カテゴリー: 経営環境

議員定数の削減の前にやることがあるでしょう!!~消費税減税と企業・団体献金禁止が優先課題です~

10月21日に高市早苗内閣が発足しました。毎日新聞が25、26日に実施した全国世論調査で、高市内閣の発足時の支持率は65%で歴代7番目となる高水準を記録しました。政策面では、物価高騰対策や景気対策を望む声が多く、論戦が本格化する臨時国会で着実に実績を残せるか、少数与党として今後の政権運営のカギになります。

高市内閣の発足にあたり、10日に公明党の斉藤鉄夫代表が連立離脱を表明しました。自民党の裏金問題に端を発した「逆風」は、地方に至るまで両党の間に深い溝をつくっていたからでした。こうして、四半世紀にわたって続いた自民党と公明党の連携に終止符が打たれました。一方、自民党と日本維新の会の連立協議が始まって、わずか5日あまりで、両党は20日、連立政権を樹立することで合意しました。ただ、維新は閣僚や副大臣、政務官を出さない「閣外協力」を選びました。7月に実施された参議院選挙での民意は、消費税の減税と裏金問題の透明化でした。ところが、維新は、消費税減税と企業・団体献金の禁止は棚上げと先送りにしています。

さて今年は、10月から値上げの秋になっています。飲食料品は3千を超える値上げです。国民の暮らしはますます厳しくなっています。物価対策としての消費税減税は待ったなしです。高市首相は参院選前までは食料品の消費税0%を主張していましたが、高市氏は首相になったら、物価高対策として「即効性はない」、レジ対応で「1年くらいかかる」と見解を変えました。しかし、消費税減税は「逆進性の強い税」であることから、即効性はありますし、他国の付加価値税減税までの期間をみても、わが国でも国会で決めさえすれば、長くても3ヶ月程度の準備期間で減税は実施できます。消費税減税は「焦眉の急」です。

維新は、企業・団体献金の禁止を拒む自民党に譲歩して先送りにして、突然、議員定数の削減を持ち出しました。維新は参議院選挙の公約として、企業・団体の禁止を掲げていました。ところがその公約を、高市氏の自民党総裁としての任期の「2年以内に結論」と後退させました。金権政治の温床をそのままにするというのは大きな後退です。維新が主張する「身を切る改革」と言う言葉は一見「聞き心地が良い」ですが、それを言うならば、議員定数削減より政党助成金の廃止を主張するのが本筋ではないでしょうか。

現在、衆議議院の定数は465人で、小選挙区で選ばれた289人と比例代表で選ばれた176人で構成されています。しかし、維新の主張によると、比例代表の枠だけが対象です。比例代表は、中小政党など多様な意見を国会に反映させる仕組みです。換言すれば、比例定数の削減は大政党に有利で少数政党は淘汰され民意の反映はますます遠ざかります。

小選挙区比例代表並立制が導入された1990年当時、小選挙区と比例区の定数按分比率は3対2でした。それをないがしろにして、比例だけを削るのは問題があります。必要なのは、議員定数ありきではなくいかに国民の多様な意見を取り入られる選挙制度です。

高市首相、今やるべきは民意である消費税減税と企業・団体献金の禁止です。高支持率になっているのは、高市氏がこうした民意を叶えてくれるという期待感からだと思います。

3つの壁を乗り越えて共生できる社会に!!~参政党の躍進の中で考えたこと~

7月20日投開票の参議院選挙で参政党は大躍進を遂げました。14議席を獲得し、一挙に議席数を増やしました。これにより、参議院内で単独会派を組んで法案提出権を得る要件(10議席)も満たしました。結党(2020年)後、初めての大躍進で、参院選全体でも自民党、立憲民主党、国民民主党に次ぐ第4位の獲得議席数となりました。

その主張の最大のものは、「日本人ファースト」で、その本質は「排外主義」です。その基本的な考え方は、外国人を排斥するものです。専門家は、「民主主義への脅威」「社会分断の促進」「人権意識の後退」につながるのではないかと警鐘を鳴らしています。

