月別: 2025年7月

参議院選挙で問われるのは何でしょうか?~税のあり方として消費税の減税が求められています~

参議院選挙は、7月3日公示、20日投開票の日程で行われます。重要な争点のひとつが物価高への対策です。その中身について「現金給付」か、それとも「消費税減税」かが問われています。今度の参議院選挙では、私たちの家計に直接影響する「消費税」のあり方が、大きな議論の的になります。現在、消費税率は10%(食料品などは8%)ですが、この税率を今後どうしていくのか、各政党の考え方には違いが見られます。

与党である自民党の立場は現在の消費税率10%を維持し、その税収を年金・医療・介護といった社会保障制度を支えるための重要な財源と位置付けています。一方、野党からは、現在の物価高騰による家計負担の軽減や経済全体の活性化を目的として消費税の減税を求める声が上がっています。税率を5%へ引き下げる案や、一時的に消費税を凍結するといった案などが主張されています。ただし、減税を実施した場合に、その分の財源をどう確保するのかなどで、各政党間で具体的な政策内容やその実現方法に違いが見られます。

税構造の変化をみてみると、消費税がスタートした1990年度と2024年年度の主要税項目(消費税、所得税、法人税)の税収の比較をすると、消費税(税率3%)は4.6兆円だったのが現在(税率10%)には24.3兆円、+19.7兆円、所得税は(最高税率70%)26兆円だったものが現在(最高税率45%)には20.1兆円、△5.9兆円、法人税は(税率40%)で18.4兆円だったものが現在(税率23.2%)には18.1%、△0.3兆円になっています。

このことから、消費税率を引き上げ、反対に所得税率や法人税率を引き下げることによって、税収構造が大きく変化し、消費税は導入当初言われていた「補完税」から「基幹税」となり、今や税収の中で最大になっています。税制の根幹は「公平性」です。つまり、垂直的公平( 経済力のある人により大きな負担を求めること)と、応能原則(経済的な能力に応じて税金を負担すること)が求められています。そういう観点からすると、消費税は不公平な税制です。「逆進税」とも言われ、所得が高ければ高いほど税負担が低くなり、所得の少ない人やない人にも買い物の度に容赦なく税負担を強いられます。

この参議院選挙で問われるのは、単に「物価対策」だけでなく、税の根幹として消費税をどう捉えるかです。もちろん、消費税減税はすべきだと思いますが、その税収減をどのように埋め合わせるかも同時に考えなければなりません。税収増は可能です。所得税の最高税率(45%)を引き上げることや金融所得の優遇税制(現行は所得税・住民税を併せて20%)の抜本的な見直しをすればできます。また、法人税では、比例税率(23.2%)の見直しと累進課税化そして、さまざまな特権的な減税制度、例えば試験研究費減税は総額9479億円で、上位10社だけで全体の3割を占める減税の廃止も見直しなければなりません。

私たち有権者は、この参議院選挙のなかで、物価高のなかで賃金が上がらない昨今の状況を踏まえ、消費税のあり方を短期的だけではなく、長期的にどのようにすべきかを考える機会と捉えることが大事だと思います。個人的には、消費税を将来的に廃止して、贅沢品などについて課税をする旧「物品税」の復活があるべき公平な税制だと考えています。