カテゴリー: 経営環境

自衛隊による「ほふく前進」に違和感あり!?~「おごおりゆめフェスタ2025」でその体験をすることに懸念があります~

山口市南部にある小郡地区は、新幹線の駅や中国自動車道のインターチェンジもあり、交通の要衝として発展しています。この地区(旧吉敷郡小郡町)は狭い地域ですが、山口市全体の人口が減少する中で小郡地区の人口は増加が続き、2005年の合併直後の2.3万人から、現在は2.6万人に増加しています。JRの駅名が小郡駅から新山口駅と変わりましたが、その駅の周辺は、マンションやホテルが林立しています。

さてこの地域にJIC一般社団法人吉南青年会議所があります。その目的は、「地域社会の健全な発展に寄与」することです。その吉南青年会議所を中心に、毎年好評のオゴオリものづくりワークショップと新山口ゆめフェスタがひとつになった「おごおりゆめフェスタ2025」が開催されます。このイベントは、小郡地域の小学生を対象に、地元企業の紹介や職業体験、消防車や自衛隊のジープ、山口県警の白バイ等々やって来て楽しい体験ができるとのことです。

この開催の意義として実行員会は、「近年の子供たちが置かれている環境は決して素晴らしいものではなく、他人を思いやる心、自分自身に対する心など心が満たされなくなってきており、そんな子供たちに多くの人と関わる機会をもち自分自身の夢を見つけるきっかけとし、~中略~先入観を持つことなく多くの人、職業に接することで、個人の能力など地域住民、企業がもっと理解を深め、青少年健全育成に寄与してまいります。」としています。

今年の6月29日の開催イベントには初めて、自衛隊の体験コーナーが開催されます。その中で、「ほふく前進」の体験コーナーが設けられる予定のようです。その定員は100名から200名で、小郡地域交流センターの駐車場で行われます。

自衛隊の「ほふく前進」訓練は、小銃を携行し被弾を避け敵に発見されないよう前進して戦闘行為に及ぶという作戦の一環です。これは、命を危険にさらす戦闘最前線を想定した訓練であり、単なる「体力づくり」ではありません。

確かに、災害の現場などで自衛隊が献身的に活躍する姿が報道されます。その姿に憧れも持つ子どもがいるかもしれません。しかし、たとえ小銃などを使用しない形であっても戦闘行為である「ほふく前進」を体験することには、強い違和感を抱きます。まだ知識や批判力が乏しい小学生に、戦争につながるような体験をさせたくはありません。開催の意義である「青少年健全育成」とも反するのではないでしょうか。他者の命も自分の命も大切にする平和な社会こそ「健全」なのではないでしょうか。

日本政府は子どもの権利条約の「武力紛争における児童の関与に関する選択議定書」を批准しています。これによると、18歳未満の子どもを軍隊に参加させないこと、軍事訓練を受けさせないことが求められています。

このような体験をすることにより、戦争や暴力を自覚のないままに美化してしまう雰囲気を醸し出す可能性があるのではないでしょうか。ここにも「新しい戦前」から「新しい戦中」に移行しつつある気配を感じるのは私だけではないと思います。

なぜ教員の志願者が少ないの?~教育の質の向上は、教員の質の向上にかかっている!!~

教員のなり手不足に対応して、山口県教育委員会は、教員の採用試験を全国で最も早い時期に前倒ししましたが、志願者数は953人と前年と比べて79人減って過去最少となったと公表しました。同委員会は、民間企業の採用の前に教員の採用試験を前倒しするよう求めた文部科学省の要請に応じて、1次試験を前の年よりも2か月ほど早めて5月10日、11日の2日間実施しました。しかし志願者は初めて1,000人を割り込み、記録が残る1987年度以降、最も少なくなりました。採用人数はほぼ変わらない見通しのため、志願倍率は、前の年と比べて0.2ポイント低い2.3倍となりました。

