「虫の目」「鳥の目」「魚の目」

「虫の目」とは、複眼思考、つまり「近づいて」さまざまな角度から物事をみることです。

「鳥の目」とは、高い位置から「俯瞰(ふかん)的に全体を見回して」物事を見るということです。

「魚の目」とは、潮の流れや干潮、満潮という流れを見失わないという意味です。

一般論ですが、『情報』は、近づいてさまざまな角度から眺め、そして理解する必要があります。

組織で言えば現場に出かけ、直接『情報』を仕入れるということです。そのとき、一面的な見方をせず、「複眼的」に見るということが「虫の眼」です。

しかしながら、接近しすぎると全体が見えなくなるので一度距離を取り直して、地域や業界という大きな枠からその『情報』を見直す行為が「鳥の目」です。

そして、その『情報』を理解するときに、時代や社会の流れの中で考える必要性があります。それが、どのような変化の中で発生したのかをモニタリングすることが「魚の目」となります。

経営や組織運営に関して、経営者や経営幹部はさまざまな判断を行わなければなりません。あふれかえる『情報』の中から必要なものを集め、分解し、分析し、理解を重ね、次の一手を繰り出していかなければなりません。

その時に、『情報』を「虫の目」で [多角的に眺め]、「鳥の目」で[判断を下し]、「魚の目」で[決断を行う]、というプロセスが必要になります。この「プロセス」は組織の大小にかかわらず「トップ」にとっては必要不可欠な重要な素養になります。

ところが、現実の社会ではどうでしょうか?日産自動車、スバルの相次ぐ無資格検査、神戸製鋼所のデーター改ざん・隠蔽体質など、これまでの日本の「ものづくり」というブランドを揺るがす事件が多発しています。企業の不祥事をあげれば枚挙に暇がありませんが、「自分の会社だけ儲かれば良い」という「新自由主義的」な思考と「規制緩和」がこの国の将来に大きな毀損を起こすのではないかと心配をしています。

近江商人の教えにある「三方良し」の精神、つまり「買い手良し」「売り手良し」「世間良し」をもう一度考えるべきではないのではないでしょうか。