シャンソンの発表会に参加してきました!!~出演者も観客も8割が女性でした、頑張れ男性諸君!!~

先日シャンソンダムールというシャンソン教室の発表会に行ってきました。ちなみにダムールとは、フランス語で愛ということらしいです。

発表者(教室の生徒)は10人でそのうち女性が8人、男性が2人という構成でした。主催者(教室の先生)は女性、ピアニストは大阪から来られたプロの方で男性でした。そして観客(この会場のおよそ半分が埋まっていました)を見通すと目の子で女性が8割以上でした。主催者、観客ともに、年齢が少なくても私と同世代かそれ以上の方がほとんどでした。

私個人としては、高校時代の英語の先生に感化されサルヴァトーレ・アダモのファンになり、大学の第二外国語の選択はフランス語にしました。本来は教養課程の2年間で終わる予定でしたが、どういうわけか?4回生のときもフランス語と仲良しになりました。最近はめっきり行かなくなりましたが、アダモを一躍有名にした「サン・トワ・マミー」は、かつてのカラオケの私の十八番でした。

さて本題に戻りますが、このシャンソンの発表会で実感した「女性、しかも比較的年齢の高い層」が時代を牽引するキーワードになると改めて実感しました。内閣府より公表されました。「高齢者の生活と意識に関する国際比較調査(令和2年度)」から読み解くと、上位3項目は、①子供や孫など家族との団らんの時、②おいしい物を食べている時、③友人や知人と食事・雑談している時となっています。この教室に参加されている女性たちは、教室でのレッスン以外に子供や孫の話などたわいもない話しを美味しい物を食べながら雑談しているのでしょう。

私の妻も、遠くに住んでいる孫と頻繁に連絡を取り、絵画教室の仲間と美味しい物を食べるなど内閣府の調査どおりの行動パターンをしています。

すでに「シニア女性」をターゲットにしたマーケティング戦略を大企業だけでなく中小零細企業でも実践しています。ファッション、美容、飲食、健康サプリメント、生命保険、フィットネスクラブ、雑誌などなどドンドン攻めています。そして、そのコンセプトはズバリ「おしゃれさとシンプル」ではないでしょうか。

一方、「シニア男性」は長年働いた職場から第一線を引いて以来、時間の使い方がわからず悶々と過ごしている人が多いのではないでしょうか。昼間からお酒を飲みながらテレビを見るという暮らしが続きついには、アルコール中毒になる人も多いと聞きます。

つまり、社会とのつながりがあまり得意ではないというのが多くのシニア男性の特性なのではないでしょうか。上手くいっている例としては、わが家にたまに訪問してくる後期高齢者の男性は、隣町からバイクに研ぎ道具を積んで、包丁1本300円で商売をしています。妻はその研ぎ屋さんと会話するのが楽しそうです。本人はその収入で年金の足しになる、そしてお客さんには喜んでもらえる。その研ぎ屋さんは生き生きとしているそうです。

男性の老後の仕組み作りとして、「社会との関わり」を持つことが強く求められているのではないでしょうか。行政としてもそれをバックアップしていくことが重要です。そうすれば、自ずと医療費の抑制にも資するのではないでしょうか。頑張れ、シニア男性!!

バラマキより消費税減税を~多くの国民の願いに「聞く耳を」発揮すべき時です!!~

11月11日付朝日新聞朝刊の声欄に次の投稿がされていました。この「声」に私は全く同じ意見なので全文紹介をします。

『岸田文雄首相は、総合経済対策として、1人4万円の定額減税を来年6月めどに、住民税非課税世帯には7万円を年内から年始にかけて給付をするという。税収増を還元するのだそうだ。国の歳出が歳入を上回り、毎年国債で補っているというのに、どこにそんな余裕があるのだろうか。あるのなら財源確保が難しい少子化対策に回すべきではないか。

それに、今回の規模の減税で、バラマキの効果はあるのだろうか。半年も先に、4万円程度の減税で、物価高に苦しむ庶民が少しでも効果を実感できるのだろうか。減税をするなら、願わくば所得税・住民税より、日々の生活に直結する消費税を減税してもらいたい。1年間の期間限定でも買い物時に付加される消費税が減税・免税になったら、確実に今より暮らしが楽になる。

賃金の上昇が、物価の上昇に追いつくのはまだ先になりそうだ。減税のあとに増税が控えていると言われる。それでは国民の生活は立ち行かない。防衛力強化のための増税は中止して欲しい。防衛費がGDPの2%になれば、世界3位の軍事大国になる。もっと親身になって国民に寄り添うべきだ。』

共同通信社が11月3~5日実施した全国電話世論調査によると、政府が経済対策に盛り込んだこの減税政策に62.5%が「評価しない」と答えました。これらの政策を評価しない理由について「今後、増税が予定されているから」が40%で最多に、「経済対策よりも財政再建を優先すべきだ」が20.6%、「政権の人気取りだから」が19.3%と続きました。

また、内閣支持率も28.3%に落ち込み、過去最低を更新しているなど、政権に対してかなり厳しい目が注がれている状況です。

さらに追い打ちをかけるように、鈴木俊一財務大臣は野党の質問に答える形で、「税収の増えた分は、政策経費や国債の償還などで既に使っている。減税をするなら国債の発行をしなければならない」と発言しています。

消費税減税については、自民党の若手議員がつくる「責任ある積極財政を推進する議員連盟」が10月4日に消費税率を時限的に5%に引き下げる提言を行うなど与党サイドからも消費税減税の声が出ています。

現在の物価高は日本だけの問題だけではありません。既に世界107の国と地域では、国民の生活を守るための緊急で有効な経済対策として、付加価値税(消費税)の減税が実施されています。

ところが、岸田首相は「全ての世代が広く公平に分かち合う観点から、社会保障の財源として位置づけている消費税の減税は考えていない」とかたくなに拒否をしています。

日本国憲法から導き出される「生活費に税金をかけてはならない」(生活費非課税)、「能力に応じて公平に負担する」(応能負担の原則)からも消費税減税は早急に実施すべきです。

あなたも注意してくださいね!!~忍び寄る特殊詐欺~

特殊詐欺のニュースが頻繁に新聞などのメディアに流れます。最近、山口県内で60歳代の男性が仮想通貨(暗号資産)への投資名目で3000万円超をだまし取られたという記事が新聞に載っていました。

特殊詐欺は、犯人が電話やハガキ、封書、SNSなどで親族や公共機関の職員を名乗り、被害者を信じ込ませて現金やキャッシュカードをだまし取る犯罪です。特殊詐欺の主な類型は下記の通りです。

  • オレオレ詐欺: 親族を名乗り、現金をだまし取る手口。
  • 預貯金詐欺: 警察官や銀行職員を名乗り、キャッシュカードをだまし取る手口。
  • 架空料金請求詐欺: 未払い料金を言い立てて金銭をだまし取る手口。
  • 還付金詐欺: 医療費や税金の還付金を言い立てて被害者の口座から送金させる手口。
  • 融資保証金詐欺: 融資保証金を言い立てて金銭をだまし取る手口。
  • 金融商品詐欺: 未公開株などの嘘の情報で購入させ、金銭をだまし取る手口。
  • ギャンブル詐欺: 登録料や情報料として支払わせて金銭をだまし取る手口。
  • 交際あっせん詐欺: 女性紹介などで会員登録料金として金銭をだまし取る手口。

特殊詐欺は高度な分業化によって再び深刻化しており、被害額は年間数百億円規模に上っています。警察は対策に取り組んでいますが、犯人の巧妙さは衰えることを知りません。

ある方からの相談で「税金の還付金の連絡があり、手続きをしていたところ税務職員を名乗る男性から、保証金として○○円を口座に払えば還付をする、というので振り込んだがまだ還付がされない」との内容でした。私が「それは還付金詐欺ではないでしょうか。警察に連絡した方が良いですよと。」アドバイスをしましたが、その後、何の連絡もありませんでした。間違いなく還付金詐欺ですね。犯人は、あなたの身近にも存在します。

