誰も喜ばないインボイス制度導入は無期限の停止、そして廃止へ!~声をあげる税理士が立ち上がっています!!~

今年の10月から実施されようとされているインボイス制度ですが、その仕組みが明らかなになるにつれ様々な反対の声が上がっています。

そもそもインボイス制度とは端的に言えば、課税事業者が売上にかかる消費税から、仕入れにかかる消費税を差し引く際に、インボイスと呼ばれる請求書で納税する仕組みです。この制度は消費税(多くの国では付加価値税と呼んでいます)を実施している国では納税額計算の前提となっています。

では、わが国では今までなぜこの制度がなかったのでしょうか。それは、消費税が導入された1989年(平成元年)当時、多くの中小企業者が反対の声を上げ、その声を懐柔するためにこの制度に変えて、日本独自の制度である「帳簿方式」を採用しました。帳簿方式とは、事業者が自ら記帳した帳簿にもとづいて仕入税額控除を計算して納付する消費税を決定する方式です。わが国では、記帳の精度が高いのでほとんど課税に支障はありませんでした。

この制度が導入されれば、複雑な事務作業が中小零細業者に強いられます。特に、課税売上高が1000万円以下の免税事業者は、取引先からの要請でやむなく課税事業者を選択すれば、消費税を負担しなければなりません。また、免税事業者のままだと取引中止や消費税分の値下げをされるおそれがあります。つまり、この制度は消費税率を変更せずに増税ができるという代物です。将来の消費税率のアップを見越しての政府の狙いが見え隠れします。

インボイス制度の中止を求める税理士の会が結成され、国会議員に要望書を提出しました。その要望書の中でこの制度が複雑で理解できないのを以下の6点にまとめています

(1)前提となる消費税の納税計算の仕組み、仕入税額控除がわかりにくいこと。

(2)消費税の免税制度の意義や簡易課税制度の意義・仕組みがわかりにくいこと。

(3)免税事業者からの仕入も3年間80%仕入税額控除が可能、その後3年間50%仕入税額控除が可能という経過措置がわかりにくいこと。

(4)令和5年税制改正で導入された、「売上げの80%を仕入税額控除できる特例(3年間の時限立法)」や、「売上高1億円以下の事業者が1万円未満の支払をした場合、インボイスなしで仕入税額控除ができる特例 (6年間の時限立法)」がわかりにくいこと。

(5)インボイスは店を構えている人だけでなく、サラリーマンや主婦のわずかな副業でも発行義務が生じる場合があり、いわゆる「事業者」の範囲がわかりにくいこと。

(6)インボイスの発行が免除される例外取引、例えば「農協特例」、「中古品の売買」、「コイン販売」等々があり、自分の業種・業界がインボイス発行の対象になるか否かわかりにくいこと。

さらに、具体的な問題点をとして、①自分が適格請求書発行事業者に該当するか否か判断できない者がたくさんいる。②申告・納税事務で税理士事務所も税務署も大混戦に陥る③消費税の滞納が増大し、廃業する事業者が増大する、と指摘しています。

だれも喜ばないこの制度(喜ぶのは一部の財務省の官僚だけでしょう。)は無期限に停止をして、そして国民の合意の上で廃止すべきです。今ならまだ間に合います。

若き経済思想家、斉藤幸平氏の著書を読んで~日本社会は、もはや変えることができないのか?~

わが国の防衛費が2023年度からの5年間で総額43兆円、27年度にはGDP(国内総生産)比で2%に膨れ上がることが決りました。その金額は、米国、中国に次ぐ世界第3位です。平和憲法はどこに行ったのでしょうか。さらに、原発再稼働や新増設の容認も決まりました。12年前の福島での、あの大惨事は過去のことで忘却の彼方となったのでしょうか。

本当に残念なことですが、これが日本の政治です。しかも共通しているのは、閣議決定で拙速に決めて、まともに国会論戦をしなかった点です。こうした大転換に民意をまともに聞こうとせずに強行した姿勢はもはや民主主義国家の体をなしていません。異常な政治がまかり通るなか、国民生活は上がる物価や高い教育費の負担を余儀なくされています。

日本社会は、もはや変えることはできないのでしょうか。こうした問題に果敢な提言をされているマルクス研究の第一人者でもある斉藤幸平先生の著書を参考に、日本のあるべき社会を紐解いてみましょう。

ベストセラーになった人新世の「資本論」では、社会を変える構想を5点にまとめておられています。要約して紹介します。

その第一は、使用価値経済の転換です。具体的にはGDPの増大を目指すのではなく、人々の基本的ニーズを満たすことを重視する必要があるということです。

第二は、労働時間の短縮です。それは、ストレスを減らし、子育てや介護をする家庭にとっても、役割分担を容易にするということです。

第三は、画一的な分業の廃止です。つまり、経済成長のための効率化が最優先ではなく、利益よりも、やりがいや助け合いが重視されること経済社会に移行するということです。

第四は、生産過程の民主化です。生産手段を民主的に管理することです。つまり、生産をする際にどのような技術を開発し、どうした使い方をするのかについて、開かれた形での民主的な話し合いによって決めることです。

最後に、エッセンシャル・ワークの重視です。役に立つ、やりがいのある労働をしているという理由で低賃金・長時間労働を強いられているのがケア労働に代表されるエッセンシャル・ワークたちです。彼らがきちんとされる社会が必要です。

締めくくりで筆者は次のように括られています。『「人新世」とは、資本主義が生み出した人工物、つまり負荷や矛盾が地球を覆った時代と説明した。ただ、資本主義が地球を壊しているという意味では、今の時代を「人新世」でなく、「資本新世」と呼ぶのが正しいかもしれない。けれども、人々が力を合わせて連帯し、資本の専制から、この地球を唯一の故郷を守ることができたら、そのときには、肯定的にその新しい時代を「人新世」と呼べるようになるだろう。』

私たちにできることは、この政治や社会の有り様をただ評論家的に批判するだけでなく、何らかの行動を起こすことです。経済社会が大きく変われば必然的に政治の有りようも変わります。私たちの少しの変化が大きなうねりとなって、時代を変えることを信じて。

納税者相談停止命令は憲法に抵触するのでは?~納税者の権利を取り締まるのではなく、納税者権利憲章を策定すべき~

岸田内閣が国会に提出した所得税法等改定案に納税者の権利を著しく制限する疑いがある内容が盛り込まれています。

この法案には「税務相談停止命令制度」を創設する税理士法の改定案が創設されています。その内容は要約すると次の通りです。

①財務大臣は税理士でないものが税務相談を行った場合にはその停止を命令することができる。

②命令の違反者には1年以下の懲役又は100万円以下の罰金を科し、違反者名を3年間インターネットで公表され官報でも公告される。

③国税庁長官は税務相談者を質問検査できる。その質問検査に対する拒否又は虚偽の答弁者等には30万円以下の罰金を科す。

④この改正は令和6年4月1日より実施する。

つまり、政府が創設しようとしている法案は、税理士でないものが反復して税務相談を行って脱税や不正還付を指南して納税義務の実現に重大な影響を及ぼし、防止のための緊急措置が必要と財務大臣が判断した場合にはその税務相談の停止などの必要な措置を命令できるというものです。そしてその税務相談を行った者に対して、命令すべきか否かの調査権限を国税庁長官(税務署)に与えるという内容です。

財務省はこの制度の創設の背景について「コンサルタントを名乗り、SNSやインターネットでセミナーを開き、不特定多数に脱税などの方法を指南して手数料を取るなどに事例が散見される。納税義務の適正な実現に重大な影響を及ぼす相談活動を防止するための措置が必要」と説明しています。さらに、「納税相談が税理士業務に当たるかどうかは、個別に判断する」という不明確な回答しかしていません。

