「上がる・下がる」、「上げないといけない・下げないといけない」の一考察~日本経済を良くする「最適解」はあります!~

上がると言えば、間近に迫った国葬に反対する世論です。FNNの世論調査では、賛成33.5%、反対は62.3%にもなりました。岸田首相が説明すればするほど反対の声が大きくなるのは、その決め方や内容に道理がないことが国民の共通認識になっているからでしょう。

さらに上がるのは消費者物価です。8月は2.8%の上昇です。この数字は消費税増税の影響があった期間を除けば、バブル景気直後の1991年9月以来、約31年ぶりの水準です。今後もしばらく続くと考えられる円安やロシアのウクライナ侵攻などでさらに物価は上昇すると思われます。10月からは、後期高齢者の窓口負担や労働保険料も上がります。

反対に下がっているのは、内閣支持率です。時事通信が9月9日から12日にした世論調査では、前月比12.0%減の32.3%と急落し、昨年10月の政権発足以来最低となりました。この原因は、国葬だけでなく、統一教会問題の対応の不十分さ、新型コロナウイルスへの対応のまずさなどがあります。

さて、結論から先に言えば日本経済を良くするには大企業の法人税負担を上げること、併せて国民の手取り収入を上げること、消費税率を下げることが「最適解」と考えます。

財務省が9月1日に発表した法人統計によると、国民の暮らしや中小企業の営業が大打撃を受ける中、大企業の内部留保は2021年度末で484.3兆円となり、前年度に比べ17.5兆円増加しました。大企業は第2次安倍晋三政権が発足した2012年から、売上高が1.02%と横ばいにとどまる一方で、配当金は2.02倍に急増しています。一方で、賃金はわずか1.05%の上昇しかありません。また、同調査での4~6月期の法人の経常利益は前年同月比17.6%増の28.3兆円になりました。4半期ベースでの過去最高益を4年ぶりに更新しました。

ところが、法人税の実質負担率は低いままです。「不公平な税制をただす会」の菅隆徳税理士は、その理由として「大企業優遇税制による莫大な減税があるため」と訴えています。氏は、有価証券報告書から個別企業の減税額を推定しています。その減税額は多い順に①トヨタ自動車=受取配当金の益金不算入額(以下受配という)2,376億円、試験研究費の税額控除608億円②本田技研工業=受配1,768億円③伊藤忠商事=受配3,430億円④三菱商事=受配1,399億円というように膨大な減税額になっています。

また日本経済新聞(8月20日号)が一面トップに「繰り返す法人税ゼロ」の大見出し、「15年で課税4回」という小見出しをつけてソフトバンクG(通信会社のソフトバンクの親会社)が、2021年3月期の決算で1兆4,538億円の利益を上げながら法人税がゼロだったことを報じています。大企業優遇税制を廃止して、法人税に累進課税を導入すれば約20兆円の財源が生まれてきます。併せて企業責任として労働者の賃金を引き上げることです。

一方で、引き下げるべきは消費税です。世界はコロナ禍や物価高に対応するため、96カ国で付加価値税(消費税)の減税に踏み切っています。もはや従来の物価対策では限界があります。消費税減税は世界の流れであり、所得の低い人が高い負担率になる最も不公平な税制である消費税の減税こそが国民の生活や商工業者の最大の応援になります。

デジタル化社会の盲点と雑損控除について考える!~ショートメールに国税庁からのお知らせ~

8月21日、私のスマホのショートメールに、国税庁「未払い税金お支払いのお願い。詳細はこちら。https://… …」という送付がありました。

最近、ニセの国税庁のホームページにアクセスをさせてクレジットカード情報を抜き取る事案や金銭の払い込みを要求してくる事案が後を絶たないようです。国税庁はホームページで注意喚起をしました。

「国税局・税務署をかたった不審なメールにご注意ください」「最近、国税局・税務署をかたった不審なメールが送信されております。国税局・税務署では、電子メールで納税に関する催告を行っておりません。指定されたURLをクリックしないようお願いします。」と言った内容です。

こうして仕組まれた詐欺を「フィッシング詐欺」といい、『送信者を詐称した電子メールを送りつけたり、偽の電子メールから偽のホームページに接続させたりするなどの方法で、クレジットカード番号、アカウント情報(ユーザID、パスワードなど)といった重要な個人情報を盗み出す行為のことを言います。

なお、フィッシングはphishingという綴りで、魚釣り(fishing)と洗練(sophisticated)から作られた造語である』と定義されています。

また、警察庁のまとめによると、公共機関の職員を名乗ってキャッシュカードや現金をだまし取る「預貯金詐欺」や親族のふりをして送金させる「オレオレ詐欺」と言った「特殊詐欺」の認知件数は1万件を超えて増加傾向にあります。

コロナ禍で在宅時間が増えたことが増加の要因になっているようです。件の「税金の未払い」を理由にしたものだけでなく「医療費や保険料の払い戻し」があるということをえさに主に高齢者からお金をだまし取る「還付金詐欺」も横行しています。

私もこの被害に遭遇した人を知人の紹介で知りましたが、こうした詐欺の被害者の多くは残念ながら返金を受けることができないのが実情です。

また、税務上も「雑損控除」の適用を受けることはかないません。所得税法上の「雑損控除」は、医療費控除や寄付金控除などと同じく一定の要件に該当した場合には損害額のうちの一部をその被害を受けた年分の所得から控除できる仕組みを言います。

その対象となる災害などは、5つです。具体的には(1)震災、風水害、冷害、雪害、落雷など自然現象の異変による災害(2)火災、火薬類の爆発など人為による異常な災害(3)害虫などの生物による異常な災害(4)盗難(5)横領です。

「特殊詐欺」損失は、そのいずれにも該当しないという2011年の国税不服審判所の裁決があります。犯罪被害者であることに変わりはないのですが、「騙され」たり「脅され」たりしたにせよ、「自らお金を渡した」という点が「横領」などとは違う、と解釈されたのです。

残念ながら、依然としてなくならない「振り込め詐欺」や「還付金詐欺」のような「特殊詐欺」の被害は、現行上は税の面からは救済されません。

法改正して、「特殊詐欺」も災害とすべきです。「多額の所得税を納めていない高齢者は、税制では救済できない」という仕組みにも、一工夫の余地はあるのではないでしょうか。

資産所得倍増計画に異議あり~投資より賃金や年金の引き上げが必要です~

岸田文雄首相は、9月上旬と言われていた内閣改造を8月10日に実施しました。この背景には、安倍元首相の国葬の賛否、安倍元首相の狙撃の要因にもなったカルト教団である「旧統一教会」に多数の閣僚が関与していたこと、新型コロナ対応のまずさなどで内閣支持率が急落したことを一気に挽回することにその狙いがあったのだろうと思います。

ところが、組閣をした新閣僚の多くが「旧統一教会」との関連を指摘されるありさまで、国民からの疑念はまったく払拭されていません。

さてわが国の「最高舵取り役」である岸田首相は歴史の教科書に載っている「遣唐使」をもじり、「検討使」と揶揄されることがあります。

「聞く耳を持つ」首相は、とりあえず「検討します」を繰り返すことが日常化していますが、首相が打ったこのたびの内閣改造の前倒しは、大きな危機感の表れだといえます。

長らく「検討」している代表的なものが秋の総裁選挙ときに息巻いていた「金融所得課税」です。この経緯は、就任後すぐの株価急降下にありました。それを受けて就任後わずか1週間足らず「当面触らない」でお得意の「検討使」と相成りました。

逆に打ち出しているのが「資産所得倍増計画」です。首相は5月にロンドンで講演をして、「貯蓄から投資へ」による「資産所得倍増」をいわば「国際公約」としました。首相の派閥である宏池会の創始者、池田勇人元首相の「所得倍増計画」になぞられたものでしょうが、名前こそ似ていますが、中身は「似て非なるもの」です。