この背景には、人口減と高齢化で、15歳~64歳の生産人口の減少の中で、外国人の割合が急速に高まっていることが要因です。政府は2040年までにその割合が10%を超えることも想定しています。そうは言っても、日本における移民の割合はまだ少なく、主要7カ国の20年の総人口に占める「移民」の割合は、カナダ21.3%、ドイツ18.8%、アメリカ15.3%、イギリス13.8%、フランス13.1%、イタリア10.6%、日本2.2%となっています。

移民の流入増加は、欧州各国では、右派ポピュリストや極右政党の躍進につながっており、一部で政権を主導したり、連立に参加するケースもあります。またわが国では近年、SNS上で外国人に関する誤った情報が広がり、外国人への嫌悪を煽るものも散見されます。

こうした状況の中で、8月20日付けの朝日新聞に大変興味ある記事が載っていました。『瀬戸内の島には今、「三つの壁」がある。広島県江田島市の土手三生(さんせい)市長は8月上旬、地域の実情をこう表現した。「先入観の壁、価値観の壁、言葉の壁。日本人市民の心の中にある壁を取り除くには、課題はある。バラ色ではない。でも、外国人の力を借りないと成り立たない。」

背景には、市内のカキ養殖会社で12年前、中国国籍の技能実習生が社長ら2人を殺害、7人にけがを負わせた事件がある。~中略~事件当時、約520人だった市内の外国人は約950人と倍増したが、人口全体は約6千人減って2万265人に。外国人の割合が急増している。国勢調査(2020年)をもとに試算すると、カキ養殖を含めた県内漁業の20代の担い手は、ほぼ外国人という計算となる。~中略~市が21~22年に行った市民調査では、外国人の6割が日本人と「積極的に関わりたい」と答えたが、同様の回答をした日本人は6%だった。市は18年に国際交流協会を設立し、日本語教室を無料で開くなど交流を図っている。土手市長は「外国人と日本人が共に生活をしている実態が現にある。共生するために、顔と顔が見える関係を作っていきたいと」と話す。』考えさせられる記事です。

受け入れ国と移民が、お互いの努力で統合を図る「社会統合」の必要性があります。一方的に外国人に同化を迫るのではなく、受け入れ国は差別や障壁のない環境を作り、外国人は受け入れ国の言語やルールを学ぶ、簡単ではありませんが、今次の日本の問題解決には必要不可欠の課題です。「真の共生社会」の実現には「3つの壁」の双方向での克服が必須です。

山口宇部空港に自衛隊がやってくる!!~私たちの生命や安全が脅かされる?!~

NHKオンラインは『山口宇部空港で自衛隊の訓練などが円滑に行えるように、国が「特定利用空港」への指定を検討していることをめぐり、村岡知事は8月7日の定例会見で「特定利用空港の指定を受け入れる」と国に回答したことを明らかにしました。

「特定利用空港」は、自衛隊や海上保安庁の航空機の訓練などが円滑に行えるように国が指定するもので、これまでに全国11の空港が指定されています。

村岡知事は、受け入れを決めた理由として、自衛隊や海上保安庁が訓練を行うことを通じ、大規模災害時の住民の避難や物資の輸送の迅速化につながることなどを挙げました。

山口宇部空港が「特定利用空港」に指定された場合、中国地方の空港では初めてとなります。国によりますと、自衛隊が訓練で年に数回程度利用することなどが想定されているということです。

一方で、県内では、「地域の軍事的緊張を高める」などとして、県に「特定利用空港」の指定を拒否するよう求める声も上がっています。

村岡知事は「国には、民間の利用が主であることをしっかり守ってもらいたい。訓練を行う際は、事前に丁寧な説明や情報提供を行い、安全確保に万全を期してほしい」と述べました。』と報道していました。