教員のなり手不足は深刻な状況が続いていて、昨年度の全国の公立学校の教員の採用倍率は3.2倍と、3年連続で過去最低となりました。これを受けて、文部科学省は今年の試験の日程を民間企業の採用面接が始まる前の5月11日を目安に行うよう要請しましたが、それに応じた自治体はわずかで6県と3政令指定都市にとどまりました。そのうち志願者が増えたのはわずか3県だけで、文部科学省の思惑通りにはいかない実態が垣間見られます。

教員のなり手不足の理由について、あるアンケート調査では「長時間労働など過酷な労働環境」と94%が回答、次に、「部活顧問など本業以外の業務が多い」が77%、「待遇(給料)が良くない」が67%と続きました。深刻な実態が浮き彫りになっています。

このような状況の中、公立学校教員の給与などを定めた教員給与特措法が5月15日に衆議院で可決されました。この法案は、公立学校教員に残業代の代わりに基本給の4%相当を支給する「教職調整額」を2026年1月から毎年1%ずつ引き上げ、31年1月に10%とするのが柱です。その他に学級担任への手当を加算し、新たな職位として若手のサポートなどを担う「主務教諭」を設けることも盛り込まれています。

また、付則では、教員の時間外勤務を29年度までに月平均30時間程度に減らすことを目標に掲げ、1人当たりの担当授業時間数削減などを明記しました。さらに仕事を自宅に持ち帰る教員の状況把握、過労死が疑われる事案があった場合の迅速な調査・再発の防止なども付帯決議とされました。

私が幼い頃は、学校の教員には憧れの職業のひとつでした。その当時は、教員にはゆとりがあったような記憶があります。夏休みなどの長期の休みには教員も休みだったように思います。その上、奨学金を借りた人が教員職などに一定期間ついた場合には、返済を減免される制度もありました。しかしその制度は、公平性などを理由に教員については1998年4月入学者から廃止されました。

教育が社会の根幹を支える重要な要素であることは、誰もが認める事実です。しかし、現代社会ではその概念が変化し、より多様な価値観やスキルが求められています。知識の詰め込み教育から、創造性や批判的思考能力を育む教育へのシフトが必要です。少子化や国際競争力強化の中で求められるスキルは、問題解決能力やコミュニケーション能力です。

それを支えるのは、質の高い教員であることは異論がありません。そのためには、現場の教員の「働きやすさ」と「働きがい」をどう両立させるかが大きな課題だと考えます。

「空と風と星の詩人 尹東柱の生涯」を見て思いました!!~治安維持法施行100年、再び暗黒政治を生まないために~

この映画は韓国の国民的詩人である尹東柱(ユン・ドンジュ、1917~45年)の生誕100年を記念して作られた映画で、主人公を演ずるカン・ハヌルは、韓国のトップスターのひとりです。モノクロの美しい映画です。私は、この映画「空と風と星の詩人」を見るまで彼のことを全く知りませんでした。

彼は日本の大学(最初立教大学、後に同志社大学)に留学中に、1943年7月、抗日独立運動を扇動したとして京都で逮捕され、治安維持法違反で検挙されて、懲役2年の刑を受け、日本の敗戦のわずか6か月前である1945年2月16日に27歳の若さで、福岡刑務所で獄死しました。彼は、韓国では国民的詩人として知られています。死後に刊行された詩集「空と風と星と詩」が韓国で広く読まれるようになり、日本語や英語などにも翻訳されています。

満州(現中国東北部)で生まれた彼は、1942年10月から同志社大学文学部で学び、ハングルでの詩作を続けていました。戦後80年となるのに合わせ、「多くの学生が戦争の犠牲になったことを忘れてはならない」として同大学は名誉文化学位贈呈を決めました。

さて、彼の命を奪った「治安維持法」は、一見「治安を守るための法律」かのようですが、実際は民主主義や宗教、学問の自由を弾圧するとんでもない悪法でした。「民主主義」や「自由」は天皇主権に反するからだという理由から制定されました。その弾圧後に国内で310万人、アジアで2,000万人もの犠牲を強いた戦争の惨禍をもたらしました。