「新しい資本主義実行計画」は、日本の個人金融資産の2000兆円の半分以上が預貯金で保有されていることを指摘しています。この20年間で資産に占める株式などの比率が高い米国では家計金融資産が3倍に対してわが国では1.4倍にしかなっていないと記載しています。その原因が、日本の国民が株式投資に熱心ではないかと言わんばかりです。

そもそも、金融資産は実体経済が成長してこそ増加するものです。日本の国内総生産(GDP)は、この20年間ほぼ横ばいです。それに比べて米国は2倍強増えています。つまりわが国は先進国の中で唯一「成長しない国」「先進衰退国」となっています。

米国でGDP以上に金融資産が増えているのは、富裕層の伸びが著しいからです。上位1%の金融資産は4.8倍になっていて全体を押し上げています。つまり、格差が拡大しているのです。日本でもこうした政策をとれば、米国と同じように格差はますます広がります。

ところで、日本の家計部門の「財産所得」は、直近の2020年では26.3兆円です。しかし、1991年には62.6兆円ありました。その当時も株式投資の割合は低く、家計資産のほとんどは預貯金でした。

この低下の原因は、その利子にあります。90年代には定期預金の利子は5%を超えるものもありましたが、現在では定期預金の利子は0.002%しかありません。

「異次元の金融緩和」で異常な低金利政策が続けられています。この政策を継続しながら、国民の預貯金をさらなる株価のつり上げに活用しようとする「資産所倍増計画」には異議ありです。

今必要なのは、投資より賃金や年金の引き上げで庶民の懐を温かくすることです。

安倍元首相の国葬の是非を考える~二度にわたる消費税増税で国民・中小零細企業が窮地に~

参議院選挙後半戦の7月8日、遊説中の奈良市で凶弾に倒れた安倍晋三元首相には、謹んで哀悼の意を表します。このような暴挙は断じて許されるものではありません。

ところで政府は7月22日の閣議で、安倍首相の国葬を9月27日に日本武道館で実施すると決めました。その名称は「故安倍晋三国葬儀」で岸田文雄首相が葬儀委員長を務め、費用は全額国が負担と言う内容です。

そもそも国葬というのは、民主主義社会においては国家が主体となり、国民も政府も納得した上でその人を顕彰するために行うべき儀礼のはずです。安倍元首相の政治的な立場・姿勢に対する評価は人によって大きく分かれます。国葬をするということは、国家としてそれを全面的に公認し、賛美・礼賛することに繋がるのではないでしょうか。

国葬の閣議決定について、中日新聞と南日本新聞は「LINE」を使ってアンケートを実施していますが、両新聞とも反対が7割を超えました。保守層や自民党支持層についても国葬に懸念や違和感、疑問を呈する声も広がっています。

岸田首相は国葬をする理由について、「日本経済の再生」「日米関係を基軸とした外交の展開」「東日本大震災からの復興」をあげていますが、消費税の観点から考えてみます。

NHKの「日曜討論」(6月19日放送)で、野党が「消費税減税をしないのはおかしい」と追及すると自民党の高市早苗政調会長は、「消費税が法人税の引き下げに流用されているかのような発言がこの間から何度かあったが、全くの事実無根でございます。消費税の使途は社会保障に限定されている。でたらめを公共の電波で言うのはやめていただきたい」と反論しましたが、その発言は消費税法1条2項を根拠にしています。

たしかに同条項は「年金、医療及び介護の社会保障給付並びに少子化に対処するための施策に要する経費に充てるものとする」と定めています。2014年4月にこの条項は追加されましたが、これは不況に喘ぐ国民からの非難を抑えるための苦肉の策でした。

しかし、いくら法律で使途を規定しても、消費税は特定の経費に充てる目的で課す目的税(都市計画税・入湯税など)ではありません。使途を特定せず一般経費に充てる目的で課す普通税です。高市氏の全く根拠のない発言は、ネット上でも大炎上を余儀なくされました。

そもそも日本経済を決定的に悪化させた要因は、安倍政権下における2014年4月と2019年10月における2度にわたる消費税の増税であることは明らかです。大企業や大資産に対する減税の穴埋めにこの消費税増税は使われ、もともと不況が長期化していて脆弱であった個人消費はさらに落ち込み、中小零細企業はさらに痛めつけられました。

1989年の消費税導入から34年で消費税の総額は476兆円です。他方、法人税(法人地方税も含む)は324兆円の減収、所得税・住民税は289兆円も減収になっています。

日本を成長しない国にした元凶は、消費税の導入、とりわけ不況時における2度にわたる増税は安倍政権下の失策だといえるでしょう。そうした意味で、安倍元首相が「日本経済を再生した」とはとうてい評価できるものではないといえます。

インボイス制度導入は消費税減税で不必要に~参議院選挙で野党が減税を公約に掲げています~

参議院選挙の投票日(7月10日)が迫ってきました。大きな争点として国民生活を直撃している急激な物価高から国民生活をいかにして守るかの課題があります。

生活必需品の多くのものがものすごく値上がりをしています。私が健康のために愛飲している豆乳も4月から6%上昇しました。朝食で食卓に登場する食パンも9.4%、休日の昼食でよく食べるスパゲッティは11.3%、野菜炒めの材料になるキャベツは40.6%、タマネギに至っては何と125.4%の値上げです。エネルギー関連の値上げも深刻です。猛暑が心配な今年の夏ですが、電気代は約20%、ガス代、ガソリン価格も大幅に上昇しています。

これらの原因は、異常な円安、ロシアのウクライナに対する軍事侵攻、世界(日本を除く)の景気回復などと分析されています。物価高の最も効果的な対策は消費税の減税です。その効果は消費に占める生活必需品の割合が大きい低所得者ほど現れます。そこで、政権与党(自民党と公明党)以外の政党が、多少のニュアンスの違いこそあれ消費税の5%への減税を公約にしています。

他方、与党の言い分は「消費税は社会保障の財源である」と言ってはばかりません。確かに消費税法の第1条には消費税収について「年金、医療及び介護の社会保障給付並びに少子化に対処するための施策に要する経費に充てる」と明記されていますが、この規定は消費税を段階的に引き上げる2012年に増税の言い訳として書かれたに過ぎません。

もともと、消費税導入は1986年に経団連が政府に提言した、法人税と所得税の引き下げの財源として「国民が広く薄く負担する税体系の構築」を端緒にしています。この提言を受け、自民党は1988年6月に税制改正大綱に「直間比率の是正」を掲げ、同年7月に当時の竹下首相が消費税法案を国会に提出して、翌年1989年4月1日から導入されました。

消費税が導入されて以後、消費税は国と地方を併せて476兆円の税収をもたらしましたが、法人税(法人地方税を含む)は324兆円、所得税・住民税は289兆円の減収になっています。つまり、消費税は、社会保障のためではなく、大企業や大金持ちの減税に使われたことになります。

自民党の茂木幹事長は、「消費税の減税を実施すると、現在の社会保障財源は3割以上カットしないといけなくなる」との問題発言をしています。そればかりか、岸田首相は、防衛費を現在のGDP(国内総生産)比1%から2%にすると国際的に「公約」しました。財源はどうするのでしょうか。「消費税を増税する、医療費負担を大幅に増やす、年金をさらに削る」いずれにしても負担は、この20年間賃金が下がり続けている唯一の先進国に暮らしている人々にしわ寄せがくることになるでしょう。

消費税を減税し、庶民の懐を温かくして経済の好循環を進めていくことが急務になっています。消費税を減税すれば複数税率は解消され「インボイス制度」の論拠が崩れてしまいます。既に、世界では90を超える国や地域が消費税(付加価値税)の減税を実施・予定しています。日本でできない理由はありません。審判の時が刻々と近づいています。

