「9月入学」問題について思うこと

コロナウイルスの影響で急浮上してきたのが、9月入学の是非です。多くの学校が自主規制によって遅いところでは、6月末まで学校が再開されません。一方すでに再開している学校も少なくありません。また、オンライン授業を試みているところもあるようですが、それもその環境のない家庭では受けられないという「教育格差」も横たわっています。

今の小学校入学を9月にすれば、世界の主流である秋入学となります。秋入学の例外としている主な国は、シンガポール1月、オーストラリア•ニュージーランド1月末~2月初め、韓国3月、タイ5月、フィリピン6月、ドイツ8月などです。

9月入学にすれば留学生や研究者の交流が増え、企業の外国人採用などの国際化が進む大きなメリットがあります。

一方、入学を後ろ倒しにすると今の小学生1年生の入学が6歳児なので日本だけがすごく遅れた入学になります。前倒して義務教育の始まりを5歳にすると国際標準よりも速くなり世界の中で優位性も発揮できるのではないかという識者もいます。

ただ、秋入学にすると様々な問題が出てきます。ことを一気に進めれば、その学年だけ生徒数が4割ほど増えてしまうなどにより、教室や教師をどう確保するかが大きな問題になります。その他社会構造全般を揺るがすような様々な課題と直面しなければなりません。

また卑近な問題では今般、中止になった夏の風物詩でもある「高校野球の夏の大会」をどうするか「秋のインターハイ」など学校行事も大きく変えなければなりません。

大学の入試制度改革、中高一貫教育、飛び級制度の採用の是非、教師の超過密労働の解消などなど、学校教育に関わる問題を大きく国民的に論議にしていくことのプロセスが大事で、政治家や行政だけに頼っていたらいけないと思います。

現在、憲法の改正論議がしきりに言われていますが、憲法論議をするなら、この問題を国民的論議とするのは有益でしょう。基本的には私は秋入学に賛成ですがコロナ禍の今、やるべきことではないと思います。それはあまりにも短絡的すぎるからです。じっくりやることが肝要です。