1925年施行の治安維持法は、太平洋戦争の敗戦後の1945年10月に廃止されるまで、弾圧法として猛威をふるいました。弾圧が原因で命を落とした人(氏名判明分)が514人、検挙者68,274人、起訴者6,550人、検束・拘留者数十万人とされています。有名なプロレタリア作家の小林多喜二氏もその犠牲者の一人でした。

戦後、世界各国で弾圧や人権侵害の犠牲者に対する謝罪と賠償が進んでいるなかで、残念ながら日本では、いまだになされていません。それどころか、驚くかな2017年6月、金田勝年法務大臣(当時)は、「治安維持法は適法に制定され、適法に執行された、謝罪・賠償・調査の必要もない」(要旨)と、治安維持法を擁護し、突っぱねました。

政府は最近、特定秘密保護法、共謀罪法、土地利用規制法、経済秘密保護法等々を矢継ぎ早に強行し、罰則付きで国民の目と耳と口を塞ぎ、さらには、今年3月には能動的サイバー防御法案を提案し、権力の邪魔になる日本学術会議の解体まで行なおうとしています。

他の予算が据え置かれ、あるいは削られるなか、防衛費をGDP比2%にするために8兆円の予算を組みました。それだけでなく米国は3%にする要求をしています。「新しい戦前」が着々と「新しい戦中」へと近づいています。治安維持法施行100年、再び暗黒政治を生まないために、歴史の真実を学び、同じ過ちを繰り返させないよう、一人ひとりが大きく声をあげなければなりません。それこそが、尹東柱氏や小林多喜二氏に報いることではないでしょうか。戦争と暗黒政治を許さない政治を実現しましょう。

トランプ関税と消費税減税~石破総理、今こそ消費税減税を!!~

トランプ関税が世界中に大混乱をもたらしています。株価はニューヨーク株式市場だけでなく世界中のマーケットが乱高下を繰り返しています。トランプ流の脅迫じみた手法が、短期に終結するのか、それとも永続性を持って定着するのか先行きはまったく不透明です。

トランプ大統領は、アメリカの貿易赤字を他国による経済侵略の結果だと非難していますが、アメリカに外国製品が大量に流入したのは、自国の大企業が生産を縮小し、その結果として産業の空洞化が進行したためです。関税を上げても国内産業が復活する保障はどこにもありません。それどころか、関税収入は政府に入りますが、関税で上がった外国製品は物価高として国民の負担になります。

ところで、アメリカが中国などに高関税を課すことで、グローバルなサプライチェーンが混乱し、原材料や中間財の価格が上昇します。その結果、日本国内で売られる衣料品や家電製品、さらには食品の包装材などが値上がりします。ある試算では、関税による輸入物価上昇が日本の実質GDPを最大1.4%押し下げるとされており、2025年の家計負担が4人家族で年間約11万円増加する可能性があると言及しています。

トランプ関税への対策を巡り、野党で消費減税を求める声が日増しに広がっています。立憲民主党、日本維新の会、国民民主党の主要野党からは景気対策として、消費税を一律5%に引き下げたり、食料品への課税をゼロにしたりする案が浮上しています。日本共産党やれいわ新選組は、従前から消費税の減税や消費税廃止を主張しています。

一方で自民党内でも、7月に選挙を控えている参議院側を中心に食料品などに限って消費税の税率を時限的に引き下げるよう求める声があがっています。また、公明党の斉藤代表は「減税が家計や企業の負担を抑え、経済対策として国民に安心を与えるのではないか」と述べ、消費税を含めあらゆる選択肢をそ上にのせ、検討していく考えを示しています。

ある税理士は「年間の国・地方税を含めた国民一人当たりの消費税負担額は約24万7千円。消費税率を5%にすれば、3人家族で年間約37万円の減税、廃止すれば、約74万円の減税効果がある」と指摘しています。買い物の度に、「消費税」として価格に上乗せされている分が減額されるだけで、財布のひもも緩み、結果として景気は改善されます。