この法案について、浦野広明税理士は「法案はほとんど抽象的に書かれており、どうでも解釈できる。意図的な乱用で納税者団体の運動を阻止する治安立法といわざるを得ない」と批判。また、鶴見佑策弁護士は「申告納税制度のもとで税金の相談を誰がするかは自由なのに、罰則で禁じることは問題だ」と指摘しています。

税務相談の前提になっている税法の解釈自体が、思想・信条・価値観を内在したもので、課税庁や税理士の税法が全面的に正しいものだとは言い切れません。つまり、解釈権や共助行為に国家権力が介入して、罰則で停止されるという立て付けは憲法13条(個人の尊厳)19条(思想信条の自由)21条(集会・結社の自由)に繋がる大きな問題をはらんでいます。

納税者の権利憲章をつくる会の平石共子税理士は「世界の多くの国では納税者同士の相談は自由。税理士法で抑制する日本の異常さが際立つ。『命令制度は要らない』の声を上げ日本でも納税者権利憲章を」と提起されています。

憲法の理念に基づく、納税者権利憲章を制定していない国はOECDの中ではわが国だけです。今こそ、納税者の権利を保障する政治の実現が必要です。

異次元の公約違反に異議あり!~この国は新しい戦前へと向かうのか~

岸田首相は年頭の会見で「『異次元』の少子化対策に挑戦する」と訴えましたが、1月23日の施政方針演説では「年齢・性別を問わず、皆が参加する、従来とは次元の異なる少子化対策を実現したい」と表現しました。

少子化対策の実現には「兆円単位」の財源確保が必要なため、「異次元」の表現が消費増税を思い起こさせるとして、「『異次元』は使うな」という声が官邸内で上がったようです。

さて、この降って湧いたような「少子化対策」は非常に違和感を覚えます。個人的には大軍拡とそれに伴う大増税を煙に巻く戦術なのかなと考えます。

「検討使」と揶揄されてきた首相が断固たる姿勢で「大軍拡と大増税」を前のめりになっている姿を見て、「首相は変わった」という人もいますが、果たしてそうでしょうか。金融所得課税の導入検討の際には、あれこれ迷ったあげく、富裕層に対して「聞く耳」を持って自らの「公約」を決めきれませんでした。

一方、強いもの「聞く耳」を持ったとたん一直線にすき進んでいるのではないでしょうか。首相にとって強いもの、つまりアメリカに媚びてしまう病に冒されているのでしょうか。名付けて「愛犬ぽち化症候群」です。

防衛予算案は時系列的には次の通りです。従来は、GDPの1%程度で推移をしていましたが、23年度から5年間で段階的に引き上げ、27年度に2%に倍加させるように首相が指示したのは11月28日、27年度以降の毎年度、約4兆円の追加財源が必要として、うち1兆円強を増税で賄う方針を示したのが12月8日、そして2023年度の財政改正大綱に法人税、所得税、たばこ税の3税目で増税措置を実施することを盛り込んだのが12月16日、同日に敵基地保有能力の保有や防衛費2倍化など、日本を「戦争をする国」をなりかねない、戦後の安全保障政策の大転換することに舵を切ることになる安保3文書も閣議決定しました。そして、年明けの1月13日にバイデン大統領と会談し、「歴史的だ」と天まで持ち上げられる程の賞賛を受けました。

首相は「1年以上、丁寧なプロセスを得た」と豪語していますが、その大半は密室での論議でその内容を国民は知る由はありませんでした。その間に参院選がありましたが、このことを全く公約に掲げませんでした。

この歴史的転換をすれば、わが国はアメリカ、中国に次ぐ世界第3番目の国防費を持つ国へと大変容します。このような国民にとって重大な事柄を参院選で争点化しなかったことは「異次元の公約違反」と言えるのではないでしょうか。

さらに、国会でまともな審議を経ずに閣議決定したことは国会軽視だし、国民よりも先にアメリカに大軍拡を約束したことは、「対米従属」のそしりを免れません。順番がまるで逆です。まさに「愛犬ぽち化症候群」だと言えます。

昨年末に放送された「徹子の部屋」にゲスト出演したタモリさんが、2023年について問われ「新しい戦前になるんじゃないですかね」と発言、この国が戦後の平和主義から一転して、戦前の軍国主義に似た状況になりつつあることを危惧したものと受け止められたようですが、「戦争か平和か」が問われる追われる緊迫した国会になりそうです。

宇沢弘文に学ぶ~経済学の本をよく読むようになりました!~

今年の夏、お世話になっている医療団体の50周年記念講演会で、故宇沢弘文先生の長女で医師の占部まり先生のお話を聞く機会がありました。正直、その講演を聞くまで宇沢先生の名前を知りませんでしたが、触発されて最近は立て続けに、経済学の本を読んでいます。

占部先生の推薦書籍の中で、入門に最適だと書かれていた「人間の経済」を購入し、一気に読みました。

この本のはじめに占部先生(宇沢国際学館の代表取締役でもあります)から、宇沢先生の歩んだ道のりの記載があります。私と同じように宇沢先生のことを良く知らない人もいると思うので、その要約を紹介します。

「人々が豊かに暮らせる社会のために経済学という学問は何ができるかを考え続けた人生でした。数理経済学を基礎に理論を構築し、水俣病などの様々な社会問題を通じ、分野が違う人々にも理解を得られるようにひたすら進んできました。こうした人生を歩んだのは、山陰地方の米子出身だったことが影響しました。

1945年4月、終戦直後に旧制一高に入学します。東京大学理学部数学科に進学、特別研究生として数学を学んでいましたが、河上肇の『貧乏物語』に触発され、戦後の混乱期に数学のような貴族的な学問に従事している場合ではないと考えて経済学に転向します。

スタンフォード大学研究助手で頭角を現し数々の業績を上げ、36歳の若さでシカゴ大学の教授になりましが、ベトナム戦争の影響でシカゴをさり日本に帰ることを決意しました。

経済成長のためには一般市民は犠牲になっても良いという考えかたに異を唱えた『自動車の社会的費用』がベストセラーに。その後も『社会的共通資本』などを数多くの本を上梓しました。大好きだった魔法の水とともに広がっていく父の世界観があります。」

先生の定義した社会的共通資本は、広い意味での「環境」を経済学の対象としていることが特徴です。そして、その役割を次のように説明されています。

「社会的共通資本は、一つの国ないし特定の地域に住むすべての人々が、ゆたかな経済生活を営み、すぐれた文化を展開し、人間的に魅力ある社会を持続的、安定的に維持することを可能にするような社会的装置を意味する。社会的共通資本は、一人一人の人間的尊厳を守り、魂の自立を支え、市民の基本的権利を最大限に維持するために、不可欠な役割を果たすものである」(『社会的共通資本』岩波新書)

先生の社会的共通資本の説明と日本の経済社会が余りにもかけ離れていることについては論を待たないでしょう。先進諸国の中で唯一経済成長をなしえていない、つまり「ゆたかな経済生活を営む」ことを享受できていないばかりか、暮らしを破壊して大軍拡へと舵を切る選択をしようとしています。そのために庶民大増税を計画しています。2014年に他界された先生がもし存命ならばこの選択をどう評価されたでしょうか。

先生はこの本で興味深いエピソードを紹介されています。それは解任されて本国に戻ったときのマッカーサーの上院軍事外交合同委員会の公聴会での次のような証言です。

「日本の憲法に第9条を入れさせたのは私だ。それは幣原喜重郎が自分のところに来て、こう言ったからだ。『軍人であるあなたにはいいづらいが、日本がこれから世界で延びていくためには、絶対に軍隊を持ってはならない。だから、憲法の中に日本は軍隊を持たないということを明示的に入れたい』私はこれに感動して、幣原に、いろいろ困難をともなうかもかもしれないが入れるように、とアドバイスをした。」と。

「軍事栄えて、民滅ぶ」の道を日本国憲法は謳っていません。防衛予算を増やすより、子育て、教育、社会保障などの予算を増やしていくことが社会的共通資本の要諦だろうと思います。

 

 

 

 