メデイアはなぜインボイス廃止法案を取り上げないのか~メデイアはインボイス制度の本質について取り上げるできです

NHK政治マガジンは、立憲民主党が提出したインボイス廃止法案について次のような報道をしています。

『事業者の納税すべき額を正確に把握するため、消費税の税率や税額を記載する「インボイス」と呼ばれる請求書の作成が、来年から事業者に求められる制度について、立憲民主党は、3月30日、中小・零細事業者などの大きな負担になるとして、廃止するための法案を国会に提出しました。

~中略~立憲民主党はインボイスの作成は、中小・零細事業者などの大きな負担になり、コロナ禍や物価の高騰で直面している厳しい状況に追い打ちをかけることになりかねないなどとして、制度を廃止するための法案を衆議院に提出しました。

立憲民主党の末松義規衆議院議員は記者団に対し「現在の制度でも、事業者の納税額は適正に把握できるので、インボイス制度は不要だ。立憲民主党としては、短期的な経済対策として、消費税率の5%への一時的な引き下げも主張していく」と述べました。』という事実関係だけを述べた記事です。

実際、インボイス制度で大きな影響を受ける人は、消費税の免税事業者(推定1000万人超)だけでなく、そうした事業者と取引をしている課税事業者も含め社会的な大問題です。

この制度により影響を受ける業種は、一人親方などの建設関連の下請け業者、外注化された社員、赤帽など軽トラックの配達請負業者、ウーバーイーツなどの宅配業者、個人タクシー、英会話学校や塾の講師、映画・演劇の俳優や声優、編集者、音楽家、漫画家やイラストレーター、農家、生命保険・損害保険の代理店、貸家や駐車場経営者、電気やガスのなどの検針員、内職者、ヤクルトレディー、シルバー人材センターの会員など多岐にわたります。

メデイアは前回の総選挙後から特に「野党は批判ばかりだから選挙に負けた」との主張を繰り返しています。野党の役割は権力の監視で、政府・与党の追及です。それこそが民主主義を機能させることに繋がります。野党が批判を加えてからこそ、行政の歪みなどが国民へ知らせることになります。議会制民主主義の母国であるイギリスでは、野党のことを「オポジションパーティ・反対党」と表現するそうです。

他方、メデイアの「批判ばかり」は事実なのでしょうか。2017年11月に開会された第195国会から2021年6月に閉会した第204国会までの政府提出案のうち賛成した主な野党の賛成率は、立憲民主党82.6%、日本維新の会88.7%、日本共産党53.9%です。また、165本の対案となる法律も提出しています。このことからメデイアの野党批判は相当とはいえません。

さて、参議院選挙が間近に迫ってきました。この選挙で大きな争点の一つが小規模事業者に新たな税負担と事務負担を強いるインボイス制度です。メデイアには大きな社会問題として既に野党が提案している法案を形式的な論評だけでなく、その本質をえぐるような報道をすることを期待しています。この制度が導入されたら、やがて消費税の税率はヨーロッパ並の20%になるのではないかと危惧しているのは私だけではないと思います。

わが家はレトルトカレーがマイブーム!~わが家の三種の神器とレトルトカレー~

とにかく美味しい、私だけでなく、妻も長女やその夫も大絶賛するのがNISHIKIYA KITCHEN (ニシキヤキッチン)のレトルトカレーです。今、わが家では3日に1度はそのカレーを食しています。それだけでなく同社のこだわりのスープはわが家の朝食の定番となりつつあります。

そもそも、妻の得意料理(三種の神器)は、「煮しめ」「おでん」「カレー」です。夫婦だけの二人世帯なので、料理を美味しく作ろうとするとどうしても1回では食べきれませんが、余ってもわりと長期の保存ができるために、妻にとっても都合が良いものです。

「煮しめ」は、私の母の得意料理ですが、その味を見事に妻は盗んでいます。私にとっても味の承継ができているのがとても嬉しい限りです。そもそも「煮しめ」とは、煮汁が残らないように、じっくりかけて煮ることを「煮しめる」と言い、その調理法から命名されたらしいのですが、妻もそれを実践しています。多くの野菜を使うのでとてもヘルシーです。

「おでん」は、大阪出身の妻の味です。大阪では、「おでん」のことを「関東煮(かんとだき)」と言います。牛すじ肉をたっぷり入れ、昆布巻きも入ります。私の好みのネタは、なんといっても玉子です。煮汁をほどよく吸収したその味は、私の食欲を増進させます。

さて、今回のブログの主人公は「カレー」です。元々はインド発祥でそれがイギリスに渡り、日本には150年前に入ってきました。日本人の好み合うように工夫、改善が繰り返され、日本独自のカレー文化を創りました。

わが家のカレーは、「簡単・便利・美味しい・リーズナブル」を兼ね備えたカレールーをアレンジしていました。たまに、スパイスから時間をかけて作るのですがカレールーにはかないません。「カレールーを2種類以上使う」できあがりに、「醬油・ウスターソース・インスタントコーヒーの顆粒を入れる」などの工夫をしましたが、妻が出した結論は、お気に入りのカレールーを単体でそのレシピどおりに作るのが最良ということです。

それを超えるものが今回のお話です。私の大好きなテレビ東京系列の「カンブリア宮殿」という番組があります。その番組で今年1月20日に取り上げられたのが、「NISIKIYA KITCHN」でした。その番組で感銘を受けてそれ以来の大ファンです。そのホームページには会社の沿革と経営理念が紹介されています。

『「にしき食品」は1939年、宮城県仙台市で創業しました。創業当時は佃煮や豆腐などの惣菜を主に製造し、時代の変化に合わせて1975年よりレトルト食品製造を開始しました。その後、様々な転機を経て、現在は企業さまのプライベートブランド食品製造と、自社ブランド『NISHIKIYA KITCHEN』の展開に力を入れています。

私たち「にしき食品」は、レトルトの新しい価値を追求し開拓することで皆さまの暮らしにお役に立てることを願っています。私たち「にしき食品」は、レトルトの新しい価値を追求し開拓することで皆さまの暮らしにお役に立てることを願っています。』

しばらくは、妻も大絶賛のわが家のマイブームは続きそうな気配です。

官房機密費は今年度末も使い切るのでしょうか?!~そのどす黒い闇に迫ってみます~

わが国の会計年度は4月から翌年3月となっています。大企業を中心に多くの企業や団体などがこの会計年度をとっているのは、国や地方自治体の会計年度と合わせているからだといわれています。

ところで日本の予算制度は、単年度主義をとっています。使い切れなかった予算は、次年度に繰り越されます。つまり、実質的に新たな予算が少なくなってしまうのです。これでは削減できる良いアイデアがあっても削減しようという発想にはなりません。

その予算制度の弊害の最たるものが「内閣官房機密費」です。「内閣官房機密費」の正式名称は「内閣官房報償費」といいます。この予算は、国政の運営上必要な場合において、内閣官房長官の判断で支出される経費に当てられとされています。国政を円滑に運営する支出される趣旨から「権力の潤滑油」などとも揶揄されています。会計処理は内閣総務官が所掌しています。

問題は、その支出には領収書が不要で、会計検査院による監査も免除されており、使途が公開されることがないことです。この不透明な使途に国民からその支出の開示を求める声が多く上がっています。

近時、国民の知る権利について政府や企業は不十分ながらもその開示に対応をしつつあります。定量情報(数字で表せるこことが可能なもの)だけでなく定性情報(数字では表せないもの)もどのように開示すべきかについて腐心をしています。

