消費税のインボイス制度化は国税庁の悲願?!~社会問題化して阻止する機運を高めましょう~

消費税法の2026年(平成28年)度改正において、適格請求書等保存方式(いわゆるインボイス方式)による仕入税額控除を導入することが決めらました。そのインボイスを発行することができる事業者の登録制度が間近に迫ってきました。 2021 年(令和 3 年)10 月より開始されることになっています。

日本の現行の消費税の仕入税額控除は、帳簿及び請求書等保存方式と呼ばれるもので、原則として請求書等の保存と帳簿に「課税仕入れの相手方の氏名又は名称、課税仕入れを行った年月日、課税仕入れに係る資産又は役務の内容、課税仕入れに係る支払対価の額」の記載を要求されています。

ところがインボイス制度になると、税務署長に申請をして登録を受けた課税事業者が交付する適格請求書(インボイス)の保存が課税仕入れの要件になります。つまり、登録を受けない免税事業者などからの課税仕入れについては、仕入れ税額控除ができなくなり、結果として消費税の納税額が増えることになります。

課税事業者は、免税事業者に課税選択を依頼するか、増加する税額分だけ値引きしてもらわないと事業経営に支障が出ます。反対に免税事業者の取る選択肢は3です。

一つ目は、課税事業者を選択し消費税を納税する道、二つ目は、取引先の値引き要請を甘んじて受ける道、三つ目は、事業をこの際だから廃業することです。いずれにしても酷な選択を迫られます。

現行の免税事業者は、個人・法人で500万件を遙かに超えると言われています。財務省の試算では、課税事業者を選択する免税事業者は161万件としています。これらの事業者には「建設業の一人親方、IT技術者、フリーライター、クラブなどのホステスさんなど多様な個人事業主、ウーバーイーツの配達員、アニメーターなどフリーランスと言われる方々が含まれる」とされていますが、さらに個人タクシーや赤帽などの運送業、音楽・書道・英語教室の講師、ヤクルト販売員、生損保の外交員、シルバー人材センターで働く人など多岐にわたります。

こんな大きな問題が社会問題化されない理由は、国民の圧倒的に多数が給与所得者(約6,000万人)だからです。しかし、消費者である給与所得者も、この制度の混乱による価格の便乗値上げや事業を廃止する人の増加で利便性が低下するなどの影響を受けます。

消費税は、その誕生のときから実際に納税する事業者から大きな反対運動が起きないように着実に、免税点や簡易課税制度の金額の引き下げ、限界控除の廃止などを実施してきました。

その集大成といえるのがインボイス制度の創設です。財務省はこの制度により、より厳格な消費税の税額計算ができます。また、課税事業者の増加や、免税事業者分の仕入れ税額控除の減少で税収が約2,500億円増加すると言われています。さらに、今後の消費税の税率アップもしやすくなると考えられます。

多くの国民が、この問題を自分のことと捉え、反対行動することが求められています。