突然の方針の大転換!!岸田首相が言い出した驚きの「原発の新増設」~「聞く耳」は財界だけなのでしょうか?~

中学校の公民では、資源・エネルギー変遷と未来のことを次のように教えています。(蔭山克秀著、「中学校の公民が1冊でしっかりわかる本」かんき出版を参考にしました)

『明治以降、日本のエネルギーの主役は「石炭」でした。1950年代、中東などで大規模な油田が相次いで発見されました。「石油」は液体で輸送しやすく、公害被害も少なく、燃料効率も良く、さらに石炭より安かったのです。程なく石炭に変わり石油が主役と変わりました。

ところが73年「オイルショック」が起き、それを機に、日本では「未来のエネルギー」と注目されていた原子力発電の商業化が本格化します。そして2010年頃には日本の発電比率はおよそ、火力65%、原子力25%、水力10%に達しました。

しかし、11年東日本大震災が発生します。この地震で福島第一原子力発電所が深刻な被害を起こしたため、政府は原子力発電の安全基準をとても厳しい再稼働基準に設定しました。そのため、新基準をクリアできない原子力発電所が相次いでいます。

今もっとも注目されているのが再生可能エネルギーです。再生可能エネルギーは、風力・地熱・太陽光など自然界から無尽蔵にとれるエネルギーで、これなら価格高騰も温暖化も事故も心配ありません。』

この中学校公民の内容どおり、原発の事故後、歴代政権は、原発依存度の将来的な低減を国民に約束し、新増設や立て替えは想定していないと説明してきました。昨年10月に閣議決定されたエネルギー基本計画でも、原発の新増設には言及はありませんでした。

ところが、一転8月24日に重大な方針転換に舵を切りました。原発の「新増設」と既設原発の「運転期間も延長する」と言うのです。ロシアのウクライナ侵攻や急速に進む円安で、原油などの輸入コストが跳ね上がっています。新増設などは、その不安に乗じた「手のひらが返し」です。ずいぶん以前から、自民党、電力業界、原子炉メーカー、経産省の役人はその必要性を考えていました。再稼働もまた、原発の危険をさらに高めることは自明の理です。

この大きな方針の真相は、経団連の十倉会長が7月27日のGX(グリーントランスメーション)実行会議の初会合で「新設方針を明示」するように要求し、それに首相が応じたのです。財界には「聞く耳」を持っても、国民の世論は聞こえないのでしょうか。発言直後の朝日新聞の世論調査では、原発の新造設に「賛成」が34%、「反対」が58%でした。

この重大な方針を転換するには、まずは原発事故の検証とその始末が不可欠です。これには、長い年月と莫大なコストがかかります。それが不十分なままの方針転換に多くの国民は不信感を抱いています。最新の世論調査では岸田内閣支持率は33.1%まで下落しています。

原子力産業の延命に政府が取り組めば取り組むほど、再生エルギーの本格的な普及などがおざなりになります。太陽光や風力は純国産です。エネルギーの安全保障にとっても気候変動対策にもとても有効です。事故後10年余り政府は何をしてきたのでしょうか。

原発事故の教訓を真摯に受け止めるのであれば、中学校公民の中身を多忙な公務の間でも、岸田首相には是非一読してもらい、本来の「聞く耳」を待っていただきたいと願います。

「上がる・下がる」、「上げないといけない・下げないといけない」の一考察~日本経済を良くする「最適解」はあります!~

上がると言えば、間近に迫った国葬に反対する世論です。FNNの世論調査では、賛成33.5%、反対は62.3%にもなりました。岸田首相が説明すればするほど反対の声が大きくなるのは、その決め方や内容に道理がないことが国民の共通認識になっているからでしょう。

さらに上がるのは消費者物価です。8月は2.8%の上昇です。この数字は消費税増税の影響があった期間を除けば、バブル景気直後の1991年9月以来、約31年ぶりの水準です。今後もしばらく続くと考えられる円安やロシアのウクライナ侵攻などでさらに物価は上昇すると思われます。10月からは、後期高齢者の窓口負担や労働保険料も上がります。

反対に下がっているのは、内閣支持率です。時事通信が9月9日から12日にした世論調査では、前月比12.0%減の32.3%と急落し、昨年10月の政権発足以来最低となりました。この原因は、国葬だけでなく、統一教会問題の対応の不十分さ、新型コロナウイルスへの対応のまずさなどがあります。

さて、結論から先に言えば日本経済を良くするには大企業の法人税負担を上げること、併せて国民の手取り収入を上げること、消費税率を下げることが「最適解」と考えます。

財務省が9月1日に発表した法人統計によると、国民の暮らしや中小企業の営業が大打撃を受ける中、大企業の内部留保は2021年度末で484.3兆円となり、前年度に比べ17.5兆円増加しました。大企業は第2次安倍晋三政権が発足した2012年から、売上高が1.02%と横ばいにとどまる一方で、配当金は2.02倍に急増しています。一方で、賃金はわずか1.05%の上昇しかありません。また、同調査での4~6月期の法人の経常利益は前年同月比17.6%増の28.3兆円になりました。4半期ベースでの過去最高益を4年ぶりに更新しました。

ところが、法人税の実質負担率は低いままです。「不公平な税制をただす会」の菅隆徳税理士は、その理由として「大企業優遇税制による莫大な減税があるため」と訴えています。氏は、有価証券報告書から個別企業の減税額を推定しています。その減税額は多い順に①トヨタ自動車=受取配当金の益金不算入額(以下受配という)2,376億円、試験研究費の税額控除608億円②本田技研工業=受配1,768億円③伊藤忠商事=受配3,430億円④三菱商事=受配1,399億円というように膨大な減税額になっています。

また日本経済新聞(8月20日号)が一面トップに「繰り返す法人税ゼロ」の大見出し、「15年で課税4回」という小見出しをつけてソフトバンクG(通信会社のソフトバンクの親会社)が、2021年3月期の決算で1兆4,538億円の利益を上げながら法人税がゼロだったことを報じています。大企業優遇税制を廃止して、法人税に累進課税を導入すれば約20兆円の財源が生まれてきます。併せて企業責任として労働者の賃金を引き上げることです。

一方で、引き下げるべきは消費税です。世界はコロナ禍や物価高に対応するため、96カ国で付加価値税(消費税)の減税に踏み切っています。もはや従来の物価対策では限界があります。消費税減税は世界の流れであり、所得の低い人が高い負担率になる最も不公平な税制である消費税の減税こそが国民の生活や商工業者の最大の応援になります。

デジタル化社会の盲点と雑損控除について考える!~ショートメールに国税庁からのお知らせ~

8月21日、私のスマホのショートメールに、国税庁「未払い税金お支払いのお願い。詳細はこちら。https://… …」という送付がありました。

最近、ニセの国税庁のホームページにアクセスをさせてクレジットカード情報を抜き取る事案や金銭の払い込みを要求してくる事案が後を絶たないようです。国税庁はホームページで注意喚起をしました。

「国税局・税務署をかたった不審なメールにご注意ください」「最近、国税局・税務署をかたった不審なメールが送信されております。国税局・税務署では、電子メールで納税に関する催告を行っておりません。指定されたURLをクリックしないようお願いします。」と言った内容です。

こうして仕組まれた詐欺を「フィッシング詐欺」といい、『送信者を詐称した電子メールを送りつけたり、偽の電子メールから偽のホームページに接続させたりするなどの方法で、クレジットカード番号、アカウント情報(ユーザID、パスワードなど)といった重要な個人情報を盗み出す行為のことを言います。

なお、フィッシングはphishingという綴りで、魚釣り(fishing)と洗練(sophisticated)から作られた造語である』と定義されています。

また、警察庁のまとめによると、公共機関の職員を名乗ってキャッシュカードや現金をだまし取る「預貯金詐欺」や親族のふりをして送金させる「オレオレ詐欺」と言った「特殊詐欺」の認知件数は1万件を超えて増加傾向にあります。