相談者だけではありません。私のEメールにも、それを臭わすような怪しい内容のものが頻繁に送信されてきて思わず引っかかりそうになることがあります。

例えば。Amazonプライムからは、「会員資格が○○に切れるので下のアカウントにログインしてください。」

セゾンカード(そのカードは待っていません)からは、○○円が口座から引き落としになります。ご利用明細はNetアンサーまで。」

三井住友銀行(その銀行の口座を持っていません)からは、「ご本人確認のお知らせというタイトルで、今年の○月○日から、当社の社名を名乗って不正な手口でログイン情報を入力させる手口で不正送金をさせる事件が多発しています。ご本人確認はこちらから」

携帯のショートメッセージには、「お客様が不在な為お荷物を持ち帰りました。こちらでご確認ください。WWW: //○○」

何とも物騒な世の中です。社会の歪みや格差の拡大の中で行き場を失った若者が、「楽をして大金を得られる」そんな短絡的な犯罪ではないでしょうか。社会の構造を変えないと!

県民は貧困に喘ぐ、一方県議は贅沢三昧?!~庶民感覚を知るのが県議の使命では?~

昨年11月11日から17日にかけて、シンガポール、ベトナム、フィリピンの3カ国を自民党6人、公明党と民政会それぞれ1人の合計8人の県議が海外視察をしました。報道によると、県議会への情報公開で明らかになったのは、旅費が約140万円、このうち航空運賃が約120万円にも及んでいるとのことです。

ところで、昨年から日本では急激な物価高が続いています。この要因はロシアによるウクライナ侵攻や円安の影響によることが大きいと言われています。一方、私たちの賃金の上昇は物価高に追いついておらず、物価高で生活が苦しいと多くの庶民は感じています。また年金の支給額はこの物価高にもかかわらず、その支給額は減少しているという異常事態です。そのため、多くの国民が生活防衛のために涙ぐましい苦労をしています。

さて、その航空運賃ですが、ネットで検索してみると、東京・羽田国際空港からシンガポール・チャンギ国際空港までの往復の航空運賃は、エコノミークラス約10万円、プレミアムエコノミークラス約30万円、ビジネスクラス約50万円、ファーストクラス約120万円でした。

おそらく件の県議会議員たちはファーストクラスを利用したものと考えられます。ファーストクラスでは、扉や仕切りの付いた個室となっているものが大半で、座席もフルフラットにして寝転がることができます。また食事はレストランや料亭のようなお皿に盛り付けて提供されます。ドリンクも厳選されたワインや日本酒などが用意されています。

ファーストクラスに乗って悦に興じているかもしれませんが、庶民はこの円安のときに海外旅行をエンジョイできる人は限定されるでしょうし、できてもエコノミークラスがせいぜいという人が多数なのではないでしょうか。

海外視察旅行を全否定するわけではありません。しかし、ファーストクラスを利用した大名旅行のようなことをしていては、庶民の暮らしぶりに関する感度が鈍ってしまうのではないでしょうか。個人のお金で海外視察旅行を行くならいざ知らず、その支出は全額、私たちの血税なのです。

山口県は貴賓車として、トヨタの最高級セダン「センチュリー」を2,090万円で購入したのは違法な公金支出として住民が県を相手取った訴訟を起こしています。原告で元県職員の松林俊治さんは「最小経費で最大効果を上げるという地方自治の原則を軽視した」と批判するコメントを出しています。まさに、この視察旅行もこのコメント通りです。

香川県議会8人がブラジル、パラグアイ、アメリカへの視察旅行の一人当たり費用が約263万円かかると報じられ「高すぎる」批判をあび、同県議会事務局が188万円に減額すると発表しましたが、県民の理解を得られていないようです。

本来、県議会議員には、住民目線で行政機関の政策や運営をチェックする機能が求められています。その「住民目線」という感覚を忘れないように、海外視察旅行をする必要がどうしてもある場合には航空券はエコノミークラスにするようにすべきではないでしょうか。

文化の香りに触れました。ところが、咳をガマンするので精一杯!!~反田恭平コンサートに行ってきました~

8月下旬から、週1回の英会話教室に通いはじめました。7月下旬に教室を見学し、ハードルはかなり高いと思いましが、少人数だし、そのうち外国人の先生の会話にもついて行けるようになるのではないかという楽観的な思いでの参加でした。

正式な教室の参加の初日に、いきなり「反田恭平さんのコンサートに行きませんか?チケットがあるんですよ!」というお誘いがありました。勿論、反田さんの顔とお名前はTVなどで知っていましたが、地元の山口市民会館であるなんてまるで知りませんでした。妻も反田さんのピアノは聞きたいだろうなと思ったので、躊躇なく購入しますと返事をしました。

9月1日の夜7時からの公演でした。実際にチケットを入手したのは前日の8月31日、英会話教室の生徒さんの知り合いがチケットを購入したのですが、急に都合がつかなくなったというので、破格の値段で入手しました。

一番懸念していたのが、カゼをこじらせたことで咳が突然に出ることです。そして、いったん出るとなかなか止まらないのです。最初にお誘いを受けたときもその症状がありましたが、コンサート当日まで2週間の期間があるのでそれだけのゆとりがあれば治っているだろうと考えていました。ところが、漢方薬を飲んだりのど飴をなめたりしてもなかなか治りません。

そして、ついに当日を迎えました。10分前には指定席につきましたが、山口市民会館大ホールは満席でした。出るかもしれない咳のためにのど飴を2個持って行きました。いきなり、そののど飴をなめましたが、ここからが咳との戦いでした。咳をガマンすると体がけいれんするのです。もはや、音楽を聴くと言うよりは、いかに咳を静めるかで精一杯でした。演奏される曲と曲の合間で咳をして、その後はガマンするという繰り返しでした。しかし、それでもガマンできずに何度か咳き込みました。とても辛かったです。のど飴を2個しか持っていかなかったことを後悔してももはや手遅れでした。

それでもその素晴らしい演奏に引き込まれました。このコンサートで知っている曲は2曲、モーツアルトのトルコ行進曲(チケット販売用のチラシにはありませんでした)と、誰でも聞いたことのあるモーツアルトの交響曲第40番でした。クラッシックコンサートには何度か足を運んだことがありますが、全く知らない曲ばかりだったという印象が強かったのでそういう意味では満足でした。

ただ、反田さんは指揮がメインでしたので、もっとピアノの名演奏を聴きたかったのが正直な感想でした。サプライズは、その日(9月1日)が反田さんの29歳の誕生日で大きなバースデーケーキが反田さんへプレゼントされました。帰りの車中で、妻と「今からバースデー・パーティをするのかね?」とか「今日は湯田温泉に泊まるのかね?」とかの雑談をしながら家路につきました。

NHK教育で、クラッシックTVという番組がありますが、コンサート直前に反田さんが出演し、司会の清塚さんと2人で演奏されていたのが印象的でした。サッカーで腕を骨折しなかったらアーティストになっていなかったなどのエピソードもおもしろかったです。

それでもやるのか、インボイス?!~この制度の真の狙いは将来の消費税の税率アップ!!~

来月(10月)からの実施が予定されている消費税のインボイス制度に、今多くの個人や団体から反対の声が上がっています。インボイス制度は免税事業者だけでなく、課税事業者にも、税負担をもたらす制度です。しかし、一番の当事者である事業者だけでなく、間接的に影響を受ける一般消費者に対してもその仕組みは浸透していません。

