月別: 2025年9月

3つの壁を乗り越えて共生できる社会に!!~参政党の躍進の中で考えたこと~

7月20日投開票の参議院選挙で参政党は大躍進を遂げました。14議席を獲得し、一挙に議席数を増やしました。これにより、参議院内で単独会派を組んで法案提出権を得る要件(10議席)も満たしました。結党(2020年)後、初めての大躍進で、参院選全体でも自民党、立憲民主党、国民民主党に次ぐ第4位の獲得議席数となりました。

その主張の最大のものは、「日本人ファースト」で、その本質は「排外主義」です。その基本的な考え方は、外国人を排斥するものです。専門家は、「民主主義への脅威」「社会分断の促進」「人権意識の後退」につながるのではないかと警鐘を鳴らしています。

この背景には、人口減と高齢化で、15歳~64歳の生産人口の減少の中で、外国人の割合が急速に高まっていることが要因です。政府は2040年までにその割合が10%を超えることも想定しています。そうは言っても、日本における移民の割合はまだ少なく、主要7カ国の20年の総人口に占める「移民」の割合は、カナダ21.3%、ドイツ18.8%、アメリカ15.3%、イギリス13.8%、フランス13.1%、イタリア10.6%、日本2.2%となっています。

移民の流入増加は、欧州各国では、右派ポピュリストや極右政党の躍進につながっており、一部で政権を主導したり、連立に参加するケースもあります。またわが国では近年、SNS上で外国人に関する誤った情報が広がり、外国人への嫌悪を煽るものも散見されます。

こうした状況の中で、8月20日付けの朝日新聞に大変興味ある記事が載っていました。『瀬戸内の島には今、「三つの壁」がある。広島県江田島市の土手三生(さんせい)市長は8月上旬、地域の実情をこう表現した。「先入観の壁、価値観の壁、言葉の壁。日本人市民の心の中にある壁を取り除くには、課題はある。バラ色ではない。でも、外国人の力を借りないと成り立たない。」

背景には、市内のカキ養殖会社で12年前、中国国籍の技能実習生が社長ら2人を殺害、7人にけがを負わせた事件がある。~中略~事件当時、約520人だった市内の外国人は約950人と倍増したが、人口全体は約6千人減って2万265人に。外国人の割合が急増している。国勢調査(2020年)をもとに試算すると、カキ養殖を含めた県内漁業の20代の担い手は、ほぼ外国人という計算となる。~中略~市が21~22年に行った市民調査では、外国人の6割が日本人と「積極的に関わりたい」と答えたが、同様の回答をした日本人は6%だった。市は18年に国際交流協会を設立し、日本語教室を無料で開くなど交流を図っている。土手市長は「外国人と日本人が共に生活をしている実態が現にある。共生するために、顔と顔が見える関係を作っていきたいと」と話す。』考えさせられる記事です。

受け入れ国と移民が、お互いの努力で統合を図る「社会統合」の必要性があります。一方的に外国人に同化を迫るのではなく、受け入れ国は差別や障壁のない環境を作り、外国人は受け入れ国の言語やルールを学ぶ、簡単ではありませんが、今次の日本の問題解決には必要不可欠の課題です。「真の共生社会」の実現には「3つの壁」の双方向での克服が必須です。