コロナ禍で在宅時間が増えたことが増加の要因になっているようです。件の「税金の未払い」を理由にしたものだけでなく「医療費や保険料の払い戻し」があるということをえさに主に高齢者からお金をだまし取る「還付金詐欺」も横行しています。

私もこの被害に遭遇した人を知人の紹介で知りましたが、こうした詐欺の被害者の多くは残念ながら返金を受けることができないのが実情です。

また、税務上も「雑損控除」の適用を受けることはかないません。所得税法上の「雑損控除」は、医療費控除や寄付金控除などと同じく一定の要件に該当した場合には損害額のうちの一部をその被害を受けた年分の所得から控除できる仕組みを言います。

その対象となる災害などは、5つです。具体的には(1)震災、風水害、冷害、雪害、落雷など自然現象の異変による災害(2)火災、火薬類の爆発など人為による異常な災害(3)害虫などの生物による異常な災害(4)盗難(5)横領です。

「特殊詐欺」損失は、そのいずれにも該当しないという2011年の国税不服審判所の裁決があります。犯罪被害者であることに変わりはないのですが、「騙され」たり「脅され」たりしたにせよ、「自らお金を渡した」という点が「横領」などとは違う、と解釈されたのです。

残念ながら、依然としてなくならない「振り込め詐欺」や「還付金詐欺」のような「特殊詐欺」の被害は、現行上は税の面からは救済されません。

法改正して、「特殊詐欺」も災害とすべきです。「多額の所得税を納めていない高齢者は、税制では救済できない」という仕組みにも、一工夫の余地はあるのではないでしょうか。

資産所得倍増計画に異議あり~投資より賃金や年金の引き上げが必要です~

岸田文雄首相は、9月上旬と言われていた内閣改造を8月10日に実施しました。この背景には、安倍元首相の国葬の賛否、安倍元首相の狙撃の要因にもなったカルト教団である「旧統一教会」に多数の閣僚が関与していたこと、新型コロナ対応のまずさなどで内閣支持率が急落したことを一気に挽回することにその狙いがあったのだろうと思います。

ところが、組閣をした新閣僚の多くが「旧統一教会」との関連を指摘されるありさまで、国民からの疑念はまったく払拭されていません。

さてわが国の「最高舵取り役」である岸田首相は歴史の教科書に載っている「遣唐使」をもじり、「検討使」と揶揄されることがあります。

「聞く耳を持つ」首相は、とりあえず「検討します」を繰り返すことが日常化していますが、首相が打ったこのたびの内閣改造の前倒しは、大きな危機感の表れだといえます。

長らく「検討」している代表的なものが秋の総裁選挙ときに息巻いていた「金融所得課税」です。この経緯は、就任後すぐの株価急降下にありました。それを受けて就任後わずか1週間足らず「当面触らない」でお得意の「検討使」と相成りました。

逆に打ち出しているのが「資産所得倍増計画」です。首相は5月にロンドンで講演をして、「貯蓄から投資へ」による「資産所得倍増」をいわば「国際公約」としました。首相の派閥である宏池会の創始者、池田勇人元首相の「所得倍増計画」になぞられたものでしょうが、名前こそ似ていますが、中身は「似て非なるもの」です。

「新しい資本主義実行計画」は、日本の個人金融資産の2000兆円の半分以上が預貯金で保有されていることを指摘しています。この20年間で資産に占める株式などの比率が高い米国では家計金融資産が3倍に対してわが国では1.4倍にしかなっていないと記載しています。その原因が、日本の国民が株式投資に熱心ではないかと言わんばかりです。

そもそも、金融資産は実体経済が成長してこそ増加するものです。日本の国内総生産(GDP)は、この20年間ほぼ横ばいです。それに比べて米国は2倍強増えています。つまりわが国は先進国の中で唯一「成長しない国」「先進衰退国」となっています。

米国でGDP以上に金融資産が増えているのは、富裕層の伸びが著しいからです。上位1%の金融資産は4.8倍になっていて全体を押し上げています。つまり、格差が拡大しているのです。日本でもこうした政策をとれば、米国と同じように格差はますます広がります。

ところで、日本の家計部門の「財産所得」は、直近の2020年では26.3兆円です。しかし、1991年には62.6兆円ありました。その当時も株式投資の割合は低く、家計資産のほとんどは預貯金でした。

この低下の原因は、その利子にあります。90年代には定期預金の利子は5%を超えるものもありましたが、現在では定期預金の利子は0.002%しかありません。

「異次元の金融緩和」で異常な低金利政策が続けられています。この政策を継続しながら、国民の預貯金をさらなる株価のつり上げに活用しようとする「資産所倍増計画」には異議ありです。

今必要なのは、投資より賃金や年金の引き上げで庶民の懐を温かくすることです。

安倍元首相の国葬の是非を考える~二度にわたる消費税増税で国民・中小零細企業が窮地に~

参議院選挙後半戦の7月8日、遊説中の奈良市で凶弾に倒れた安倍晋三元首相には、謹んで哀悼の意を表します。このような暴挙は断じて許されるものではありません。

ところで政府は7月22日の閣議で、安倍首相の国葬を9月27日に日本武道館で実施すると決めました。その名称は「故安倍晋三国葬儀」で岸田文雄首相が葬儀委員長を務め、費用は全額国が負担と言う内容です。

そもそも国葬というのは、民主主義社会においては国家が主体となり、国民も政府も納得した上でその人を顕彰するために行うべき儀礼のはずです。安倍元首相の政治的な立場・姿勢に対する評価は人によって大きく分かれます。国葬をするということは、国家としてそれを全面的に公認し、賛美・礼賛することに繋がるのではないでしょうか。

国葬の閣議決定について、中日新聞と南日本新聞は「LINE」を使ってアンケートを実施していますが、両新聞とも反対が7割を超えました。保守層や自民党支持層についても国葬に懸念や違和感、疑問を呈する声も広がっています。

岸田首相は国葬をする理由について、「日本経済の再生」「日米関係を基軸とした外交の展開」「東日本大震災からの復興」をあげていますが、消費税の観点から考えてみます。

NHKの「日曜討論」(6月19日放送)で、野党が「消費税減税をしないのはおかしい」と追及すると自民党の高市早苗政調会長は、「消費税が法人税の引き下げに流用されているかのような発言がこの間から何度かあったが、全くの事実無根でございます。消費税の使途は社会保障に限定されている。でたらめを公共の電波で言うのはやめていただきたい」と反論しましたが、その発言は消費税法1条2項を根拠にしています。

たしかに同条項は「年金、医療及び介護の社会保障給付並びに少子化に対処するための施策に要する経費に充てるものとする」と定めています。2014年4月にこの条項は追加されましたが、これは不況に喘ぐ国民からの非難を抑えるための苦肉の策でした。

しかし、いくら法律で使途を規定しても、消費税は特定の経費に充てる目的で課す目的税(都市計画税・入湯税など)ではありません。使途を特定せず一般経費に充てる目的で課す普通税です。高市氏の全く根拠のない発言は、ネット上でも大炎上を余儀なくされました。

そもそも日本経済を決定的に悪化させた要因は、安倍政権下における2014年4月と2019年10月における2度にわたる消費税の増税であることは明らかです。大企業や大資産に対する減税の穴埋めにこの消費税増税は使われ、もともと不況が長期化していて脆弱であった個人消費はさらに落ち込み、中小零細企業はさらに痛めつけられました。

1989年の消費税導入から34年で消費税の総額は476兆円です。他方、法人税(法人地方税も含む)は324兆円の減収、所得税・住民税は289兆円も減収になっています。

日本を成長しない国にした元凶は、消費税の導入、とりわけ不況時における2度にわたる増税は安倍政権下の失策だといえるでしょう。そうした意味で、安倍元首相が「日本経済を再生した」とはとうてい評価できるものではないといえます。