過日、自宅のピアノの調律をして頂きました。このフリーランスの調律師さんは私のギターの個人レッスンの先生でもあります。1時間の調律が終わってコーヒーを飲みながら雑談。即座にその調律師さんからの質問がありました。とある文化事業団体から「もうインボイスの登録はしましたか?」という連絡が入ったというのです。何のことだかわからないのでいったんはその返事を保留して、ネットでいろいろ調べたが、調べれば調べるほど訳がわからなくなったのでわかりやすく説明をしてもらえないかという話になりました。その調律師さんの年間の収入は300万円に届かないと言うことでした。

まずは、消費税の簡単な仕組みを説明しました。さらにインボイス制度をわかりやすく短時間で理解してもらうのは至難の業でした。この制度は、この調律師さんのような免税事業者が課税事業者になっても、取引先である文化事業団体のような課税事業者がその消費税相当額を負担しても新たな税負担をすることになる恐ろしい制度であることを強調しました。財務省は税率のアップをしないで、160万人の免税事業者が課税事業者を選択して、増収額は7700億円になるとも話しました。

私は「もし課税事業者を選択したら、課税事業者への収入が約半分として、消費税の負担は年間10万円くらいになる」と試算をしました。調律師さんは「大きな負担になりますね。調律の10回分が消費税で吹っ飛びますね。それは、大変だから登録はやめると文化事業団体に返答をします。」と言う結論になりました。

話しは続き、2019年に安倍政権が、国民生活が困窮する中で国民の反対を押し切る形で強引に消費税の増税と複数税率を実施して、インボイス制度の導入を決めたこと。あれから4年近くの歳月が経過しましたが、複数税率による税の現場での混乱はないこと。現行の「帳簿及び請求書」の制度で消費税の税収の毀損はないこと。これだけ数多くの事業者が反対しているにもかかわらずインボイス制度の導入を強行する根拠が薄いことを言及しました。

究極、この制度の真の狙いは消費税の大増税の下準備であること。消費税の税率を1%あげれば、2兆円の税収が見込まれること。既に消費税の税収は、法人税や所得税を抜いてトップの基幹税になっていること。防衛費を今後GDPの1%から2%に倍加すること。子ども・子育て支援を異次元にするとアドバルーンを上げたが税収の見込みが立っていないこと。赤字国債の残高が半端ではないこと。財界は消費税の増税を提言していること。などの理由からこのままいくと消費税はそう遠くない時期に増税になることになると続けました。

一番の懸念は日本が「先進国」から「先進衰退国」になることで話しは瞬く間に終了しました。この国の将来を考えて、税の在り方を多くの国民が自らのこととして考えるべきです。

英検準2級に合格しました!!~通勤時間を有効利用活用しました~

7月18日、英検(正式名:実用英語技能検定)の準二級の二次試験(面接、Speaking)の合格発表がWEB上であり、見事合格していました。

ネットの情報では、『英検®準2級の一次試験の合格率は約35%、英検®準2級二次試験の合格率は83%で、一次試験と二次試験の両方に合格し、英検®準2級を取得できる確率=英検®準2級の合格率は29%』とあります。またそのレベルは、『基本的な応用力として次の段階へつながる重要な級で、レベルは高校中級程度とされています。日常生活に必要な英語を理解し、使用できることが求められます』だそうです。

そもそもの受験動機は、二女が海外(ドイツ)に既に約10年間生活していて、私自身もこれまで複数回渡航して感じたのは、国際的な共通用語である英語の重要性でした。ドイツ人のかなりの多くの人が英語を使えます。そして空港、入国事務、列車、ショッピングモール、お土産屋さんなどではほとんど英語でコミュニケーションがとれます。もし、英語をそれなりに理解し活用できたら、私の行動範囲は格段に上がるはずだと考えました。

ところが、大学受験ではかなり英語の勉強に時間を割きましたが、大学での英語の講義にはまるで関心がなく、私の頭の中から、英語の知識は加速度的に低減しました。社会人になってからは、それに拍車がかかり、さながら忘却の彼方という形容そのものでした。

受験の動機はできましたが、問題は学習時間の確保でした。勤務地が変わり、自動車通勤から電車通勤になりました。電車通勤は片道約40分、ゆったり座れる環境もあります。それを使わない手はありません。往復約80分で、単・塾語の暗記に充てました。いざ始めると、すごく新鮮で、さび付いた私の脳にも刺激的であっという間に目的地に到着しました。

そうすると、欲が出て、文法・リスニング・英作文などにも意欲が出て、すき間時間はほとんど英検の勉強に充てるようになりました。好きだったテレビもほとんど見なくなりました。税理士試験で身についた時間管理も功を奏したのだろうと思います。

基礎固めをしっかりやり、過去問(過去前6回)を3回やりしました。過去問をやればやる度、合格ラインが見てきました。そうするとさらに絶対合格への意欲も強くなりました。よく言われていますが、どの試験でも一番大事なのが過去問です。この試験でも本当に実感しました。

英検準二級の一次試験には、Reading、Listening、Writingの3科目があります。その中でもっとも苦手だったのがWritingでした。しかし、首都圏に住んでいる英語が得意な長女(学生時代アメリカ留学をした経験があります)に、ネット上で添削してもらい、その結果本試験では、3科目中もっとも点数が高くなりました。ちなみに英検は、解答状況も得点の詳細も公表されているのでさらなる学習意欲に繋がります。

一次試験の合格発表(6月19日)から二次試験の実施日(7月9日)の約3週間、Speakingも長女に手伝ってもらいました。母国語が日本語の私にはとてもハードルが高かったです。

既に、英検2級の勉強とカルチャーセンターで英会話初級講座の申し込みをしました。新たな高見を目指して、老骨にむち打って(認知症の予防にも繋がるかも)始動しています。

消費税は「付加価値税」と名称を変えるべき!!~益税とインボイス制度を再度考えます~

日本の「消費税」は、1989年4月1日、当時の竹下登(DAIGOの祖父です)政権のもと3%の税率で施行されました。その当時、「消費税」のような「大型間接税」は広く「付加価値税・VAT 」という名称でした。ちなみにVATとは “Value Added Tax” の略です。

導入に強く反対していた中小零細事業者を懐柔してこの税をどうしても導入したかった政府は、その名称を「消費税」としました。誰がそのネーミングにしたのかは謎ですが、中小零細業者までが納税義務者となるヨーロッパ型付加価値税とは趣を変えて反対の矛先を変えたいと思ってのことだったと推測できます 。

その「消費税」というネーミングが国民に誤解を与え、消費者自身が税金を負担している錯覚をしています。また、財務省も「益税の解消」というプロパガンダを与えている土壌になっています。

そもそも「付加加値税」を最初に導入したのはフランスです。1954年のことです。当時は、第2次世界大戦が終わり、戦勝国だったアメリカが世界最大の貿易大国でした。そのアメリカに対抗するため、自国経済を盛り立てるためには輸出企業に頑張ってもらうしかないという発想で輸出補助金を出していました。しかし、ガット(現在はWTO)という関税と貿易の協定ができたとき、自国企業だけに補助金を与えるのは自由な貿易に反するとの理由でガットに抵触してしまったのです。

それでも何とかして自国の輸出企業に輸出補助金を与えられないかと、フランス政府が考えたのが「間接税」としての付加価値税です。初めから輸出企業を援助するという目的が強い税金でした。日本でも「輸出免税」として、その効果を果たしています。

現在、140カ国余りで付加価値税を採用(主要国ではアメリカだけが採用していません)していますが、「消費税」というネーミングをしているのは日本だけです。

今年の10月からインボイス制度が始まりますが、その影響を受ける多くの中小零細事業者の認知度は必ずしも高くなく、一般消費者は、ほとんどこの制度の理解ができていません。それどころか、財務省の巧妙な「益税論」の影響を受けています。