引き続く物価高に併せ突然のトランプ関税で国民の暮らしは、ますます厳しさを増すことは火を見ても明らかです。国民に安心を与える政策として最も効果があるのは消費税の減税です。4月実施のJNN世論調査でも、減税に「賛成」と答えた人は61%にのぼりました。特に「30代未満」の有権者では「賛成」は78%にのぼっています。

石破総理は昨年の所信表明演説で、「全ての人に安心と安全を。私は総理大臣として全身全霊を捧げ、日本と日本の未来を守り抜く」と述べました。多くの国民がその安心を享受できなくなっています。総理は、「消費税は社会保障の財源である。」まことしやかな嘘を繰り返すのをやめて、その所信を消費税減税という政策で実行すべきではないでしょうか。石破総理、ときは熟しています。今こそ消費税減税を!!その願いは、国民の世論です。

おかげさまで、4月1日で総合会計は30周年を迎えました!!~さらなる成長発展のためにスタッフ全員がスクラム組んで~

「企業30年説」という言葉を耳にした人もおられるのではないはでしょうか。これは1983年に『日経ビジネス』が特集記事で初めて取り上げ、人口に大きな衝撃を与えました。つまり、人間に寿命があるように、企業にも寿命がありそれが30年というものでした。

それが事実なのかどうか定かではありませんが、帝国データバンクの統計データでは、企業の10年後の生存率は約7割、20年後に約半分になるとのことです。それだけ企業の生存競争は激しく、栄枯盛衰が繰り返されていることが見て取れます。

さて、企業が持続的に成長発展するためには、①時代を半歩先取りする成長エンジンを持つこと、②常に顧客満足を意識した製品やサービスを提供すること、③揺るぎない経営理念を持ちそれを社員に浸透させること、④それらを実行する人材の育成を図ること、が必要となります。

税理士業界の事業継承には税理士資格が必須条件なので、他の業界よりも困難だと言えます。日本税理士会連合会が公表した「第7回税理士実態調査報告書」では、後継者(後継者候補)がいないとの問いに84.5%がいないと答えています。さらに後継者不在の所長税理士に今後の見通しを問う設問では「自分の代で廃業する予定」が44.1%で最多でした。

幸いなことに、総合会計は創業者である私から、18歳ほど年齢が若い有能な後継者にスムーズに事業承継ができました。そして、バトンタッチ以後さらなる飛躍を遂げています。

ここで、総合会計が誕生した30年前のエピソードを少しだけ紹介します。『1995年阪神大震災が起きた年の4月1日、故郷の山口の地で開業しました。開業初日は、阪神大震災の影響で家財の荷物がまだ届かず、新幹線も動いていなかったので、夜行バスで到着する妻を防府駅まで迎えに行ったことを鮮明に覚えています。開業1年目は、借家の6畳の和室にカーペットを敷いて、大阪の自宅で使っていた古いパソコンと知り合いからもらったFAXやコピーを使って、今まで会計業務にまったく携わったことのない妻に手伝ってもらってスタートしました。もちろんお客様はまったくゼロだったので、知己を頼っていろいろなところへ挨拶回りをひたすらしました。業務連絡は、まだポケベルの時代でした。とにかく必死だったことが伝わったのか、三ヶ月目くらいから、「大阪から帰ってきたちょっと面白い税理士がいる」ということが評判になり、ご紹介のお客様がぼちぼち増えてきました。』

そして、筆舌に尽くしがたいほどのさまざまな紆余曲折を経てこの30年があっという間に経過しました。ものごとは螺旋状にしか発展しないとよく言われますが、まさに総合会計の歴史が螺旋状の歩みそのものでした。

さらに、10年、20年、50年へと未来に向かって総合会計がさらに発展することを切に願ってやみません。そしてそれを保証するには、事務所の全構成員が自分の持ち味を活かしながら、みんなで協力しあって民主的に運営することが必須条件ではないでしょうか。そして、必要なのは「量」を追求しながらも「質」の向上を常に図ることです。量と質の絶妙なバランス、確かに困難な課題ですが、果敢に挑戦することが求められています。