インボイス制度導入は消費税減税で不必要に~参議院選挙で野党が減税を公約に掲げています~

参議院選挙の投票日(7月10日)が迫ってきました。大きな争点として国民生活を直撃している急激な物価高から国民生活をいかにして守るかの課題があります。

生活必需品の多くのものがものすごく値上がりをしています。私が健康のために愛飲している豆乳も4月から6%上昇しました。朝食で食卓に登場する食パンも9.4%、休日の昼食でよく食べるスパゲッティは11.3%、野菜炒めの材料になるキャベツは40.6%、タマネギに至っては何と125.4%の値上げです。エネルギー関連の値上げも深刻です。猛暑が心配な今年の夏ですが、電気代は約20%、ガス代、ガソリン価格も大幅に上昇しています。

これらの原因は、異常な円安、ロシアのウクライナに対する軍事侵攻、世界(日本を除く)の景気回復などと分析されています。物価高の最も効果的な対策は消費税の減税です。その効果は消費に占める生活必需品の割合が大きい低所得者ほど現れます。そこで、政権与党(自民党と公明党)以外の政党が、多少のニュアンスの違いこそあれ消費税の5%への減税を公約にしています。

他方、与党の言い分は「消費税は社会保障の財源である」と言ってはばかりません。確かに消費税法の第1条には消費税収について「年金、医療及び介護の社会保障給付並びに少子化に対処するための施策に要する経費に充てる」と明記されていますが、この規定は消費税を段階的に引き上げる2012年に増税の言い訳として書かれたに過ぎません。

もともと、消費税導入は1986年に経団連が政府に提言した、法人税と所得税の引き下げの財源として「国民が広く薄く負担する税体系の構築」を端緒にしています。この提言を受け、自民党は1988年6月に税制改正大綱に「直間比率の是正」を掲げ、同年7月に当時の竹下首相が消費税法案を国会に提出して、翌年1989年4月1日から導入されました。

消費税が導入されて以後、消費税は国と地方を併せて476兆円の税収をもたらしましたが、法人税(法人地方税を含む)は324兆円、所得税・住民税は289兆円の減収になっています。つまり、消費税は、社会保障のためではなく、大企業や大金持ちの減税に使われたことになります。

自民党の茂木幹事長は、「消費税の減税を実施すると、現在の社会保障財源は3割以上カットしないといけなくなる」との問題発言をしています。そればかりか、岸田首相は、防衛費を現在のGDP(国内総生産)比1%から2%にすると国際的に「公約」しました。財源はどうするのでしょうか。「消費税を増税する、医療費負担を大幅に増やす、年金をさらに削る」いずれにしても負担は、この20年間賃金が下がり続けている唯一の先進国に暮らしている人々にしわ寄せがくることになるでしょう。

消費税を減税し、庶民の懐を温かくして経済の好循環を進めていくことが急務になっています。消費税を減税すれば複数税率は解消され「インボイス制度」の論拠が崩れてしまいます。既に、世界では90を超える国や地域が消費税(付加価値税)の減税を実施・予定しています。日本でできない理由はありません。審判の時が刻々と近づいています。

メデイアはなぜインボイス廃止法案を取り上げないのか~メデイアはインボイス制度の本質について取り上げるできです

NHK政治マガジンは、立憲民主党が提出したインボイス廃止法案について次のような報道をしています。

『事業者の納税すべき額を正確に把握するため、消費税の税率や税額を記載する「インボイス」と呼ばれる請求書の作成が、来年から事業者に求められる制度について、立憲民主党は、3月30日、中小・零細事業者などの大きな負担になるとして、廃止するための法案を国会に提出しました。

~中略~立憲民主党はインボイスの作成は、中小・零細事業者などの大きな負担になり、コロナ禍や物価の高騰で直面している厳しい状況に追い打ちをかけることになりかねないなどとして、制度を廃止するための法案を衆議院に提出しました。

立憲民主党の末松義規衆議院議員は記者団に対し「現在の制度でも、事業者の納税額は適正に把握できるので、インボイス制度は不要だ。立憲民主党としては、短期的な経済対策として、消費税率の5%への一時的な引き下げも主張していく」と述べました。』という事実関係だけを述べた記事です。

実際、インボイス制度で大きな影響を受ける人は、消費税の免税事業者(推定1000万人超)だけでなく、そうした事業者と取引をしている課税事業者も含め社会的な大問題です。

この制度により影響を受ける業種は、一人親方などの建設関連の下請け業者、外注化された社員、赤帽など軽トラックの配達請負業者、ウーバーイーツなどの宅配業者、個人タクシー、英会話学校や塾の講師、映画・演劇の俳優や声優、編集者、音楽家、漫画家やイラストレーター、農家、生命保険・損害保険の代理店、貸家や駐車場経営者、電気やガスのなどの検針員、内職者、ヤクルトレディー、シルバー人材センターの会員など多岐にわたります。

メデイアは前回の総選挙後から特に「野党は批判ばかりだから選挙に負けた」との主張を繰り返しています。野党の役割は権力の監視で、政府・与党の追及です。それこそが民主主義を機能させることに繋がります。野党が批判を加えてからこそ、行政の歪みなどが国民へ知らせることになります。議会制民主主義の母国であるイギリスでは、野党のことを「オポジションパーティ・反対党」と表現するそうです。

他方、メデイアの「批判ばかり」は事実なのでしょうか。2017年11月に開会された第195国会から2021年6月に閉会した第204国会までの政府提出案のうち賛成した主な野党の賛成率は、立憲民主党82.6%、日本維新の会88.7%、日本共産党53.9%です。また、165本の対案となる法律も提出しています。このことからメデイアの野党批判は相当とはいえません。

さて、参議院選挙が間近に迫ってきました。この選挙で大きな争点の一つが小規模事業者に新たな税負担と事務負担を強いるインボイス制度です。メデイアには大きな社会問題として既に野党が提案している法案を形式的な論評だけでなく、その本質をえぐるような報道をすることを期待しています。この制度が導入されたら、やがて消費税の税率はヨーロッパ並の20%になるのではないかと危惧しているのは私だけではないと思います。

わが家はレトルトカレーがマイブーム!~わが家の三種の神器とレトルトカレー~

とにかく美味しい、私だけでなく、妻も長女やその夫も大絶賛するのがNISHIKIYA KITCHEN (ニシキヤキッチン)のレトルトカレーです。今、わが家では3日に1度はそのカレーを食しています。それだけでなく同社のこだわりのスープはわが家の朝食の定番となりつつあります。

そもそも、妻の得意料理(三種の神器)は、「煮しめ」「おでん」「カレー」です。夫婦だけの二人世帯なので、料理を美味しく作ろうとするとどうしても1回では食べきれませんが、余ってもわりと長期の保存ができるために、妻にとっても都合が良いものです。

「煮しめ」は、私の母の得意料理ですが、その味を見事に妻は盗んでいます。私にとっても味の承継ができているのがとても嬉しい限りです。そもそも「煮しめ」とは、煮汁が残らないように、じっくりかけて煮ることを「煮しめる」と言い、その調理法から命名されたらしいのですが、妻もそれを実践しています。多くの野菜を使うのでとてもヘルシーです。

「おでん」は、大阪出身の妻の味です。大阪では、「おでん」のことを「関東煮(かんとだき)」と言います。牛すじ肉をたっぷり入れ、昆布巻きも入ります。私の好みのネタは、なんといっても玉子です。煮汁をほどよく吸収したその味は、私の食欲を増進させます。

さて、今回のブログの主人公は「カレー」です。元々はインド発祥でそれがイギリスに渡り、日本には150年前に入ってきました。日本人の好み合うように工夫、改善が繰り返され、日本独自のカレー文化を創りました。

わが家のカレーは、「簡単・便利・美味しい・リーズナブル」を兼ね備えたカレールーをアレンジしていました。たまに、スパイスから時間をかけて作るのですがカレールーにはかないません。「カレールーを2種類以上使う」できあがりに、「醬油・ウスターソース・インスタントコーヒーの顆粒を入れる」などの工夫をしましたが、妻が出した結論は、お気に入りのカレールーを単体でそのレシピどおりに作るのが最良ということです。