県民が知らない間に、県民や空港利用者の生命・安心を脅かす可能性があることをいとも簡単に村岡県知事は容認しました。

そもそもこの制度は「総合的な防衛体制の強化に資する」ためとして岸田文雄前政権が2022年12月に閣議決定したものです。自衛隊などが有事(戦時)に使用することを前提に国が改修や整備をする空港・港湾を指定します。戦時に加え平時から自衛隊が訓練や人員・物資の輸送などで軍事利用しやすくするのが目的とされています。

「特定利用空港」となれば平素から自衛隊などの訓練に使われ、大きな事故が起きる可能性も払拭されません。自衛隊の訓練が必要ならば既存の自衛隊基地で行うべきでしょう。

村岡知事は、自衛隊などが訓練を行うことを通じ、大規模災害時の住民の避難や物資の輸送の迅速化につながることなどを挙げました。しかし仮に大規模災害、例えば南海トラフが起きた場合に、優先的に自衛隊などが住民避難や災害派遣をしてくれる保証があるのか甚だ疑問です。さらに、有事の際に山口宇部空港が軍事作戦に利用されれば、国際法上も攻撃対象とされかねません。

今回の受け入れの決定は、受けるメリットより、あまりに大きなリスクが存在します。「大規模災害への対応」と説明していますが、「戦争をする国家づくり」に加担することは決して許されません。山口宇部空港は、県民と利用者の貴重な財産です。軍事目的でなく、平和利用に資すべきです。防衛費の増加がこんなところに使われているのだと思います。私たちが知らない間に「新しい戦前」が、身近に着々と忍びよっています。

不公平税制をただせば財源はあります!~消費税減税を野党は速やかに実施すべきです~

7月20日に投開票された参議院選挙は昨年10月の衆議院に続き政権与党が敗北しました。自民党と公明党は「参院全体で与党で過半数維持」を必達目標と掲げましたが、改選前の議席の66議席から大きく減らし、47議席にとどまる惨敗でした。

この選挙での大きな争点は物価高対策でした。与党が現金による給付を掲げ、野党は消費税の減税・廃止を掲げました。しかし、与党を過半数割れに追い込んだ野党の足並みがそろっているわけではありません。もちろん、政党が違うのでその政策が違うのは当然です。

ところが、物価高はとどまるところを知りません。「小異を捨てて大同につく」ことが肝心で、民意である消費税の減税を待ち望んでいる人々を安心させる必要があります。

そこで大事なのは、財源です。これも野党の各党で異なります。赤字国債の発行や社会保障の削減などまちまちです。しかし、まずただすべきは「不公平な税制」の是正です。

納税者の権利を守ろうという志ある税理士などからなる「不公平税制をただす会」という団体があります。この会の共同代表の菅隆徳税理士は、法人税について「累進税率ではなく一律23.2%の税率のため、大きな利益を上げている大企業には応分の負担になっていない」と指摘し、「実質法人税負担率で見ると、大企業は中小企業の半分しか法人税を払っていない」と述べました。

さらに「租税特別措置」を挙げ、大企業を優遇する政府を批判。根底に企業団体献金があるとして「トヨタ自動車は2022年の減税額5211億円、自民党の資金団体への献金額は5000万円で1万倍の見返りがあった」と述べ、大企業優遇税制を斬りました。ここに企業・団体献金の温床があることが垣間見られます。

今年1月に逝去された経済評論家の森永卓郎氏は、2021年10月21日の毎日新聞のインタビューで、『いまの日本の金融所得課税は不公正税制の象徴だと考えている。所得税は、累進課税となっているから、本来、所得が増えると負担率が上がって当然なのだが、現実には5000万円超1億円以下の所得層の27.9%をピークに、負担率が下がっていく。100億円を超える合計所得を稼いでも、所得税の負担率は16.2%にとどまっているのだ。

「1億円の壁」と呼ばれているこの現象は、なぜ起きるのか。最も大きな原因は、金融所得に適用されている分離課税および定率課税だ。株式の売却益や配当などの金融所得は、他の所得と分離されて所得税が課税される。しかも税率は、所得税15%、住民税5%の定率で、どんなに稼いでも税率は変わらない。年収1億円よりも、年収100億円のほうが所得税の負担率が小さいという事実は、誰がどう考えてもおかしい。