インボイス導入の理由に「益税の解消」が挙げられてから、免税事業者にはまるで「消費者から預かった税金を懐に入れている」という非常に厳しい目が向けられています。「益税」でも「預かり金」でもないのに、言われなき差別を受けています。新たな社会的分断です。

消費税という法律を読み解けは、「消費者」とか「価格の転嫁を義務づける」という規定はありません。小売業者が受け取った金額は単なる価格であり、「消費者」は「消費税」を負担はしていません。これは、裁判でも確立されています。つまり消費者からの「預かり金」ではないので「益税」などは存在しません。レシートなどを見れば勘違いしやすい(外税表記なので)のですが、実際の納税義務者は消費者ではなく、事業者です。

消費者が消費税を負担しているような誤解を与える「消費税」という名称を今こそ「付加価値税」に今こそ変えて消費者に大いなる誤解を解消する必要性を痛感します。

誰も喜ばないインボイス制度導入は無期限の停止、そして廃止へ!~声をあげる税理士が立ち上がっています!!~

今年の10月から実施されようとされているインボイス制度ですが、その仕組みが明らかなになるにつれ様々な反対の声が上がっています。

そもそもインボイス制度とは端的に言えば、課税事業者が売上にかかる消費税から、仕入れにかかる消費税を差し引く際に、インボイスと呼ばれる請求書で納税する仕組みです。この制度は消費税(多くの国では付加価値税と呼んでいます)を実施している国では納税額計算の前提となっています。

では、わが国では今までなぜこの制度がなかったのでしょうか。それは、消費税が導入された1989年(平成元年)当時、多くの中小企業者が反対の声を上げ、その声を懐柔するためにこの制度に変えて、日本独自の制度である「帳簿方式」を採用しました。帳簿方式とは、事業者が自ら記帳した帳簿にもとづいて仕入税額控除を計算して納付する消費税を決定する方式です。わが国では、記帳の精度が高いのでほとんど課税に支障はありませんでした。

この制度が導入されれば、複雑な事務作業が中小零細業者に強いられます。特に、課税売上高が1000万円以下の免税事業者は、取引先からの要請でやむなく課税事業者を選択すれば、消費税を負担しなければなりません。また、免税事業者のままだと取引中止や消費税分の値下げをされるおそれがあります。つまり、この制度は消費税率を変更せずに増税ができるという代物です。将来の消費税率のアップを見越しての政府の狙いが見え隠れします。

インボイス制度の中止を求める税理士の会が結成され、国会議員に要望書を提出しました。その要望書の中でこの制度が複雑で理解できないのを以下の6点にまとめています

(1)前提となる消費税の納税計算の仕組み、仕入税額控除がわかりにくいこと。

(2)消費税の免税制度の意義や簡易課税制度の意義・仕組みがわかりにくいこと。

(3)免税事業者からの仕入も3年間80%仕入税額控除が可能、その後3年間50%仕入税額控除が可能という経過措置がわかりにくいこと。

(4)令和5年税制改正で導入された、「売上げの80%を仕入税額控除できる特例(3年間の時限立法)」や、「売上高1億円以下の事業者が1万円未満の支払をした場合、インボイスなしで仕入税額控除ができる特例 (6年間の時限立法)」がわかりにくいこと。

(5)インボイスは店を構えている人だけでなく、サラリーマンや主婦のわずかな副業でも発行義務が生じる場合があり、いわゆる「事業者」の範囲がわかりにくいこと。

(6)インボイスの発行が免除される例外取引、例えば「農協特例」、「中古品の売買」、「コイン販売」等々があり、自分の業種・業界がインボイス発行の対象になるか否かわかりにくいこと。

さらに、具体的な問題点をとして、①自分が適格請求書発行事業者に該当するか否か判断できない者がたくさんいる。②申告・納税事務で税理士事務所も税務署も大混戦に陥る③消費税の滞納が増大し、廃業する事業者が増大する、と指摘しています。

だれも喜ばないこの制度(喜ぶのは一部の財務省の官僚だけでしょう。)は無期限に停止をして、そして国民の合意の上で廃止すべきです。今ならまだ間に合います。

若き経済思想家、斉藤幸平氏の著書を読んで~日本社会は、もはや変えることができないのか?~

わが国の防衛費が2023年度からの5年間で総額43兆円、27年度にはGDP(国内総生産)比で2%に膨れ上がることが決りました。その金額は、米国、中国に次ぐ世界第3位です。平和憲法はどこに行ったのでしょうか。さらに、原発再稼働や新増設の容認も決まりました。12年前の福島での、あの大惨事は過去のことで忘却の彼方となったのでしょうか。

本当に残念なことですが、これが日本の政治です。しかも共通しているのは、閣議決定で拙速に決めて、まともに国会論戦をしなかった点です。こうした大転換に民意をまともに聞こうとせずに強行した姿勢はもはや民主主義国家の体をなしていません。異常な政治がまかり通るなか、国民生活は上がる物価や高い教育費の負担を余儀なくされています。

日本社会は、もはや変えることはできないのでしょうか。こうした問題に果敢な提言をされているマルクス研究の第一人者でもある斉藤幸平先生の著書を参考に、日本のあるべき社会を紐解いてみましょう。

ベストセラーになった人新世の「資本論」では、社会を変える構想を5点にまとめておられています。要約して紹介します。

その第一は、使用価値経済の転換です。具体的にはGDPの増大を目指すのではなく、人々の基本的ニーズを満たすことを重視する必要があるということです。

第二は、労働時間の短縮です。それは、ストレスを減らし、子育てや介護をする家庭にとっても、役割分担を容易にするということです。

第三は、画一的な分業の廃止です。つまり、経済成長のための効率化が最優先ではなく、利益よりも、やりがいや助け合いが重視されること経済社会に移行するということです。

第四は、生産過程の民主化です。生産手段を民主的に管理することです。つまり、生産をする際にどのような技術を開発し、どうした使い方をするのかについて、開かれた形での民主的な話し合いによって決めることです。

最後に、エッセンシャル・ワークの重視です。役に立つ、やりがいのある労働をしているという理由で低賃金・長時間労働を強いられているのがケア労働に代表されるエッセンシャル・ワークたちです。彼らがきちんとされる社会が必要です。

締めくくりで筆者は次のように括られています。『「人新世」とは、資本主義が生み出した人工物、つまり負荷や矛盾が地球を覆った時代と説明した。ただ、資本主義が地球を壊しているという意味では、今の時代を「人新世」でなく、「資本新世」と呼ぶのが正しいかもしれない。けれども、人々が力を合わせて連帯し、資本の専制から、この地球を唯一の故郷を守ることができたら、そのときには、肯定的にその新しい時代を「人新世」と呼べるようになるだろう。』

私たちにできることは、この政治や社会の有り様をただ評論家的に批判するだけでなく、何らかの行動を起こすことです。経済社会が大きく変われば必然的に政治の有りようも変わります。私たちの少しの変化が大きなうねりとなって、時代を変えることを信じて。

納税者相談停止命令は憲法に抵触するのでは?~納税者の権利を取り締まるのではなく、納税者権利憲章を策定すべき~

岸田内閣が国会に提出した所得税法等改定案に納税者の権利を著しく制限する疑いがある内容が盛り込まれています。

この法案には「税務相談停止命令制度」を創設する税理士法の改定案が創設されています。その内容は要約すると次の通りです。

①財務大臣は税理士でないものが税務相談を行った場合にはその停止を命令することができる。

②命令の違反者には1年以下の懲役又は100万円以下の罰金を科し、違反者名を3年間インターネットで公表され官報でも公告される。

③国税庁長官は税務相談者を質問検査できる。その質問検査に対する拒否又は虚偽の答弁者等には30万円以下の罰金を科す。

④この改正は令和6年4月1日より実施する。

つまり、政府が創設しようとしている法案は、税理士でないものが反復して税務相談を行って脱税や不正還付を指南して納税義務の実現に重大な影響を及ぼし、防止のための緊急措置が必要と財務大臣が判断した場合にはその税務相談の停止などの必要な措置を命令できるというものです。そしてその税務相談を行った者に対して、命令すべきか否かの調査権限を国税庁長官(税務署)に与えるという内容です。