朝日新聞の「ひと」欄に「しんぶん赤旗日曜版」編集長が登場!~日本共産党の前進のキーワードは、赤旗のデジタル化にあります!!~

3月19日の朝日新聞「ひと」欄に、自民党の政治資金問題を暴いた「しんぶん赤旗日曜版」編集長の山本豊彦さん(62)が登場しました。

その記事を要約すると「母親が在日米軍基地問題に関心があり、NHKの番組を一緒によく見た。早稲田大学に進み、友人に誘われて共産党に入党した。『義を見てせざるは勇無きなり』という思いからだった。

赤旗の記者になり、名古屋編集部でゼネコン汚職、東京で日本歯科医師連盟汚職などを担当。自民党をはじめ政界に深い人脈を築いていく。11年前に日曜版編集長に。2019年に安倍晋三首相の『桜を見る会』報道を手がけ、日本ジャーナリスト会議(JCJ)大賞を受賞した。

コロナ禍の21年末、自民党建設族議員のパーティーに記者を潜入させた。『飲食もないのにゼネコンから2万円もぼったくるなんておかしい』。違和感を原点に膨大な調査を手がけた取材班は3人。『うちがひとしずくとなり、東京地検特捜部が動き、うねりができて派閥がつぶれた。こんなことがあるんだと』。24年度、2度目のJCJ大賞を受賞した。

昨年の衆院選で共産党は10議席から8議席に減らした。『共産党の機関誌が赤旗だというイメージが有権者に結びついていない。発信力を強めるために、デジタル配信に本腰を入れたい』

日曜版は守備範囲が広く、文化やくらしも取り扱う。ジャニーズ問題など芸能界にも食い込んだ。無理がたたって昨年、長期入院し、10種類以上の薬を飲む。体力が続く限り現場にいたいと、好きな酒は断っている。」

赤旗は、日本の政党機関紙としては最大の部数で、最盛期の1980年には日刊紙と日曜版とを合わせ355万部を誇っていましたが、以後、1997年に230万部、2017年には113万部、そして現在は100万部を割り込んでいます。アナログからデジタルへの大転換期を迎えている昨今の状況で、どの新聞もその発行部数を減らしています。しかし、しんぶん赤旗の減少数は相当に深刻です。

そこで共産党のチラシで、「~昨年の総選挙では、自民党・公明党の政権与党を過半数割れに追い込みました。これに日本共産党と『赤旗』が大きく貢献したこと、とりわけ、日曜版の一連の裏金報道、日刊紙の裏公認料2万円のスクープが決定打となったことは私たちの誇りです。~ところがいま、この『赤旗』の経営が大変厳しい事態にあります。日刊紙は、年間10数億円の赤字であり、日曜版読者も後退が続いています。~『赤旗』の発行を守るためには、読者を100万人にするとともに、そこに至る途上、とくに日刊紙の発行を支える10億円の募金が必要です。~」と党員や支持者に呼びかけています。

共産党は昨年末「SNS戦略室」を設置することを決めました。新聞のデジタル化は焦眉の急です。この際その募金を活用し、SNS戦略室の主導で「赤旗」とくに日刊紙のデジタル化を早急に進めるべきです。共産党はデジタル先進党となってもらいたいです。

たかが10万円?されど10万円!!~古い自民党政治とはおさらばしたいものです!~

朝日新聞が今月15、16日に実施した全国世論調査によると、石破茂内閣の支持率は26%で、前回2月調査の40%から大幅に下落し、昨年10月の内閣発足以降で最低となりました。また、不支持率は59%(前回44%)という結果でした。