一般的に税金は、額に汗して稼いで得た所得に対しては軽く、あぶく銭には重くというのが大原則だ。ところが日本では、その正反対のことが行われているのだ。』と指摘されています。

赤字国債の発行や社会保障費削減の議論の前に、行き過ぎている「不公正税制の是正」の論議をすることが大事です。TVの報道で、物価高の中で食事を1日1食にしている家庭もあるなどをみると胸が締め付けられる思いです。

一刻も早い消費税減税法案を国会で成立させて欲しいものです。野党の公約を実現するチャンスが今ここにあります。

みんなで参院選に行きましょう!!~政治を変えるのは主権者である私たちです~

7月20日投開票を迎える参議院選挙も残りわずかになりました。そこで気がかりになるのは、投票率です。総務省によると、国政選挙の年代別投票率は、令和6年10月に行われた第50回衆議院議員総選挙では、10歳代が39.43%、20歳代が34.62%、30歳代が45.66%となっています。(全年代を通じた投票率は53.85%)。また、令和4年7月に行われた第26回参議院議員通常選挙では、10歳代が35.42%、20歳代が33.99%、30歳代が44.80%(全年代を通じた投票率は52.05%)という内容になっています。全世代を通じた投票率は50%をわずかに超えていますが、特に若い世代の投票率は30%台~40%台と低迷しています。若い世代の政治参加が稀薄になっていることは大きな問題です。

投票率の歴史をたどると、戦後の復興が進み、民主主義が根づきはじめた1958年の衆議院選挙では、投票率76.99%という戦後最高の数字を記録します。1980年の選挙でも74.56%と高水準が続き、選挙への関心の高さがうかがえました。ところが、1996年には「小選挙区比例代表並立制」が導入され、選挙制度が大きく変わり、この制度改革により、政治への距離感が生まれます。その結果、1996年には投票率59.65%と、戦後で初めて60%を下回る事態に。さらに2014年の総選挙では52.66%を記録しました。その後も特に若い世代を中心として、選挙離れが続いています。世界200カ国・地域のなかで158番目の低さで、主要7カ国でも最低の数字です。

今度の参議院選挙は、衆議院で少数与党となる中、参議院で与党側が非改選の議席とあわせて過半数を維持できるか、野党側がそれを阻止できるかが焦点で、与党が過半数を維持するためには50議席の確保が必要となります。つまり今回の選挙結果で、政権が変わる可能性が現実味を帯びているのです。

個別の争点としては①物価高対策として、現金の給付なのか消費税減税、あるいは廃止かです。②米と食料自給率も重要です。消費者、農家双方にとって利点がある政策はどうあるべきか。食糧自給率を上げる手立てをどうとるのか。③今年度末で成案できなかった自民党議員の裏金に対する問題をどうするか。企業・団体献金を無くすかどうか。④トランプ関税に対する対応が問われています。特に中小企業に対する資金繰り支援などをどうするか。⑤税制では、基礎控除の引上げと大企業や富裕層に対する課税をどうするか。⑥社会保障については、高すぎる国民健康保険や社会保険料をどのようにするか。また保障をどうしたら手厚くできるのか。⑦選択的夫婦別姓制度の改正や国際的に遅れているジェンダーギャップ指数をどう引き上げるのか。⑧戦後80年の節目にどのような防衛政策をとるか。⑨今、急浮上しているのは外国人に対する対応です。差別、排外主義の政策が妥当かどうか、など考えなければならない課題はたくさんあります。

失われた30年と言われ、一人当たりのGDPが韓国にも抜かされたわが国が再生するには、どうしても政治の力が必要です。主権者として、一人ひとりがその権利を行使すれば、政治を大きく動かせる可能性があります。みんなで、参議院選挙の投票に行きましょう。

