国民生活を守るのは消費税減税(0%)が一番

コロナウイルスの影響がとどまるところを知らない状況になっています。安倍首相は4月7日、「緊急事態宣言」出しました。

朝日新聞の8日付けの記事を要約すると①対象は東京都など7都府県、②期間は大型連休が終わる5月6日まで、③解除・延長は、専門家の評価をもとに判断、④都市封鎖は行わず、可能な限り経済社会機能は維持、⑤人と人との接触機会の7~8減をめざす、というものです。テレビのワイドショーでも井戸端会議でもこの話題で持ちきりです。

すでに世界保健機関(WHO)が3月11日にパンデミックを宣言しました。個人的には今般の対応は全て「後手、後手」のような気がします。

プリンセスダイヤモンド号の乗客から感染者が出たとき、目に見えないウイルスを封じ込めることがいかに難しいかが明らかになり、その後も、和歌山県の有田病院、大阪のライブハウスや中国からの旅行客を大量に受け入れていた北海道でクラスター感染により感染者が急増、現在、全国的に発生源が不明な患者が増加していることを教訓化したらもう少し早く対応ができたのではないでしょうか。専門家委員会と相談しての決定と言いますが、議事録はすぐには公開されないようで、国民の不安は募るばかりです。

しかもその期間の経済的損失は「自己責任で何とかせよ」という姿勢が見て取れます。それは、安倍首相がドイツを意識してのGDPの20%の108兆円の緊急経済対策の事業規模のまやかしです。この中には昨年12月に決定した経済対策の未執行分20兆円、負担を先送りする納税・社会保険料の猶予分26兆円まで含まれています。いわば粉飾して国民を煙に巻いていると言わざるをえません。

その目玉は、収入が減少した世帯に1世帯あたり30万円現金給付を行うというものですが、その要件が非常に厳しく、経済評論家の森永卓郎氏は「現金給付に所得制限をかけようとしているが、収入が減ったなんてどうやって証明するのか」とコメントされています。また、有り体に言えばまず「医師の診断書を取ってからでないと適用しない」という仕組みになっています。必要なのは、今必要なお金なのです。

さらにこれは、新たな不公平を生む内容になっています。例えば、世帯主の収入減になっているので、配偶者などのものは考慮されません。また、わずかの減少金額の差で、もらえる人ともらえない人が生じたり、逆転現象も生まれてきます。これなら、申請者には誰でも10万円給付できる形の当初案の方が早く進むし、公平や平等が担保できます。つまり「医師の診断書」なしで適用できるようにした方がまだ良かったのではないかと思います。

しかし、究極の経済対策は、与野党から上がっている消費税の減税です。自民党の国会議員有志は3月30日、消費税の実質0%引き下げを求める緊急声明を発表しました。この声明をまとめた安藤裕衆議院議員は「消費増税によって経済は壊れている。デフレ状態が続くうちは消費税を大幅に下げるべきだ」と話しています。

消費税を0%にすることは実務的には税率変更時の手続きと同様であり、すでに事業者、税理士、税務署職員共に全て経験済みで大きな負担は発生せず、かつ、その効果は全ての国民が享受することができるものです。何より逆進性の強い消費税は、経済的に弱い立場にある人には大きなインパクトがあります。

現在のコロナウイルスでのさらなる景気の落ち込みを踏みとどめるためには、消費税率をゼロにする以外に道はないと考えています。財源は、当面は国債で賄い、景気が回復軌道に乗ってきたら消費税ではなく、消費税導入前の「物品税」に先祖帰りをすれば良いと思います。