送りし「こども」を生け贄にして票をかすめとったとの印象を個人的には感じています。その代替の財源をどうするかということで選挙戦の中で、「企業の内部留保」に課税すべきかどうかが与野党双方からの議論になりました。10月20日の日本経済新聞の「大機小機」というマーケットのコラム欄に「内部留保課税が問うもの」というタイトルでこの問題が取りあげられていました。

記事を要約すると「……経済界は『内部留保は二重課税である』と反対している。そもそも内部留保は法人税等を支払った後に残った利益の集積というわけだ。また、我が国の法人税負担率が諸外国より高いとの経済界からの声に配慮して、2015年には32.11%であった法人税実効税率が来年度には29.74%にまで軽減される減税措置と整合性が合わないという声もある。

総務省の統計によると、内部留保総額は07年には269兆円であったが、年々確実に増加し、16年には406兆に達している。また、現預金は07年の135兆円が16年には211兆円にまで積み上がった。最近のシンクタンクの分析では上場企業の約6割が実質無借金経営である。

しかし、なぜ今内部留保課税なのか。

かねて『企業の6重苦』と言われた事態にたいして、法人税減税や円高対策、そして日銀の超緩和策の継続など、政府や中央銀行はプロビジネス政策を続けてきた。それにも関わらず、企業はリスクをとって事業を展開するとか、従業員への還元を増やすとか、~中略~ただ何かあった時のためにと利益と現預金を蓄積するだけであった。

現に設備投資の水準は1995年以来横ばいで、労働分配率は2001年の75%から67%に下がってきている。そこへの政策当局の不満や憤慨が背景にあると見てよかろう。

~中略~内部留保課税の論議で真に問われているのは、わが国の経営者にアニマルスピリットをいかに取り戻すかということなのだ。……情けないことに。」

私の視点とは多少違うかもしれませんが、このコラムを書かれた人に賛同をします。

中間決算発表のピークの時期ですが、どんどん内部留保は積み増しされる方向に動いていますが、従業員への分配どころか、残業の減少で労働者の賃金は減っています。

日本有数の電機メーカーであった東芝の粉飾、日産自動車に続いてスバルの正規検査員がしたようにして出荷をした改ざん事件や神戸製鋼所のデータ改ざん事件などなど、世界の中でも「メイド・イン・ジャパン」といわれた信頼が利益のためだったらモラルも何もなくなる風潮になっています。

私は、日経新聞のコラムにあったような「ただ何かあった時のためにと利益と現預金を蓄積するだけであった。」という企業には、応分な内部留保課税をすべきだと思います。

安倍首相は「そんなことをしたら、日本の企業は海外に逃げてしまう。」「二重課税が生じてしまう。」などと言っていますが、内部留保金課税をしなくても企業はどんどん海外に逃げています。また、財界人などはしきりに「愛国心」という言葉を言っていますが、真の「愛国心」があれば、応分な負担をすべきです。反対論者からは「台湾が98年から企業の内部留保に対して10%の税金を課し、企業は成長投資に動きにくくなった。」との指摘がありますが、消費税2%の増税での税収効果は約4兆円です。211兆円あると言われている超大企業を中心とした現預金に毎年わずか2%課税すれば消費税の増税の必要性がなくなります。また、二重課税で身近なところでいえば消費税には、ガソリンやたばこなど多くの二重課税があります。またそうした課税が「イヤだ。」という企業には、設備投資や人材投資や賃上げをすればその部分は控除するといった制度設計にすれば良いのではないでしょうか。

また、アメリカが実施しているような法人税の累進課税(15%~35%)をすべきだろうと思います。それとともに菅隆徳税理士が試算しているような租税特別措置法を使った大企業の減税額6.4兆円を廃止する、この間の法人税の引き下げによる減税額7.5兆を元に戻せば併せて14兆円の財源が生まれます。

「大企業栄えて、民滅ぶ」にならないように、立法府や行政府は真剣に法人税課税のあり方を考えて欲しいし、8時間働ければまともな暮らしができるような制度設計を本気ですべきだろうと思います。また併せて、「大企業と中小零細企業」と「超富裕層と貧困層」の格差是正にも本腰を入れて欲しいものです。