そうした動きに逆行するのが「官房機密費」です。その歴史は古く最初に計上されたのは1947年です。戦後の混乱期においては「表に現せない支出」も一定程度必要だったかもしれませんが、その支出は年々増加をし、2016年には年14億円を突破して、財政が逼迫をしている中でも、減額にはなっていません。そもそも、国民の税金であるにもかかわらず開示できないことについて、大きな疑問が生じます。

さらなる問題が、年度末に使い切ると言うことです。もともとこの支出は、必要な都度に内閣官房長官の判断で機動的に使用することが趣旨の経費です。つまり、使うときもあれば使わないときもあるということです。ところが、度末の3月になると毎月の倍近いお金を支出しています。その結果、余ったら本来国庫に返納された金額はここ数年間、少ない年で僅か1万円、多い年でも13万円しかありません。

政治資金の問題に詳しい浦野広明税理士は「『機動的に』使うといいながら、毎年3月に支出が増えるのは明らかにおかしい。この支出が必要な場面が3月に集中するとでもいうのだろうか。しかも、予算ぎりぎりに使うというのは、狙ってやらないとできない。目的外の支出、私的流用の疑いがある」と指摘されています。

河井克行元法相夫婦の広島買収事件でもこのお金が使われたいという疑惑が濃くなっています。税金の私物化の疑いがきわめて強く、自民党の選挙対策、はたまたマスコミ対策等に使われているといわれているこの支出です。「クリーン」を売り物にしたい岸田首相、「聞く耳を」をもって、このどす黒い闇支出をいい加減やめせんか。

新しい資本主義を考える!~分配重視の好循環を~

岸田首相の看板政策は「新しい資本主義」です。この言葉は、衰退しつつあるわが国の経済を再び好転させてくれるのではないかという前向きで明るいイメージが感じられ、万人が好印象をもつ、とても響きの良いキャッチフレーズです。

経済学の通説では、市場での自由な競争に委ねれば、経済格差が拡大し、人類の存亡にかかわる環境破壊にもつながるとされています。

こうした「新自由主義のシステム」から脱却して、持続可能な社会を実現するという高い志からの発言であればまっとうなものであり、ぶれずに実行して欲しいと願うばかりです。

ところがこの首相肝いりの「新しい資本主義」に対してマスコミは酷評しています。例えば3月9日付けの朝日新聞では次のように言及しています。

『~そもそも、新自由主義からの脱却を掲げ、中間層の所得向上をめざすと宣言した「ビジョン」づくりは漂流しかかっている。昨秋の自民党総裁選挙で公約した看板が先行し、「ビジョン」が後回しになっていることが原因だ。~

「新しい資本主義」をめぐる国会論議も低調だ。首相は「成長と分配の好循環」という基本的な答弁を繰り返すばかりで、活発なやりとりには発展しない。

その一方で、政治決断が必要な問題は先送りし続けている。分配の目玉として訴えていた富裕層増税のための金融所得課税強化は、首相就任直後の株価下落を受けて早々と棚上げ。二酸化炭素(CO2)の排出量に応じて課税をする炭素税は、産業界の反発を考慮して見送った。~』

「成長と分配の好循環」を税制でどう解決をすれば良いのでしょうか。日経新聞2月23日号の「好循環生まぬ企業の分配」に次のようなくだりがあります。

「~賃金や配当、投資に回らない資金は積み上がっている。財務省の法人企業統計によると、日本企業(金融などを除く)の利益剰余金(内部留保)は20年末に484兆円と過去最高を更新した。手元にある現預金も259兆円に膨らんだ。~」

つまり、大企業を中心に税制上の優遇措置の追い風も受けて莫大なお金が蓄積されているという現実が横たわっていると言うことです。企業が儲かれば個人所得も増加し、経済全体が良くなるという「トリクルダウン」は起こりませんでした。敷衍すると、富が一部の大企業や大資本家に偏在し、世の中にお金が回らなくなり、内需が停滞して、日本経済は長きにわたり停滞をして、先進国の中では類をみない「成長できない国」と化したのです。

この悪循環をただすためには、お金を循環させる政策への転換が必要です。人件費削減を目的にした労働法制の規制緩和による非正規化の抜本的な転換が必要です。

さらに、労使折半となっている社会保険料の割合をEU並に改め、労働者の手取り賃金を増やすことが有効です。もちろん、財務体質が不十分な中小企業には国からの直接的な支援が必要です。

財源は、大企業の内部留保に対する応分の課税と金融所得課税の適正化でまかなえます。税の公平性を担保し、結果として労働者の賃金に回る好循環をつくり出す政策は有効です。

小選挙区制度は廃止すべきです!~人物本位で選ぶ中選挙区制度と政党本位で選ぶ比例代表制度の組み合わせがベスト~

「1票の格差」が最大2.08倍だった2021年10月の衆院選は「投票の価値の平等に反し違憲だ」として、弁護士グループが岡山県内の選挙区選挙の無効を求めた訴訟の判決が、2月10日広島高裁岡山支部であり、裁判所は「合憲」と判断しこの請求を棄却しました。

昨年の衆院戦での一票の格差をめぐる訴訟の判決はこれで6件目になりますが、「合憲」と「違憲」がそれぞれ各3件となりその判断が大きく分かれています。訴訟は全国14の高裁・支部で提起されており3月までに判決が出そろいます。その後、最高裁が年内にも統一判断を示す見通しになっています。

一票の格差については、最高裁大法廷が2009年以降の衆院選について、3回連続で「違憲状態」としました。それを受けて国会は16年、都道府県の人口比をより反映しやすい「アダムス方式」の導入を決め、経過措置として小選挙区の定数を「0増6減」としました。ただ昨年の衆院選ではこの方式の導入が間に合わず、2倍を超える格差が生まれました。

今後、衆院選挙区画定審議会(区割り審)は6月25日までに、新たな区割り案を首相に勧告する予定です。この案では「10増10減」を軸に調整が進められていますが、自民党の内部では異論が噴出しています。例えば山口県では、定数が4から1減少して3になり、安倍元首相(4区)と林外務大臣(3区)の公認争いになるとの見方も出ています。

朝日新聞は、2月11日の1面トップに、2040年「16増16減」という大見出しで「アダムス方式」を当てはめた試算がされていました。試算を都道府県別でみると、40年には東京が8増、神奈川が3増などで、山形、栃木、新潟、岐阜、長崎などが各1減となるとしています。この記事で減少となる16都県では、戦々恐々となっているのではないでしょうか。

いま小選挙区制度の矛盾が露呈しています。この制度にしがみつく限り、こうした問題は未来永劫続きます。小選挙区制度では、有効投票の多数で当選者が決定まり、当選者以外の候補者に入れた票は無かったこと、つまり「死票」となります。民意を歪め、その結果投票率をも下がり、さらに政権与党に圧倒的に有利な小選挙区制度は廃止し、多様な民意が正しく国政に反映される選挙制度に改革する必要性があるでしょう。

朝日新聞のオピニオンの投稿(21年11月6日付)でなるほどと頷かされた投稿があったので紹介します。「~前略~『田中角栄 戦後日本の悲しき自画像』」(中経出版)の一節を思い出した。中選挙区制の時代、旧新潟3区には、角栄氏のほか、社会党の三宅正一氏がいた。選挙戦の街頭演説で、角栄氏は『この選挙でわれわれは勝たねばならないが、農民の恩人である三宅先生だけは落選させてはいけない。もし落選させたら新潟県人の恥になる』と話したという。~中略~人物を選びやすくするためにも中選挙区制の復活を望む。その方が民意がより国会に反映されるはずだと思う」この意見に賛同します。

