たばこ税のあり方について考える

ご存じの方もいらっしゃるかと思いますが、たばこ税は国税と地方税の両方に課税されかなり多くの税収になっています。さらに、たばこ特別税は、旧日本国有鉄道が、JRとして民間化されたときに処理されなかった国鉄清算事業団の債務の返済にも充てられています。

ここ最近、紙巻きたばこの規制が急速に進んでいます。「徹子の部屋」という長寿番組がありますが、時々追悼番組をしています。以前はそのトーク番組で堂々とゲストがたばこを吸っていましたし、新幹線などの列車でも自由にたばこが吸えていました。

規制の理由としては、紙巻きたばこを吸う人だけでなく、そのそばでその煙(副流煙)を吸う人が、肺がんだけでなくその他の健康被害を及ぼし、結果的に医療費を押し上げるからだといわれています。

そこで「健康被害が少ない」と言うことで、加熱式たばこが爆発的に売れています。加熱式たばこは、タバコの葉を加工したスティックやカプセルを専用機器に差し込んで加熱し、蒸気を吸う方式のものです。現在、国内たばこ市場の1割超を占めるとされています。 紙巻きの税金は1本あたり約12.24円で、一般的な1箱20本入り(440円)の場合、価格の56%にあたる約245円がたばこ税ですが、これに対し、加熱式1箱の価格は420~460円と紙巻きと同水準ですが、税金はフィリップ・モリスの「アイコス(英語でIQOS、『私は普通のたばこをやめます』の頭文字です)」が200円前後、日本たばこ産業(JT)の「プルーム・テック」が約34円と安い税金になっています。

※朝日新聞デジタルHPより引用

また、日本肺がん学会で産業医科大学教授の大和先生は「加熱式たばこは空気を汚さないといいますが、虚偽です。安全性についても有害物質を吸引し、呼出します。本人だけでなく他人にも害をもたらします。加熱式たばこを禁煙の対象外にする自治体や飲食店もありますが、禁煙の場で使用は禁止すべきです。ニコチン依存症も解消されない」とコメントされています。

この加熱式たばこについて、政府は増税する方向で検討に入りました。従来の紙巻きたばこより税金が割安なため、同水準にそろえて税収の落ち込みを防ぐためです。今後、与党や関係業界との協議を本格化させ、年末にまとめる来年度の税制改正大綱に盛り込む方針だそうです。増税の程度によっては、商品の価格にも影響を与える可能性があります。

増税には一定の理屈が要ります。愛煙家への増税と国鉄清算事業団の借金返済にどんな因果関係があるのでしょうか。その点では、愛煙家は国に対してもの申すべきですが、「百害あって一利なし」といわれるたばこを将来なくす方向で考えなくてはなりません。そのためには、禁煙外来をもっと充実させたり、有害物質としての啓蒙も大事です。しかし、大病院のように周辺施設も含めて全面的に禁煙措置をとると小さなスナックなどで来店客数が少なくなるといった声も出てきます。

私見ですが、紙巻きたばこの1箱当たりの標準的な小売価格440円を、フランス並みの一律1,000円にしてみたらどうでしょうか。どうしても欲しい人はそれでも買うでしょうから、そんなに税収も落ちないのではないかと思います。それよりも、私や、私の義理の息子のように30歳で「たばこと縁を切る人」の数が増える方が良いのではないかと思慮します。