失われかけようとしている「ものづくり大国、ニッポン」の誇りと使命を国民全体で、自らのものとして考えて行ければ良いと真剣に思っている今日この頃です。

与党の衆院選大勝と小選挙区制、政党助成金を考える~国民は手放しで安倍首相を信任はしていない~

今回の総選挙は、与党が3分の2を上回る議席を得ました。戦前は、過半数が目標といっていましたが、次々に当選者が出るたびにバラを貼る首相に満面の笑顔はありませんでした。10月22日の夜、党幹部に「こんなに勝つとは思わなかった。」と漏らしたと新聞報道されていました。

日経新聞10月25日号の試算では、「野党が統一候補を一本化していれば、与党が勝った62選挙区で勝敗が逆転する」と報じていました。現職官僚も何人かは落選の憂き目になっていたのです。「小選挙区制」という、立候補者のうち1人しか当選せず、「死票」がたくさん出てしまうという弱点が露呈しました。総選挙が戦われる中で安倍内閣の支持率は、「共同」調査で45%(9月23,24日)から40.6%(9月30日、10月1日)に下がるなど、下落の一途でした。投票日の出口調査でも安倍首相を「信頼していない」が51.0%、「信用している」が44.1%と言う民意と選挙結果のずれが生じたわけです。現に、今回の自民党への比例票は33.3%しかありませんでした。

安倍首相の笑顔のなさの原因は、一概には言えませんが全国で配布するはずの安倍首相の大きな顔写真が入った選挙用パンフレットが、ほとんど配布されなかったということもあるようです。「今、このパンフレットを配ったら得票数が減る。」という選対の判断だったのでしょうか?あれだけ「モリ・カケ」問題は、「国民に選挙戦で懇切丁寧な説明をする。」と言いながら、演説では、その説明はありませんでした。失業率は3%を下回るほどの「完全雇用」の状態なのに、政府は未だにデフレ脱却宣言ができていません。

私は、個人的には小選挙区制は二大政党に収斂されている国であれば、その良さが発揮できるかもしれませんが、与党の公明党を含め政党が乱立する風潮のこの国では、定数が3~5人の中選挙区制、もしくは、全国を選挙区とする大選挙区制にすることで民意が反映されるのではないかと思います。それと、他の先進国と比べ、選挙供託金の異常な高さがあります。日本であれば小選挙区で300万円、比例代表区での単独候補では600万円という高さで、しかも、有効投票数の10%に満たないものは没収されます。これでは、本当に真面目に選挙に出たい人を阻害する要因になります。因みに、日本の現行選挙制度を模したと言われるイギリスでは約9万円、カナダでは約7万円、アメリカ、フランス、ドイツ等の先進国にはこうした制度はありません。

また、国民1人当たり250円(コーヒー一杯分)を、自分の支持政党なしでもないのに、まったく違う政党に「政党助成金」というかたちで320億円を私たちの血税からから支出しているのも止めるべきです。自分の政党の活動資金を税金で賄わなければならないほど政党運営にお金がかかるのでしょうか。政治資金は、党費や個人献金で賄うべきで、企業や団体からすべきものではないと思います。この制度も、イギリスの110倍の超高額になっています。それでも足らないと、ヤミ献金など不明朗なものがたくさんなります。「お前も悪よのー」と散々マスコミ等で叩かれて「不眠症」で国会を長期ご欠席された元経済再生大臣も、今回の当選で「みそぎ」を受けたのでしょうか?