さらに、定数の半分を人物本位で選ぶ「中選挙制度」と半分を政党本位で選ぶ「全国区比例代表制度」の組み合わすのが理想の選挙制度だと思います。

こうした選挙制度の改革と併せて、有権者の権利でもあり義務でもある投票を必ず行い政治に自ら進んで参画する意識を持つことが大事です。

辺野古新基地建設の警備費、何と1日2750万円~住民運動の監視に巨額の税金~

防衛省沖縄防衛局が、沖縄県名護市の辺野古新基地建設の警備業務の費用についてコメントをしました。

その業務契約は陸上と海上とそれぞれ別にされていて、建設に着工した2014年7月から21年12月までで、陸上警備業務・海上警備業務それぞれ約300億円で合計約600億円が支出されています。さらに埋め立て工事契約の中にも警備業務が含まれています。その金額は約150億円で、合計すると750億円を超えます。これらを単純に契約日数で割ると、1日あたり約2750万円になります。地方の新築住宅1棟分に相当する金額ですから驚きです。

基地建設に反対する人からは「辺野古の海上では朝7時から1日10隻ほどの警備船が配置され、制限水域から『出てください』とアナウンスするだけ。10隻の必要はなく、税金の無駄遣い。警備費が膨大なのは、県民の理解が得られていないことの裏返しに他ならない。新基地建設に湯水のように税金を使うのではなく、沖縄の経済や医療に回すべき」との声が上がっています。

安倍・菅・岸田政権は、沖縄県民に「よりそう」と言ってきました。その本心は、「沖縄振興対策費は上積みするから、新基地建設には反対するな。」とでも言いたいのでしょうか。

しかも、埋め立て工事の海域には、「マヨネーズ並」といわれる軟弱地盤が存在し、それを改良するために当初5年としていた工期は9年3カ月に延び、工費も約2.7倍の約9300億円に膨らむことが伝えられています。

その渦中の名護市で、先月(1月)23日に市長選挙がありました。その結果は、自民・公明両党が推薦した現職の候補者が57.5%を獲得し再選されました。得票率は68.32%で過去最低になり、前回を8.6%で前回を大きく下回りました。また、期日前投票が投票総数の6割を超えるという異例の選挙戦でした。

その結果をどのように考えたら良いでしょうか。25日の朝日新聞の天声人語(抜粋しています)は次のように伝えています。

「~1997年、移設の是非を問う住民投票があった。反対票が賛成票を上回り、過半数をしめた。~しかし、その後の政府の振る舞いぶりをみると、直接民主主義であれ、間接民主主義であれ、移設への抵抗を示す沖縄の世論を切り捨て続けている。『オール沖縄』を掲げて移設に反対した翁長雄志氏が県知事に当選したときも、聞く耳を持たなかった。辺野古の海に土砂が投入された後の県民投票で、埋め立て反対が7割を上回ったが、作業をやめようとはしなかった。~相手が何を言っても無視するというのも、精神的な暴力にあたる。抵抗する意思を失わせるための手法である。基地を受け入れるとも、反対するとも言わない『沈黙』の市長が2期目の当選を果たした。反対しても無駄だと思わされてきた末の結末だろうか。過去最低であった投票率からも、諦めの気持ちがにじんでいる。」

やるせない名護市民・沖縄県民の思いを私たちも当事者意識を持って真摯に受け止め、この問題をどう捉え、どのように行動するかをわが身のこととして考える必要があります。

時代に取り残されないための30のワード~いなさら聞けない重要単語をひもときます~

「通販生活」というカタログハウス(ユニークな商品を通販で売っている会社で、テレビCMもしています)が刊行している季刊誌の2022年春号にカタカナ語辞典という付録がありました。日常生活で使う「カタカナ」から502語が厳選されています。それを参考に、30の単語を4区分にまとめてみました。

A+(知らないと時代から完全に取り残される)

ICU……集中治療室。大手術後の患者や重傷患者を特別な訓練を受けた医師や看護師が24時間交代で見守り、高度な治療を行う病室のこと。

インフルエンサー……世間に大きな影響を与える人で、芸能人、スポーツ選手、有識者やユーチューバーと呼ばれる人気動画投稿者のこと。

エッセンシャルワーカー……医療・介護、日用品店舗従業員、警察官、消防士、公共交通の運転士、ゴミ収集など社会生活に欠かせない職業に従事している人のこと。

クラスター……コロナなどの疾患が特定の条件下で蔓延する集団感染。

ジェノサイド……ある人種、民族、宗教、思想に属する人々を計画的に絶滅させること。

スクリーニング検査……地域、職場、学校、新生児、妊婦、高齢者などの集団の中から病気の疑いのある人を発見するための検査。ふるい分け試験ともいう。

バズる……短期間で爆発的に話題が広がり、多くの人の注目を集めること。

フェーズ……段階、局面。単位や数字で明確に区切れないが変化するものに使われる。

ボトルネック……障害、支障。円滑な進行や発展の妨げになるものや場所のこと

ポピュリズム……大衆主義。大衆の意見を尊重した政治的主張や政治運動のこと。

A(知るとニュースの理解が深まる)

アナフィラキシーショック……アレルギーを起こす物質が体内に入ることで、急激に発症するアレルギー反応(じんましん、呼吸困難、腹痛、嘔吐など)をいう。

インボイス……商品名、金額、適用税率、消費税額が記載された適格請求書のこと。

M&A……企業の合併・買収のこと。相手方企業の資本や人材、経営手腕などを取り入れ、相互に自社の弱点を補うための手法。

デドックス……解毒・浄化。体内の有毒物や老廃物を排出すること。

パラダイムシフト……一般的、常識的とされる考え方や枠組みが劇的に転換すること。

フードバンク……製造や流通段階で出る余剰品や賞味期限が迫って廃棄される予定の食品を企業などから寄付を受け、必要な人や団体に無償で提供するボラティア活動のこと。

フェイクニュース……主にインターネット上で拡散される、事実とは異なる情報のこと。

プレゼンス……存在、存在感。個人や企業、国家に対して使われ、特にある地域に対して軍事的・経済的に影響力があることを指す。

ベーシックインカム……すべての個人が生活するために必要とする基本的な所得を無条件で現金給付する制度のことをいう。

リカレント教育……社会人になってから再度学校などの教育機関で学び、また社会に出るのを繰り返すこと。社会人の学び直し。

B(知ったら他人に教えたくなる)

EV……電気自動車のこと。ガソリンや軽油などの石油資源を使わず、車に搭載したバッテリーに充電した電気を使って走る。環境に優しい自動車として期待をされている。

クオータ制……政治、行政、企業の組織内で、役職の男女間格差をなくすため、事前に取り決めた一定数を両者に割り当てる制度のことをいう。

ダイバーシティ……多様性のこと。会社の組織管理や人事の分野では、性別・国籍・年齢・宗教などで区分せず、様々な人材を積極的に受け入れようとする考え方を指す。

デカップリング……連動性の強い二つのものを切り離すこと。経済成長や利便性を保持したまま消費エネルギーを減らした状態などのことをいう。

レガシー……遺産、語り継がれる業績のこと。東京オリンピックの時に多用された。

C(知らなくても暮らしに支障はないけど)

アンバサダー……大使、施設、代理人のこと。企業や組織の依頼を受けて商品やサービスの認知度を向上するために活動する人。

イシュー……議論すべき課題、問題点。長期にわたって検討するという意味合いが強い。

オルタナティブ……代替物。他の選択肢。元は二者択一の意味。通称オルタナ。

サステイナブル……環境破壊をせずに維持、継続する経済活動のことをいう。

バイアス……傾向、偏向、先入観、データ等の偏り、思考や判断に特定の偏りをもたらす思い込み要因、得られる情報が偏っていることによる認識の歪みのことをいう。

 

