月別: 2025年8月

不公平税制をただせば財源はあります!~消費税減税を野党は速やかに実施すべきです~

7月20日に投開票された参議院選挙は昨年10月の衆議院に続き政権与党が敗北しました。自民党と公明党は「参院全体で与党で過半数維持」を必達目標と掲げましたが、改選前の議席の66議席から大きく減らし、47議席にとどまる惨敗でした。

この選挙での大きな争点は物価高対策でした。与党が現金による給付を掲げ、野党は消費税の減税・廃止を掲げました。しかし、与党を過半数割れに追い込んだ野党の足並みがそろっているわけではありません。もちろん、政党が違うのでその政策が違うのは当然です。

ところが、物価高はとどまるところを知りません。「小異を捨てて大同につく」ことが肝心で、民意である消費税の減税を待ち望んでいる人々を安心させる必要があります。

そこで大事なのは、財源です。これも野党の各党で異なります。赤字国債の発行や社会保障の削減などまちまちです。しかし、まずただすべきは「不公平な税制」の是正です。

納税者の権利を守ろうという志ある税理士などからなる「不公平税制をただす会」という団体があります。この会の共同代表の菅隆徳税理士は、法人税について「累進税率ではなく一律23.2%の税率のため、大きな利益を上げている大企業には応分の負担になっていない」と指摘し、「実質法人税負担率で見ると、大企業は中小企業の半分しか法人税を払っていない」と述べました。

さらに「租税特別措置」を挙げ、大企業を優遇する政府を批判。根底に企業団体献金があるとして「トヨタ自動車は2022年の減税額5211億円、自民党の資金団体への献金額は5000万円で1万倍の見返りがあった」と述べ、大企業優遇税制を斬りました。ここに企業・団体献金の温床があることが垣間見られます。

今年1月に逝去された経済評論家の森永卓郎氏は、2021年10月21日の毎日新聞のインタビューで、『いまの日本の金融所得課税は不公正税制の象徴だと考えている。所得税は、累進課税となっているから、本来、所得が増えると負担率が上がって当然なのだが、現実には5000万円超1億円以下の所得層の27.9%をピークに、負担率が下がっていく。100億円を超える合計所得を稼いでも、所得税の負担率は16.2%にとどまっているのだ。

「1億円の壁」と呼ばれているこの現象は、なぜ起きるのか。最も大きな原因は、金融所得に適用されている分離課税および定率課税だ。株式の売却益や配当などの金融所得は、他の所得と分離されて所得税が課税される。しかも税率は、所得税15%、住民税5%の定率で、どんなに稼いでも税率は変わらない。年収1億円よりも、年収100億円のほうが所得税の負担率が小さいという事実は、誰がどう考えてもおかしい。

一般的に税金は、額に汗して稼いで得た所得に対しては軽く、あぶく銭には重くというのが大原則だ。ところが日本では、その正反対のことが行われているのだ。』と指摘されています。

赤字国債の発行や社会保障費削減の議論の前に、行き過ぎている「不公正税制の是正」の論議をすることが大事です。TVの報道で、物価高の中で食事を1日1食にしている家庭もあるなどをみると胸が締め付けられる思いです。

一刻も早い消費税減税法案を国会で成立させて欲しいものです。野党の公約を実現するチャンスが今ここにあります。