それを超えるものが今回のお話です。私の大好きなテレビ東京系列の「カンブリア宮殿」という番組があります。その番組で今年1月20日に取り上げられたのが、「NISIKIYA KITCHN」でした。その番組で感銘を受けてそれ以来の大ファンです。そのホームページには会社の沿革と経営理念が紹介されています。

『「にしき食品」は1939年、宮城県仙台市で創業しました。創業当時は佃煮や豆腐などの惣菜を主に製造し、時代の変化に合わせて1975年よりレトルト食品製造を開始しました。その後、様々な転機を経て、現在は企業さまのプライベートブランド食品製造と、自社ブランド『NISHIKIYA KITCHEN』の展開に力を入れています。

私たち「にしき食品」は、レトルトの新しい価値を追求し開拓することで皆さまの暮らしにお役に立てることを願っています。私たち「にしき食品」は、レトルトの新しい価値を追求し開拓することで皆さまの暮らしにお役に立てることを願っています。』

しばらくは、妻も大絶賛のわが家のマイブームは続きそうな気配です。

官房機密費は今年度末も使い切るのでしょうか?!~そのどす黒い闇に迫ってみます~

わが国の会計年度は4月から翌年3月となっています。大企業を中心に多くの企業や団体などがこの会計年度をとっているのは、国や地方自治体の会計年度と合わせているからだといわれています。

ところで日本の予算制度は、単年度主義をとっています。使い切れなかった予算は、次年度に繰り越されます。つまり、実質的に新たな予算が少なくなってしまうのです。これでは削減できる良いアイデアがあっても削減しようという発想にはなりません。

その予算制度の弊害の最たるものが「内閣官房機密費」です。「内閣官房機密費」の正式名称は「内閣官房報償費」といいます。この予算は、国政の運営上必要な場合において、内閣官房長官の判断で支出される経費に当てられとされています。国政を円滑に運営する支出される趣旨から「権力の潤滑油」などとも揶揄されています。会計処理は内閣総務官が所掌しています。

問題は、その支出には領収書が不要で、会計検査院による監査も免除されており、使途が公開されることがないことです。この不透明な使途に国民からその支出の開示を求める声が多く上がっています。

近時、国民の知る権利について政府や企業は不十分ながらもその開示に対応をしつつあります。定量情報(数字で表せるこことが可能なもの)だけでなく定性情報(数字では表せないもの)もどのように開示すべきかについて腐心をしています。

そうした動きに逆行するのが「官房機密費」です。その歴史は古く最初に計上されたのは1947年です。戦後の混乱期においては「表に現せない支出」も一定程度必要だったかもしれませんが、その支出は年々増加をし、2016年には年14億円を突破して、財政が逼迫をしている中でも、減額にはなっていません。そもそも、国民の税金であるにもかかわらず開示できないことについて、大きな疑問が生じます。

さらなる問題が、年度末に使い切ると言うことです。もともとこの支出は、必要な都度に内閣官房長官の判断で機動的に使用することが趣旨の経費です。つまり、使うときもあれば使わないときもあるということです。ところが、度末の3月になると毎月の倍近いお金を支出しています。その結果、余ったら本来国庫に返納された金額はここ数年間、少ない年で僅か1万円、多い年でも13万円しかありません。

政治資金の問題に詳しい浦野広明税理士は「『機動的に』使うといいながら、毎年3月に支出が増えるのは明らかにおかしい。この支出が必要な場面が3月に集中するとでもいうのだろうか。しかも、予算ぎりぎりに使うというのは、狙ってやらないとできない。目的外の支出、私的流用の疑いがある」と指摘されています。

河井克行元法相夫婦の広島買収事件でもこのお金が使われたいという疑惑が濃くなっています。税金の私物化の疑いがきわめて強く、自民党の選挙対策、はたまたマスコミ対策等に使われているといわれているこの支出です。「クリーン」を売り物にしたい岸田首相、「聞く耳を」をもって、このどす黒い闇支出をいい加減やめせんか。

新しい資本主義を考える!~分配重視の好循環を~

岸田首相の看板政策は「新しい資本主義」です。この言葉は、衰退しつつあるわが国の経済を再び好転させてくれるのではないかという前向きで明るいイメージが感じられ、万人が好印象をもつ、とても響きの良いキャッチフレーズです。

経済学の通説では、市場での自由な競争に委ねれば、経済格差が拡大し、人類の存亡にかかわる環境破壊にもつながるとされています。

こうした「新自由主義のシステム」から脱却して、持続可能な社会を実現するという高い志からの発言であればまっとうなものであり、ぶれずに実行して欲しいと願うばかりです。

ところがこの首相肝いりの「新しい資本主義」に対してマスコミは酷評しています。例えば3月9日付けの朝日新聞では次のように言及しています。

『~そもそも、新自由主義からの脱却を掲げ、中間層の所得向上をめざすと宣言した「ビジョン」づくりは漂流しかかっている。昨秋の自民党総裁選挙で公約した看板が先行し、「ビジョン」が後回しになっていることが原因だ。~

「新しい資本主義」をめぐる国会論議も低調だ。首相は「成長と分配の好循環」という基本的な答弁を繰り返すばかりで、活発なやりとりには発展しない。

その一方で、政治決断が必要な問題は先送りし続けている。分配の目玉として訴えていた富裕層増税のための金融所得課税強化は、首相就任直後の株価下落を受けて早々と棚上げ。二酸化炭素(CO2)の排出量に応じて課税をする炭素税は、産業界の反発を考慮して見送った。~』

「成長と分配の好循環」を税制でどう解決をすれば良いのでしょうか。日経新聞2月23日号の「好循環生まぬ企業の分配」に次のようなくだりがあります。

「~賃金や配当、投資に回らない資金は積み上がっている。財務省の法人企業統計によると、日本企業(金融などを除く)の利益剰余金(内部留保)は20年末に484兆円と過去最高を更新した。手元にある現預金も259兆円に膨らんだ。~」

つまり、大企業を中心に税制上の優遇措置の追い風も受けて莫大なお金が蓄積されているという現実が横たわっていると言うことです。企業が儲かれば個人所得も増加し、経済全体が良くなるという「トリクルダウン」は起こりませんでした。敷衍すると、富が一部の大企業や大資本家に偏在し、世の中にお金が回らなくなり、内需が停滞して、日本経済は長きにわたり停滞をして、先進国の中では類をみない「成長できない国」と化したのです。

この悪循環をただすためには、お金を循環させる政策への転換が必要です。人件費削減を目的にした労働法制の規制緩和による非正規化の抜本的な転換が必要です。

さらに、労使折半となっている社会保険料の割合をEU並に改め、労働者の手取り賃金を増やすことが有効です。もちろん、財務体質が不十分な中小企業には国からの直接的な支援が必要です。

財源は、大企業の内部留保に対する応分の課税と金融所得課税の適正化でまかなえます。税の公平性を担保し、結果として労働者の賃金に回る好循環をつくり出す政策は有効です。

小選挙区制度は廃止すべきです!~人物本位で選ぶ中選挙区制度と政党本位で選ぶ比例代表制度の組み合わせがベスト~

「1票の格差」が最大2.08倍だった2021年10月の衆院選は「投票の価値の平等に反し違憲だ」として、弁護士グループが岡山県内の選挙区選挙の無効を求めた訴訟の判決が、2月10日広島高裁岡山支部であり、裁判所は「合憲」と判断しこの請求を棄却しました。

昨年の衆院戦での一票の格差をめぐる訴訟の判決はこれで6件目になりますが、「合憲」と「違憲」がそれぞれ各3件となりその判断が大きく分かれています。訴訟は全国14の高裁・支部で提起されており3月までに判決が出そろいます。その後、最高裁が年内にも統一判断を示す見通しになっています。

