自助、みんな頑張っています!!~思わず本音が出たのか`生活保護`~

1月27日の参議院予算委員会で、菅首相の本音が出てしまいました。朝日新聞の記事(1月28日付)よると立憲民主党の石橋通宏議員の「弱い立場の方にも自助を求めるのか」「収入を失って路頭に迷う方、命を落とされる方が多数に上っている。政府の政策は届いているのか」などと質問。その上で、「政府の政策が届いていないことが明らかになれば、首相の責任で届けてくれるか」と首相の姿勢をただしました。

これに対して、菅首相は「いろいろな見方がある。対応策もある。政府には最終的には生活保護という仕組みも。しっかりセーフティーネットを作って行くことが大事だ。」と答弁しました。

石橋議員は、朝日新聞の取材に「あぜんとした。生活保護に至らないように政策を打つことが本来の『公助』なのに、何もしなくていい、というようなものだ。自助で頑張れ、というのが首相の基本姿勢であることが、残念ながら確認できてしまった。首相の『公助』が生活保護だとするなら、私の姿勢とは相容れない」と語りました。

午後の蓮舫議員は首相の答弁について「生活保護に陥らせないことが、首相の仕事、政治ではないか」と、私もまったく同感です。露骨な「新自由主義」路線を地で行くことの政治姿勢はこれまでの言動でわかっていましたが、フーテンの寅さんの「それを言っちゃおしまいよ」が思わず口に出てしまったのでしょう。

日本には、生活保護が必要な世帯の2割しか利用できていない実態があります。その要因のひとつが、保護申請のときに行われる親族への「扶養照会」です。生活保護の「扶養義務」の範囲は、イギリス、フランス、スウェーデンなどは配偶者と未成年の子、ドイツではそれに加え、成年の子と親です。

ところが日本では、2親等である兄弟姉妹、祖父母・孫、3親等である曾祖父母・曾孫、家庭裁判所が認めた場合には、おじ・おば・甥・姪までという信じられない位の範囲の広さです。

田村厚生労働大臣は、保護を開始した数の2倍の「扶養照会」をして、このうち金銭的援助が可能と回答した割合はわずか1.5%と回答しています。生活保護の申請を親族に知られたくないという人が多く、「扶養照会」が生活保護の利用を妨げている要因のひとつです。

総理にもいろいろな個性があり、それが後生まで語り草になっている人もいます。その勢いから「コンピューター付きブルドーザー」と言われた故田中角栄氏、話の前置きが長く「あー・うー総理」と言われた故大平正芳氏、「言語明瞭・意味不明瞭」と言われた故竹下登氏、口を開けば「失言」と揶揄された前東京五輪・パラリンピック組織委員会会長の森喜朗氏、ワンフレーズで国民をわしづかみにした小泉純一郎氏、「偽装・捏造・安倍晋三」と言われ、「募ってはいるが募集していない」という意味不明なことで言い逃れを繰り返した安倍晋三氏、さて菅義偉首相はなんと言われるのでしょうか。

大事なところでの「言い間違い」や「仮定のことはお答えできない」と説明しない、「発信力」に欠けるなどの特徴があります。さまざまなスキャンダルで内閣支持率は低め安定です。今こそ「開かれた政治」をときの宰相には期待しているのは私だけではないでしょう。