参議院選挙で問われるのは何でしょうか?~税のあり方として消費税の減税が求められています~

参議院選挙は、7月3日公示、20日投開票の日程で行われます。重要な争点のひとつが物価高への対策です。その中身について「現金給付」か、それとも「消費税減税」かが問われています。今度の参議院選挙では、私たちの家計に直接影響する「消費税」のあり方が、大きな議論の的になります。現在、消費税率は10%(食料品などは8%)ですが、この税率を今後どうしていくのか、各政党の考え方には違いが見られます。

与党である自民党の立場は現在の消費税率10%を維持し、その税収を年金・医療・介護といった社会保障制度を支えるための重要な財源と位置付けています。一方、野党からは、現在の物価高騰による家計負担の軽減や経済全体の活性化を目的として消費税の減税を求める声が上がっています。税率を5%へ引き下げる案や、一時的に消費税を凍結するといった案などが主張されています。ただし、減税を実施した場合に、その分の財源をどう確保するのかなどで、各政党間で具体的な政策内容やその実現方法に違いが見られます。

税構造の変化をみてみると、消費税がスタートした1990年度と2024年年度の主要税項目(消費税、所得税、法人税)の税収の比較をすると、消費税(税率3%)は4.6兆円だったのが現在(税率10%)には24.3兆円、+19.7兆円、所得税は(最高税率70%)26兆円だったものが現在(最高税率45%)には20.1兆円、△5.9兆円、法人税は(税率40%)で18.4兆円だったものが現在(税率23.2%)には18.1%、△0.3兆円になっています。

このことから、消費税率を引き上げ、反対に所得税率や法人税率を引き下げることによって、税収構造が大きく変化し、消費税は導入当初言われていた「補完税」から「基幹税」となり、今や税収の中で最大になっています。税制の根幹は「公平性」です。つまり、垂直的公平( 経済力のある人により大きな負担を求めること)と、応能原則(経済的な能力に応じて税金を負担すること)が求められています。そういう観点からすると、消費税は不公平な税制です。「逆進税」とも言われ、所得が高ければ高いほど税負担が低くなり、所得の少ない人やない人にも買い物の度に容赦なく税負担を強いられます。

この参議院選挙で問われるのは、単に「物価対策」だけでなく、税の根幹として消費税をどう捉えるかです。もちろん、消費税減税はすべきだと思いますが、その税収減をどのように埋め合わせるかも同時に考えなければなりません。税収増は可能です。所得税の最高税率(45%)を引き上げることや金融所得の優遇税制(現行は所得税・住民税を併せて20%)の抜本的な見直しをすればできます。また、法人税では、比例税率(23.2%)の見直しと累進課税化そして、さまざまな特権的な減税制度、例えば試験研究費減税は総額9479億円で、上位10社だけで全体の3割を占める減税の廃止も見直しなければなりません。

私たち有権者は、この参議院選挙のなかで、物価高のなかで賃金が上がらない昨今の状況を踏まえ、消費税のあり方を短期的だけではなく、長期的にどのようにすべきかを考える機会と捉えることが大事だと思います。個人的には、消費税を将来的に廃止して、贅沢品などについて課税をする旧「物品税」の復活があるべき公平な税制だと考えています。

自衛隊による「ほふく前進」に違和感あり!?~「おごおりゆめフェスタ2025」でその体験をすることに懸念があります~

山口市南部にある小郡地区は、新幹線の駅や中国自動車道のインターチェンジもあり、交通の要衝として発展しています。この地区(旧吉敷郡小郡町)は狭い地域ですが、山口市全体の人口が減少する中で小郡地区の人口は増加が続き、2005年の合併直後の2.3万人から、現在は2.6万人に増加しています。JRの駅名が小郡駅から新山口駅と変わりましたが、その駅の周辺は、マンションやホテルが林立しています。