一票の格差については、最高裁大法廷が2009年以降の衆院選について、3回連続で「違憲状態」としました。それを受けて国会は16年、都道府県の人口比をより反映しやすい「アダムス方式」の導入を決め、経過措置として小選挙区の定数を「0増6減」としました。ただ昨年の衆院選ではこの方式の導入が間に合わず、2倍を超える格差が生まれました。

今後、衆院選挙区画定審議会(区割り審)は6月25日までに、新たな区割り案を首相に勧告する予定です。この案では「10増10減」を軸に調整が進められていますが、自民党の内部では異論が噴出しています。例えば山口県では、定数が4から1減少して3になり、安倍元首相(4区)と林外務大臣(3区)の公認争いになるとの見方も出ています。

朝日新聞は、2月11日の1面トップに、2040年「16増16減」という大見出しで「アダムス方式」を当てはめた試算がされていました。試算を都道府県別でみると、40年には東京が8増、神奈川が3増などで、山形、栃木、新潟、岐阜、長崎などが各1減となるとしています。この記事で減少となる16都県では、戦々恐々となっているのではないでしょうか。

いま小選挙区制度の矛盾が露呈しています。この制度にしがみつく限り、こうした問題は未来永劫続きます。小選挙区制度では、有効投票の多数で当選者が決定まり、当選者以外の候補者に入れた票は無かったこと、つまり「死票」となります。民意を歪め、その結果投票率をも下がり、さらに政権与党に圧倒的に有利な小選挙区制度は廃止し、多様な民意が正しく国政に反映される選挙制度に改革する必要性があるでしょう。

朝日新聞のオピニオンの投稿(21年11月6日付)でなるほどと頷かされた投稿があったので紹介します。「~前略~『田中角栄 戦後日本の悲しき自画像』」(中経出版)の一節を思い出した。中選挙区制の時代、旧新潟3区には、角栄氏のほか、社会党の三宅正一氏がいた。選挙戦の街頭演説で、角栄氏は『この選挙でわれわれは勝たねばならないが、農民の恩人である三宅先生だけは落選させてはいけない。もし落選させたら新潟県人の恥になる』と話したという。~中略~人物を選びやすくするためにも中選挙区制の復活を望む。その方が民意がより国会に反映されるはずだと思う」この意見に賛同します。

さらに、定数の半分を人物本位で選ぶ「中選挙制度」と半分を政党本位で選ぶ「全国区比例代表制度」の組み合わすのが理想の選挙制度だと思います。

こうした選挙制度の改革と併せて、有権者の権利でもあり義務でもある投票を必ず行い政治に自ら進んで参画する意識を持つことが大事です。

辺野古新基地建設の警備費、何と1日2750万円~住民運動の監視に巨額の税金~

防衛省沖縄防衛局が、沖縄県名護市の辺野古新基地建設の警備業務の費用についてコメントをしました。

その業務契約は陸上と海上とそれぞれ別にされていて、建設に着工した2014年7月から21年12月までで、陸上警備業務・海上警備業務それぞれ約300億円で合計約600億円が支出されています。さらに埋め立て工事契約の中にも警備業務が含まれています。その金額は約150億円で、合計すると750億円を超えます。これらを単純に契約日数で割ると、1日あたり約2750万円になります。地方の新築住宅1棟分に相当する金額ですから驚きです。

基地建設に反対する人からは「辺野古の海上では朝7時から1日10隻ほどの警備船が配置され、制限水域から『出てください』とアナウンスするだけ。10隻の必要はなく、税金の無駄遣い。警備費が膨大なのは、県民の理解が得られていないことの裏返しに他ならない。新基地建設に湯水のように税金を使うのではなく、沖縄の経済や医療に回すべき」との声が上がっています。

安倍・菅・岸田政権は、沖縄県民に「よりそう」と言ってきました。その本心は、「沖縄振興対策費は上積みするから、新基地建設には反対するな。」とでも言いたいのでしょうか。

しかも、埋め立て工事の海域には、「マヨネーズ並」といわれる軟弱地盤が存在し、それを改良するために当初5年としていた工期は9年3カ月に延び、工費も約2.7倍の約9300億円に膨らむことが伝えられています。

その渦中の名護市で、先月(1月)23日に市長選挙がありました。その結果は、自民・公明両党が推薦した現職の候補者が57.5%を獲得し再選されました。得票率は68.32%で過去最低になり、前回を8.6%で前回を大きく下回りました。また、期日前投票が投票総数の6割を超えるという異例の選挙戦でした。

その結果をどのように考えたら良いでしょうか。25日の朝日新聞の天声人語(抜粋しています)は次のように伝えています。

「~1997年、移設の是非を問う住民投票があった。反対票が賛成票を上回り、過半数をしめた。~しかし、その後の政府の振る舞いぶりをみると、直接民主主義であれ、間接民主主義であれ、移設への抵抗を示す沖縄の世論を切り捨て続けている。『オール沖縄』を掲げて移設に反対した翁長雄志氏が県知事に当選したときも、聞く耳を持たなかった。辺野古の海に土砂が投入された後の県民投票で、埋め立て反対が7割を上回ったが、作業をやめようとはしなかった。~相手が何を言っても無視するというのも、精神的な暴力にあたる。抵抗する意思を失わせるための手法である。基地を受け入れるとも、反対するとも言わない『沈黙』の市長が2期目の当選を果たした。反対しても無駄だと思わされてきた末の結末だろうか。過去最低であった投票率からも、諦めの気持ちがにじんでいる。」

やるせない名護市民・沖縄県民の思いを私たちも当事者意識を持って真摯に受け止め、この問題をどう捉え、どのように行動するかをわが身のこととして考える必要があります。

時代に取り残されないための30のワード~いなさら聞けない重要単語をひもときます~

「通販生活」というカタログハウス(ユニークな商品を通販で売っている会社で、テレビCMもしています)が刊行している季刊誌の2022年春号にカタカナ語辞典という付録がありました。日常生活で使う「カタカナ」から502語が厳選されています。それを参考に、30の単語を4区分にまとめてみました。

A+(知らないと時代から完全に取り残される)

ICU……集中治療室。大手術後の患者や重傷患者を特別な訓練を受けた医師や看護師が24時間交代で見守り、高度な治療を行う病室のこと。

インフルエンサー……世間に大きな影響を与える人で、芸能人、スポーツ選手、有識者やユーチューバーと呼ばれる人気動画投稿者のこと。

エッセンシャルワーカー……医療・介護、日用品店舗従業員、警察官、消防士、公共交通の運転士、ゴミ収集など社会生活に欠かせない職業に従事している人のこと。

クラスター……コロナなどの疾患が特定の条件下で蔓延する集団感染。

ジェノサイド……ある人種、民族、宗教、思想に属する人々を計画的に絶滅させること。

スクリーニング検査……地域、職場、学校、新生児、妊婦、高齢者などの集団の中から病気の疑いのある人を発見するための検査。ふるい分け試験ともいう。

バズる……短期間で爆発的に話題が広がり、多くの人の注目を集めること。

フェーズ……段階、局面。単位や数字で明確に区切れないが変化するものに使われる。

ボトルネック……障害、支障。円滑な進行や発展の妨げになるものや場所のこと

ポピュリズム……大衆主義。大衆の意見を尊重した政治的主張や政治運動のこと。

A(知るとニュースの理解が深まる)