件の商品券問題について、石破首相は13日深夜の緊急記者会見で「会食前に商品券をお届けした」と事実関係を認め、自身の指示だとした上で、政治資金規正法や公職選挙法に「抵触するものではない」と、法律への抵触を否定しました。そして、政治活動に関する寄付行為を禁じた政治資金規正法21条2(何人も、公職の候補者の政治活動に関して寄附をしてはならない)について問われると「政治活動ではございません」と否定し、会食のみやげ代わりや家族へのねぎらいなどの観点から「私自身の私費、ポケットマネーで用意した」と述べました。騒動になっていることについては、謝罪の言葉を口にしました。

この問題について毎日新聞の全国世論調査では、首相の事務所が当選1回目の自民党衆議院議員15人に1人10万円分の商品券を配った問題では「問題だと思う」が78%に上り、「問題だとは思わない」(12%)を大きく上回りました。

この問題は、「常識的に許容できる範囲の行動かどうか」「一般国民が通常期待する水準の注意や配慮がなされていたか」「倫理的・道徳的に妥当であるか」という視点で国民一人ひとりがどう判断し、それについてどのような意思表示をするかが問われています。

サンデーモーニングなどでお馴染みのジャーナリストの浜田敬子さんは「政治家としてどうなのかという姿勢が問われてくるのだと思います。まず一つは金銭感覚ですよね。『10万円』というのが、お土産として、そんな多額の物をあげるのか」「そしてタイミングですよね。政治とカネの問題があったから、比較的クリーンだと思われた石破さんになったのに、しかも野党から企業団体献金のことを言われている時にやってしまった。石破さんはやはり党内基盤が弱くて、『石破さんじゃ参院選戦えない』という声もあり、予算を通すのにも四苦八苦している時に、世論の支持がなくなってしまったら、より所がなくなるんじゃないかなと思います」とコメントをされています。

れいわ新選組で参院政策委員を務める長谷川ういこ氏は、16日に放送されたNHK「日曜討論」で「自民党の新人議員に10万円分の商品券を配るなら、物価高騰に苦しむ国民全員に10万円給付をぜひしてもらいたい。そしてコメをもっと出してもらいたい。自民党内のくだらない権力争いに国民を巻き込まないでもらいたい」と述べました。

西田昌司自民党参議院議員は党本部で記者団に対し「なんでそういうことになったのかなという感じだ。ちょっとまずい。そもそも石破総理大臣は政治とカネの問題について一番、物を言っていたようなタイプの人であり、指摘されたら返す言葉がない。新年度予算案を成立させたら使命を果たしたことになるので、退陣するのが正解だ」と述べました。

今後の国会での徹底した追求を期待するとともに、今年7月末までに実施予定の参議院選挙で国民が審判を下す絶好の機会でしょう。古い自民党政治とはおさらばする時です。

基礎控除の大幅な引き上げと消費税減税で国民生活は豊かになります!!~政府は小手先ではなく抜本改正を論議すべきです!~

確定申告も後半戦に突入しました。3月4日衆議院本会議にて来年度の予算案、税制改正法案が、政府当初案を修正して可決し参議院に送られました。衆議院で、政府の当初案が修正されるのは29年ぶりです。それでも、早急に対応すべき国民生活に重要な物価対策など国民生活関連問題は置き去りのままで、防衛費などの問題にはほとんどメスが入ることなくことが進んでいます。

今回の予算案では、所得税をめぐり大幅な改正がされます。従来の「103万円の壁」を「160万円の壁」に引き上げるものです。所得税では、所得から一定額を差し引く「控除」の仕組みがあり、現在の制度では、給与を得て働く人は「基礎控除」の48万円と「給与所得控除」の55万円をあわせた103万円を年収が超えると所得税が生じます。与党は、この税制関連法案の修正で、年収200万円以下の人は、非課税枠を160万円に引き上げられます。ただし、年収によって引き上げ幅が異なる、かなり複雑な内容となっています。

さて、日本の所得税の基礎控除の水準が極めて低いことが明らかになっています。主な国では、イギリス237万円、アメリカ209万円、ドイツ184万円、フランス179万円です。今般の改正では基礎控除はわずか10万円の引上げで58万円になるだけです。