「思いやり予算」新協定で負担増~思いやるべきは米軍ではなく、国民の命と暮らしです~

日米両政府は今月7日、外務・防衛担当閣僚会合(2プラス2)を開催し、2022~26年度まで5年間の米軍に対する「思いやり予算」(在日米軍駐留経費負担)の新たな特別協定に署名しました。政府は17日からの通常国会にこの協定を承認案件として提出し、3月末までの承認をめざしています。

日米両政府は昨年12月21日、「思いやり予算」にかかわる新たな特別協定に基本合意しました。その内容によると、今後5年間の負担総額は、16~20年度より1086億円増の1兆551億円に及ぶ見込みです。

米軍駐留経費負担の根拠になっている日米地位協定は1960年に締結されました。その第24条では、米軍基地を提供するために要する地権者補償などを日本側が、それ以外に生じる全ての維持経費を米側がそれぞれ負担すると規定しています。

しかし、駐留経費の一部を日本が負担する仕組みは、米側の「円高・ドル安」を口実として78年から始まりました。この年は基地従業員の福利費、翌年には米兵用の住宅や学校などの施設整備費なども負担するようになりました。

当時の金丸信防衛庁長官が国会審議で「思いやりがあってもいい」と発言し、以来この負担は「思いやり予算」呼ばれるようになりました。同時に、政府はこれらの支出を「地位協定の範囲内」と拡大解釈をするようになりました。しかし、米国からの負担要求はさらに強まり、解釈では乗り切れなくなったために87年度からは「特別協定」を締結するようになり、現在のように労務費や光熱水費を負担するようになりました。96年からは、訓練移転費までも負担するようになりました。

「思いやり予算」は、90年代まで増え続け、99年には歳出ベースで2756億円にもなりました。さすがに米軍が使うボーリング場やゴルフ場の整備などに対する費用負担は批判の的となり、その後は無駄を削減せざるを得ませんでした。

他方、「思いやり予算」の通称について米国側は、日本による駐留経費負担は当然の「責任分担」であると不快感を示していました。そこで、政府は今回の特別協定から「自衛隊の能力強化へも資する」としてその名称を「同盟強靭化予算」と改めることとしました。おまけに、訓練機材調達費を新設し5年間で最大200億円の負担をすることになりました。

防衛省の試算では、日本政府の米軍に対する在留経費の負担割合は86%で同様の負担をしている韓国の40%やドイツの32%よりも突出して高いことはあまり知られていません。

沖縄や岩国だけでなく各地の在日米軍基地でオミクロン株の大規模な感染が相次ぎ、その地元で住民の感染が爆発的に拡大しました。米軍のずさんな感染防止態勢が明るみなっているにもかかわらず、政府の対応はきわめて及び腰と言わざるを得ません。

政府は社会保障費や教育費など生活予算を削減するばかりか、消費税の増税で国民は塗炭の苦しみを強いられています。米軍ばかりを思いやる政府の姿勢に国民の怒りが噴出するのは当然です。思いやるべきは、米軍ではなく国民の命と暮らしではないでしょうか。

インボイス制度廃止には消費税の減税が最も有効!~総選挙の公約を実現することが喫緊の課題です~

来年(2023年)10月1日からインボイス制度が実施されようとしています。すでに、昨年10月1日よりインボイス制度の登録申請が開始されましたが、その周知がされていないのが現実です。

日本商工会議所の昨年11月10日のアンケート調査によると、インボイス制度への準備状況で、「対応を始めている」と回答して割合はわずか6.4%で、「何もしていない」と回答した割合は59.9%にものぼり、実に92.7%の企業が具体的な対応をしていないことが浮き彫りになっています。

また、昨年10月11日号の納税通信では「内容を知っている」「対応を検討している」がいずれも1割台で「制度がわからない」「検討していない」がいずれも8割を超えています。

財務省の思惑は「論語」にある「知らしむべからず、由らしむべし」を地で行っているのではないかと疑わざるを得ません。つまり「人民大衆というものは、政府の政策に盲目的に従わせておけばよいので、彼らには何も知らせてはならない」、有り体に言えば「このインボイス制度の真の姿を中小零細事業者に知らせるとすったもんだの大騒ぎになる」ことを恐れているのではないでしょうか。

消費税は導入時の3%から、5%、8%、10%と順次引き上げられてきました。その都度、中小零細事業者は、消費税の欠陥の一つである「価格への転嫁」が力関係で決まることで、元請け先からの値引き要請に甘んじ、元請け分の消費税分をかぶらされてきました。今回のインボイス制度でも同様なことが繰り返されることが容易に想定されます。

このインボイス制度導入の理由として「複数税率」になったこととしていますが、今の帳簿方式で十分に対応できます。おそらく、現在の軽減税率(8%)と標準税率(10%)の差を遠くない将来に広げていく、つまり標準税率をEU並の20%位にしたいとの思惑が透けて見えます。

インボイス制度の理由が「複数税率」と言うなら、最も効果的なのが消費税を減税し、複数税率をなくすことです。

昨年10月末に実施された総選挙では、安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合と立憲民主党、日本共産党、れいわ新選組、社会民主党の4党による政策合意で、消費税の5%への引き下げが共通政策になりました。

また、躍進した日本維新の会も2年間、国民民主党も経済状況が好転するまでの間という限定付きですが5%に引き下げるマニフェスト(公約)を掲げて戦いました。政党として消費税引き下げを拒否しているのは自由民主党と公明党だけです。しかし、自民党の若手議員を中心として消費税の引き下げを支持している議員が相当数います。

経済格差を是正するためにも「逆進性」の強い消費税の減税は効果があります。国民の世論と運動をさらに大きくして、喫緊に消費税の減税を実現すれば、インボイス制度の導入理由が存在しなくなります。今年は、消費税の減税が実現できる年にしたいと願っています。

賃上げ促進税制は有効に機能をするのか~金融所得課税や炭素税には触れずじまい~

12月10日に自民、公明両党は2022年度の税制改正大綱を決めました。閣議決定されたこの大綱をもとに、国税の改正法案については財務省が、地方税の改正法案については総務省がそれぞれ作成し、来年1月招集の通常国会に提出されます。現在の国会の力関係ではこの改正法案が年度内(3月末)に可決、成立します。

この大綱の目玉は、「成長と分配の好循環」を掲げる岸田政権のもと、企業の賃上げに対する税の優遇措置のさらなる拡充が盛り込まれました。減税規模は1,000億円と見込まれています。

具体的には、全体の給与総額をベースにみた賃上げ率などに応じ、大企業は最大で30%(現行は最大で20%)、中小企業は最大で40%(現行は最大で25%)の税額控除を行うというものです。

果たして、賃上げ促進税制の効果はあるのかはなはだ疑問です。そもそも賃上げは税制の優遇策で決まるものではありません。それは、労使の交渉などによって決まるものです。現にこの制度は13年度の導入以来、見直しがされて継続してきましたが、13年度に比べ20年度の実質賃金は、非正規社員の増加などが要因で低下しているとの指摘があります。

また、中小企業では赤字申告が約60%を占め、黒字申告をした企業でも納税額はわずかなところがほとんどです。こうした企業はその恩恵は受けられません。つまり、賃上げする体力がないと言うことです。中小企業の割合は99.3%で、そこで雇用されている従業員は全労働者の約7割を占めています。政府が取り組まなければならないのは、赤字企業などに対する支援です。例えば、社会保険料の負担割合を軽減するなどの措置が考えられます。

岸田首相が総裁選挙で掲げていた金融所得課税の見直しには、株式市場の急落などの要因で、やはり次年度に先送りとなりました。

欧米などは風力発電や太陽光発電になどに対する投資を促進する税制が進んでいますが、それに対しても何の言及もありません。また、温暖化ガスの排出量に応じて課税をする炭素税にも言及がありませんでした。