財務省はこの制度の創設の背景について「コンサルタントを名乗り、SNSやインターネットでセミナーを開き、不特定多数に脱税などの方法を指南して手数料を取るなどに事例が散見される。納税義務の適正な実現に重大な影響を及ぼす相談活動を防止するための措置が必要」と説明しています。さらに、「納税相談が税理士業務に当たるかどうかは、個別に判断する」という不明確な回答しかしていません。

この法案について、浦野広明税理士は「法案はほとんど抽象的に書かれており、どうでも解釈できる。意図的な乱用で納税者団体の運動を阻止する治安立法といわざるを得ない」と批判。また、鶴見佑策弁護士は「申告納税制度のもとで税金の相談を誰がするかは自由なのに、罰則で禁じることは問題だ」と指摘しています。

税務相談の前提になっている税法の解釈自体が、思想・信条・価値観を内在したもので、課税庁や税理士の税法が全面的に正しいものだとは言い切れません。つまり、解釈権や共助行為に国家権力が介入して、罰則で停止されるという立て付けは憲法13条(個人の尊厳)19条(思想信条の自由)21条(集会・結社の自由)に繋がる大きな問題をはらんでいます。

納税者の権利憲章をつくる会の平石共子税理士は「世界の多くの国では納税者同士の相談は自由。税理士法で抑制する日本の異常さが際立つ。『命令制度は要らない』の声を上げ日本でも納税者権利憲章を」と提起されています。

憲法の理念に基づく、納税者権利憲章を制定していない国はOECDの中ではわが国だけです。今こそ、納税者の権利を保障する政治の実現が必要です。

異次元の公約違反に異議あり!~この国は新しい戦前へと向かうのか~

岸田首相は年頭の会見で「『異次元』の少子化対策に挑戦する」と訴えましたが、1月23日の施政方針演説では「年齢・性別を問わず、皆が参加する、従来とは次元の異なる少子化対策を実現したい」と表現しました。

少子化対策の実現には「兆円単位」の財源確保が必要なため、「異次元」の表現が消費増税を思い起こさせるとして、「『異次元』は使うな」という声が官邸内で上がったようです。

さて、この降って湧いたような「少子化対策」は非常に違和感を覚えます。個人的には大軍拡とそれに伴う大増税を煙に巻く戦術なのかなと考えます。

「検討使」と揶揄されてきた首相が断固たる姿勢で「大軍拡と大増税」を前のめりになっている姿を見て、「首相は変わった」という人もいますが、果たしてそうでしょうか。金融所得課税の導入検討の際には、あれこれ迷ったあげく、富裕層に対して「聞く耳」を持って自らの「公約」を決めきれませんでした。

一方、強いもの「聞く耳」を持ったとたん一直線にすき進んでいるのではないでしょうか。首相にとって強いもの、つまりアメリカに媚びてしまう病に冒されているのでしょうか。名付けて「愛犬ぽち化症候群」です。

防衛予算案は時系列的には次の通りです。従来は、GDPの1%程度で推移をしていましたが、23年度から5年間で段階的に引き上げ、27年度に2%に倍加させるように首相が指示したのは11月28日、27年度以降の毎年度、約4兆円の追加財源が必要として、うち1兆円強を増税で賄う方針を示したのが12月8日、そして2023年度の財政改正大綱に法人税、所得税、たばこ税の3税目で増税措置を実施することを盛り込んだのが12月16日、同日に敵基地保有能力の保有や防衛費2倍化など、日本を「戦争をする国」をなりかねない、戦後の安全保障政策の大転換することに舵を切ることになる安保3文書も閣議決定しました。そして、年明けの1月13日にバイデン大統領と会談し、「歴史的だ」と天まで持ち上げられる程の賞賛を受けました。

首相は「1年以上、丁寧なプロセスを得た」と豪語していますが、その大半は密室での論議でその内容を国民は知る由はありませんでした。その間に参院選がありましたが、このことを全く公約に掲げませんでした。

この歴史的転換をすれば、わが国はアメリカ、中国に次ぐ世界第3番目の国防費を持つ国へと大変容します。このような国民にとって重大な事柄を参院選で争点化しなかったことは「異次元の公約違反」と言えるのではないでしょうか。

さらに、国会でまともな審議を経ずに閣議決定したことは国会軽視だし、国民よりも先にアメリカに大軍拡を約束したことは、「対米従属」のそしりを免れません。順番がまるで逆です。まさに「愛犬ぽち化症候群」だと言えます。

昨年末に放送された「徹子の部屋」にゲスト出演したタモリさんが、2023年について問われ「新しい戦前になるんじゃないですかね」と発言、この国が戦後の平和主義から一転して、戦前の軍国主義に似た状況になりつつあることを危惧したものと受け止められたようですが、「戦争か平和か」が問われる追われる緊迫した国会になりそうです。

宇沢弘文に学ぶ~経済学の本をよく読むようになりました!~

今年の夏、お世話になっている医療団体の50周年記念講演会で、故宇沢弘文先生の長女で医師の占部まり先生のお話を聞く機会がありました。正直、その講演を聞くまで宇沢先生の名前を知りませんでしたが、触発されて最近は立て続けに、経済学の本を読んでいます。

占部先生の推薦書籍の中で、入門に最適だと書かれていた「人間の経済」を購入し、一気に読みました。

この本のはじめに占部先生(宇沢国際学館の代表取締役でもあります)から、宇沢先生の歩んだ道のりの記載があります。私と同じように宇沢先生のことを良く知らない人もいると思うので、その要約を紹介します。

「人々が豊かに暮らせる社会のために経済学という学問は何ができるかを考え続けた人生でした。数理経済学を基礎に理論を構築し、水俣病などの様々な社会問題を通じ、分野が違う人々にも理解を得られるようにひたすら進んできました。こうした人生を歩んだのは、山陰地方の米子出身だったことが影響しました。

1945年4月、終戦直後に旧制一高に入学します。東京大学理学部数学科に進学、特別研究生として数学を学んでいましたが、河上肇の『貧乏物語』に触発され、戦後の混乱期に数学のような貴族的な学問に従事している場合ではないと考えて経済学に転向します。

スタンフォード大学研究助手で頭角を現し数々の業績を上げ、36歳の若さでシカゴ大学の教授になりましが、ベトナム戦争の影響でシカゴをさり日本に帰ることを決意しました。

経済成長のためには一般市民は犠牲になっても良いという考えかたに異を唱えた『自動車の社会的費用』がベストセラーに。その後も『社会的共通資本』などを数多くの本を上梓しました。大好きだった魔法の水とともに広がっていく父の世界観があります。」

先生の定義した社会的共通資本は、広い意味での「環境」を経済学の対象としていることが特徴です。そして、その役割を次のように説明されています。

「社会的共通資本は、一つの国ないし特定の地域に住むすべての人々が、ゆたかな経済生活を営み、すぐれた文化を展開し、人間的に魅力ある社会を持続的、安定的に維持することを可能にするような社会的装置を意味する。社会的共通資本は、一人一人の人間的尊厳を守り、魂の自立を支え、市民の基本的権利を最大限に維持するために、不可欠な役割を果たすものである」(『社会的共通資本』岩波新書)