「国難突破選挙」と銘打った選挙で何が変わるのでしょうか?しかも、600億円の税金を投じてこの時期にしたことに未だに疑問が払拭できていません。10月24日の首相の動向は、夜7時2分、銀座のステーキ店「かわむら」(銀座ステーキ店ランキングで4.52の最高点を上げる店で、最低の値段が特選但馬ビーフステーキ100㌘コースで15,000円)で、今回息子さんに世代交代をされた高村副総裁、二階幹事長、林幹事長代理、塩谷選対委員長などと会食をされています。(日経新聞首相官邸欄より)やはり、食べ物なども庶民とは感覚が違います。

昔は「井戸塀議員」と言って政治家が政治や選挙に自己の財産をつぎ込んで貧しくなり、井戸と塀しか残らないといわれていたように、この国を変えようという志を持った議員が多く存在していましたが、今では世襲制で、蓄財を増やし、恐らく一生のなかで行くことのできない銀座のステーキ店「かわむら」にも日常茶飯事に行けるようになるのでしょうね。これだと、議員をやっている限り、本気で国民の暮らしのありようなどありませんし、国民との接点は選挙や政治献金を集めるときに限られることにならないのではないかと思うのは、決して私だけではないと思います。

基準地価「都市と地方の格差は相変わらず」~地方中枢都市上昇するも山口県では下落の一方~

国土交通省は9月19日、2017年の基準地価(下記に解説)を公表しました。

それによると、全国の地価平均(全用途)は、▲0.6%から0.3ポイント縮小して、8年連続の改善をしています。東京の地価が堅調に上昇するだけでなく、大阪圏、名古屋圏も上昇し札幌、仙台、広島、福岡の4都市の商業地で約8%の上昇となっているのが特徴的です。

上昇率全国一位は、京都市伏見区の「深草稲荷御前町89番地」が29.6%の上昇で上位10のうち6地点を大阪圏(主には京都市)が占めています。これは、インバウンド効果に伴うものだと考えられます。

全国でもっとも高かったのは5年連続で東京都中央区銀座2-6-7の明治屋銀座ビルの地点で、1㎡当たり3,890万円、坪に換算すると約1.3億円弱まさに天文学的な高さですね。

それに比べ、高齢化率が全国4番目に高いと言われるわが山口県は県内地点数309地点(調査対象は17市町)の調査ですが、住宅地の平均変動率は、▲0.8%(昨年▲1.3%)で18年連続の下落をしました。商業地も平均変動率は、▲1.1%(昨年▲1.8%)で24年連続の下落となりました。

平均価格は、住宅地で、1㎡当たり32,800円(昨年33,000円)となりました。商業地の平均価格は、1㎡当たり61,900円(昨年62,500円)となりました。商業地の平均価格と比べると銀座の最高価格の630分の1です。驚くほどの格差が開いているのが実態です。

【基準地価とは、各都道府県が発表する毎年7月1日時点の土地の値段のこと。国土利用計画法施行令第9条に基づいて、全国約2万2千カ所の地価が調査される。発表された基準地価は、土地取引や固定資産税評価の目安となる。

土地の価格には、基準地価以外にも「公示地価」、「相続税路線価」、「固定資産税路線価」など複数の種類があり、それぞれ調査基準や利用目的、発表する機関が異なる。

そのうち基準地価に最も近いのは、毎年1月1日時点での土地の価格を国土交通省が発表する「公示地価」で、こちらも土地の取引価格などの参考にされる。1年の間にも変動する土地の価格を、ほぼ半年の間隔を置いて発表される両者が補完しあっている格好だ。

基準地価も公示地価も国土交通省のホームページで発表されることから両者は混同されがちだが、国土交通省が調査する公示地価と異なり、基準地価の調査は各都道府県が行っている。

実際の調査に当たっても、2人以上の不動産鑑定士の評価額を基に決定される公示地価に対して、基準地価では1人の不動産鑑定士が土地評価を行い、それを基に都道府県が調整を加えて発表するという違いがある。

さらに公示地価が都市部を中心に調査するものであるのに対し、基準地価は都市部以外でも調査を行っていることから、国全体の地価の状況を最も把握できる調査と言える。】

※税理士新聞より引用

「大義なき」衆議院の解散について思うこと

安倍首相は9月25日の記者会見で衆議院の解散を表明しました。それによると同月28日の臨時国会の冒頭で何の審議もなく衆議院を解散し、10月10日公示、22日投票・開票をするという異例な解散です。これは、マスコミによると、戦後4回目の異常事態だそうです。