日本経済新聞の12月11日号で、矢嶋康次・ニッセイ基礎研究所チーフエコノミストがこの大綱について的を射たコメントをされているので紹介をします。『中長期の税の在り方がまったく見えなかった。法人税の引き下げと消費税の引き上げをセットで進めてきた流れが世界的に転換するなか、新しい税体系をどう考えるのか。カーボンニュートラルも骨太の論議から逃げた。

賃上げ税制は2013年から導入して効果がなかったものを多少変えたところで劇的には変わらない。賃上げに対応できるのは大企業だけで、赤字の多い中小企業との格差が開く皮肉な結果になるだろう。労働市場の改革をしないと持続的な賃上げは無理なのに、この10年ほど政治が議論から逃げている。

政府の税制調査会が中長期の税の在り方について論議をしないことも問題だ。』

インボイス制度、その先に~中小・零細業者を切り捨てる制度改正が待っている?~

2023年10月1日より開始予定のインボイス制度は500万社ある消費税の免税事業者に大きな税負担と事務負担を強います。財務省は、免税事業者のうち161万社が課税事業者を選択することを想定し、その税収増は2,480億円、1社あたり約15.4万円になります。この負担は経済格差が拡大している現在、決して少ない額ではありません。

さらに懸念されるのが、課税事業者を選択することを余儀なくされた事業者がどのように消費税実務をこなすかです。これまで、消費税の計算とは縁もゆかりのなかった者がにわかにその税額を算定するための申告書を自らが作成できるとは思えません。

インボイス制度が導入されれば、その先に待っているのは、現行の消費税の根幹をなす制度に大きな手が加えられる懸念です。以下、考えられることを検証してみます。

(1)簡易課税制度は縮減され、やがて廃止される

消費税の課税事業者のうち現在約4割が簡易課税制度を選択しています。また、新たに課税事業者の選択をすると思われる大半がこの制度を選択すると考えられます。

インボイス制度の導入は、「正確な」適用税率や消費税率等を明示するという趣旨です。そういう点では現行の簡易課税制度では「正確な」納税額を算定できません。

今後は、みなし仕入れ率を低くするなどの改定をして、簡易課税制度を選択すれば税負担が原則課税より重くなる状況をつくり、簡易課税選択者を原則課税の方に誘導し、やがて廃止し、「正確な」税額を国庫に納めさせようとする企図があるのではないかと危惧します。

(2)事業者免税点が引き下げられる

消費税の事業者免税点制度は、小規模事業者の納税事務負担等に配慮して納税義務を免除する制度です。現行の制度では、基準期間における課税売上高が1,000万円以下です。

インボイス制度が導入され定着したら、次に考えられるのがこの引き下げです。しかし、この制度を廃止すれば、課税当局は事務負担が増加する割には、税収は増えないということなります。要は、課税の適正化と事務処理の煩雑さを考慮してその水準が決められます。

そこで考えられるのが国際水準です。OECD加盟国の免税点の水準が、500万円以下である状況を踏まえ、現行の半分の500万円に引き下げられる可能性があります。

(3)基準期間は廃止される

基準期間という仕組みが存在するのは、日本の消費税が帳簿方式を採用しているための仕組みです。インボイス制度が導入されれば、帳簿ではなく、インボイスで事業者免税点などの判定ができるのでこの仕組みが不要になります。

換言すれば、インボイス制度により起業をすればすぐに誰もが消費税の世界へと誘われる仕組みに様変わりすることになります。

消費税の近未来を考えると空恐ろしいことになることが想定されます。さらに、待ち受けているのがさらなる消費税率の引き上げです。そうなればこの国のかたちはすっかり様変わりするでしょう。インボイス制度、止めるなら「今」です。

国際連帯税でグローバルな課題の解決を~ワクチン接種、気候温暖化、貧困問題などに有効です~

新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」は、アフリカ南部から世界各地に広がったとみられています。アフリカをはじめとする途上国では、設備や資金面の問題からワクチン接種の進展が先進諸国に比べて遅く、こうした「ワクチン格差」が感染拡大の要因となったとの見方も出ています。命の格差が広がっていることが顕在化しています。

経済が国際的に減速している一方、株価は高騰しています。数多くの人々が経済的に困窮している中で、超富裕層や多国籍企業はますますその富を増やし続けているという現象があります。しかも、その稼得した富に対してまっとうな税金を払っていません。パラダイス文書など国際的な報道機関が明らかにしたようにタックスヘイブン(租税回避地)に資金を移転するなどの方法を巧みに利用しています。

このような国際的な富の偏在を是正するには、グローバル・タックス(国際連帯税)の導入が必要です。金融取引税、デジタル課税、地球炭素税、富裕税、武器取引税などが提唱されています。デジタル課税については、12月2日の記事で触れていますが、今年大きな前進がみられました。今回は、金融取引税について考えてみます。

金融取引税とは、金融市場で取引のある金融商品の売買に対して低率の税を課するものを言います。その課税対象は、株式、債券、金融派生商品(デリバティブ)為替です。この課税の効果としては、財源調達と投機的な金融取引の抑制があります。かなり大きな財源が新たに生まれるとともに、1秒間に何百回もの売買をするような投機的取引を抑制し、マネーゲームに制限をかけることが可能になります。

この課税方式はすでにEU諸国で議論され、フランスでは時価総額10億ユーロ(130億円)以上の国内株式の購入に0.2%を課税する金融取引税を2012年に導入し、その後、税率を0.3%に引き上げています。イタリアも導入し、さらにスペインやポルトガルでもその検討をしています。

EUでは、金融取引税のことを「ロビン・フッド・タックス」と命名しています。その理由は「強きをくじき、弱きを助ける」税金だからです。日本の消費税のように「逆進性」はありません。

日本では超党派の「国際連帯税の創設を求める議員連盟」が、議員立法で金融取引税などを候補とする国際連帯税の実現をめざすことを確認しています。また、市民団体や専門家も外務省などに長年働きかけをしています。

世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は記者会見で、ワクチンの公正分配は「慈善事業でなく、全ての国にとっての最善の利益」と強調し、「ワクチン不平等が長く続けばそれだけウイルスを拡大させ、予防や予想ができない形で進化させる」とし、格差是正が急務だと訴えています。

こうした格差是正を抜本的に行うためには、利ざやを稼ぐことを自己目的化している金融取引に対して、低率で課す金融取引税は大きな効果を上げるのではないでしょうか。

国際課税の新ルールに注目が向けられています~9年越しの議論、100年ぶりの改正で大きく変わる世界の税制~

1980年代にイギリスのサッチャー政権とアメリカのレーガン政権が法人税減税に舵を切って以来、世界的な法人税率の引き下げ競争がされてきました。この際限のない引き下げ競争は結果として法人税収を引き下げ、自らの首を絞める「チキンレース」を興じてきました。「チキンレース」とは「相手を屈服させようとして互いに強引な手段をとりあう争い」と言う意味です。これは和製英語で、英語では「チキンゲーム」と言います。日米欧などが失った可能性がある税金は過去10年だけでも170兆円との試算がなされています。

経済協力開発機構(OECD)は、10月8日、多国籍企業の税逃れを防ぐための新たな国際課税ルールに関する交渉会議を開き、136カ国・地域が最終合意に達しました。合意に達しなかったケニア、パキスタン、スリランカ、ナイジェリアの4カ国については引き続き協議を進めます。

2012年に本格的な国際課税の強化の協議が始められて約9年越しでまとまりました。これは約100年ぶりのルール改正です。鈴木財務大臣は、新たな国際課税のルールで最終合意に達したことについて「100年来、続いてきた国際課税原則の見直しが、グローバルな枠組みのもとで合意されたことを高く評価する。今後、多国間条約の策定・批准や、国内法の改正に向け、引き続き各国と協調しながら取り組みたい」という談話を発表しました。