アナフィラキシーショック……アレルギーを起こす物質が体内に入ることで、急激に発症するアレルギー反応(じんましん、呼吸困難、腹痛、嘔吐など)をいう。

インボイス……商品名、金額、適用税率、消費税額が記載された適格請求書のこと。

M&A……企業の合併・買収のこと。相手方企業の資本や人材、経営手腕などを取り入れ、相互に自社の弱点を補うための手法。

デドックス……解毒・浄化。体内の有毒物や老廃物を排出すること。

パラダイムシフト……一般的、常識的とされる考え方や枠組みが劇的に転換すること。

フードバンク……製造や流通段階で出る余剰品や賞味期限が迫って廃棄される予定の食品を企業などから寄付を受け、必要な人や団体に無償で提供するボラティア活動のこと。

フェイクニュース……主にインターネット上で拡散される、事実とは異なる情報のこと。

プレゼンス……存在、存在感。個人や企業、国家に対して使われ、特にある地域に対して軍事的・経済的に影響力があることを指す。

ベーシックインカム……すべての個人が生活するために必要とする基本的な所得を無条件で現金給付する制度のことをいう。

リカレント教育……社会人になってから再度学校などの教育機関で学び、また社会に出るのを繰り返すこと。社会人の学び直し。

B(知ったら他人に教えたくなる)

EV……電気自動車のこと。ガソリンや軽油などの石油資源を使わず、車に搭載したバッテリーに充電した電気を使って走る。環境に優しい自動車として期待をされている。

クオータ制……政治、行政、企業の組織内で、役職の男女間格差をなくすため、事前に取り決めた一定数を両者に割り当てる制度のことをいう。

ダイバーシティ……多様性のこと。会社の組織管理や人事の分野では、性別・国籍・年齢・宗教などで区分せず、様々な人材を積極的に受け入れようとする考え方を指す。

デカップリング……連動性の強い二つのものを切り離すこと。経済成長や利便性を保持したまま消費エネルギーを減らした状態などのことをいう。

レガシー……遺産、語り継がれる業績のこと。東京オリンピックの時に多用された。

C(知らなくても暮らしに支障はないけど)

アンバサダー……大使、施設、代理人のこと。企業や組織の依頼を受けて商品やサービスの認知度を向上するために活動する人。

イシュー……議論すべき課題、問題点。長期にわたって検討するという意味合いが強い。

オルタナティブ……代替物。他の選択肢。元は二者択一の意味。通称オルタナ。

サステイナブル……環境破壊をせずに維持、継続する経済活動のことをいう。

バイアス……傾向、偏向、先入観、データ等の偏り、思考や判断に特定の偏りをもたらす思い込み要因、得られる情報が偏っていることによる認識の歪みのことをいう。

 

「思いやり予算」新協定で負担増~思いやるべきは米軍ではなく、国民の命と暮らしです~

日米両政府は今月7日、外務・防衛担当閣僚会合(2プラス2)を開催し、2022~26年度まで5年間の米軍に対する「思いやり予算」(在日米軍駐留経費負担)の新たな特別協定に署名しました。政府は17日からの通常国会にこの協定を承認案件として提出し、3月末までの承認をめざしています。

日米両政府は昨年12月21日、「思いやり予算」にかかわる新たな特別協定に基本合意しました。その内容によると、今後5年間の負担総額は、16~20年度より1086億円増の1兆551億円に及ぶ見込みです。

米軍駐留経費負担の根拠になっている日米地位協定は1960年に締結されました。その第24条では、米軍基地を提供するために要する地権者補償などを日本側が、それ以外に生じる全ての維持経費を米側がそれぞれ負担すると規定しています。

しかし、駐留経費の一部を日本が負担する仕組みは、米側の「円高・ドル安」を口実として78年から始まりました。この年は基地従業員の福利費、翌年には米兵用の住宅や学校などの施設整備費なども負担するようになりました。

当時の金丸信防衛庁長官が国会審議で「思いやりがあってもいい」と発言し、以来この負担は「思いやり予算」呼ばれるようになりました。同時に、政府はこれらの支出を「地位協定の範囲内」と拡大解釈をするようになりました。しかし、米国からの負担要求はさらに強まり、解釈では乗り切れなくなったために87年度からは「特別協定」を締結するようになり、現在のように労務費や光熱水費を負担するようになりました。96年からは、訓練移転費までも負担するようになりました。

「思いやり予算」は、90年代まで増え続け、99年には歳出ベースで2756億円にもなりました。さすがに米軍が使うボーリング場やゴルフ場の整備などに対する費用負担は批判の的となり、その後は無駄を削減せざるを得ませんでした。

他方、「思いやり予算」の通称について米国側は、日本による駐留経費負担は当然の「責任分担」であると不快感を示していました。そこで、政府は今回の特別協定から「自衛隊の能力強化へも資する」としてその名称を「同盟強靭化予算」と改めることとしました。おまけに、訓練機材調達費を新設し5年間で最大200億円の負担をすることになりました。

防衛省の試算では、日本政府の米軍に対する在留経費の負担割合は86%で同様の負担をしている韓国の40%やドイツの32%よりも突出して高いことはあまり知られていません。

沖縄や岩国だけでなく各地の在日米軍基地でオミクロン株の大規模な感染が相次ぎ、その地元で住民の感染が爆発的に拡大しました。米軍のずさんな感染防止態勢が明るみなっているにもかかわらず、政府の対応はきわめて及び腰と言わざるを得ません。

政府は社会保障費や教育費など生活予算を削減するばかりか、消費税の増税で国民は塗炭の苦しみを強いられています。米軍ばかりを思いやる政府の姿勢に国民の怒りが噴出するのは当然です。思いやるべきは、米軍ではなく国民の命と暮らしではないでしょうか。

インボイス制度廃止には消費税の減税が最も有効!~総選挙の公約を実現することが喫緊の課題です~

来年(2023年)10月1日からインボイス制度が実施されようとしています。すでに、昨年10月1日よりインボイス制度の登録申請が開始されましたが、その周知がされていないのが現実です。

日本商工会議所の昨年11月10日のアンケート調査によると、インボイス制度への準備状況で、「対応を始めている」と回答して割合はわずか6.4%で、「何もしていない」と回答した割合は59.9%にものぼり、実に92.7%の企業が具体的な対応をしていないことが浮き彫りになっています。

また、昨年10月11日号の納税通信では「内容を知っている」「対応を検討している」がいずれも1割台で「制度がわからない」「検討していない」がいずれも8割を超えています。

財務省の思惑は「論語」にある「知らしむべからず、由らしむべし」を地で行っているのではないかと疑わざるを得ません。つまり「人民大衆というものは、政府の政策に盲目的に従わせておけばよいので、彼らには何も知らせてはならない」、有り体に言えば「このインボイス制度の真の姿を中小零細事業者に知らせるとすったもんだの大騒ぎになる」ことを恐れているのではないでしょうか。

消費税は導入時の3%から、5%、8%、10%と順次引き上げられてきました。その都度、中小零細事業者は、消費税の欠陥の一つである「価格への転嫁」が力関係で決まることで、元請け先からの値引き要請に甘んじ、元請け分の消費税分をかぶらされてきました。今回のインボイス制度でも同様なことが繰り返されることが容易に想定されます。

このインボイス制度導入の理由として「複数税率」になったこととしていますが、今の帳簿方式で十分に対応できます。おそらく、現在の軽減税率(8%)と標準税率(10%)の差を遠くない将来に広げていく、つまり標準税率をEU並の20%位にしたいとの思惑が透けて見えます。

インボイス制度の理由が「複数税率」と言うなら、最も効果的なのが消費税を減税し、複数税率をなくすことです。

昨年10月末に実施された総選挙では、安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合と立憲民主党、日本共産党、れいわ新選組、社会民主党の4党による政策合意で、消費税の5%への引き下げが共通政策になりました。

また、躍進した日本維新の会も2年間、国民民主党も経済状況が好転するまでの間という限定付きですが5%に引き下げるマニフェスト(公約)を掲げて戦いました。政党として消費税引き下げを拒否しているのは自由民主党と公明党だけです。しかし、自民党の若手議員を中心として消費税の引き下げを支持している議員が相当数います。

経済格差を是正するためにも「逆進性」の強い消費税の減税は効果があります。国民の世論と運動をさらに大きくして、喫緊に消費税の減税を実現すれば、インボイス制度の導入理由が存在しなくなります。今年は、消費税の減税が実現できる年にしたいと願っています。