所得税には「生計費非課税」の原則があります。少なくとも生活費には税金をかけないことを求めており、生存に必要な所得には課税すべきではないとされています。この原則は憲法の要請であり、基礎控除としてすべての納税者の収入から差し引かれるべきです。

さて、給与所得者は給与所得控除がありますが、事業所得者にはそれがありません。不平等です。どの所得でも同じ控除を受けられることができるように給与所得控除を廃止して、基礎控除をせめて160万円にしたらどうでしょうか。すると欧米並になります。また、それによって高額所得者に有利になる部分は、税率のアップで税収が落ちないようにすべきでしょう。さらに不公平税制である「金融所得課税(基本的に20%の分離課税)」も見直し、総合課税にすべきです。

基礎控除を引き上げても根本的な問題は解決にはなりません。というのは、住民税非課税世帯だけでも約1,500万世帯、それ以外の所得税非課税の人が900万規模、生活保護世帯が165万世帯あります。

所得税は累進課税が原則ですが、消費税はそれとは逆に所得の低い人ほど負担が重い逆進性が大きな問題です。負担能力に応じて税負担をするというのは憲法25条の生存権を税制の面から保障するための原則です。消費税を現行の10%(食料品は8%)から5%に減税すれば、国民の購買力は向上し結果として経済は上向きます。

財源はあります。最も有効なものは、防衛費の削減です。国は、航空戦力の質・量をさらに洗練・強化するため、戦闘機などの爆買いをしています。例えばF-35Aだけでも8機、1,120億円の予算です。防衛費増大より国民の暮らしや命が大事と思うのは私だけではないと思います。日本の経済浮揚には、基礎控除の大幅な引上げと消費税減税が最も有効です。

窓口は大混乱!?~西京銀行5万円キャンペーンを考えてみました~

2月27日午前8時、たまたま西京銀行小郡支店の横を車で通り過ぎました。9時開店のはずなのに、目の子で50人位の長蛇の列ができていました。

そうです。今年1月6日に始まったキャンペーンは、山口県在住者が新たに同行の普通預金口座を開設し、3月末時点の残高を100万円以上にすれば、4月末までに最大5万円がもらえるという内容に多くの人が押しかけたのです。想定外の人気にキャンペーン期間は当初3月末まででしたが、2月末に短縮されました。

こうしたキャンペーンはメガバンクのみずほ銀行でも、ポイントと現金で最大計5万円相当がもらえるキャンペーンを実施しています。しかし、給与受取口座への指定やNISA(少額投資非課税制度)口座の開設、クレジットカードの発行など複数の条件達成が必要でかなりハードルが高くなっています。ところが、同行のキャンペーンはそのハードルが低いため人気が殺到したのです。

読売新聞3月1日付は、『受け付け最終日の28日午前8時半頃、山口市の小郡支店には整理券を受け取る10人ほどが並び、未明から並んだ人も含め、既に数十人が受け取った後だった。店の入り口には「最大待ち時間は6時間以上が予想されます」、「(受け付け後は)ご自宅等で待機願います」、「順番によっては15時以降(夜間対応含む)となります」などと記された貼り紙もあり、行員は対応に追われている様子だった。

一方、来店した山口市の女性(50)は「職場の同僚から聞いて知った。物価高なので5万円は生活費の足しにしたい」と声を弾ませた。当初から西京銀行の予想を上回る来店があったとみられ、この数日前には営業時間内にもかかわらず「本日は終了しました」と、受け付けの一時停止を知らせる貼り紙を出す店舗もあった。』と報道していました。

私の知人も2月25日に山口支店に赴いたが、駐車場に車が止められず、付近の駐車場に車を止めてやっとのことで店舗に入りましたが、「本日は既に終了しました」との張り紙がしてあったそうです。その足で県庁内の支店も訪れたが、同様の事態にがっかりして諦めたそうです。