森友学園問題や加計学園問題に見られる安倍首相や首相夫人の昭恵さんが直接関わる疑惑については、ほとんど解明されないまま通常国会は閉会しました。

野党は、憲法53条にもとづき6月22日に臨時国会の召集を要求し疑惑の徹底究明を求めましたが、これを3ヶ月以上放置したまま臨時国会の冒頭で解散することは、マスコミ報道などにもあるように「疑惑隠し」を狙ったものと言われても仕方ない暴挙です。自民党の内部でも同じようなことを言う人もあり、決して「安倍首相の一枚岩」ではありません。

さらに、解散の最大の理由がとってつけたような「消費税の使い道を、人づくり革命にシフトし、当初の借金返済を先送りするというもの」です。

元々、消費税はその税の性格上極めて「逆進性が高い」別の言い方をすれば、「富裕層に優しく、中間層や低所得者層に大きな影響を与える」という弱点を持っています。

アベノミクスの最大の目標は2%の物価の上昇です。一言で言えば国内の景気回復をすると言うことです。確かに、大企業の業績は4年連続最高益を更新していますが、IMFは「賃金の伸びは弱く、消費の拡大につながっていない」と評価をしています。現に、「実感なき景気回復」という言葉が巷では溢れています。私たちに身近なコンビニの値下げ競争やイオンなど大手のスーパーでも日用品の値下げが起きています。

その被害を被っているのが、コンビニやスーパーに関わっている中小企業なのです。つまり、コンビニやスーパーの戦略の陰で、なけなしの利益をはき出して、赤字覚悟でも付き合わないといけない重層構造に日本経済はなっているのです。因みに、日本の中小企業の占める割合は99%以上であり、そこで働く人は約7割を占めています。こんな状態で消費税の税率アップをし、しかも以前からの公約である消費税の増税は、借金の返済と社会保障に当てるという約束をかなぐり捨てて使途を変えるなんてとんでもないことです。

今やるべきは、消費税の税率アップではなく、むしろ景気が実感できるまで少なくとも凍結することだと考えます。租税の大原則である「累進課税」を強化しこの難局を乗り越えるべきことが本筋ではないでしょうか。

デフレから脱却していない状態で、消費税率を上げると、景気はさらに減速し、家計がますます苦しくなり、子づくりや教育にお金がかけられなくなり、安倍首相の言う「人づくり革命」は、上手くいったとしてもおそらく限定的にしかその効果は得られないでしょう。

経済格差や教育格差など格差問題が言われ出してから久しいですが、このままの途を突き進めば、消費税がこの国を破壊してしまう気がします。

本来ならば、406兆円もの内部留保をため込んでいる大企業やタンス預金を875兆円もしている超富裕層から課税をして、いったん消費税を8%から5%に減税すれば、日本全体の景気が浮揚して、格差問題も解消するかもしれません。

「カッシュ」という言葉を知っていますか?

日本文化かどうかわかりませんが、和製英語や頭文字をつけたものをよく見ます。

例えば、英語では野球なんかで「night game」と言うのを「ナイター」と平気で使っています。また「3k」は、「きつい、汚い、危険」の頭文字の「k」を3つ併せて使っています。

そんな中で、最近なるほどと思ったことがあります。それが「カュシュ」です。

K…knowledge(ナレッジ、知識・学識・学問)

A…attitude(アチテュード、態度・心構え)

S…skill(スキル、技能・わざ)

H…habit(ハビット、習慣・気質)

つまり、良い会社をつくり社会に貢献する仕事などをするときに必要不可欠な要素になります。

ある宴席で、そのどれが一番重要かを職種のまるで違う4人が侃々諤々(かんかんがくがく…大いに論議をすること)やりました。

結論的に言えば、attitude(態度・心構え)が一番必要不可欠なものという結論になりました。つまり、いくら知識があっても、技能があっても、習慣化されていても、態度や心構えは、お客様がこの会社や経営者、社員がやる気があるのかどうかを皮膚感覚でわかると言うことになりました。

言い換えれば、知識や機能や習慣などはその道の素人ではわからないと言うことです。いかに、お客様に「やる気」を感じてもらうか、それが経営の「王道」ではないかということです。

「カッシュ」難しいけれども、大事なキーワードですね。