月別: 2025年10月

議員定数の削減の前にやることがあるでしょう!!~消費税減税と企業・団体献金禁止が優先課題です~

10月21日に高市早苗内閣が発足しました。毎日新聞が25、26日に実施した全国世論調査で、高市内閣の発足時の支持率は65%で歴代7番目となる高水準を記録しました。政策面では、物価高騰対策や景気対策を望む声が多く、論戦が本格化する臨時国会で着実に実績を残せるか、少数与党として今後の政権運営のカギになります。

高市内閣の発足にあたり、10日に公明党の斉藤鉄夫代表が連立離脱を表明しました。自民党の裏金問題に端を発した「逆風」は、地方に至るまで両党の間に深い溝をつくっていたからでした。こうして、四半世紀にわたって続いた自民党と公明党の連携に終止符が打たれました。一方、自民党と日本維新の会の連立協議が始まって、わずか5日あまりで、両党は20日、連立政権を樹立することで合意しました。ただ、維新は閣僚や副大臣、政務官を出さない「閣外協力」を選びました。7月に実施された参議院選挙での民意は、消費税の減税と裏金問題の透明化でした。ところが、維新は、消費税減税と企業・団体献金の禁止は棚上げと先送りにしています。

さて今年は、10月から値上げの秋になっています。飲食料品は3千を超える値上げです。国民の暮らしはますます厳しくなっています。物価対策としての消費税減税は待ったなしです。高市首相は参院選前までは食料品の消費税0%を主張していましたが、高市氏は首相になったら、物価高対策として「即効性はない」、レジ対応で「1年くらいかかる」と見解を変えました。しかし、消費税減税は「逆進性の強い税」であることから、即効性はありますし、他国の付加価値税減税までの期間をみても、わが国でも国会で決めさえすれば、長くても3ヶ月程度の準備期間で減税は実施できます。消費税減税は「焦眉の急」です。

維新は、企業・団体献金の禁止を拒む自民党に譲歩して先送りにして、突然、議員定数の削減を持ち出しました。維新は参議院選挙の公約として、企業・団体の禁止を掲げていました。ところがその公約を、高市氏の自民党総裁としての任期の「2年以内に結論」と後退させました。金権政治の温床をそのままにするというのは大きな後退です。維新が主張する「身を切る改革」と言う言葉は一見「聞き心地が良い」ですが、それを言うならば、議員定数削減より政党助成金の廃止を主張するのが本筋ではないでしょうか。

現在、衆議議院の定数は465人で、小選挙区で選ばれた289人と比例代表で選ばれた176人で構成されています。しかし、維新の主張によると、比例代表の枠だけが対象です。比例代表は、中小政党など多様な意見を国会に反映させる仕組みです。換言すれば、比例定数の削減は大政党に有利で少数政党は淘汰され民意の反映はますます遠ざかります。

小選挙区比例代表並立制が導入された1990年当時、小選挙区と比例区の定数按分比率は3対2でした。それをないがしろにして、比例だけを削るのは問題があります。必要なのは、議員定数ありきではなくいかに国民の多様な意見を取り入られる選挙制度です。

高市首相、今やるべきは民意である消費税減税と企業・団体献金の禁止です。高支持率になっているのは、高市氏がこうした民意を叶えてくれるという期待感からだと思います。