国際連帯税でグローバルな課題の解決を~ワクチン接種、気候温暖化、貧困問題などに有効です~

新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」は、アフリカ南部から世界各地に広がったとみられています。アフリカをはじめとする途上国では、設備や資金面の問題からワクチン接種の進展が先進諸国に比べて遅く、こうした「ワクチン格差」が感染拡大の要因となったとの見方も出ています。命の格差が広がっていることが顕在化しています。

経済が国際的に減速している一方、株価は高騰しています。数多くの人々が経済的に困窮している中で、超富裕層や多国籍企業はますますその富を増やし続けているという現象があります。しかも、その稼得した富に対してまっとうな税金を払っていません。パラダイス文書など国際的な報道機関が明らかにしたようにタックスヘイブン(租税回避地)に資金を移転するなどの方法を巧みに利用しています。

このような国際的な富の偏在を是正するには、グローバル・タックス(国際連帯税)の導入が必要です。金融取引税、デジタル課税、地球炭素税、富裕税、武器取引税などが提唱されています。デジタル課税については、12月2日の記事で触れていますが、今年大きな前進がみられました。今回は、金融取引税について考えてみます。

金融取引税とは、金融市場で取引のある金融商品の売買に対して低率の税を課するものを言います。その課税対象は、株式、債券、金融派生商品(デリバティブ)為替です。この課税の効果としては、財源調達と投機的な金融取引の抑制があります。かなり大きな財源が新たに生まれるとともに、1秒間に何百回もの売買をするような投機的取引を抑制し、マネーゲームに制限をかけることが可能になります。

この課税方式はすでにEU諸国で議論され、フランスでは時価総額10億ユーロ(130億円)以上の国内株式の購入に0.2%を課税する金融取引税を2012年に導入し、その後、税率を0.3%に引き上げています。イタリアも導入し、さらにスペインやポルトガルでもその検討をしています。

EUでは、金融取引税のことを「ロビン・フッド・タックス」と命名しています。その理由は「強きをくじき、弱きを助ける」税金だからです。日本の消費税のように「逆進性」はありません。

日本では超党派の「国際連帯税の創設を求める議員連盟」が、議員立法で金融取引税などを候補とする国際連帯税の実現をめざすことを確認しています。また、市民団体や専門家も外務省などに長年働きかけをしています。

世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は記者会見で、ワクチンの公正分配は「慈善事業でなく、全ての国にとっての最善の利益」と強調し、「ワクチン不平等が長く続けばそれだけウイルスを拡大させ、予防や予想ができない形で進化させる」とし、格差是正が急務だと訴えています。

こうした格差是正を抜本的に行うためには、利ざやを稼ぐことを自己目的化している金融取引に対して、低率で課す金融取引税は大きな効果を上げるのではないでしょうか。