新しい資本主義を考える!~分配重視の好循環を~

岸田首相の看板政策は「新しい資本主義」です。この言葉は、衰退しつつあるわが国の経済を再び好転させてくれるのではないかという前向きで明るいイメージが感じられ、万人が好印象をもつ、とても響きの良いキャッチフレーズです。

経済学の通説では、市場での自由な競争に委ねれば、経済格差が拡大し、人類の存亡にかかわる環境破壊にもつながるとされています。

こうした「新自由主義のシステム」から脱却して、持続可能な社会を実現するという高い志からの発言であればまっとうなものであり、ぶれずに実行して欲しいと願うばかりです。

ところがこの首相肝いりの「新しい資本主義」に対してマスコミは酷評しています。例えば3月9日付けの朝日新聞では次のように言及しています。

『~そもそも、新自由主義からの脱却を掲げ、中間層の所得向上をめざすと宣言した「ビジョン」づくりは漂流しかかっている。昨秋の自民党総裁選挙で公約した看板が先行し、「ビジョン」が後回しになっていることが原因だ。~

「新しい資本主義」をめぐる国会論議も低調だ。首相は「成長と分配の好循環」という基本的な答弁を繰り返すばかりで、活発なやりとりには発展しない。

その一方で、政治決断が必要な問題は先送りし続けている。分配の目玉として訴えていた富裕層増税のための金融所得課税強化は、首相就任直後の株価下落を受けて早々と棚上げ。二酸化炭素(CO2)の排出量に応じて課税をする炭素税は、産業界の反発を考慮して見送った。~』

「成長と分配の好循環」を税制でどう解決をすれば良いのでしょうか。日経新聞2月23日号の「好循環生まぬ企業の分配」に次のようなくだりがあります。

「~賃金や配当、投資に回らない資金は積み上がっている。財務省の法人企業統計によると、日本企業(金融などを除く)の利益剰余金(内部留保)は20年末に484兆円と過去最高を更新した。手元にある現預金も259兆円に膨らんだ。~」

つまり、大企業を中心に税制上の優遇措置の追い風も受けて莫大なお金が蓄積されているという現実が横たわっていると言うことです。企業が儲かれば個人所得も増加し、経済全体が良くなるという「トリクルダウン」は起こりませんでした。敷衍すると、富が一部の大企業や大資本家に偏在し、世の中にお金が回らなくなり、内需が停滞して、日本経済は長きにわたり停滞をして、先進国の中では類をみない「成長できない国」と化したのです。

この悪循環をただすためには、お金を循環させる政策への転換が必要です。人件費削減を目的にした労働法制の規制緩和による非正規化の抜本的な転換が必要です。

さらに、労使折半となっている社会保険料の割合をEU並に改め、労働者の手取り賃金を増やすことが有効です。もちろん、財務体質が不十分な中小企業には国からの直接的な支援が必要です。

財源は、大企業の内部留保に対する応分の課税と金融所得課税の適正化でまかなえます。税の公平性を担保し、結果として労働者の賃金に回る好循環をつくり出す政策は有効です。