さてこの地域にJIC一般社団法人吉南青年会議所があります。その目的は、「地域社会の健全な発展に寄与」することです。その吉南青年会議所を中心に、毎年好評のオゴオリものづくりワークショップと新山口ゆめフェスタがひとつになった「おごおりゆめフェスタ2025」が開催されます。このイベントは、小郡地域の小学生を対象に、地元企業の紹介や職業体験、消防車や自衛隊のジープ、山口県警の白バイ等々やって来て楽しい体験ができるとのことです。

この開催の意義として実行員会は、「近年の子供たちが置かれている環境は決して素晴らしいものではなく、他人を思いやる心、自分自身に対する心など心が満たされなくなってきており、そんな子供たちに多くの人と関わる機会をもち自分自身の夢を見つけるきっかけとし、~中略~先入観を持つことなく多くの人、職業に接することで、個人の能力など地域住民、企業がもっと理解を深め、青少年健全育成に寄与してまいります。」としています。

今年の6月29日の開催イベントには初めて、自衛隊の体験コーナーが開催されます。その中で、「ほふく前進」の体験コーナーが設けられる予定のようです。その定員は100名から200名で、小郡地域交流センターの駐車場で行われます。

自衛隊の「ほふく前進」訓練は、小銃を携行し被弾を避け敵に発見されないよう前進して戦闘行為に及ぶという作戦の一環です。これは、命を危険にさらす戦闘最前線を想定した訓練であり、単なる「体力づくり」ではありません。

確かに、災害の現場などで自衛隊が献身的に活躍する姿が報道されます。その姿に憧れも持つ子どもがいるかもしれません。しかし、たとえ小銃などを使用しない形であっても戦闘行為である「ほふく前進」を体験することには、強い違和感を抱きます。まだ知識や批判力が乏しい小学生に、戦争につながるような体験をさせたくはありません。開催の意義である「青少年健全育成」とも反するのではないでしょうか。他者の命も自分の命も大切にする平和な社会こそ「健全」なのではないでしょうか。

日本政府は子どもの権利条約の「武力紛争における児童の関与に関する選択議定書」を批准しています。これによると、18歳未満の子どもを軍隊に参加させないこと、軍事訓練を受けさせないことが求められています。

このような体験をすることにより、戦争や暴力を自覚のないままに美化してしまう雰囲気を醸し出す可能性があるのではないでしょうか。ここにも「新しい戦前」から「新しい戦中」に移行しつつある気配を感じるのは私だけではないと思います。

なぜ教員の志願者が少ないの?~教育の質の向上は、教員の質の向上にかかっている!!~

教員のなり手不足に対応して、山口県教育委員会は、教員の採用試験を全国で最も早い時期に前倒ししましたが、志願者数は953人と前年と比べて79人減って過去最少となったと公表しました。同委員会は、民間企業の採用の前に教員の採用試験を前倒しするよう求めた文部科学省の要請に応じて、1次試験を前の年よりも2か月ほど早めて5月10日、11日の2日間実施しました。しかし志願者は初めて1,000人を割り込み、記録が残る1987年度以降、最も少なくなりました。採用人数はほぼ変わらない見通しのため、志願倍率は、前の年と比べて0.2ポイント低い2.3倍となりました。

教員のなり手不足は深刻な状況が続いていて、昨年度の全国の公立学校の教員の採用倍率は3.2倍と、3年連続で過去最低となりました。これを受けて、文部科学省は今年の試験の日程を民間企業の採用面接が始まる前の5月11日を目安に行うよう要請しましたが、それに応じた自治体はわずかで6県と3政令指定都市にとどまりました。そのうち志願者が増えたのはわずか3県だけで、文部科学省の思惑通りにはいかない実態が垣間見られます。

教員のなり手不足の理由について、あるアンケート調査では「長時間労働など過酷な労働環境」と94%が回答、次に、「部活顧問など本業以外の業務が多い」が77%、「待遇(給料)が良くない」が67%と続きました。深刻な実態が浮き彫りになっています。

