無駄遣い?新センチュリーが議長車に!

山口県が今年4月に貴賓車として2,090万円で購入した最高級車「センチュリー」をめぐって、県民から多くの批判を呼んでいます。また新聞報道もされ、TVのワイドショーにもとり挙げられ、村岡嗣政知事も対応に苦慮しています。新聞報道からこの購入の経緯などをまとめました。

この黒塗りのセンチュリーは5リットルエンジンに車内にはスピーカー20個、後部座席にはもみほぐしのマッサージ機能や11.6インチのモニターを備えています。

昨年度までに県が所有していたセンチュリーは3台、2002年に貴賓車として1,061万円で、07年に議長車と1,061万円、13年に副知事車として1,260万円でそれぞれ購入されています。

県は今年度からこの3台を一括して「皇室対応用車両」に見直して、一体的に管理する体制に変更するとしていますが、旧貴賓車は運転日誌が残る直近3年間で走ったのは13日間だけです。うち皇族の利用は18年10月に山口市で開催された全国都市緑化祭で秋篠宮ご夫妻を運んだのが最後となっています。

また、現時点で皇室からの来県予定はなく、「皇室から貴賓車の所有を求められたことはない」ということです。現在、県が所有する2台のセンチュリーは、議長と副議長の送迎等のために使われ続けています。

一方、知事の公用車は防府市に工場を構えるマツダ大型CSV(スポーツ用多目的車)のCX-8、購入価格は371万円です。他県の知事車は、セダンではなくミニバンのトヨタ・アルファードなどが主流となっており高級車よりは、より機動性が良いものになりつつあります。

県によると、新型コロナ禍で大幅な税収減が見込まれることなどから、現時点で来年度の財政不足は70億円を見込んでいます。

こうしたなかでのセンチュリー購入は、議案の議決権を握る議会への忖度ではないかとの声も出ています。知事車の5.6倍もする高級乗用車の購入は、無駄遣いのそしりを免れません。

知事は記者会見で「これまでの運用実績から従来通りとしたが、様々な観点で十分な比較検討を行う必要があった。今後は十分な精査をしていきたい。県民の皆様からの批判があるのも承知している。」との認識はありながら、売却して安い車に買い替えるかについては「考えていない。いろいろなご意見があると思うが、購入したものをしっかり運用し、有効活用をしていきたい」と苦しい胸の内をさらしています。

結局のところ、今回のセンチュリーの購入は、「皇室をだしにして、議長車を新調した」とみられても仕方がありません。

しかも、この20年間、県予算の説明資料に4台のセンチュリーの購入にかかわる記述はまったくありません。議会、県民にまったく説明しないまま、高価な買い物を続けていた県の姿勢が問われています。

識者も「財政難のなか、時代錯誤も甚だしい。」「黒塗りの公用車を権威やステータスの象徴とみる時代はもはや終わった。」「合理性を欠く支出と言わざるを得ない」とコメントしています。