先生の社会的共通資本の説明と日本の経済社会が余りにもかけ離れていることについては論を待たないでしょう。先進諸国の中で唯一経済成長をなしえていない、つまり「ゆたかな経済生活を営む」ことを享受できていないばかりか、暮らしを破壊して大軍拡へと舵を切る選択をしようとしています。そのために庶民大増税を計画しています。2014年に他界された先生がもし存命ならばこの選択をどう評価されたでしょうか。

先生はこの本で興味深いエピソードを紹介されています。それは解任されて本国に戻ったときのマッカーサーの上院軍事外交合同委員会の公聴会での次のような証言です。

「日本の憲法に第9条を入れさせたのは私だ。それは幣原喜重郎が自分のところに来て、こう言ったからだ。『軍人であるあなたにはいいづらいが、日本がこれから世界で延びていくためには、絶対に軍隊を持ってはならない。だから、憲法の中に日本は軍隊を持たないということを明示的に入れたい』私はこれに感動して、幣原に、いろいろ困難をともなうかもかもしれないが入れるように、とアドバイスをした。」と。

「軍事栄えて、民滅ぶ」の道を日本国憲法は謳っていません。防衛予算を増やすより、子育て、教育、社会保障などの予算を増やしていくことが社会的共通資本の要諦だろうと思います。

 

 

 

 

突然の方針の大転換!!岸田首相が言い出した驚きの「原発の新増設」~「聞く耳」は財界だけなのでしょうか?~

中学校の公民では、資源・エネルギー変遷と未来のことを次のように教えています。(蔭山克秀著、「中学校の公民が1冊でしっかりわかる本」かんき出版を参考にしました)

『明治以降、日本のエネルギーの主役は「石炭」でした。1950年代、中東などで大規模な油田が相次いで発見されました。「石油」は液体で輸送しやすく、公害被害も少なく、燃料効率も良く、さらに石炭より安かったのです。程なく石炭に変わり石油が主役と変わりました。

ところが73年「オイルショック」が起き、それを機に、日本では「未来のエネルギー」と注目されていた原子力発電の商業化が本格化します。そして2010年頃には日本の発電比率はおよそ、火力65%、原子力25%、水力10%に達しました。

しかし、11年東日本大震災が発生します。この地震で福島第一原子力発電所が深刻な被害を起こしたため、政府は原子力発電の安全基準をとても厳しい再稼働基準に設定しました。そのため、新基準をクリアできない原子力発電所が相次いでいます。

今もっとも注目されているのが再生可能エネルギーです。再生可能エネルギーは、風力・地熱・太陽光など自然界から無尽蔵にとれるエネルギーで、これなら価格高騰も温暖化も事故も心配ありません。』

この中学校公民の内容どおり、原発の事故後、歴代政権は、原発依存度の将来的な低減を国民に約束し、新増設や立て替えは想定していないと説明してきました。昨年10月に閣議決定されたエネルギー基本計画でも、原発の新増設には言及はありませんでした。

ところが、一転8月24日に重大な方針転換に舵を切りました。原発の「新増設」と既設原発の「運転期間も延長する」と言うのです。ロシアのウクライナ侵攻や急速に進む円安で、原油などの輸入コストが跳ね上がっています。新増設などは、その不安に乗じた「手のひらが返し」です。ずいぶん以前から、自民党、電力業界、原子炉メーカー、経産省の役人はその必要性を考えていました。再稼働もまた、原発の危険をさらに高めることは自明の理です。

この大きな方針の真相は、経団連の十倉会長が7月27日のGX(グリーントランスメーション)実行会議の初会合で「新設方針を明示」するように要求し、それに首相が応じたのです。財界には「聞く耳」を持っても、国民の世論は聞こえないのでしょうか。発言直後の朝日新聞の世論調査では、原発の新造設に「賛成」が34%、「反対」が58%でした。

この重大な方針を転換するには、まずは原発事故の検証とその始末が不可欠です。これには、長い年月と莫大なコストがかかります。それが不十分なままの方針転換に多くの国民は不信感を抱いています。最新の世論調査では岸田内閣支持率は33.1%まで下落しています。

原子力産業の延命に政府が取り組めば取り組むほど、再生エルギーの本格的な普及などがおざなりになります。太陽光や風力は純国産です。エネルギーの安全保障にとっても気候変動対策にもとても有効です。事故後10年余り政府は何をしてきたのでしょうか。

原発事故の教訓を真摯に受け止めるのであれば、中学校公民の中身を多忙な公務の間でも、岸田首相には是非一読してもらい、本来の「聞く耳」を待っていただきたいと願います。

「上がる・下がる」、「上げないといけない・下げないといけない」の一考察~日本経済を良くする「最適解」はあります!~

上がると言えば、間近に迫った国葬に反対する世論です。FNNの世論調査では、賛成33.5%、反対は62.3%にもなりました。岸田首相が説明すればするほど反対の声が大きくなるのは、その決め方や内容に道理がないことが国民の共通認識になっているからでしょう。

さらに上がるのは消費者物価です。8月は2.8%の上昇です。この数字は消費税増税の影響があった期間を除けば、バブル景気直後の1991年9月以来、約31年ぶりの水準です。今後もしばらく続くと考えられる円安やロシアのウクライナ侵攻などでさらに物価は上昇すると思われます。10月からは、後期高齢者の窓口負担や労働保険料も上がります。

反対に下がっているのは、内閣支持率です。時事通信が9月9日から12日にした世論調査では、前月比12.0%減の32.3%と急落し、昨年10月の政権発足以来最低となりました。この原因は、国葬だけでなく、統一教会問題の対応の不十分さ、新型コロナウイルスへの対応のまずさなどがあります。

さて、結論から先に言えば日本経済を良くするには大企業の法人税負担を上げること、併せて国民の手取り収入を上げること、消費税率を下げることが「最適解」と考えます。

財務省が9月1日に発表した法人統計によると、国民の暮らしや中小企業の営業が大打撃を受ける中、大企業の内部留保は2021年度末で484.3兆円となり、前年度に比べ17.5兆円増加しました。大企業は第2次安倍晋三政権が発足した2012年から、売上高が1.02%と横ばいにとどまる一方で、配当金は2.02倍に急増しています。一方で、賃金はわずか1.05%の上昇しかありません。また、同調査での4~6月期の法人の経常利益は前年同月比17.6%増の28.3兆円になりました。4半期ベースでの過去最高益を4年ぶりに更新しました。

ところが、法人税の実質負担率は低いままです。「不公平な税制をただす会」の菅隆徳税理士は、その理由として「大企業優遇税制による莫大な減税があるため」と訴えています。氏は、有価証券報告書から個別企業の減税額を推定しています。その減税額は多い順に①トヨタ自動車=受取配当金の益金不算入額(以下受配という)2,376億円、試験研究費の税額控除608億円②本田技研工業=受配1,768億円③伊藤忠商事=受配3,430億円④三菱商事=受配1,399億円というように膨大な減税額になっています。

また日本経済新聞(8月20日号)が一面トップに「繰り返す法人税ゼロ」の大見出し、「15年で課税4回」という小見出しをつけてソフトバンクG(通信会社のソフトバンクの親会社)が、2021年3月期の決算で1兆4,538億円の利益を上げながら法人税がゼロだったことを報じています。大企業優遇税制を廃止して、法人税に累進課税を導入すれば約20兆円の財源が生まれてきます。併せて企業責任として労働者の賃金を引き上げることです。

一方で、引き下げるべきは消費税です。世界はコロナ禍や物価高に対応するため、96カ国で付加価値税(消費税)の減税に踏み切っています。もはや従来の物価対策では限界があります。消費税減税は世界の流れであり、所得の低い人が高い負担率になる最も不公平な税制である消費税の減税こそが国民の生活や商工業者の最大の応援になります。