この「国際課税の大改革」は2つの柱からなっています。ひとつは「デジタル課税」、もうひとつが「法人税の最低税率」です。

デジタル課税とは、これまで国際課税の大原則として、人や施設など物理的な拠点のある国のみが課税できるとされていたものの大転換です。近年急速に成長してきたGAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)などに代表されるIT企業などは、インターネットを通じて世界中にサービスを提供して利益を上げる一方で、物理的拠点は法人税率の低い国のみに設置して税負担を低く抑える抜け穴がありました。新ルールでは、売上高が200億ユーロ(約2.6兆円)を超え、利益率が10%を超える企業が対象で、売上高の10%を超える利益の25%について、売上高に応じて各国・地域に配分するというものです。

もうひとつの柱が、法人最低税率の導入です。これは、一定規模以上のすべての多国籍企業に対し、最低15%の実質税負担率を課す仕組みです。単に法人税の最低税率を15%にするというものではなく、法定税率を15%以上としている国でも、税制の抜け穴や優遇措置を利用して実質税負担率を15%未満に下げている仕組みを許さない仕組みです。今回の新ルールでは、最低税率を下回る国に拠点がある企業は、親会社のある国に最低税率との差額を納めなければならなくなります。

「この合意は21世紀の税制革命だ」とフランスのルメール経済・財務相が語っています。また、アメリカのイエレン財務長官は「有害な『底辺の競争』に終止符を打つ国際ルールをすべての主要国が支持した」と歓迎声明を出しています。

完全だとは思いませんが、これを前に進めることが求められているのだろうと思います。

農業破壊を食い止めなければ~米価暴落で農家は塗炭の苦しみに~

「昔は北海道のお米は厄介道米(やっかいどうまい)という程、売れない米だった。今はその北海道がやたら美味い米をつくるようになった。農家のおかげですか?農協の力ですか?違います。温度が上がったからです」こんなとんでもない発言を、一国の副首相が総選挙の遊説で脳天気にしました。しかし、米農家は今まさに非常事態なのです。

コロナ禍によって外食を中心に米需要が大きく減少して、今年収穫された米の生産者価格が昨年対比で軒並み2割から3割も下がっています。産地や銘柄によって金額のばらつきはありますが、人気の北海道の「ななつぼし」が一俵(60㌔)で11,000円、昨年比-2,200円、千葉県の「ふさおとめ」にいたっては、6,400円、昨年比₋5,200円です。

米の生産コストは、農水省の調査では一俵あたり15,155円です。農家が現金支出する機械代・肥料代・農薬代など(物財費)は、9,180円です。この物財費と生産者価格がほぼ同額になっています。つまり、生産コストの中に含まれる労働費が確保できない、換言すると農家は賃金ゼロ、あるいはマイナス(持ち出し)の状態になっています。

史上最大の減反を達成したにもかかわらず、米価の大暴落に苦しむ農民がいます。そして、来年も同様の減反が強制されようとされています。政府は、生産量の5%に当たる36万トンの転作・減反を求めています。他方、その2倍にあたる77万トンの外国産米を「ミニマムアクセス(最低輸入機会)米」として輸入をしています。

米価を市場原理だけで考えて良いのでしょうか。それでは、日本の農業や食の未来は見えてきません。わが国の一人当たりの米の消費量は過去50年で半減しています。その減少分が小麦や大豆などの輸入産品に置き換えられました。その結果、カロリーベースの食糧自給率は37.17%という低水準になってしまいました。飢饉など、世界中が食糧危機になった場合にどのように対処するのでしょうか。

この水準は、G7の中でも異常なまでの低さです。カロリーベースの食糧自給率は高い順からカナダ264%、アメリカ130%、フランス127%、ドイツ95%、イギリス63%、イタリア60%です。日本の農業は、「過保護」との指摘がありますが、それは間違っています。日本の農業所得に占める補助金の割合は30%ですが、ドイツでは77%、フランスで64%、イギリスで53%など国家としてその自給率向上に努めています。

また、アメリカでは昨年余剰になった農産物を買い上げ、生活困窮者の食糧支援に提供しました。今年も、低所得世帯やシングル家庭、貧困高齢者への食料配布補助などの支援政策を強化しています。農業予算の60%を消費者の食料購入支援に充てています。

わが国では、コロナ禍で職を失ったなどの理由で米が食べたくても食べられない人が急速に広範囲に拡がっています。アメリカなどのように過剰米を政府が買い取り、生活困窮者などに食料支援をすることが求められています。

このままでは、来年も米価の大暴落が想定され、農業をやめてしまう人がさらに増えるでしょう。日本の農政を抜本的に変えなければならないときにきています。

岸田首相、それを日和見と言うのではないでしょうか?!~金融所得課税について考える~

首相は、総裁選後の記者会見で「岸田文雄の特技は『人の話をよく聞く』ということだ」と自身のメモ帳を併せて国民に向けて発信しました。その「聞く力」が本物かどうか試されます。しかし、自身の公約でもあった金融所得課税については多くの国民の声でなく、少数の富裕層とそれを擁護する為政者の声を敏感に聞いたのではないでしょうか。

日経新聞(11月8日号)の「マネーのまなび」欄に金融所得課税が特集されていました。タイトルは「税率一定、高所得者は負担軽く」というもので、Q&A方式での解説でした。その解説の一つが『(Q)お金持ちは投資の税で得をしていると聞きました。(A)一般に所得の高い人が株式など金融商品を多く持ち、年収に占める投資の利益の割合が大きくなりがちです。所得税は累進課税で高所得者の負担が大きくなります。しかし、投資による利益を他の所得と分けて計算する税率は一律です。国税庁の資料によると、投資利益と他の収入の合計額に対して実際に払った所得税の割合を所得別にみると、ピークは1億円です。それを超えると割合が下がるため「1億円の壁」と呼ばれています。』としていました。

財務省によると、2019年時点で所得が5千万~1億円の層の所得税負担率は27.9%ですが、20億円~50億円の層だと18.9%に下がっています。この現象は、明らかに多くの金融資産を保有する富裕層に対して恩恵だといえるでしょう。

日経新聞は、『岸田首相は就任当初の記者会見で金融所得課税について検討の意向を示していましたが、わずか1週間で「当面は触ることはない」と前言を覆した。今回の首相の方針変更は、金融所得課税を警戒する株式市場の声に対して「聞く力」を発揮したともいえる。しかし、「こんなに早く主張を取り下げるのは今後の政権運営にとって不安のタネになりそうだ。」と報道していました。

岸田総理と同い年の私は、「聞く力」だけでなく、「涙する目」と「傾ける耳」と「差し伸べる手」が必要だと思います。

富裕層の金融所得が分離課税(国税15%、地方税5%)でなく、総合課税であれば他の所得と合わせて税率55%(国税45%、地方税10%)になるところが、一般勤労者の所得400万円の階層と同じ税率の20%というのはあまりにも不公平です。

配当所得だけでも税率20%の分離課税を廃止し、総合課税にすれば約1兆の税収が生まれると財務省は試算しています。また、自民党の高市早苗政調会長は「50万円以上の金融所得の税率を30%に引き上げれば約3,000億円の増収になる」とかつて発言していました。

米国の著名な投資家のウォーレン・バフェット氏は「過去20年間、階級闘争が続いたが、勝利したのはわれわれの階級だ。われわれの階級が税率を劇的に引き上げたのだ」(2011年9月30日付、ワシントン・ポスト紙)としていましたが、その流れとは逆にバイデン米大統領は4月の議会演説で「1%の富裕層に課税する。ここから税金を取らなくてどうするんだ。」と発言しました。岸田総理、「日和見」せずに、金融所得課税を実行してください。