県内の第一地銀の山口銀行は下関市に、第二地銀の西京銀行は周南市にそれぞれ本店があります。両行とも県庁所在地以外に本店があるという全国でも珍しい形態です。

さて、西京銀行の売上は310億円、経常利益80億円、預金残高1.9兆円です。一方、山口銀行は、売上850億円、経常利益215億円、預金残高5.5兆円とかなりの差があります。

このキャンペーンで、同行へ預金がどれだけシフトしたかはわかりませんが、今後金利上昇が見込まれる状況の中で、積極的な貸付けで収益の拡大を意識しているのでしょう。また、証券投資信託やNISAなどの金融商品の増大も企図していると思われます。

このキャンペーンが吉と出るか凶と出るかは不明ですが、支店の窓口での混乱は想定外とのコメントがありました。西京銀行と山口銀行が利用者にとってメリットがあるように切磋琢磨して、さらなるサービスの向上に努めて欲しいものです。

254億円の寄付にびっくり仰天!!~そこで考えました。やはり資産家に対する課税強化は必要!~

新聞の記事をみて驚愕しました。宝塚市は2月3日、老朽化に伴う市立病院の建て替えに役立てて欲しいと、市内在住の高齢夫妻から250億円、そして手術用支援ロボットの購入費として約4億円、併せて254億円の寄付を受けたと発表しました。

このような高額の寄付をする人はごく少数です。わが国は欧米などと比べ寄付する文化や慣習が稀薄です。最新の報告資料によると、2020年時点でのわが国の個人寄付総額は1.2兆円と、2010年に比べて2.5倍に増加していますが、これは、特に東日本大震災の影響が大きかったとされています。また、寄付者の割合も増加傾向にありますが、2020年時点では44.1%でした。しかし、まだまだ寄付総額も寄付者の割合も低いレベルに留まっています 。世界的な視点で見た場合、日本は「World Giving Index(世界寄付指数) 2021」で114カ国中107位、つまり「世界で最も寄付に冷淡な国」の一つされています 。

この高額寄付で考えたのが、富裕層に対する課税のあり方です。税制調査会の資料では、資本所得(資産を元手に新たな資産を生むこと)の分布について分析したところ、全体では1,764万人が7.4兆円の資本所得を得て、そのうち上位0.3%の者(資本所得1,000万円以上を保有する者)が総額の53%(3.9兆円)を得ているという偏りがあります。

さて、わが国は最高税率が45%(所得が4,000万円を超える人に適用される)の累進税率になっています。ところが、1億円以上の所得がある人の場合、給与所得者のみの場合は少なく、株式等の売却益などの金融所得の割合が多くなっています。そして、株の売却益などの金融所得に対する課税は、源泉分離(他の所得とは分離して課税される)となっていて、金融所得がいくら多額でも原則一律20%の課税となります。これが、「1億円の壁(所得が1億円を超えることを境にその税率が下がる現象)」と言われるものです。高額所得者になればなるほど株式等の譲渡所得が高くなっています。

また、家計で保有する金融資産(貯蓄現在高)のうち、世帯主の年齢が60歳以上の高齢世帯の割合が増加し2019年には63.5%になりました。さらに、高齢階層を見てみると、最も少ない層(450万円未満)と最も多い層(3,000万円)の割合がそれぞれ高くなっていて、金融資産の保有が二極化していることがわかります。つまり金融資産の多くが高齢世帯に集中し、しかも偏在している事実です。

こうした現状を解決するには、現在の課税のあり方を根本的に見直す必要があります。つまりフローとしての「所得税」とストックとしての「相続税」です。

所得税は、株式等の譲渡所得を分離課税から総合課税にして、かつ累進税率を引き上げることで、公平で公正な課税が期待できます。相続税は、居住用の財産とその他の財産(金融資産を含む)を区分して、前者には軽い税金を、後者には重い税金を課して、かつ相続税がかかる人の割合を少なくし、全体として相続税の税収を上げる工夫をすべきです。

欧米のように寄付の文化や慣習を根付かせるとともに、税制の面で「富の偏在」を是正する措置を講ずる必要が問われています。