デジタル化社会の盲点と雑損控除について考える!~ショートメールに国税庁からのお知らせ~

8月21日、私のスマホのショートメールに、国税庁「未払い税金お支払いのお願い。詳細はこちら。https://… …」という送付がありました。

最近、ニセの国税庁のホームページにアクセスをさせてクレジットカード情報を抜き取る事案や金銭の払い込みを要求してくる事案が後を絶たないようです。国税庁はホームページで注意喚起をしました。

「国税局・税務署をかたった不審なメールにご注意ください」「最近、国税局・税務署をかたった不審なメールが送信されております。国税局・税務署では、電子メールで納税に関する催告を行っておりません。指定されたURLをクリックしないようお願いします。」と言った内容です。

こうして仕組まれた詐欺を「フィッシング詐欺」といい、『送信者を詐称した電子メールを送りつけたり、偽の電子メールから偽のホームページに接続させたりするなどの方法で、クレジットカード番号、アカウント情報(ユーザID、パスワードなど)といった重要な個人情報を盗み出す行為のことを言います。

なお、フィッシングはphishingという綴りで、魚釣り(fishing)と洗練(sophisticated)から作られた造語である』と定義されています。

また、警察庁のまとめによると、公共機関の職員を名乗ってキャッシュカードや現金をだまし取る「預貯金詐欺」や親族のふりをして送金させる「オレオレ詐欺」と言った「特殊詐欺」の認知件数は1万件を超えて増加傾向にあります。

コロナ禍で在宅時間が増えたことが増加の要因になっているようです。件の「税金の未払い」を理由にしたものだけでなく「医療費や保険料の払い戻し」があるということをえさに主に高齢者からお金をだまし取る「還付金詐欺」も横行しています。

私もこの被害に遭遇した人を知人の紹介で知りましたが、こうした詐欺の被害者の多くは残念ながら返金を受けることができないのが実情です。

また、税務上も「雑損控除」の適用を受けることはかないません。所得税法上の「雑損控除」は、医療費控除や寄付金控除などと同じく一定の要件に該当した場合には損害額のうちの一部をその被害を受けた年分の所得から控除できる仕組みを言います。

その対象となる災害などは、5つです。具体的には(1)震災、風水害、冷害、雪害、落雷など自然現象の異変による災害(2)火災、火薬類の爆発など人為による異常な災害(3)害虫などの生物による異常な災害(4)盗難(5)横領です。

「特殊詐欺」損失は、そのいずれにも該当しないという2011年の国税不服審判所の裁決があります。犯罪被害者であることに変わりはないのですが、「騙され」たり「脅され」たりしたにせよ、「自らお金を渡した」という点が「横領」などとは違う、と解釈されたのです。

残念ながら、依然としてなくならない「振り込め詐欺」や「還付金詐欺」のような「特殊詐欺」の被害は、現行上は税の面からは救済されません。

法改正して、「特殊詐欺」も災害とすべきです。「多額の所得税を納めていない高齢者は、税制では救済できない」という仕組みにも、一工夫の余地はあるのではないでしょうか。

資産所得倍増計画に異議あり~投資より賃金や年金の引き上げが必要です~

岸田文雄首相は、9月上旬と言われていた内閣改造を8月10日に実施しました。この背景には、安倍元首相の国葬の賛否、安倍元首相の狙撃の要因にもなったカルト教団である「旧統一教会」に多数の閣僚が関与していたこと、新型コロナ対応のまずさなどで内閣支持率が急落したことを一気に挽回することにその狙いがあったのだろうと思います。

ところが、組閣をした新閣僚の多くが「旧統一教会」との関連を指摘されるありさまで、国民からの疑念はまったく払拭されていません。

さてわが国の「最高舵取り役」である岸田首相は歴史の教科書に載っている「遣唐使」をもじり、「検討使」と揶揄されることがあります。

「聞く耳を持つ」首相は、とりあえず「検討します」を繰り返すことが日常化していますが、首相が打ったこのたびの内閣改造の前倒しは、大きな危機感の表れだといえます。

長らく「検討」している代表的なものが秋の総裁選挙ときに息巻いていた「金融所得課税」です。この経緯は、就任後すぐの株価急降下にありました。それを受けて就任後わずか1週間足らず「当面触らない」でお得意の「検討使」と相成りました。

逆に打ち出しているのが「資産所得倍増計画」です。首相は5月にロンドンで講演をして、「貯蓄から投資へ」による「資産所得倍増」をいわば「国際公約」としました。首相の派閥である宏池会の創始者、池田勇人元首相の「所得倍増計画」になぞられたものでしょうが、名前こそ似ていますが、中身は「似て非なるもの」です。

「新しい資本主義実行計画」は、日本の個人金融資産の2000兆円の半分以上が預貯金で保有されていることを指摘しています。この20年間で資産に占める株式などの比率が高い米国では家計金融資産が3倍に対してわが国では1.4倍にしかなっていないと記載しています。その原因が、日本の国民が株式投資に熱心ではないかと言わんばかりです。

そもそも、金融資産は実体経済が成長してこそ増加するものです。日本の国内総生産(GDP)は、この20年間ほぼ横ばいです。それに比べて米国は2倍強増えています。つまりわが国は先進国の中で唯一「成長しない国」「先進衰退国」となっています。

米国でGDP以上に金融資産が増えているのは、富裕層の伸びが著しいからです。上位1%の金融資産は4.8倍になっていて全体を押し上げています。つまり、格差が拡大しているのです。日本でもこうした政策をとれば、米国と同じように格差はますます広がります。

ところで、日本の家計部門の「財産所得」は、直近の2020年では26.3兆円です。しかし、1991年には62.6兆円ありました。その当時も株式投資の割合は低く、家計資産のほとんどは預貯金でした。

この低下の原因は、その利子にあります。90年代には定期預金の利子は5%を超えるものもありましたが、現在では定期預金の利子は0.002%しかありません。

「異次元の金融緩和」で異常な低金利政策が続けられています。この政策を継続しながら、国民の預貯金をさらなる株価のつり上げに活用しようとする「資産所倍増計画」には異議ありです。

今必要なのは、投資より賃金や年金の引き上げで庶民の懐を温かくすることです。

安倍元首相の国葬の是非を考える~二度にわたる消費税増税で国民・中小零細企業が窮地に~

参議院選挙後半戦の7月8日、遊説中の奈良市で凶弾に倒れた安倍晋三元首相には、謹んで哀悼の意を表します。このような暴挙は断じて許されるものではありません。

ところで政府は7月22日の閣議で、安倍首相の国葬を9月27日に日本武道館で実施すると決めました。その名称は「故安倍晋三国葬儀」で岸田文雄首相が葬儀委員長を務め、費用は全額国が負担と言う内容です。

そもそも国葬というのは、民主主義社会においては国家が主体となり、国民も政府も納得した上でその人を顕彰するために行うべき儀礼のはずです。安倍元首相の政治的な立場・姿勢に対する評価は人によって大きく分かれます。国葬をするということは、国家としてそれを全面的に公認し、賛美・礼賛することに繋がるのではないでしょうか。

国葬の閣議決定について、中日新聞と南日本新聞は「LINE」を使ってアンケートを実施していますが、両新聞とも反対が7割を超えました。保守層や自民党支持層についても国葬に懸念や違和感、疑問を呈する声も広がっています。

岸田首相は国葬をする理由について、「日本経済の再生」「日米関係を基軸とした外交の展開」「東日本大震災からの復興」をあげていますが、消費税の観点から考えてみます。

NHKの「日曜討論」(6月19日放送)で、野党が「消費税減税をしないのはおかしい」と追及すると自民党の高市早苗政調会長は、「消費税が法人税の引き下げに流用されているかのような発言がこの間から何度かあったが、全くの事実無根でございます。消費税の使途は社会保障に限定されている。でたらめを公共の電波で言うのはやめていただきたい」と反論しましたが、その発言は消費税法1条2項を根拠にしています。