このような状況の中、公立学校教員の給与などを定めた教員給与特措法が5月15日に衆議院で可決されました。この法案は、公立学校教員に残業代の代わりに基本給の4%相当を支給する「教職調整額」を2026年1月から毎年1%ずつ引き上げ、31年1月に10%とするのが柱です。その他に学級担任への手当を加算し、新たな職位として若手のサポートなどを担う「主務教諭」を設けることも盛り込まれています。

また、付則では、教員の時間外勤務を29年度までに月平均30時間程度に減らすことを目標に掲げ、1人当たりの担当授業時間数削減などを明記しました。さらに仕事を自宅に持ち帰る教員の状況把握、過労死が疑われる事案があった場合の迅速な調査・再発の防止なども付帯決議とされました。

私が幼い頃は、学校の教員には憧れの職業のひとつでした。その当時は、教員にはゆとりがあったような記憶があります。夏休みなどの長期の休みには教員も休みだったように思います。その上、奨学金を借りた人が教員職などに一定期間ついた場合には、返済を減免される制度もありました。しかしその制度は、公平性などを理由に教員については1998年4月入学者から廃止されました。

教育が社会の根幹を支える重要な要素であることは、誰もが認める事実です。しかし、現代社会ではその概念が変化し、より多様な価値観やスキルが求められています。知識の詰め込み教育から、創造性や批判的思考能力を育む教育へのシフトが必要です。少子化や国際競争力強化の中で求められるスキルは、問題解決能力やコミュニケーション能力です。

それを支えるのは、質の高い教員であることは異論がありません。そのためには、現場の教員の「働きやすさ」と「働きがい」をどう両立させるかが大きな課題だと考えます。

「空と風と星の詩人 尹東柱の生涯」を見て思いました!!~治安維持法施行100年、再び暗黒政治を生まないために~

この映画は韓国の国民的詩人である尹東柱(ユン・ドンジュ、1917~45年)の生誕100年を記念して作られた映画で、主人公を演ずるカン・ハヌルは、韓国のトップスターのひとりです。モノクロの美しい映画です。私は、この映画「空と風と星の詩人」を見るまで彼のことを全く知りませんでした。

彼は日本の大学(最初立教大学、後に同志社大学)に留学中に、1943年7月、抗日独立運動を扇動したとして京都で逮捕され、治安維持法違反で検挙されて、懲役2年の刑を受け、日本の敗戦のわずか6か月前である1945年2月16日に27歳の若さで、福岡刑務所で獄死しました。彼は、韓国では国民的詩人として知られています。死後に刊行された詩集「空と風と星と詩」が韓国で広く読まれるようになり、日本語や英語などにも翻訳されています。

満州(現中国東北部)で生まれた彼は、1942年10月から同志社大学文学部で学び、ハングルでの詩作を続けていました。戦後80年となるのに合わせ、「多くの学生が戦争の犠牲になったことを忘れてはならない」として同大学は名誉文化学位贈呈を決めました。

さて、彼の命を奪った「治安維持法」は、一見「治安を守るための法律」かのようですが、実際は民主主義や宗教、学問の自由を弾圧するとんでもない悪法でした。「民主主義」や「自由」は天皇主権に反するからだという理由から制定されました。その弾圧後に国内で310万人、アジアで2,000万人もの犠牲を強いた戦争の惨禍をもたらしました。

1925年施行の治安維持法は、太平洋戦争の敗戦後の1945年10月に廃止されるまで、弾圧法として猛威をふるいました。弾圧が原因で命を落とした人(氏名判明分)が514人、検挙者68,274人、起訴者6,550人、検束・拘留者数十万人とされています。有名なプロレタリア作家の小林多喜二氏もその犠牲者の一人でした。

戦後、世界各国で弾圧や人権侵害の犠牲者に対する謝罪と賠償が進んでいるなかで、残念ながら日本では、いまだになされていません。それどころか、驚くかな2017年6月、金田勝年法務大臣(当時)は、「治安維持法は適法に制定され、適法に執行された、謝罪・賠償・調査の必要もない」(要旨)と、治安維持法を擁護し、突っぱねました。

