日本株の急ピッチな上昇が続いています。日経平均株価は6月1日に一時6万7000円を超え最高値の更新をしました。昨年末比の上昇率は3割を超え世界の主要指数を引き離しています。利益見通しの拡大が続くAI・半導体関連企業に資金が集中していることが特徴です。日経平均が終値で6万7000円台に乗せるのは初めてです。證券各社はさらなる上昇を予測、円安による割安感と自社株買いによる効果が株高の主要因だと解説しています。
さて、上場株式等の取引で得られる利益には「譲渡益」と「配当金」の2種類があり、いずれも課税対象となります。これらの利益には、基本的に所得税(15%)、復興特別所得税(0.315%)、住民税(5%)が課せられ、合計で20.315%の税率が適用されます。一方で、非上場株式の譲渡や配当に対する課税は、上場株式とは異なり、総合課税で処理されます。これらの所得は他の所得と合算されるため、納税者個人の所得に応じて税率が変わります。
さて、株式譲渡に対する課税の歴史を振り返ると1988年以前は、上場株式の譲渡益は長期保有なら非課税、1年未満の保有株には総合課税が適用されていました。
1989年に上場株式の譲渡益に課税が開始されました。上場株については、売却額の1%が課税されるみなし課税制度が導入され、総合課税か、みなし課税かを納税者が選べる仕組みとなりました。バブル景気で儲かった投資家へ公平に課税すべきという背景から導入されましたが、当然のことながら多くがみなし課税制度を選びました。
バブルが崩壊後の2003年、市場活性化のために上場企業の株式に対しては税率10%(所得税7%+住民税3%)の軽減税率が導入されました。さらに、 2014年から現在までは軽減税率は終了し、税率は一律で20%(所得税15%+住民税5%)に、復興特別所得税(所得税×2.1%)が上乗せされ、20.315%になり現在に至っています。
現在の金融所得課税の姿からは想像しにくいですが、戦後日本の税制の原点は、すべての所得を一つにまとめて課税する「総合課税」でした 。この大きな転換点は、1949年にGHQの要請で来日したカール・シャウプ博士率いる税制使節団が出した「シャウプ勧告」にあります。
この勧告の核心は、「所得が多い人ほど高い税率を負担する」という応能負担の原則に基づいた、近代的で公平な税制度の構築でした 。その理想を実現するため、給与や事業による所得だけでなく、株式の譲渡益や利子・配当といった金融所得もすべて合算し、一つの累進税率を適用すべきだと強く主張したのです 。ところが、経済成長を最優先する政策的な要請と税務執行上の現実的な困難さを考慮し、シャウプ勧告が理想とした総合課税をかなぐり捨て、分離課税の道へと進みました。
しかし、分離課税とする根拠は現在既に失われています。なぜなら、経済的根拠は多くの資金が預貯金から株式市場に流れ込み、制度的根拠はコンピュターの進化でそれぞれの問題も解決できているからです。上場株式を持つ者と持たない者の間の不公平を糺すためにも、株式の譲渡や配当による利益は、上場・非上場に関わらず総合課税にするのが妥当です。この仕組みこそが、富の過度な偏在を緩和する税制だと考えます。