たしかに同条項は「年金、医療及び介護の社会保障給付並びに少子化に対処するための施策に要する経費に充てるものとする」と定めています。2014年4月にこの条項は追加されましたが、これは不況に喘ぐ国民からの非難を抑えるための苦肉の策でした。

しかし、いくら法律で使途を規定しても、消費税は特定の経費に充てる目的で課す目的税(都市計画税・入湯税など)ではありません。使途を特定せず一般経費に充てる目的で課す普通税です。高市氏の全く根拠のない発言は、ネット上でも大炎上を余儀なくされました。

そもそも日本経済を決定的に悪化させた要因は、安倍政権下における2014年4月と2019年10月における2度にわたる消費税の増税であることは明らかです。大企業や大資産に対する減税の穴埋めにこの消費税増税は使われ、もともと不況が長期化していて脆弱であった個人消費はさらに落ち込み、中小零細企業はさらに痛めつけられました。

1989年の消費税導入から34年で消費税の総額は476兆円です。他方、法人税(法人地方税も含む)は324兆円の減収、所得税・住民税は289兆円も減収になっています。

日本を成長しない国にした元凶は、消費税の導入、とりわけ不況時における2度にわたる増税は安倍政権下の失策だといえるでしょう。そうした意味で、安倍元首相が「日本経済を再生した」とはとうてい評価できるものではないといえます。

インボイス制度導入は消費税減税で不必要に~参議院選挙で野党が減税を公約に掲げています~

参議院選挙の投票日(7月10日)が迫ってきました。大きな争点として国民生活を直撃している急激な物価高から国民生活をいかにして守るかの課題があります。

生活必需品の多くのものがものすごく値上がりをしています。私が健康のために愛飲している豆乳も4月から6%上昇しました。朝食で食卓に登場する食パンも9.4%、休日の昼食でよく食べるスパゲッティは11.3%、野菜炒めの材料になるキャベツは40.6%、タマネギに至っては何と125.4%の値上げです。エネルギー関連の値上げも深刻です。猛暑が心配な今年の夏ですが、電気代は約20%、ガス代、ガソリン価格も大幅に上昇しています。

これらの原因は、異常な円安、ロシアのウクライナに対する軍事侵攻、世界(日本を除く)の景気回復などと分析されています。物価高の最も効果的な対策は消費税の減税です。その効果は消費に占める生活必需品の割合が大きい低所得者ほど現れます。そこで、政権与党(自民党と公明党)以外の政党が、多少のニュアンスの違いこそあれ消費税の5%への減税を公約にしています。

他方、与党の言い分は「消費税は社会保障の財源である」と言ってはばかりません。確かに消費税法の第1条には消費税収について「年金、医療及び介護の社会保障給付並びに少子化に対処するための施策に要する経費に充てる」と明記されていますが、この規定は消費税を段階的に引き上げる2012年に増税の言い訳として書かれたに過ぎません。

もともと、消費税導入は1986年に経団連が政府に提言した、法人税と所得税の引き下げの財源として「国民が広く薄く負担する税体系の構築」を端緒にしています。この提言を受け、自民党は1988年6月に税制改正大綱に「直間比率の是正」を掲げ、同年7月に当時の竹下首相が消費税法案を国会に提出して、翌年1989年4月1日から導入されました。

消費税が導入されて以後、消費税は国と地方を併せて476兆円の税収をもたらしましたが、法人税(法人地方税を含む)は324兆円、所得税・住民税は289兆円の減収になっています。つまり、消費税は、社会保障のためではなく、大企業や大金持ちの減税に使われたことになります。

自民党の茂木幹事長は、「消費税の減税を実施すると、現在の社会保障財源は3割以上カットしないといけなくなる」との問題発言をしています。そればかりか、岸田首相は、防衛費を現在のGDP(国内総生産)比1%から2%にすると国際的に「公約」しました。財源はどうするのでしょうか。「消費税を増税する、医療費負担を大幅に増やす、年金をさらに削る」いずれにしても負担は、この20年間賃金が下がり続けている唯一の先進国に暮らしている人々にしわ寄せがくることになるでしょう。

消費税を減税し、庶民の懐を温かくして経済の好循環を進めていくことが急務になっています。消費税を減税すれば複数税率は解消され「インボイス制度」の論拠が崩れてしまいます。既に、世界では90を超える国や地域が消費税(付加価値税)の減税を実施・予定しています。日本でできない理由はありません。審判の時が刻々と近づいています。

メデイアはなぜインボイス廃止法案を取り上げないのか~メデイアはインボイス制度の本質について取り上げるできです

NHK政治マガジンは、立憲民主党が提出したインボイス廃止法案について次のような報道をしています。

『事業者の納税すべき額を正確に把握するため、消費税の税率や税額を記載する「インボイス」と呼ばれる請求書の作成が、来年から事業者に求められる制度について、立憲民主党は、3月30日、中小・零細事業者などの大きな負担になるとして、廃止するための法案を国会に提出しました。

~中略~立憲民主党はインボイスの作成は、中小・零細事業者などの大きな負担になり、コロナ禍や物価の高騰で直面している厳しい状況に追い打ちをかけることになりかねないなどとして、制度を廃止するための法案を衆議院に提出しました。

立憲民主党の末松義規衆議院議員は記者団に対し「現在の制度でも、事業者の納税額は適正に把握できるので、インボイス制度は不要だ。立憲民主党としては、短期的な経済対策として、消費税率の5%への一時的な引き下げも主張していく」と述べました。』という事実関係だけを述べた記事です。

実際、インボイス制度で大きな影響を受ける人は、消費税の免税事業者(推定1000万人超)だけでなく、そうした事業者と取引をしている課税事業者も含め社会的な大問題です。

この制度により影響を受ける業種は、一人親方などの建設関連の下請け業者、外注化された社員、赤帽など軽トラックの配達請負業者、ウーバーイーツなどの宅配業者、個人タクシー、英会話学校や塾の講師、映画・演劇の俳優や声優、編集者、音楽家、漫画家やイラストレーター、農家、生命保険・損害保険の代理店、貸家や駐車場経営者、電気やガスのなどの検針員、内職者、ヤクルトレディー、シルバー人材センターの会員など多岐にわたります。

メデイアは前回の総選挙後から特に「野党は批判ばかりだから選挙に負けた」との主張を繰り返しています。野党の役割は権力の監視で、政府・与党の追及です。それこそが民主主義を機能させることに繋がります。野党が批判を加えてからこそ、行政の歪みなどが国民へ知らせることになります。議会制民主主義の母国であるイギリスでは、野党のことを「オポジションパーティ・反対党」と表現するそうです。

他方、メデイアの「批判ばかり」は事実なのでしょうか。2017年11月に開会された第195国会から2021年6月に閉会した第204国会までの政府提出案のうち賛成した主な野党の賛成率は、立憲民主党82.6%、日本維新の会88.7%、日本共産党53.9%です。また、165本の対案となる法律も提出しています。このことからメデイアの野党批判は相当とはいえません。

さて、参議院選挙が間近に迫ってきました。この選挙で大きな争点の一つが小規模事業者に新たな税負担と事務負担を強いるインボイス制度です。メデイアには大きな社会問題として既に野党が提案している法案を形式的な論評だけでなく、その本質をえぐるような報道をすることを期待しています。この制度が導入されたら、やがて消費税の税率はヨーロッパ並の20%になるのではないかと危惧しているのは私だけではないと思います。