政府は最近、特定秘密保護法、共謀罪法、土地利用規制法、経済秘密保護法等々を矢継ぎ早に強行し、罰則付きで国民の目と耳と口を塞ぎ、さらには、今年3月には能動的サイバー防御法案を提案し、権力の邪魔になる日本学術会議の解体まで行なおうとしています。

他の予算が据え置かれ、あるいは削られるなか、防衛費をGDP比2%にするために8兆円の予算を組みました。それだけでなく米国は3%にする要求をしています。「新しい戦前」が着々と「新しい戦中」へと近づいています。治安維持法施行100年、再び暗黒政治を生まないために、歴史の真実を学び、同じ過ちを繰り返させないよう、一人ひとりが大きく声をあげなければなりません。それこそが、尹東柱氏や小林多喜二氏に報いることではないでしょうか。戦争と暗黒政治を許さない政治を実現しましょう。

トランプ関税と消費税減税~石破総理、今こそ消費税減税を!!~

トランプ関税が世界中に大混乱をもたらしています。株価はニューヨーク株式市場だけでなく世界中のマーケットが乱高下を繰り返しています。トランプ流の脅迫じみた手法が、短期に終結するのか、それとも永続性を持って定着するのか先行きはまったく不透明です。

トランプ大統領は、アメリカの貿易赤字を他国による経済侵略の結果だと非難していますが、アメリカに外国製品が大量に流入したのは、自国の大企業が生産を縮小し、その結果として産業の空洞化が進行したためです。関税を上げても国内産業が復活する保障はどこにもありません。それどころか、関税収入は政府に入りますが、関税で上がった外国製品は物価高として国民の負担になります。

ところで、アメリカが中国などに高関税を課すことで、グローバルなサプライチェーンが混乱し、原材料や中間財の価格が上昇します。その結果、日本国内で売られる衣料品や家電製品、さらには食品の包装材などが値上がりします。ある試算では、関税による輸入物価上昇が日本の実質GDPを最大1.4%押し下げるとされており、2025年の家計負担が4人家族で年間約11万円増加する可能性があると言及しています。

トランプ関税への対策を巡り、野党で消費減税を求める声が日増しに広がっています。立憲民主党、日本維新の会、国民民主党の主要野党からは景気対策として、消費税を一律5%に引き下げたり、食料品への課税をゼロにしたりする案が浮上しています。日本共産党やれいわ新選組は、従前から消費税の減税や消費税廃止を主張しています。

一方で自民党内でも、7月に選挙を控えている参議院側を中心に食料品などに限って消費税の税率を時限的に引き下げるよう求める声があがっています。また、公明党の斉藤代表は「減税が家計や企業の負担を抑え、経済対策として国民に安心を与えるのではないか」と述べ、消費税を含めあらゆる選択肢をそ上にのせ、検討していく考えを示しています。

ある税理士は「年間の国・地方税を含めた国民一人当たりの消費税負担額は約24万7千円。消費税率を5%にすれば、3人家族で年間約37万円の減税、廃止すれば、約74万円の減税効果がある」と指摘しています。買い物の度に、「消費税」として価格に上乗せされている分が減額されるだけで、財布のひもも緩み、結果として景気は改善されます。

引き続く物価高に併せ突然のトランプ関税で国民の暮らしは、ますます厳しさを増すことは火を見ても明らかです。国民に安心を与える政策として最も効果があるのは消費税の減税です。4月実施のJNN世論調査でも、減税に「賛成」と答えた人は61%にのぼりました。特に「30代未満」の有権者では「賛成」は78%にのぼっています。

石破総理は昨年の所信表明演説で、「全ての人に安心と安全を。私は総理大臣として全身全霊を捧げ、日本と日本の未来を守り抜く」と述べました。多くの国民がその安心を享受できなくなっています。総理は、「消費税は社会保障の財源である。」まことしやかな嘘を繰り返すのをやめて、その所信を消費税減税という政策で実行すべきではないでしょうか。石破総理、ときは熟しています。今こそ消費税減税を!!その願いは、国民の世論です。